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ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
杉田真理子
2023年10月26日
京都・左京区。哲学の道までもほど近く、南禅寺近郊の由緒ある建物が連なるエリアに、この家は佇んでいます。住まい手のご主人は、染織りを扱う呉服屋さん。東京からのゲストが多いこともあり、来ていただいた方にそのまま泊まってもらえるよう、母屋の他にゲストルームとして使える、離れのある家を所望していました。「ゲストを思いやるご主人の心をくんで、その心をしつらえてみました」と、建築家・滝本さん。京都らしい由緒と職人技を感じられる住まいを訪ねました。
どんなHouzz?
住まい手:50代のご夫婦
所在地:京都左京区
敷地面積:350.16㎡
建築面積:121.11㎡
延床面積:174.06㎡
構造:木造2階建
設計:滝本一級建築士事務所
施工:ツクシ工業株式会社
竣工時期:平成28年10月
禅寺として知られる南禅寺の敷地に、土地を借りて建てた今回の住宅。「お寺の大切な土地を一族を代表してお借りしている、という感覚があるので、良い意味で所有している感覚がありません」とご主人。「今回の家づくりでは、自分達のことだけでなく、100年後のことも話し合いながら作りました」と当時を振り返ります。
建築家・滝本さんとの出会いは、知人を通じて。「最初に話した時に、この人は分かってくれた、と確信したんです。滝本さんは、設計事務所からキャリアをスタートさせつつも、大工にも弟子入りをして現場を理解されてから、建築家として独立された方。現場を熟知されているからこその、安心感がありました」とご主人は説明します。「私自身、普段から職人相手に仕事をしています。今回も、ある程度要望を伝えたら、あとは素人がつべこべ言わずに、プロにお任せする、というスタイルでいきました」
住まい手:50代のご夫婦
所在地:京都左京区
敷地面積:350.16㎡
建築面積:121.11㎡
延床面積:174.06㎡
構造:木造2階建
設計:滝本一級建築士事務所
施工:ツクシ工業株式会社
竣工時期:平成28年10月
禅寺として知られる南禅寺の敷地に、土地を借りて建てた今回の住宅。「お寺の大切な土地を一族を代表してお借りしている、という感覚があるので、良い意味で所有している感覚がありません」とご主人。「今回の家づくりでは、自分達のことだけでなく、100年後のことも話し合いながら作りました」と当時を振り返ります。
建築家・滝本さんとの出会いは、知人を通じて。「最初に話した時に、この人は分かってくれた、と確信したんです。滝本さんは、設計事務所からキャリアをスタートさせつつも、大工にも弟子入りをして現場を理解されてから、建築家として独立された方。現場を熟知されているからこその、安心感がありました」とご主人は説明します。「私自身、普段から職人相手に仕事をしています。今回も、ある程度要望を伝えたら、あとは素人がつべこべ言わずに、プロにお任せする、というスタイルでいきました」
伝統のある建物群に、自然の美しさが映えるエリアの特徴に合わせて、風景に溶け込むようにデザインされた外観。ゲスト向けの正門と、家族用の勝手口をそれぞれ個別に用意しました。門の屋根には、杉材のなぐり加工を施しディテールを添えています。異なる部位で切り出しているため、なぐり加工で削り出した際に出てくる模様や色合いがひとつずつ異なります。
エントランスから玄関までは、あえてぐるりと歩く導線となっており、庭の広がりを感じ、鑑賞してもらえるようにつくりました。もともとあった植物はできるだけ残し、植栽として再利用しています。
風通しを計算し、母屋と離れの間のバルコニーは、格子柄のこまがえし仕上げとしています。奥行きがあるので、角度に合わせて向こう側が上手く隠れるデザインとなっています。「丸見えではかっこ悪いですが、とはいえ風通しはよくしたいので、塞いでしまうことは避けようと思いました」と滝本さん。
そこまで和風は意識せず、モダンにすっきりと仕上げたという母屋。室内とバルコニーは段差がなく、窓を開けはなつと外部と内部が緩やかに繋がり、広がりが出るようデザインされています。
「周囲が自然に囲まれており、風が気持ち良いので、春から秋まで、窓は開けっ放しのことも多いです」とご主人。隣のお寺から、お経や禅道場の音が聞こえてきて風流だと話します。
リビングダイニングの隣はカウンターテーブルのあるキッチンとなっており、来客の際は、引き戸で区切られるようになっています。
「周囲が自然に囲まれており、風が気持ち良いので、春から秋まで、窓は開けっ放しのことも多いです」とご主人。隣のお寺から、お経や禅道場の音が聞こえてきて風流だと話します。
リビングダイニングの隣はカウンターテーブルのあるキッチンとなっており、来客の際は、引き戸で区切られるようになっています。
母屋とは異なり、和に徹底的にこだわったゲストのための離れ。アルミサッシなどは使用せず、全て木材で仕上げました。「喜んで頂けることも多く、何よりです」とご主人は語ります。
ゲストを迎える和室には、茶をたてる炉も完備しました。ゲストが着物の着替えをすることもあるため、大きなスライド式の姿見鏡も用意されています。離れの収納は、着物の保存にも耐えられるよう、床下換気も完備しました。
丁寧に庭師が整えた日本庭園からは、隣のお寺が望めます。
丁寧に庭師が整えた日本庭園からは、隣のお寺が望めます。
畳のヘリは、呉服屋であるご主人が特注で仕立てたもの。織物ならではの高級感とディテールが、空間に華を添えます。
浴槽、壁ともに檜を贅沢に使用した浴室。窓を大きくとり、開放感を演出しています。
「今回の家づくりは、様々な職人の方々が集まり、チームとして団結できたからこその賜物です」とオーナー。日本の良き伝統を踏襲した、美しく、心地よい住まいです。
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