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美しい伝統を守りながら、現代的技術で暮らしを快適に。京都に建つ14の住まい
Houzzでみつけた、京都市内に建つ住まいの事例を、手がけた専門家の解説とともにご紹介します。

神社仏閣や史跡、古くからの町並みの美しさが人々を魅了する、千年の都・京都市。実は、府の人口の過半数が集まる府内最大都市でもあります。ここに建つ住まいの特徴について、専門家の方々にお話を伺ってみると、以下のような特徴がみえてきました。
それでは14の実例について詳しくみていきましょう。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
- 国内屈指の景観条例規制区域。文化遺産的建築物が多く存在しているため、町の印象を守る落ち着いた外観の住まいが多い
- “うなぎの寝床”と呼ばれる縦に長い敷地が多く、厳しい条件の中で採光や通気性における工夫が施されている
- 山に囲まれた盆地のため寒暖差が激しく、冬の底冷え対策がなされている
それでは14の実例について詳しくみていきましょう。
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こだわりのヴィンテージスタイルな家
最初にご紹介するのは、ココチの家が手がけたこちらの住まい。住まい手はアウトドア好きのご主人とガーデニング好きの奥様、そして元気いっぱいのお子様の3人です。
「耐震性・断熱性・気密性、換気等の住宅性能のバランスを大切にしながら、ご家族により仲良く楽しく暮らして頂けるよう、動線などに配慮しました。また、広いリビングが欲しいとのご要望でしたので、ご家族のコミュニケーションが深まり、かつ家事など動きやすい動線に配慮した間取りをご提案しました」と話すのは、設計を担当した原田恵美さん。
最初にご紹介するのは、ココチの家が手がけたこちらの住まい。住まい手はアウトドア好きのご主人とガーデニング好きの奥様、そして元気いっぱいのお子様の3人です。
「耐震性・断熱性・気密性、換気等の住宅性能のバランスを大切にしながら、ご家族により仲良く楽しく暮らして頂けるよう、動線などに配慮しました。また、広いリビングが欲しいとのご要望でしたので、ご家族のコミュニケーションが深まり、かつ家事など動きやすい動線に配慮した間取りをご提案しました」と話すのは、設計を担当した原田恵美さん。
またデザイン面では、新築でありながらほどよいヴィンテージ感ももたせたいというのが、オーナーからの要望だったそう。
原田さんは「フローリングや階段に至るまで、オリジナル感を持たせながら、お客様のご要望に沿ったヴィンテージ感を出すご提案をしました」と振り返ります。
こちらの写真はトイレの一部。丸鏡やレトロな照明がフィーチャーウォールと組み合わさることで、上品で居心地のいい雰囲気を醸し出しています。
原田さんは「フローリングや階段に至るまで、オリジナル感を持たせながら、お客様のご要望に沿ったヴィンテージ感を出すご提案をしました」と振り返ります。
こちらの写真はトイレの一部。丸鏡やレトロな照明がフィーチャーウォールと組み合わさることで、上品で居心地のいい雰囲気を醸し出しています。
西七条の家
続いては、I.M.A DESIGN OFFICE 一級建築士事務所が手がけたこちらの住まい。小さな町工場や長屋が混在する準工業地域に建っており、東と南の隣地には長屋とマンションが敷地の境界ギリギリまで建っています。
住まい手はオーナー夫婦と3人の娘さん。「建築面積を広げ、できるだけ低層にしてコストを抑えたいものの、道路側からの視線制御を考えると1階部分に十分な採光の確保が難しい。こういった場合、中庭や吹抜けを用いて採光を取りたいところですが、この方法だとたちまち家族5人のスペース確保のため階数を増やしてゆくことになり予算に納まりませんでした」と、設計した今村領太さんは振り返ります。
続いては、I.M.A DESIGN OFFICE 一級建築士事務所が手がけたこちらの住まい。小さな町工場や長屋が混在する準工業地域に建っており、東と南の隣地には長屋とマンションが敷地の境界ギリギリまで建っています。
住まい手はオーナー夫婦と3人の娘さん。「建築面積を広げ、できるだけ低層にしてコストを抑えたいものの、道路側からの視線制御を考えると1階部分に十分な採光の確保が難しい。こういった場合、中庭や吹抜けを用いて採光を取りたいところですが、この方法だとたちまち家族5人のスペース確保のため階数を増やしてゆくことになり予算に納まりませんでした」と、設計した今村領太さんは振り返ります。
そこで今村さんは、敷地めいっぱいまで建築面積を広げ、2階建て木造在来軸組みの一般的な構造形式を採用したうえで、2階北東の寝室部分のボリュームを4mだけ持ち上げることにしました。
「そうすることで、2フロア分の床面積を無駄にすることなく、1階全体に十分な採光・通風を確保するとともに、1階ダイニングと2階リビングを視覚的につなげることができました。さらに2階レベルでは、座った際の目線レベルで敷地四周に視線が抜ける空間を実現できました」
「そうすることで、2フロア分の床面積を無駄にすることなく、1階全体に十分な採光・通風を確保するとともに、1階ダイニングと2階リビングを視覚的につなげることができました。さらに2階レベルでは、座った際の目線レベルで敷地四周に視線が抜ける空間を実現できました」
ouchi house
CEN ARCHIが手がけたのは、住まいの真ん中に印象的な三角形の箱が挿入されたこちらの住まい。築古の戸建て住宅のリノベーションプロジェクトであり、住まいは“うなぎの寝床”と呼ばれる、京都に多い縦長の敷地に建っています。
「奥に長い建物の中にどうやって開放感をつくり出すか、何度も検討しました。最終的には既存の建物のど真ん中にシンボリックに三角のボックスを挿入しています。中には階段が入っており、その階段が空間をゆるく分けているようなプランとなりました」と話すのは、設計者の山口千乃さん。
CEN ARCHIが手がけたのは、住まいの真ん中に印象的な三角形の箱が挿入されたこちらの住まい。築古の戸建て住宅のリノベーションプロジェクトであり、住まいは“うなぎの寝床”と呼ばれる、京都に多い縦長の敷地に建っています。
「奥に長い建物の中にどうやって開放感をつくり出すか、何度も検討しました。最終的には既存の建物のど真ん中にシンボリックに三角のボックスを挿入しています。中には階段が入っており、その階段が空間をゆるく分けているようなプランとなりました」と話すのは、設計者の山口千乃さん。
当初オーナーからは、三角の箱にアーチ型の開口を作りたいという要望があったそう。しかし、薄い合板を曲げて作成するアーチはコストがかかるため、山口さんは五角形の“おうち型”を提案したといいます。
「結果的にはおうち型の開口をとても気に入っていただけました。どこにつくろうか、いくつつくろうか、インテリアや家具もおうち型のものを探して買ってみようか等、アイデアが溢れ出し、クライアントと一緒に楽しんで設計することができました。おそらく今でもおうち型の雑貨やインテリアが増えていることと思います」
「結果的にはおうち型の開口をとても気に入っていただけました。どこにつくろうか、いくつつくろうか、インテリアや家具もおうち型のものを探して買ってみようか等、アイデアが溢れ出し、クライアントと一緒に楽しんで設計することができました。おそらく今でもおうち型の雑貨やインテリアが増えていることと思います」
店舗のある住居
こちらは、二葉設計一級建築士事務所が手がけた住まい。1階はオーナーのご両親が営むリカーショップと駐車場、2階がオーナー家族の住居スペースとなっています。
オーナーからは「家族や友人、近所の人々が集まれる空間にしたい」という要望があったそう。そこで設計者の福井嘉宏さんは、オーナーご自身が選定し購入した無垢の一枚板をダイニングにカウンター風に据えて、家族の集まれる場、友人が集まって楽しめる場としてしつらえたといいます。
こちらは、二葉設計一級建築士事務所が手がけた住まい。1階はオーナーのご両親が営むリカーショップと駐車場、2階がオーナー家族の住居スペースとなっています。
オーナーからは「家族や友人、近所の人々が集まれる空間にしたい」という要望があったそう。そこで設計者の福井嘉宏さんは、オーナーご自身が選定し購入した無垢の一枚板をダイニングにカウンター風に据えて、家族の集まれる場、友人が集まって楽しめる場としてしつらえたといいます。
「住居スペースでは住居スペースはすべて引戸で仕切り、開ければおおらかに空間がつながるよう構成しています。またプランに回遊性を持たせることで動線がぶつからないように工夫しましたと」福井さん。
また1階は、近所の人々の憩いの場として使えるよう、座れる酒屋さんとして店舗を構成したのだそう。建物全体を通して、オーナーのホスピタリティ溢れる場所となっています。
また1階は、近所の人々の憩いの場として使えるよう、座れる酒屋さんとして店舗を構成したのだそう。建物全体を通して、オーナーのホスピタリティ溢れる場所となっています。
うなぎの寝床のスキップフロア
京都らしい由緒ある佇まいのこちらの住まいを手がけたのは、日菜設計室一級建築士事務所。オーナーは当初建て替えを希望していたものの、もともとの住まいに思い出がたくさんあったことから、「昔を懐かしむことのできる家にしたい」と考えられたそう。
設計を担当した奥田夏子さんは「前の家を支えていたごろんぼ(太鼓梁)や建具、ガラスをできる限り残し再利用しました。もともと部屋の区切りをあまりつけていないので、最低限必要となるトイレの扉、収納の扉等を再利用しました。新たに設置した扉は数か所のみです」と話します。
京都らしい由緒ある佇まいのこちらの住まいを手がけたのは、日菜設計室一級建築士事務所。オーナーは当初建て替えを希望していたものの、もともとの住まいに思い出がたくさんあったことから、「昔を懐かしむことのできる家にしたい」と考えられたそう。
設計を担当した奥田夏子さんは「前の家を支えていたごろんぼ(太鼓梁)や建具、ガラスをできる限り残し再利用しました。もともと部屋の区切りをあまりつけていないので、最低限必要となるトイレの扉、収納の扉等を再利用しました。新たに設置した扉は数か所のみです」と話します。
敷地は開口が約3.8m、奥行きが約16.5mという極端に細長い敷地。さらに、周囲は高い建物ばかりだったため、できるだけ内部空間が明るく、広く見えることを目指したと、奥田さんは振り返ります。
「室内は間仕切りで部屋を区切らず階段を中心とするスキップフロアとしました。そうすることでワンルーム空間でありながら目線は緩やかに区切ることができました。また奥に坪庭を設けることで、奥行を感じるだけでなくどの部屋にも風が通るように配慮しています」
Houzzで住まいの専門家を探す
「室内は間仕切りで部屋を区切らず階段を中心とするスキップフロアとしました。そうすることでワンルーム空間でありながら目線は緩やかに区切ることができました。また奥に坪庭を設けることで、奥行を感じるだけでなくどの部屋にも風が通るように配慮しています」
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古民家・木造住宅を愉しむ
こちらは、スクールバス空間設計が手がけた住まい。解体工事がすでに進んでいた物件のプロジェクトであり、躯体や壁など現状を生かしつつ、限られた予算で何が出来るかというところからプランニングがスタートしたと、設計した宮ノ下和奏さんは振り返ります。
「オーナー様はおしゃれなホテルや旅館のような空間をイメージされており、それらのイメージやご予算に合うプランをご提案しました。既存の天井をそのまま活かしたこと、床もモルタルの通り土間を広くつくることでコストダウンをしつつ京都らしさも取り入れています」と宮ノ下さん。
こちらは、スクールバス空間設計が手がけた住まい。解体工事がすでに進んでいた物件のプロジェクトであり、躯体や壁など現状を生かしつつ、限られた予算で何が出来るかというところからプランニングがスタートしたと、設計した宮ノ下和奏さんは振り返ります。
「オーナー様はおしゃれなホテルや旅館のような空間をイメージされており、それらのイメージやご予算に合うプランをご提案しました。既存の天井をそのまま活かしたこと、床もモルタルの通り土間を広くつくることでコストダウンをしつつ京都らしさも取り入れています」と宮ノ下さん。
侘び寂びモダンのお家
京都市の中でも規制の厳しい“風致地区(自然美を保護するための制限が設けられた地区)”に建てられたこちらの住まい。手がけたのはアプリコット建築研究所です。
外壁後退や屋根材・外装の色彩規制はもちろん、文化財に接した土地のため、南側に突き出たバルコニーや大きな窓は禁止という、厳しいプロジェクトだったそう。設計者の田代ゆかりさんは、「難しいお題の下、室内はそれを感じさせない空間をしつらえました」と話します。
京都市の中でも規制の厳しい“風致地区(自然美を保護するための制限が設けられた地区)”に建てられたこちらの住まい。手がけたのはアプリコット建築研究所です。
外壁後退や屋根材・外装の色彩規制はもちろん、文化財に接した土地のため、南側に突き出たバルコニーや大きな窓は禁止という、厳しいプロジェクトだったそう。設計者の田代ゆかりさんは、「難しいお題の下、室内はそれを感じさせない空間をしつらえました」と話します。
「とくに南側の大きな開口は、雨戸替わりに木格子をスライドさせるデザインとし、この文化財側からの目に触らないよう規制をクリアしました。さらに、借景として樹々を眺められるよう配慮しています」
最終的には、京都らしいクラシックな外観とは打って変わり、オーナー好みのモダンな住まいが実現しました。
最終的には、京都らしいクラシックな外観とは打って変わり、オーナー好みのモダンな住まいが実現しました。
椹木町通の町家
築80年のこちらの町家。改修を手がけたのは、荒谷省午建築研究所です。
「古い町家だったのですが、購入時には一般的なリフォームが施されていて、京都の町家らしさは無くなっていました。今回のリフォームではそれらをリセットして町家本来の美しさを取り戻して欲しいという要望がありました」と話すのは、設計した荒谷省午さん。
築80年のこちらの町家。改修を手がけたのは、荒谷省午建築研究所です。
「古い町家だったのですが、購入時には一般的なリフォームが施されていて、京都の町家らしさは無くなっていました。今回のリフォームではそれらをリセットして町家本来の美しさを取り戻して欲しいという要望がありました」と話すのは、設計した荒谷省午さん。
「既存の軸組に対し、28mmの構造用合板によるボックスを内接させて構造補強と部屋機能の両立を図りました。新たに挿入した合板のボックスと既存部との新旧の対比により、町家が本来持つ魅力を取り戻しつつ、新たな建築技術によって現代の町家へと蘇らせることを目指しました」
また、合板のボックスの外周部には収納スペースを取ることで、居室の断熱効果が高められています。底冷えの厳しい京都の冬には、いかに断熱効果を高めるかも重大な課題となるようです。
また、合板のボックスの外周部には収納スペースを取ることで、居室の断熱効果が高められています。底冷えの厳しい京都の冬には、いかに断熱効果を高めるかも重大な課題となるようです。
上賀茂の社家
老舗旅館のような風格のこちらの住まいを手がけたのは、ローバー都市建築事務所。オーナーの京都におけるセカンドハウスであり、「社家の雰囲気をうまく残しながら、“旅の宿”のような非日常の安らぎを感じられるようにしてほしい」という要望があったそう。
「この社家は上賀茂神社の南側一帯、“上賀茂伝統的建造物群保存地区”に位置します。歴史ある庭園との関係性に配慮しながらの再生を心がけ、清々しい社家町の伝承を実現しています」と話すのは、設計者の野村正樹さんです。
老舗旅館のような風格のこちらの住まいを手がけたのは、ローバー都市建築事務所。オーナーの京都におけるセカンドハウスであり、「社家の雰囲気をうまく残しながら、“旅の宿”のような非日常の安らぎを感じられるようにしてほしい」という要望があったそう。
「この社家は上賀茂神社の南側一帯、“上賀茂伝統的建造物群保存地区”に位置します。歴史ある庭園との関係性に配慮しながらの再生を心がけ、清々しい社家町の伝承を実現しています」と話すのは、設計者の野村正樹さんです。
「現代の技術を巧みに取り入れながら、伝統的な意匠を丁寧に再現しています。もともとリビングにあった天然石造りの暖炉も、レトロ感を演出しながらモダンに再生しています。室内には柔和な光と空気が満ちあふれ、落ち着きのある素敵な空間に仕上がりました」
Hazukashi House
うなぎの寝床に建つこちらのコンパクトな住まいを手がけたのは、ALTS DESIGN OFFICE。
道路は北側にあり、周囲は家に囲まれているため十分な採光が確保できませんでした。また、駐車スペースが必要だったことから庭が設けられなかったそうです。そこで、設計者の水本純央さんは住まいの中心に土間ダイニングを設けることを提案したといいます。
うなぎの寝床に建つこちらのコンパクトな住まいを手がけたのは、ALTS DESIGN OFFICE。
道路は北側にあり、周囲は家に囲まれているため十分な採光が確保できませんでした。また、駐車スペースが必要だったことから庭が設けられなかったそうです。そこで、設計者の水本純央さんは住まいの中心に土間ダイニングを設けることを提案したといいます。
「土間ダイニングは吹き抜けにし、東面を全面ガラス張りにして光を取り入れました。この土間ダイニングは中庭のような役割も果たし、ここからキッチンやリビングに光を注いでいます。家の中でありながら外を感じられ、外で食事をしているような感覚も得られます」
またデザイン面では、ハリーポッターの映画が好きなオーナー家族から、「世界観のあるデザインを」という要望があったそう。土間部分を外に見立て、古材を使って壁を仕上げ、そこに五角形の開口をたくさん設けることで、遊び心あるデザインに仕上がっています。
またデザイン面では、ハリーポッターの映画が好きなオーナー家族から、「世界観のあるデザインを」という要望があったそう。土間部分を外に見立て、古材を使って壁を仕上げ、そこに五角形の開口をたくさん設けることで、遊び心あるデザインに仕上がっています。
西ノ京の家
こちらも同じく、間口4.3m・奥行14.4mのうなぎの寝床に建てられた住まい。一級建築士事務所ノセ設計室を主宰する建築家、能勢聡さんのご自宅であり、ご自身が手がけたプロジェクトでもあります。
「階段踊り場レベルに床下収納を設け2.5層分のボリュームとなっています。玄関入ってすぐは事務所スペースとなっており、奥に進むにつれて、パブリックな性質な空間からプライベートな空間となるような配置計画としています」と能勢さん。
こちらも同じく、間口4.3m・奥行14.4mのうなぎの寝床に建てられた住まい。一級建築士事務所ノセ設計室を主宰する建築家、能勢聡さんのご自宅であり、ご自身が手がけたプロジェクトでもあります。
「階段踊り場レベルに床下収納を設け2.5層分のボリュームとなっています。玄関入ってすぐは事務所スペースとなっており、奥に進むにつれて、パブリックな性質な空間からプライベートな空間となるような配置計画としています」と能勢さん。
「また伝統的な町家では、通り庭や中庭などを設け建物内部に光や風を取り入れる工夫がなされていますが、今回の建物でも光、風、緑といった外部的要素を取り入れる工夫をしています。1階の床は観葉植物等が置けるよう一部フレキシブルボード張りとし、その上部のトップライトから光が射しこみます。また、下屋上部を草屋根にしたり、寝室の間のデッキ敷のバルコニーなど、各レベルに内部とつながる外部空間を設けています」
伏見の家
京都市伏見の街道沿いに建つこちらの住まいは、中山建築設計事務所が手がけたもの。街道は交通量の多いバス通りで、沿道にはマンションや住宅、酒蔵などが立ち並んでおり、近隣の小中学校の通学路にもなっています。
「ここではまともに道路に向き合って開く生活は考えにくい」と話すのは、設計を手がけた中山大介さん。「ですが人の生活を家の中に閉じ込めてしまうのではなく、街と良い関係を築いていくために建築にできることは何かあるはず。街の喧騒から距離をとって生活を守りながら、それでいて開放感があり室内から外を眺めた時の視線ができるだけ遠くまで伸びるようプランを検討しました」
京都市伏見の街道沿いに建つこちらの住まいは、中山建築設計事務所が手がけたもの。街道は交通量の多いバス通りで、沿道にはマンションや住宅、酒蔵などが立ち並んでおり、近隣の小中学校の通学路にもなっています。
「ここではまともに道路に向き合って開く生活は考えにくい」と話すのは、設計を手がけた中山大介さん。「ですが人の生活を家の中に閉じ込めてしまうのではなく、街と良い関係を築いていくために建築にできることは何かあるはず。街の喧騒から距離をとって生活を守りながら、それでいて開放感があり室内から外を眺めた時の視線ができるだけ遠くまで伸びるようプランを検討しました」
27坪という限られた敷地の中で、試行錯誤しながら建物をL字型に配置し、交差点角に駐車スペースを含む空き地を確保。中山さんはその空き地を通して、視線が道に抜けていくよう開口部を設けたといいます。
「これにより室内にいても視覚的に広さが確保され、街と生活に程よい距離感をつくることができました。また防犯、床下配管のメンテナンスの向上や収納を確保するため北側ヴォリュームの床を1.5m上げ、スキップフロアのプランとしています。これにより動線に小気味良い立体感が生まれ、各室が完結しながら家族がゆるやかにつながっている感覚を得ることができました」
「これにより室内にいても視覚的に広さが確保され、街と生活に程よい距離感をつくることができました。また防犯、床下配管のメンテナンスの向上や収納を確保するため北側ヴォリュームの床を1.5m上げ、スキップフロアのプランとしています。これにより動線に小気味良い立体感が生まれ、各室が完結しながら家族がゆるやかにつながっている感覚を得ることができました」
東福寺の家
東福寺の参道につながる街道沿いに建つこちらの住まい。手がけたのはSTUDIO RAKKORA ARCHITECTSです。
街道は人通りが多いため、オーナーからは「プライバシーに配慮しながらも閉鎖的にならない、明るく開放的な住まいにしたい」という要望があったそう。
設計を担当した木村日出夫さんは「住まいは道路側からの視線に配慮し、杉のルーバーによる寡黙な表情を持っています。一方で、南側の採光を効率的に取り入れたリビング・ダイニングは、明るく開放的な雰囲気を生み出しています」と話します。
東福寺の参道につながる街道沿いに建つこちらの住まい。手がけたのはSTUDIO RAKKORA ARCHITECTSです。
街道は人通りが多いため、オーナーからは「プライバシーに配慮しながらも閉鎖的にならない、明るく開放的な住まいにしたい」という要望があったそう。
設計を担当した木村日出夫さんは「住まいは道路側からの視線に配慮し、杉のルーバーによる寡黙な表情を持っています。一方で、南側の採光を効率的に取り入れたリビング・ダイニングは、明るく開放的な雰囲気を生み出しています」と話します。
「これらの相対する要素を繋ぐように、エントランスに隣接する場に緩衝スペースを設け、このスペースをオープンリビングと位置づけました。オープンリビングは、広い玄関と一体的に利用することで、地域の交流や子どもたちの遊び場などとすることができ、玄関との間の建具を閉じて分離することで、家族の落ち着いた第2のリビングとすることができます」
中保町の週末住宅
最後にご紹介するのは、森田修平さん、岡山泰士さん、仲本兼一郎さんが主宰する一級建築士事務所STUDIO MONAKAと、岸本姫野建築設計事務所が共同設計したこちらの住まい。世界各地を転々とするオーナーからの、「シンプルに広い空間を作って欲しい」という要望のもとつくられた週末住宅です。
「いわゆる京町家の状況とは違う環境にあった建物をオリジナルの京町家に戻すのではなく、外壁面の格子、間取りによる風の抜けなど、京町家の要素を抜き出し、現代の材料・工法で再提案しました」と話すのは、STUDIO MONAKAの仲本さん。
「周囲より少しセットバックした外壁面であったため、 エキスパンドメタルで作った格子のファサードを重ね、道路との心理的距離を取りつつ周囲の建物との壁面ラインを揃え調和を図りました」
最後にご紹介するのは、森田修平さん、岡山泰士さん、仲本兼一郎さんが主宰する一級建築士事務所STUDIO MONAKAと、岸本姫野建築設計事務所が共同設計したこちらの住まい。世界各地を転々とするオーナーからの、「シンプルに広い空間を作って欲しい」という要望のもとつくられた週末住宅です。
「いわゆる京町家の状況とは違う環境にあった建物をオリジナルの京町家に戻すのではなく、外壁面の格子、間取りによる風の抜けなど、京町家の要素を抜き出し、現代の材料・工法で再提案しました」と話すのは、STUDIO MONAKAの仲本さん。
「周囲より少しセットバックした外壁面であったため、 エキスパンドメタルで作った格子のファサードを重ね、道路との心理的距離を取りつつ周囲の建物との壁面ラインを揃え調和を図りました」
住まいは表の空間と裏の空間に二分され、表は1階と2階が立体的に繋がるような空間構成とし、中央の吹き抜け空間はガラス瓦で自然光を取り入れることで、中庭的要素もつくりだしています。また、裏の空間には水回りを配置し、表の空間とは仕上げを切り分けることで、別世界の空間を演出しているそう。
「コンパクトでシンプルな住宅ですが、何もかもを詰め込む方法では無く『週末住宅』
と割り切る事で出来たゆとりが、この建物らしさや魅力になっているように思います」
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