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移住希望者必見!ゆかりのない土地で、地域をよく知る建築家と叶えた家づくり
移住先に選んだのは、栃木県那須塩原市、宮崎県日向市、沖縄県うるま市。3つの家族が慣れない土地で家づくりをどのように成功させたのでしょう?
永井理恵子
2022年9月8日
コロナ禍以降、多くの企業がテレワークを採用しています。これを機に、仕事と暮らしの両方を充実させるため、自然豊かで美しい景色がある地方での暮らしを選ぶ人が増えています。とはいえ、縁もゆかりもない土地へ、それも家を建てての移住はハードルが高いと感じる人は少なくありません。
この記事では、都市部から地方への移住を選んだ3家族の住まいをご紹介します。ゆかりのない土地での家づくりを通じた建築家との関わりは、移住を考えている方にとって参考になるはずです。ぜひ最後までお読みください。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
この記事では、都市部から地方への移住を選んだ3家族の住まいをご紹介します。ゆかりのない土地での家づくりを通じた建築家との関わりは、移住を考えている方にとって参考になるはずです。ぜひ最後までお読みください。
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【The thirty somethings. アフター30のくらしとすまい。V】
最初にご紹介するのは、栃木県の那須町と宇都宮市を拠点するNASU CLUBが手がけた住まいです。オーナーは、東京都内から栃木県の黒磯エリアへと移住した30代のご夫婦です。
移住のきっかけになったのは、コロナ禍によりリモートワークが中心となり、出社の必要性が減ったことでした。首都圏に暮らすことに大きな理由を見出せなくなって那須へ移住を決めたご夫妻は、偶然NASU CLUBのWebサイトを見つけ、「自分たちの思い描く住まいを実現してもらえそうだ」と思い、問い合せをしました。
最初にご紹介するのは、栃木県の那須町と宇都宮市を拠点するNASU CLUBが手がけた住まいです。オーナーは、東京都内から栃木県の黒磯エリアへと移住した30代のご夫婦です。
移住のきっかけになったのは、コロナ禍によりリモートワークが中心となり、出社の必要性が減ったことでした。首都圏に暮らすことに大きな理由を見出せなくなって那須へ移住を決めたご夫妻は、偶然NASU CLUBのWebサイトを見つけ、「自分たちの思い描く住まいを実現してもらえそうだ」と思い、問い合せをしました。
敷地もNASU CLUBが紹介しました。那須で数多くの住まいを手がけている同社代表の河野一郎さんは、「地の利を活かし、自然環境が豊かで生活に不便を感じない、住みやすい土地を紹介しています」と話します。
この家のオーナーに限らず、最近の移住者はリモートワークが中心の生活となっても、通勤はゼロではありません。そこで河野さんは、首都圏へのアクセスが非常にいい場所ながら、自然も豊かな土地を選んだと言います。
リビングの窓からはどこまでも続くかのような深い緑が眺められ、冬には暖炉に揺れる炎に癒やされる。そんなオーナーが思い描く暮らしのディテールを、1つ1つ共に創り上げていったそうです。
この家のオーナーに限らず、最近の移住者はリモートワークが中心の生活となっても、通勤はゼロではありません。そこで河野さんは、首都圏へのアクセスが非常にいい場所ながら、自然も豊かな土地を選んだと言います。
リビングの窓からはどこまでも続くかのような深い緑が眺められ、冬には暖炉に揺れる炎に癒やされる。そんなオーナーが思い描く暮らしのディテールを、1つ1つ共に創り上げていったそうです。
キッチンは、輸入のワークトップを使用して、イチから造作しました。
塗り壁は、材料にも塗り方にもひと工夫しており、光によって陰影が生まれ、季節や時間によってさまざまな表情を見せます。床も細心の注意を払って仕上げています。
また、地域の気候風土に合わせて快適に過ごせるように、気密性や断熱性などの「性能についても、オーナーの要望に沿って提案しています」と河野さん。
那須や黒磯への移住者が、この地での暮らしを最大限に楽しめるように常に考えているという河野さん。そのためにも、土地探しのお手伝いや家の設計はもちろんのこと、移住者同士がつながりながら、地域のコミュニティにも馴染めるように気を配っていると話してくれました。
塗り壁は、材料にも塗り方にもひと工夫しており、光によって陰影が生まれ、季節や時間によってさまざまな表情を見せます。床も細心の注意を払って仕上げています。
また、地域の気候風土に合わせて快適に過ごせるように、気密性や断熱性などの「性能についても、オーナーの要望に沿って提案しています」と河野さん。
那須や黒磯への移住者が、この地での暮らしを最大限に楽しめるように常に考えているという河野さん。そのためにも、土地探しのお手伝いや家の設計はもちろんのこと、移住者同士がつながりながら、地域のコミュニティにも馴染めるように気を配っていると話してくれました。
【移住 〜パシフィックオーシャンビューの家〜】
次にご紹介するのは、宮崎県日向市を中心に家づくりをするトータルリフォームイケダが手がけた家です。この家のオーナーは、兵庫県から宮崎県日向市に移住しました。30代の夫婦と小学生のお子さん2人の4人で暮らしています。
オーナー夫妻は、移住を決意する数年前からたびたび日向市にサーフィンを楽しみに来ていました。日向市には海も山も川もあります。サーフポイントがある宮崎県の3つの自治体のうち、最も自然豊かな点が気に入り、オーナー自ら日向市内にある土地を探し出しました。この家が建つ敷地は、サーフポイントまで歩いて10分ほどのロケーションです。
オーナーとトータルリフォーム イケダの代表である池田旬一さんを引き合わせたのは、土地を購入した先の不動産屋でした。オーナーと池田さんは、すぐに意気投合。実は池田さんは、建築家でありながら、地元・日向市で30年以上サーフィンを楽しむサーファーでもあるからです。
次にご紹介するのは、宮崎県日向市を中心に家づくりをするトータルリフォームイケダが手がけた家です。この家のオーナーは、兵庫県から宮崎県日向市に移住しました。30代の夫婦と小学生のお子さん2人の4人で暮らしています。
オーナー夫妻は、移住を決意する数年前からたびたび日向市にサーフィンを楽しみに来ていました。日向市には海も山も川もあります。サーフポイントがある宮崎県の3つの自治体のうち、最も自然豊かな点が気に入り、オーナー自ら日向市内にある土地を探し出しました。この家が建つ敷地は、サーフポイントまで歩いて10分ほどのロケーションです。
オーナーとトータルリフォーム イケダの代表である池田旬一さんを引き合わせたのは、土地を購入した先の不動産屋でした。オーナーと池田さんは、すぐに意気投合。実は池田さんは、建築家でありながら、地元・日向市で30年以上サーフィンを楽しむサーファーでもあるからです。
ビルトインガレージには、外からはもちろん、玄関ホールからもアクセスできます。雨の日も濡れることなく出入りや積み下ろしができます。ウェットスーツを洗い流すことができるよう、ウッドデッキの脇に蛇口を設けました。
「サーフィンに限らず、海や川遊び、DIY、バイクや車などを趣味にしている人が欲しいもの、例えば、体が濡れたまま上がっていけるスペースや汚れたものをサッと洗える外水道などを確保し、使いやすい動線にしました」と池田さんが話す通り、サーファーであるオーナーの家を建てるのに、池田さん自身の経験があちこちに活きています。
「サーフィンに限らず、海や川遊び、DIY、バイクや車などを趣味にしている人が欲しいもの、例えば、体が濡れたまま上がっていけるスペースや汚れたものをサッと洗える外水道などを確保し、使いやすい動線にしました」と池田さんが話す通り、サーファーであるオーナーの家を建てるのに、池田さん自身の経験があちこちに活きています。
リビングの壁は板張り。宮崎県産の杉板を使用しています。下地などに使う荒材を手触りが残るくらいにサンディングし、その上から白くペイントを施しています。あえて手触りを残すことで風合いと柔らかさが生まれます。
キッチンはオーダーメイド。業務用キッチンのような無骨さがあるステンレス製のフレームキッチンと壁のブルーグリーン色のサブウェイタイルが相性抜群です。
移住直後、この土地で自分たちらしい暮らしが本当にできるのか、悩んだオーナー夫妻を支えたのが、家づくりを通じてこの地で初めて密な人間関係を築いた池田さんでした。
その後、オーナー夫妻は日向市への移住者を手助けするコンサルタントとして独立を決意。池田さんとは、移住体験ができる民泊を運営しています。
日向で長くサーフィンを楽しむ池田さんには、移住してきた友人や知人が多くいます。日向にとどまる人もいれば、去って行く人もいる。これまでの経験があるからこそ、移住をサポートできればと考えたそうです。「知り合うことは何かの縁。私が力になれればと常に思っています」と池田さんは語ります。
キッチンはオーダーメイド。業務用キッチンのような無骨さがあるステンレス製のフレームキッチンと壁のブルーグリーン色のサブウェイタイルが相性抜群です。
移住直後、この土地で自分たちらしい暮らしが本当にできるのか、悩んだオーナー夫妻を支えたのが、家づくりを通じてこの地で初めて密な人間関係を築いた池田さんでした。
その後、オーナー夫妻は日向市への移住者を手助けするコンサルタントとして独立を決意。池田さんとは、移住体験ができる民泊を運営しています。
日向で長くサーフィンを楽しむ池田さんには、移住してきた友人や知人が多くいます。日向にとどまる人もいれば、去って行く人もいる。これまでの経験があるからこそ、移住をサポートできればと考えたそうです。「知り合うことは何かの縁。私が力になれればと常に思っています」と池田さんは語ります。
【南城市の家】
最後にご紹介するのは、沖縄県うるま市を拠点に家づくりに取り組むクレールアーキラボが手がけた住まいです。
家づくりの相談に乗って欲しいという連絡をきっかけに、オーナーとクレールアーキラボの代表である畠山武史さんは出会いました。オーナー夫妻は、お子さんの教育のために首都圏から沖縄への移住を決めており、すでに購入する土地を決めたうえで畠山さんに家づくりについて打診があったと言います。
鉄筋コンクリート造の家の外観は、コンクリート打ちっぱなし。インナーガレージを設けました。台風はもちろん、すぐそばにある海から受ける塩害への対策も重要です。窓には強度が高いサッシやガラスを採用し、錆びやすい材料は避けています。
最後にご紹介するのは、沖縄県うるま市を拠点に家づくりに取り組むクレールアーキラボが手がけた住まいです。
家づくりの相談に乗って欲しいという連絡をきっかけに、オーナーとクレールアーキラボの代表である畠山武史さんは出会いました。オーナー夫妻は、お子さんの教育のために首都圏から沖縄への移住を決めており、すでに購入する土地を決めたうえで畠山さんに家づくりについて打診があったと言います。
鉄筋コンクリート造の家の外観は、コンクリート打ちっぱなし。インナーガレージを設けました。台風はもちろん、すぐそばにある海から受ける塩害への対策も重要です。窓には強度が高いサッシやガラスを採用し、錆びやすい材料は避けています。
オーナーが選んだ土地は海が見えるロケーションながら、すぐ近くに隣家があります。眺望とプライバシーを確保するため、リビングを2階に、寝室、子供室、バス、トイレ、洗面室などを1階に配することにしました。また、オーナー夫妻が共に暮らすペットのワンちゃんや猫ちゃん数匹が2階にとどまるように動線を作りました。
玄関を開けると、正面にある水盤が出迎えます。畠山さんの自邸にある水盤を見て気に入ったオーナー夫妻が「ぜひ」と希望し、設えたものです。左側にあるバスルームからガラス越しに水盤を眺めることもできます。
実は畠山さん自身も沖縄への移住者。18年程前に移住したそうです。沖縄に移住する方の家を建てる際には、地域ごとの利便性、気候のことなど、できる限りのアドバイスをしていると言います。
畠山さんの自邸を紹介した記事を読む
玄関を開けると、正面にある水盤が出迎えます。畠山さんの自邸にある水盤を見て気に入ったオーナー夫妻が「ぜひ」と希望し、設えたものです。左側にあるバスルームからガラス越しに水盤を眺めることもできます。
実は畠山さん自身も沖縄への移住者。18年程前に移住したそうです。沖縄に移住する方の家を建てる際には、地域ごとの利便性、気候のことなど、できる限りのアドバイスをしていると言います。
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LDKの中央には階段があり、広い空間をエリア分けする役割を果たしています。階段の右手はスタディスペース。壁に設えた本棚は、猫ちゃんたちの遊び場も兼ねています。正面のキッチンはⅡ型を選んで造作。シンクとダイニングテーブルとが一体となっています。
海への眺望が開ける左手にある掃き出し窓は、バルコニーへと続きます。天気のいい日には、抜けるような青空と美しいオーシャンビューを堪能できます。
海への眺望が開ける左手にある掃き出し窓は、バルコニーへと続きます。天気のいい日には、抜けるような青空と美しいオーシャンビューを堪能できます。
移住先で家を建てる場合、最初に出会う地域の人が建築家であると言っても過言ではないでしょう。
美しい景色や自然、美味しい食材、そして温かな人間関係。移住先で豊かな暮らしを営みたいなら、地域の建築家に相談しない手はありません。
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