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1900年代のエレガンスをフランスの邸宅に再現
ノルマンディーのこの明るく開放的な住まいでは、伝統的な装飾が新鮮で現代的な印象によみがえります。

Agnès Carpentier
2023年9月14日
2019 年の秋、2人の子どもを持つ40代のパリジャンは、フランスのノルマンディー、ポン・レヴェックの近くの田園地帯にセカンドハウスを購入するという夢を実現。魅力的な物件探しをしていた彼らは、周りの景観に溶け込むように丘の上に建つ1900年代風レンガ造りの3階建ての邸宅に魅了されました。
一家は、インテリアデコレーターでデザイナーでもあるFlore Guenoun-Delessard(フロール・グノン・ドレッサール)さんに改装のサポートと監修を依頼しました。グノン・ドレッサールさんは、繊細で現代的なタッチで家族の住まいに新たなイメージを創り出すことに情熱を傾けており、オーナーの望みに全て応えました。「私にとって常に重要なことは、機能性やシンプルで気取りのない装飾と、明るさ、上品さ、そして時を経ても消えない魅力とを組み合わせることです。それをいつも考えながら、家が本来持っている雰囲気が表われてくるまで、現代的な家具やアンティーク、アートやクラフト、そして自然の植物などを組み合わせていくのです」とグノン-ドレッサールさん。
一家は、インテリアデコレーターでデザイナーでもあるFlore Guenoun-Delessard(フロール・グノン・ドレッサール)さんに改装のサポートと監修を依頼しました。グノン・ドレッサールさんは、繊細で現代的なタッチで家族の住まいに新たなイメージを創り出すことに情熱を傾けており、オーナーの望みに全て応えました。「私にとって常に重要なことは、機能性やシンプルで気取りのない装飾と、明るさ、上品さ、そして時を経ても消えない魅力とを組み合わせることです。それをいつも考えながら、家が本来持っている雰囲気が表われてくるまで、現代的な家具やアンティーク、アートやクラフト、そして自然の植物などを組み合わせていくのです」とグノン-ドレッサールさん。
どんなHouzz?
住まい手:夫妻+2人の子供
所在地: フランス、カルバドス
面積: 210 平方メートル(3階建て)
インテリア・デザイン: MaisonFlore
施工:Philippe le Guevel
予算: €285,000
写真:MaisonFlore, Flore Guenoun-Delessard
住まい手:夫妻+2人の子供
所在地: フランス、カルバドス
面積: 210 平方メートル(3階建て)
インテリア・デザイン: MaisonFlore
施工:Philippe le Guevel
予算: €285,000
写真:MaisonFlore, Flore Guenoun-Delessard
改修前の1階
この美しい3階建ての建物は、以前ここに10年間住んでいたフランス人とイギリス人のカップルが所有していたもので、すでに改装されていました。グノン-ドレッサールさんは、リビングとダイニングエリアを一体化し、窓を全て取替えました。新しくオーナーとなったクライアントは、そのままでもとても居心地が良いとは思いましたが、空間全体をより明るくし、また凝った装飾を少なくするよう、彼女に依頼したのです。
インテリア空間を光で満たすためグノン-ドレッサールさんが提案したのは、キッチンの壁を取り除いてリビングルームと一体となったL字型の部屋を作ることでした。「部屋を一体化することで、新たな大きな動線が生まれたのです」とグノン・ドレッサールさん。
この美しい3階建ての建物は、以前ここに10年間住んでいたフランス人とイギリス人のカップルが所有していたもので、すでに改装されていました。グノン-ドレッサールさんは、リビングとダイニングエリアを一体化し、窓を全て取替えました。新しくオーナーとなったクライアントは、そのままでもとても居心地が良いとは思いましたが、空間全体をより明るくし、また凝った装飾を少なくするよう、彼女に依頼したのです。
インテリア空間を光で満たすためグノン-ドレッサールさんが提案したのは、キッチンの壁を取り除いてリビングルームと一体となったL字型の部屋を作ることでした。「部屋を一体化することで、新たな大きな動線が生まれたのです」とグノン・ドレッサールさん。
このプロジェクトの中心はインテリアデザインでしたが、デザイナーは建物のエネルギー予算についても提案しました。比較的新しい空調設備が設置されていましたが、一部に寒く感じるエリアがある1階と2階の壁に断熱を施すことを勧めました。「さらに、高い位置にあって変な感じだった暖炉を作り変えましたが、ストーブ自体はとても有用だったので、暖炉の中に再度組み入れました」とグノン・ドレッサールさん。
電気と配管も新しくし、また2階のフローリングも取り換えました。元のタイルはそのまま使うつもりでしたが、不陸が大きすぎたため取り除くことにしました。 床は 30センチ下げて厚い断熱材で覆い、無垢のオーク材で仕上げれました。「3種類のサイズの床板をそれぞれ異なる間隔で組み合わせ、釘で打ち付けることで、元あったオリジナルのフローリングの雰囲気を再現しています」とデザイナー。
電気と配管も新しくし、また2階のフローリングも取り換えました。元のタイルはそのまま使うつもりでしたが、不陸が大きすぎたため取り除くことにしました。 床は 30センチ下げて厚い断熱材で覆い、無垢のオーク材で仕上げれました。「3種類のサイズの床板をそれぞれ異なる間隔で組み合わせ、釘で打ち付けることで、元あったオリジナルのフローリングの雰囲気を再現しています」とデザイナー。
アフター: この家の新しいオーナーは、洗練されたデザインやファミリー向けの家具が好みだと初めから明確にしていました。また、アート愛好家でもあり、その証しに、写真にも写っているように壁にはオークションで購入した大きな絵画があり、Levalet(ルヴァレ)によるストリートアートが暖炉の右側に飾られています。
デザイナーは、この大きな絵をスタート地点として、まるでこれまで何年にもわたって少しずつ集められたものをレイアウトするかのように、残りの内装を決めていきました。「家族はこの家のため、全てを買い揃えていました。私の主な仕事は、アンティークを見つけ出してクライアントの要望にできるだけ沿うようそれらを組み合わせることです」とグノン・ドレッサールさん。
印象深く、モダンでありながら、しかも本物の持つ確かな雰囲気をインテリアに与えているのは、それぞれ違った時代やスタイルから彼女が慎重に選んだユニークなアイテム。「シャンデリアはフランス北西部サルゾーの蚤の市で見つけたもの。他には、Selency(セレシー)のルイ・フィリップ風ミラー、Pamono(パモノ)の北欧風のコーヒーテーブル、La Redoute(ラルドゥート)の新しいソファなど」とグノン・ドレッサールさん。彼女の離れ業とも言えるのが「180ユーロで見つけた1950年代の本物のカクテルチェア。オーナーにとってまさに驚きでした」と、部屋の隅にあるかわいいカーキ色のアームチェアについて語ります。
デザイナーは、この大きな絵をスタート地点として、まるでこれまで何年にもわたって少しずつ集められたものをレイアウトするかのように、残りの内装を決めていきました。「家族はこの家のため、全てを買い揃えていました。私の主な仕事は、アンティークを見つけ出してクライアントの要望にできるだけ沿うようそれらを組み合わせることです」とグノン・ドレッサールさん。
印象深く、モダンでありながら、しかも本物の持つ確かな雰囲気をインテリアに与えているのは、それぞれ違った時代やスタイルから彼女が慎重に選んだユニークなアイテム。「シャンデリアはフランス北西部サルゾーの蚤の市で見つけたもの。他には、Selency(セレシー)のルイ・フィリップ風ミラー、Pamono(パモノ)の北欧風のコーヒーテーブル、La Redoute(ラルドゥート)の新しいソファなど」とグノン・ドレッサールさん。彼女の離れ業とも言えるのが「180ユーロで見つけた1950年代の本物のカクテルチェア。オーナーにとってまさに驚きでした」と、部屋の隅にあるかわいいカーキ色のアームチェアについて語ります。
アフター: また、グノン・ドレッサールさんはダイニングテーブルの方向を窓に対して直角になるように変えました。汚れ一つない完璧な背景を鏡がさらに明るくし、暗い色調の家具や黒い鋳鉄製の新しいラジエーターが際立っています。「正に装飾性という観点から美しいロココスタイルの鋳鉄製モデルを選ぶことで、本物の持つ味わいを醸し出し、このメインルームをより個性的な空間に仕上げることができました」とグノン・ドレッサールさん。
デザイナーが見つけたのは木製のテーブルと曲線のシルエットを持つビンテージのビストロチェア3組。「フランス東部にあるビンテージの曲げ木の椅子を専門とする中古家具屋での掘り出し物です」
フロール(植物)という自身のファーストネームに運命づけられたかのように、グノン・ドレッサールさんはドライフラワーも含め植物や花が大好き。彼女の提案でリビングエリアに何点か置かれています。 「植物の非構造的で有機的なフォルムと他のアイテムの幾何学的形状とのコントラストによって、自然を空間に加えているのです」と彼女は言います。
デザイナーが見つけたのは木製のテーブルと曲線のシルエットを持つビンテージのビストロチェア3組。「フランス東部にあるビンテージの曲げ木の椅子を専門とする中古家具屋での掘り出し物です」
フロール(植物)という自身のファーストネームに運命づけられたかのように、グノン・ドレッサールさんはドライフラワーも含め植物や花が大好き。彼女の提案でリビングエリアに何点か置かれています。 「植物の非構造的で有機的なフォルムと他のアイテムの幾何学的形状とのコントラストによって、自然を空間に加えているのです」と彼女は言います。
アフター: この家の新しいオーナーの望みは、リビングルームと一体となったキッチンが目立ちすぎずに洗練された空間となることでした。そこで、彼らが選んだのは明るいオーク材のキャビネットと食器棚。おそらく前のオーナーの影響でしょうか、英国 Neptune(ネプチューン)の2つの異なるコレクションから選び出しました。「食器棚とガスコンロのブラックはラジエーターのチャコールブラックとマッチしています」とグノン・ドレッサールさん。
家庭的な雰囲気を演出するためカップルが選んだのはカラーラ大理石のワークトップ。「大理石はレモンやトマトなどの酸に弱いため、当初キッチンデザイナーは大理石を使うことを勧めませんでしたが、オーナーは譲らず、今も後悔していないようです」とグノン・ドレッサールさん。「取付後の最初のフィードバックから判断すると、予想以上に耐久性があるようですね」
アフター: 2階のピッチパイン材のフローリングの改装も計画どおりには進みませんでした。 「オーナーはサンディングを要望していましたが、赤みがかったカラメル色であるとわかったため、代わりに白く塗装することにしたのです。この結果、家の中心が明るくなり、本当にうれしい驚きでした」とグノン-ドレッサールさん。
オーナーがオリジナルのトワル・ド・ジュイの壁紙を気に入っていたので、グノン-ドレッサールさんは同じスタイルの不織布の壁紙を貼り直し、新鮮な印象を与えています。
2階平面図(改修前)
2階には2つの広いベッドルームと2つのバスルーム、そして書斎があります。フロアプランは、グノン-ドレッサールさんがバスルームの1つをマスターベッドルーム専用バスルームとしたことを除いて以前と同じままです。
2階には2つの広いベッドルームと2つのバスルーム、そして書斎があります。フロアプランは、グノン-ドレッサールさんがバスルームの1つをマスターベッドルーム専用バスルームとしたことを除いて以前と同じままです。
アフター: オーナーが望んでいたソフトで明るい雰囲気を演出するため、グノン-ドレッサールさんは、リビングエリアと調和するように、白に包まれた空間を創り上げ、何色かの色をアクセントとして加えました。ペルシャ絨毯が足元を暖め、小さなデスクが2つの窓を上手くつないでいます。暖炉は新たに白く塗られ、暖炉の前の古いフロアタイルはきれいに磨き上げられました。
窓を飾っているのは長くドレープした生成りのリネンのカーテン。「前のオーナーがイギリスから持ってきた新しい二重ガラスの窓を変えたくはありませんでした。歴史を感じさせるものや質の高いアイテムなどは、可能な限りそのまま使うようにしています」とインテリアデザイナー。
アフター: メトロタイルからリネンのカーテン、ダークウッドの曲木の椅子、大理石のカウンターのヴァニティキャビネットに至るまで、全てが一つ一つ厳選され、昔ながらの魅力に溢れています。「オーナー様は、この機会に祖母の家にあったフロアタイルのレプリカで床を仕上げられました。まさに懐かしい記憶を甦らせるものとなっています」とグノン・ドレッサールさん。
バスルームキャビネットは、人々が水差しを使って入浴していた1900年代の洗面台のカウンタートップをイメージさせますが、これはデザイナーの図面をもとに職人が作り上げた新品。 「私は年代物の家具が大好きですが、実際には、オーダーメイドのキャビネットやバスルーム家具をよく使っています。これは、最良なデザインを実現するために、使用可能なスペースを最後の数センチまで有効に活用できるからです」とグノン・ドレッサールさん。
キャビネットはウォールナット色に染色されたライトオーク、カラーラ大理石のトップ、そしてとアンティークスタイルの新しい水栓で仕上げられています。
アフター:オーナーは、それぞれの部屋で装飾や雰囲気が全く同じにならないようしながらも、各階の全体的な統一感を保つようにとくに気にかけていました。そのため、メインベッドルームと同じ素材や色づかいをゲストルームにも使用したいと望んでいました。
「オーナー様の要望はアイテムを絞ったシンプルなインテリア。そして、フロアスペースを広く取り、白い色調でまとめられた空間で、彼らの大好きな美しい曲線のアンティーク家具のダークな色合いが引き立てることでした」とグノン・ドレッサールさん。
アフター:白い梁に縁取られた淡いピンクの壁によってソフトな雰囲気が醸し出されたインテリア。お嬢さんはすでに素晴らしいセンスをお持ちのよう。「Jieldé(ジェルデ)のランプはパリにある彼女のご両親のアパートにあったもの。ご両親はランプを処分したいと考え売りに出したのですが、彼女はそれをとても気に入っていたので、取っておくように頼んだそうです」とグノン・ドレッサールさんは明かしています。
アフター:デンマーク製ワードローブは、インテリアデザイナーがSelencyで見つけた1940年代のビンテージ。手描きの花々がフェミニンな印象を与えています。部屋がとても広いので、リビングコーナーを設けることデザイナーが提案し、快く了解されたそう。
アフター:デザイナーはご夫婦の3歳のお嬢さんのために、アンティークスタイルの金属製ベッドと蚤の市で見つけたトイチェストを部屋に置き、とてもソフトで楽しげなビンテージ感を演出しています。
デザイナーが選んだLiberty(リバティ)のBetsy(ベッツィ)模様のベッドリネンで完璧な仕上がり。さらにオーナーが、セカンドハンドの組み紐スタイルのベッドバンパーを 2つ揃えて見事にマッチしています。
アフター:白をメインにグレーと淡いベージュをアクセントとした空間が、様々な色合いのゴールドでさらに引き立てられています。
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