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クラシックなパリジャン風デザインを現代風にアレンジ
古典的な優美さと巧妙な仕組みの壁収納ベッドによって、ある女性とその甥のための美しいセカンドハウスが生まれました。
Elen Pouhaer
2023年12月6日
ボルドーとドバイの間を行き来する生活を送っているこの物件の所有者は、フランスの首都パリを最大限楽しみ、20代前半の若い甥を住まわせることのできるセカンドハウスを探していました。モンマルトルの中心部に位置する60平米のアパートを購入した彼女は、インテリアデザイナーであるJean-Christophe Peyrieux(ジャン=クリストフ・ペイリュー)の作品をHouzzフランスで目にし、彼にこのアパートの改装を依頼しました。
「オーナーは、シンプルさと時を超えたエレガンスが組み合わさった私のこれまでのリノベーションプロジェクトを非常に気に入ってくださいました。彼女は柔らかな色合いと厳選された素材を用いて時代遅れになったこのアパートをアップグレードするよう、私にすべてを任せてくださいました」とペイリューさんは言います。
「オーナーは、シンプルさと時を超えたエレガンスが組み合わさった私のこれまでのリノベーションプロジェクトを非常に気に入ってくださいました。彼女は柔らかな色合いと厳選された素材を用いて時代遅れになったこのアパートをアップグレードするよう、私にすべてを任せてくださいました」とペイリューさんは言います。
どんなHouzz?
住まい手:60代の女性+甥
所在地: パリ18区
面積:60 ㎡
作業期間: 6ヶ月
予算: €150,000
インテリア・デザイン: Jean-Christophe Peyrieux
写真:Frenchie Cristogatin
住まい手:60代の女性+甥
所在地: パリ18区
面積:60 ㎡
作業期間: 6ヶ月
予算: €150,000
インテリア・デザイン: Jean-Christophe Peyrieux
写真:Frenchie Cristogatin
ビフォー:ジョルジュ・オスマンによるパリ改造時代の建物の2階に押し込まれたこのアパート。内部は細かく分割され、1960年代以降、改築が行われたことがありませんでした。「アパートの両側にあった浴室と収納キャビネットが空間を狭くしていました。これらは耐力壁以外のほとんどの間仕切りやガラスドア、部屋の隅にあった暖炉、建物の仕上げなどと共に撤去されました」とペイリューさんは説明します。
ペイリューさんは、既に一部が開いていた耐力壁のみを残しました。リビングは右側に、キッチンや寝室、浴室はその反対側にあります。このように、床面積を一つ残らず最大限活用できるように、すべての空間を設計し直しました。
アフター:リビングは家具や装飾的な仕上げによってスマートで落ち着いた雰囲気を演出し、内装を純白にすることでさらに品位を高めています。オーナーは明るい色の木製の床材を選んでより居心地のよい雰囲気を得ると共に、オスマンによるパリ改造時代のスタイルをより現代的な形で表現しています。
ビフォー:「私たちはほとんどの間仕切りを撤去しました。元々あった装飾用の繰形は、このアパートの新しい構成にはそぐわないものになっていました」とぺイリューさんは言います。
アフター:木製のパネルや装飾用の繰形、漆喰製のコーニスを追加して、アパートにブルジョア風の雰囲気を加えました。
ビフォー:古い暖炉は時代遅れに見えました。ペイリューさんはこれを新たな白い大理石製の暖炉に取り替えました。エタノール暖炉にすることで、部屋に薪を積み上げることなく暖かな火を楽しむことができます。
アフター:もとからあった装飾のうちで残されたのは、暖炉の上にある洗練された雰囲気の鏡のみ。古い飾り棚はバーカウンターとしても機能する戸棚に置き換えられました。控えめな見た目で目立たないこの戸棚は部屋の装飾に溶け込みつつ、両側にある壁の対称性を保持するのに寄与しています
上質な素材とオーダーメイドのデザイン、そして明るい色使いが、この空間のエレガントな雰囲気を支えています。
リビングルームとダイニングルームの両方として機能するエリアを最大限活かすためにオーナーは独立した部屋は1つしかつくらず、リビングルーム内に快適な就寝エリアを作るように依頼しました。
ウォールナットの突板とつや消しのラッカー塗装を施されたMDF材で制作された大きな本棚には、クローゼットに設けられたドアの1つに隠されている洗面台とともに、実は電動式の壁収納ベッドが格納されています。このユニットは、ペイリューさんがデザインし、ポルトガルの工房で制作してもらったものです。穏やかな雰囲気を演出するために、各アルコーブの最上部または最下部に、LED照明を設けています。
このパリのセカンドハウスには大きなダイニングは不要であったため、オーナーは4人が座れる円形のテーブルを選びました。この黒いテーブルには赤いベルベット地の椅子を合わせ、青みがかったグレーと濃い色味の木材による内装に色彩を加えています。
アフター:全体がオーダーメイドで作られたこの控え目でエレガントな空間は、ガラスを納めたスチール製の間仕切りによって縁取られています。その左側の棚は冷蔵庫や大収納の区画を内包していて、既存の曲線的な壁のカーブに応じて徐々に奥行きが深くなっています。
木目出し加工を施したオーク突板の表面は、寄木の床材と完全に溶け込んでいます。「私たちはキッチンの機能を可能な限り隠したいと考えていたので、黒いシンクと黒いコンロを用いて同色のカウンタートップと一体化しました」とペイリュ―さんは説明します。
このカウンタートップの上に取り付けられたミラー仕上げのスプラッシュバックは、光を最大限に受けて反射しつつ、非常に機能的なこの小型のキッチンが実際より大きく見える効果をもたらしています。
このカウンタートップの上に取り付けられたミラー仕上げのスプラッシュバックは、光を最大限に受けて反射しつつ、非常に機能的なこの小型のキッチンが実際より大きく見える効果をもたらしています。
寝室の目を引く壁紙が、居心地のよい雰囲気を演出します。この壁紙に描かれた植物のある風景は、キルティング加工された皮革とウォールナット突板を用いてオーダーメイドされたヘッドボードとよく調和しています。
白にラッカー塗装されたMDFとウォールナット突板を使ったワードローブは天井までの高さがあり、空間にシームレスに収まっています。その中央には隣接する浴室に続く鏡張りの引き戸が隠されています。
アフター:オーナーはこの小さな空間のために、チャコールグレーの大理石調の優美なタイルを入手しました。
「自然光のような効果を持つLEDタイルを化粧天井の下に追加することによって、トロンプ・ルイユ(騙し絵)のような効果をデザインしました」とペイリューさんは言います。
ウォールナット突板製のオーダーメイドの化粧台は、このタイル貼りの空間によく溶け込み、現代的で洗練された雰囲気を演出しています。
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