和室の天井デザインにはどんなものがある?和モダンにも活かせる形や素材
ライフスタイルの変化から和室のあり方も変わってきているようですが、やはり和室は落ち着きます。その重要な役割を果たす天井のお話をご紹介します。
和室への興味が薄れていると聞きますが、反面「和モダン」や「古民家」と言った「和の雰囲気を感じる家」への人気は高まるばかり。そこで今回は大切な天井の種類や素材、リフォームする際の注意点などをご紹介します。和室を造る際の情報としてはもちろんですが、和モダンテイストの家を考える時や、和室をリフォームする際の参考にしていただければと思います。
2. 格天井(ごうてんじょう)
平安時代より昔、日本家屋には天井が張られていませんでした。ですが、天井のない高い空間は落ち着かず、埃などが落ちてくることから、平安時代の頃から天井を設けるようになりました。
最初に設けられたのが、寺院建築などに採用された格天井です。比較的細い格縁(ごうぶち)と呼ばれる格子を大きな間で縦横に組んだ天井で、繊細な設えを演出することが出来ます。格子天井(こうしてんじょう)と呼ばれることもあります。
小さな格子を組んだだけで、上に蓋をしない天井を「小組天井(こぐみてんじょう)」といいます。格天井とは反対に、太い格縁を用いて狭い間を造り、その上に天井を張ったで「組入れ天井(くみいれてんじょう)」と呼ばれる物もありますが、いずれも格縁がデザインの要になっているタイプの天井です。
平安時代より昔、日本家屋には天井が張られていませんでした。ですが、天井のない高い空間は落ち着かず、埃などが落ちてくることから、平安時代の頃から天井を設けるようになりました。
最初に設けられたのが、寺院建築などに採用された格天井です。比較的細い格縁(ごうぶち)と呼ばれる格子を大きな間で縦横に組んだ天井で、繊細な設えを演出することが出来ます。格子天井(こうしてんじょう)と呼ばれることもあります。
小さな格子を組んだだけで、上に蓋をしない天井を「小組天井(こぐみてんじょう)」といいます。格天井とは反対に、太い格縁を用いて狭い間を造り、その上に天井を張ったで「組入れ天井(くみいれてんじょう)」と呼ばれる物もありますが、いずれも格縁がデザインの要になっているタイプの天井です。
3. 竿縁天井(さおぶちてんじょう、別名:イナゴ天井)
天井板を押さえるために、直線的な「竿縁」と呼ばれる部材を施した天井を、竿縁天井といいます。格子ではなく直線的でシャープな印象が強いため、安土桃山時代には茶室や数寄屋建築といった洗練さを求めた建物多く採用されました。今でも数寄屋建築には欠かせない天井の一つです。
別名イナゴ天井とも呼ばれますが、これは竿縁天井を造る際に天井板を重ねて張る「羽重ね張り」と呼ばれる方法を採用する際に、重ねた天井板を繋ぐために用いる「稲子(いなご)」という材料の名前から由来しています。今ではあまり聞かない呼び方ですが、知っていると少しだけ自慢できるかもしれません。
また竿縁が床の間に直角に向かう配置を「床刺し(とこざし)」と呼び、戦国時代の頃から忌み嫌われていますので、新築の際にはくれぐれもご注意ください。
天井板を押さえるために、直線的な「竿縁」と呼ばれる部材を施した天井を、竿縁天井といいます。格子ではなく直線的でシャープな印象が強いため、安土桃山時代には茶室や数寄屋建築といった洗練さを求めた建物多く採用されました。今でも数寄屋建築には欠かせない天井の一つです。
別名イナゴ天井とも呼ばれますが、これは竿縁天井を造る際に天井板を重ねて張る「羽重ね張り」と呼ばれる方法を採用する際に、重ねた天井板を繋ぐために用いる「稲子(いなご)」という材料の名前から由来しています。今ではあまり聞かない呼び方ですが、知っていると少しだけ自慢できるかもしれません。
また竿縁が床の間に直角に向かう配置を「床刺し(とこざし)」と呼び、戦国時代の頃から忌み嫌われていますので、新築の際にはくれぐれもご注意ください。
4. 目透かし天井(めすかしてんじょう)
天井板を張る際に、板と板との間を少しだけ空けた張り方を、目透かし張りと呼びます。板と板の間を少し開け、その凹みの部分には目地板と呼ばれる板を張ることから「底目張り」と呼ばれることもあります。
天井板を張る際に、板と板との間を少しだけ空けた張り方を、目透かし張りと呼びます。板と板の間を少し開け、その凹みの部分には目地板と呼ばれる板を張ることから「底目張り」と呼ばれることもあります。
5. 折り上げ天井(おりあげてんじょう)
天井の一部を、上に凹ませるようにした天井を折り上げ天井と言います。平らな天井よりも格式が高く、昔のお城では格式の高い部屋に採用されていました。
天井の一部を、上に凹ませるようにした天井を折り上げ天井と言います。平らな天井よりも格式が高く、昔のお城では格式の高い部屋に採用されていました。
6. 掛け込み天井(かけこみてんじょう)
室外に設けられた庇や下屋の屋根勾配を、連続して繋がるように室内の天井を設えたものを掛け込み天井といいます。デザイン的に工夫された天井で、茶室や数寄屋建築に多く採用されています。
室外に設けられた庇や下屋の屋根勾配を、連続して繋がるように室内の天井を設えたものを掛け込み天井といいます。デザイン的に工夫された天井で、茶室や数寄屋建築に多く採用されています。
7. 船底天井(ふなぞこてんじょう)
船底のように三角形になった天井のことです。茶室建築などに採用されることも多く、「粋」な設えとして用いられています。
船底のように三角形になった天井のことです。茶室建築などに採用されることも多く、「粋」な設えとして用いられています。
8. 大和天井(やまとてんじょう、別名:ささら天井)
二階の床板の裏面を一階の天井板として扱う天井を、大和天井といいます。二階の床材を支える部材がささらと呼ばれる梁のため、別名「ささら天井」と呼ばれることもあります。京町家や古民家で見かける天井です。
二階の床板の裏面を一階の天井板として扱う天井を、大和天井といいます。二階の床材を支える部材がささらと呼ばれる梁のため、別名「ささら天井」と呼ばれることもあります。京町家や古民家で見かける天井です。
9. 網代天井(あじろてんじょう)
木や草・竹と言った植物の皮を薄く加工した物を編み込み、大きな面材とした物を網代と言います。この網代を仕上げ材として設えた天井を網代天井といいます。網代は建具や壁として使われることもあるので、たんに「網代」と呼ばずに、正しく網代天井と呼ぶことが必要です。
また網代天井とは違い、天井に一切の凹凸を設けず、まるで鏡のように平滑に仕上げた一枚板の天井を鏡天井(かがみてんじょう)と、呼びます。一切の装飾を削ぎ落とした、シンプルで潔い洗練された天井仕上げです。
木や草・竹と言った植物の皮を薄く加工した物を編み込み、大きな面材とした物を網代と言います。この網代を仕上げ材として設えた天井を網代天井といいます。網代は建具や壁として使われることもあるので、たんに「網代」と呼ばずに、正しく網代天井と呼ぶことが必要です。
また網代天井とは違い、天井に一切の凹凸を設けず、まるで鏡のように平滑に仕上げた一枚板の天井を鏡天井(かがみてんじょう)と、呼びます。一切の装飾を削ぎ落とした、シンプルで潔い洗練された天井仕上げです。
天井仕上げ材の種類
仕上げ材の代表は、やはり木材です。昔から日本に生息する杉や(ヒノキ)が採用されることが多く、他には椹(サワラ)や竹を使用することもあります。網代の材料も同様の樹種を利用します。他には左官の漆喰や、和紙を用いることもあります。とくに紙類は種類も多く、木材に比べて安価な物が多くあります。施工性も良いので、和風モダンの建物にも採用しやすいと思います。
仕上げ材の代表は、やはり木材です。昔から日本に生息する杉や(ヒノキ)が採用されることが多く、他には椹(サワラ)や竹を使用することもあります。網代の材料も同様の樹種を利用します。他には左官の漆喰や、和紙を用いることもあります。とくに紙類は種類も多く、木材に比べて安価な物が多くあります。施工性も良いので、和風モダンの建物にも採用しやすいと思います。
なぜ和室の天井は木が多く使われるのか
そもそも昔の日本の家には天井がありませんでした。一般の家に天井が造られ始めたのは、室町時代と言われています。その頃に天井材として適した材料は、木材以外には無かったのでしょう。限られた材料で造る天井の形が、徐々にバリエーションを増やしていったのだと思います。
最近は和風モダンの住宅や古民家住宅への人気が高まっていますが、天井のデザインや素材を考える時に、伝統的な和室の天井を知ることで、現代的な和風モダン住宅へのヒントになることも多いと思います。
そもそも昔の日本の家には天井がありませんでした。一般の家に天井が造られ始めたのは、室町時代と言われています。その頃に天井材として適した材料は、木材以外には無かったのでしょう。限られた材料で造る天井の形が、徐々にバリエーションを増やしていったのだと思います。
最近は和風モダンの住宅や古民家住宅への人気が高まっていますが、天井のデザインや素材を考える時に、伝統的な和室の天井を知ることで、現代的な和風モダン住宅へのヒントになることも多いと思います。
和室は形式的なことが多く、造るのが面倒だとお考えになる方も多いかもしれませんが、形式に捉われすぎない和室でも良いと思います。
和風は設えの格式を「真・行・草」という様式に分けて考えます。真は伝統的な本格様式を重んじ、行は日常的に使う平均的な様式、草はラフに楽しんだ様式という考え方です。どんなデザインの和室を考える時でも、「草の様式」と考え楽しむ気持ちがあれば、それで良いのかもしれません。少なくなりつつある「和室のある家」、どうか侘び寂の世界に触れながら、楽しまれてみては如何でしょう。
和風は設えの格式を「真・行・草」という様式に分けて考えます。真は伝統的な本格様式を重んじ、行は日常的に使う平均的な様式、草はラフに楽しんだ様式という考え方です。どんなデザインの和室を考える時でも、「草の様式」と考え楽しむ気持ちがあれば、それで良いのかもしれません。少なくなりつつある「和室のある家」、どうか侘び寂の世界に触れながら、楽しまれてみては如何でしょう。
1. 化粧屋根裏天井
天井の種類を説明するのに、最初に「天井を張っていない」仕上げを紹介するのも何なのですが、まずはここから説明することが正しいと思いますので、ご理解ください。
化粧屋根裏表しとは、そもそも天井としての面が無く、屋根の骨組みである梁や桁・垂木などを表した仕上げのことです。寺社建築に採用されたことが始まりで、茅葺屋根を採用した民家建築でも囲炉裏の煙で茅を燻すために、天井は張られていませんでした。今でも小屋組み表しの家がありますが、正しくは「化粧屋根裏表し」という天井の種類の一つです。