家族のプライベート空間を快適に。アウトドアとスカンジナビアをミックスした美しい店舗併用住宅
建築設計事務所を主宰する建築士が、マイホームとして建てたカフェ併用住宅。アウトドアスタイルとスカンジナビアスタイルをミックスさせたデザインや、パブリックスペースとプライベートスペースを上手に分けるコツなどについて伺いました。

埼玉県川口市。関東地方の“住みたい街”・“住みやすい街”のランキングでは常に上位にランクインするなど、近年人気のエリアです。とくに、ファミリー世帯が多く集まる東川口エリアは、再開発化の計画が進み、今後の期待が高まっています。
そんな東川口に事務所を構える建築設計事務所・株式会社LAD。代表の高山禎章さんは、お子さんがお生まれになったタイミングで、事務所の近くにマイホームを建てたいと考えていたそう。しかし、コロナ禍で移住者が急増したこともあって、東川口エリアの土地価格が高騰しており、駅の近くに家を建てるとなると、予算との兼ね合いがうまくいかなかったそう。そこで高山さんは、思い切って自宅を店舗併用住宅とし、一部をLADのカフェ事業として運営することにしました。
そんな東川口に事務所を構える建築設計事務所・株式会社LAD。代表の高山禎章さんは、お子さんがお生まれになったタイミングで、事務所の近くにマイホームを建てたいと考えていたそう。しかし、コロナ禍で移住者が急増したこともあって、東川口エリアの土地価格が高騰しており、駅の近くに家を建てるとなると、予算との兼ね合いがうまくいかなかったそう。そこで高山さんは、思い切って自宅を店舗併用住宅とし、一部をLADのカフェ事業として運営することにしました。
どんなHouzz?
住まい手:株式会社LAD代表の高山禎章さんと奥様、1歳の息子さん
所在地:埼玉県川口市
構造:木造2階建て
敷地面積:133.87㎡
延べ床面積:129.8㎡
設計:株式会社LAD(高山禎章)
竣工年月:2021年6月
住まい手:株式会社LAD代表の高山禎章さんと奥様、1歳の息子さん
所在地:埼玉県川口市
構造:木造2階建て
敷地面積:133.87㎡
延べ床面積:129.8㎡
設計:株式会社LAD(高山禎章)
竣工年月:2021年6月
1階カフェ厨房
併設するカフェの名前は「Café HITOMA」。空間の新たな活用方法を模索すべく現在は休業中ですが、2021年7月のオープン以降、地域住民を中心に人気を集めていました。
建物を外から見てみると、カフェの一部に住宅があるようには思えませんが、建物の左手の小道を進むと、住宅の玄関にたどり着きます。
「店舗併用住宅を階層で分けてしまうと、音や振動などが伝わり合いやすく、居住空間のプライバシーを保つことが難しいと思ったんです」と高山さん。「なので、建物を縦半分に割るような形で、店舗と居住空間を分ける構造としました」
併設するカフェの名前は「Café HITOMA」。空間の新たな活用方法を模索すべく現在は休業中ですが、2021年7月のオープン以降、地域住民を中心に人気を集めていました。
建物を外から見てみると、カフェの一部に住宅があるようには思えませんが、建物の左手の小道を進むと、住宅の玄関にたどり着きます。
「店舗併用住宅を階層で分けてしまうと、音や振動などが伝わり合いやすく、居住空間のプライバシーを保つことが難しいと思ったんです」と高山さん。「なので、建物を縦半分に割るような形で、店舗と居住空間を分ける構造としました」
上空からカフェのテラス席を望む
カフェは、1階席、2階席、そしてテラス席の3層構造。一方、居住空間にはテラスを設けず、2階の天井を高くすることで、解放感をもたせています。
カフェは、1階席、2階席、そしてテラス席の3層構造。一方、居住空間にはテラスを設けず、2階の天井を高くすることで、解放感をもたせています。
1階玄関
1階には主寝室のほかに、将来的には子ども部屋などとしても使える2つの部屋、そして現在は物置として利用している部屋があり、水まわりやLDKなどの主要な空間は、2階に配されています。
1階には主寝室のほかに、将来的には子ども部屋などとしても使える2つの部屋、そして現在は物置として利用している部屋があり、水まわりやLDKなどの主要な空間は、2階に配されています。
2階LDK。キッチンからリビングを望む
LDKにはハイサイドライトが設けられており、外から取り込んだ光や風が、1階までまっすぐに届く構造となっています。「LDKの窓をハイサイドにしたのは、採光や通風だけでなく、プライバシーを守る目的もありました。人通りの多い場所で、外からの視線を遮りたかったので」と高山さんは振り返ります。
LDKにはハイサイドライトが設けられており、外から取り込んだ光や風が、1階までまっすぐに届く構造となっています。「LDKの窓をハイサイドにしたのは、採光や通風だけでなく、プライバシーを守る目的もありました。人通りの多い場所で、外からの視線を遮りたかったので」と高山さんは振り返ります。
デザインのテーマは、高山さんがもともとお好きだったというアウトドアスタイルと、ダイニングチェアに採用されているカール・ハンセン&サンの『Yチェア』をはじめとした、北欧の名作家具を取り入れたスカンジナビアスタイル。カフェのインテリアも同様のテーマでコーディネートされています。
「内外のつながりを持たせるために、建物の外壁と内壁には、共にケイミューの壁材『SOLID』を採用しています。LDKに取り入れているのは『typeF coffee』。セメントの素地をそのまま活かしたリサイクル内装ボードなんですが、あえて残されたムラがいい味を出していますよね」
「内外のつながりを持たせるために、建物の外壁と内壁には、共にケイミューの壁材『SOLID』を採用しています。LDKに取り入れているのは『typeF coffee』。セメントの素地をそのまま活かしたリサイクル内装ボードなんですが、あえて残されたムラがいい味を出していますよね」
床材には、イクタの『エアー・ウォッシュ・フローリング』を採用し、ヘリンボーン張りに。株式会社LADの手掛ける事例の多くでも採用されており、「無垢材の床とフローリングのいいとこどり」のような床材だと、高山さんは解説します。
「子どもができてわかったことなのですが、ほとんどの時間を床で過ごしているんですよね。見た目的には無垢材の床に憧れるけれど、子どもが過ごす上で、清潔に保てるか不安があったんです。このフローリングは一見無垢材のように見えますが、太陽光や室内の照明などの光に反応して、ウィルスや菌などを除去するコーティング材が施されているので、小さな子どもも安心して過ごせます」
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インテリアが映えるヘリンボーンの床がある暮らし
「子どもができてわかったことなのですが、ほとんどの時間を床で過ごしているんですよね。見た目的には無垢材の床に憧れるけれど、子どもが過ごす上で、清潔に保てるか不安があったんです。このフローリングは一見無垢材のように見えますが、太陽光や室内の照明などの光に反応して、ウィルスや菌などを除去するコーティング材が施されているので、小さな子どもも安心して過ごせます」
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ソファベンチとダイニングセット以外に大きな家具の見当たらないスッキリとしたLDKを見て気になったのが、「モノの収納はどうしているんだろう?」ということ。高山さんに尋ねてみると、意外な答えが返ってきました。
「実は、ベンチがすべて箱型の収納になっているんです。季節もののアイテムなどはここに収まっています」と高山さん。
木材で造作したベンチは、座面(収納の蓋部分)の仕上げに下地材の『カチオン』を施し、インダストリアルな印象に。その上にIKEAの屋外用のシートとクッションを組み合わせることで、汚れに強いソファとなっています。
「小さい子どもがいると、ダメージが心配で、ソファを使うのにはなかなか勇気がいりますが、屋外用のアイテムならお手入れも簡単ですし、IKEAのアイテムは安価で気軽に購入しやすいので、万が一使えなくなっても、すぐに新しいものに取り替えられます」
「実は、ベンチがすべて箱型の収納になっているんです。季節もののアイテムなどはここに収まっています」と高山さん。
木材で造作したベンチは、座面(収納の蓋部分)の仕上げに下地材の『カチオン』を施し、インダストリアルな印象に。その上にIKEAの屋外用のシートとクッションを組み合わせることで、汚れに強いソファとなっています。
「小さい子どもがいると、ダメージが心配で、ソファを使うのにはなかなか勇気がいりますが、屋外用のアイテムならお手入れも簡単ですし、IKEAのアイテムは安価で気軽に購入しやすいので、万が一使えなくなっても、すぐに新しいものに取り替えられます」
そのほか、LDKに必要なアイテムは、キッチンの大きなカップボードに収納されているそう。カップボードとキッチンは、サンワカンパニーの『クビレキッチン』シリーズのもの。ホワイトのボディとシルバーの天板という色の組み合わせが、LDKのインテリアと美しく調和しています。
カップボードの写真をもっと見る
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また、キッチン奥の壁には、ベンチの天板の仕上げに使われていたカチオンが施されており、ホワイトを基調としたキッチンにメリハリを与えています。
「カチオンは下地材なので、あまり撥水性に優れていない素材なのですが、その分、ほかのモルタル調塗材に比べて安価なことが特徴です」と高山さん。
水の跳ねやすい場所などには向きませんが、使い方を工夫すれば、あまりコストをかけずにキッチンにインダストリアルテイストを加えることができます。
「カチオンは下地材なので、あまり撥水性に優れていない素材なのですが、その分、ほかのモルタル調塗材に比べて安価なことが特徴です」と高山さん。
水の跳ねやすい場所などには向きませんが、使い方を工夫すれば、あまりコストをかけずにキッチンにインダストリアルテイストを加えることができます。
1階ランドリールーム タイル:サンワカンパニー、クロス:サンゲツ
広々としたキッチン、そして使いやすいランドリールームというのが、奥様から高山さんへのご要望だったそう。
洗面室兼・脱衣室兼・ランドリールームであるこちらの4帖のスペースには、洗濯機と乾燥機がピッタリとハマる棚が造作されています。棚は、カフェの厨房にも使われている、撥水性に優れたヒノキ合板でつくられているので、湿度の高い脱衣所にも最適です。
写真にはありませんが、洗濯機の上(写真右上)の壁には、現在は可動棚も取り付けられており、畳んだ衣類をそのまま収納できるようになっているといいます。
「洗濯機で衣類を洗ったら、乾燥機に入れ、乾燥が終わったら天板で畳んで、そのまま棚に収納できます。妻には『家事動線を良くしてほしい』と言われていましたが、洗濯に関しては、もはやその場から動かずにすべて終えられるようになっています」と高山さんは笑います。
広々としたキッチン、そして使いやすいランドリールームというのが、奥様から高山さんへのご要望だったそう。
洗面室兼・脱衣室兼・ランドリールームであるこちらの4帖のスペースには、洗濯機と乾燥機がピッタリとハマる棚が造作されています。棚は、カフェの厨房にも使われている、撥水性に優れたヒノキ合板でつくられているので、湿度の高い脱衣所にも最適です。
写真にはありませんが、洗濯機の上(写真右上)の壁には、現在は可動棚も取り付けられており、畳んだ衣類をそのまま収納できるようになっているといいます。
「洗濯機で衣類を洗ったら、乾燥機に入れ、乾燥が終わったら天板で畳んで、そのまま棚に収納できます。妻には『家事動線を良くしてほしい』と言われていましたが、洗濯に関しては、もはやその場から動かずにすべて終えられるようになっています」と高山さんは笑います。
ご家族の居住空間のプライバシーを守ることのほかに、高山さんが強く意識されたことのひとつが、「ライフスタイルの変化に適応できること」だったといいます。これは、株式会社LADの手掛けるほかの事例でも重要視されているそう。
「我が家もそうですが、とくにお子さんのいる家庭では、家族が増えたり、反対に子どもたちが巣立って夫婦2人になったりといった、ライフスタイルの変化が必ず訪れますよね。そういったときに、簡単に間取りの変更ができるよう、固定の家具はあまり造り付けないようにしているんです」と高山さん。実際、こちらの住宅でも、寝室のウォークインクローゼット、キッチンのパントリー、リビングのベンチソファ、ランドリールームの棚のほかに、固定の家具は設けられていません。
「用途が決まっている家具は一見便利そうに見えますが、いつか邪魔になるときがくるかもしれません。家族のライフスタイルとともに変化できる家づくりというのは、私が大切にしていることのひとつです」
Houzzで建築家を探す
「我が家もそうですが、とくにお子さんのいる家庭では、家族が増えたり、反対に子どもたちが巣立って夫婦2人になったりといった、ライフスタイルの変化が必ず訪れますよね。そういったときに、簡単に間取りの変更ができるよう、固定の家具はあまり造り付けないようにしているんです」と高山さん。実際、こちらの住宅でも、寝室のウォークインクローゼット、キッチンのパントリー、リビングのベンチソファ、ランドリールームの棚のほかに、固定の家具は設けられていません。
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