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静岡県御殿場の森の中に佇むクロワッサン型の平屋住宅
長い海外生活の中で培ったオーナーのセンスが光る住まい。理想とする「終の住み処」が完成しました。
永井理恵子
2022年2月20日
静岡県御殿場市に、終の住み処となる平屋住宅を新築した石田寛さん。以前、この敷地には石田さんのご両親が1975年に建てた別荘がありました。イギリスやフランスのアンティーク家具が似合う建物には愛着もありそのまま引き継いで住むことも考えましたが、メインテナンス費用がかかり過ぎるため、迷った末、新しい家を建てることにしました。
もともと石田さんご一家は、20年前にご両親の別荘のそばに一軒家を借りて、東京から御殿場に一家で移住していました。石田さんの事業の拠点が東京のため、平日は石田さんのみ東京都内に所有する家で暮らし、週末に家族がいる御殿場の家で過ごす2拠点生活を送っています。夫妻は、将来を見据え、御殿場を選んで家づくりをスタートしました。キーワードは石田さんの大好物である「クロワッサン」でした。
さて、石田さんが毎朝食べているクロワッサンをモチーフに、どんな家が誕生したのでしょう?
もともと石田さんご一家は、20年前にご両親の別荘のそばに一軒家を借りて、東京から御殿場に一家で移住していました。石田さんの事業の拠点が東京のため、平日は石田さんのみ東京都内に所有する家で暮らし、週末に家族がいる御殿場の家で過ごす2拠点生活を送っています。夫妻は、将来を見据え、御殿場を選んで家づくりをスタートしました。キーワードは石田さんの大好物である「クロワッサン」でした。
さて、石田さんが毎朝食べているクロワッサンをモチーフに、どんな家が誕生したのでしょう?
どんなHouzz?
所在地:静岡県御殿場市
住まい手:石田寛さん、奥さま、三女(15歳)、愛犬2匹
敷地面積:567.93㎡
建築面積:150.71㎡
延床面積:140.77㎡
構造:木造軸組工法
竣工:2021年6月
設計: HAPTIC HOUSE
施工:米山工務店
設計は、HAPTIC HOUSEの長尾隆行さんです。石田さんの奥さまが、15年ほど前に長尾さんの主催するイベントに参加して以来の知り合いで、人柄も感性も合うことがわかっていたのでお任せしたそうです。
石田さん夫妻から「平屋で、冬は温かく、車椅子になっても生活できるフラットな家にしたい」という要望がありました。そして、石田さんが何よりも熱望されたのが「クロワッサンみたいな家」。その願いを受けた長尾さんが導き出したのが、南に向かって開口する、太陽の光がたっぷりと差し込む「くの字型」の家でした。建物の中心部にティールームを設け、念願のクロワッサンのような形状を実現させました。
所在地:静岡県御殿場市
住まい手:石田寛さん、奥さま、三女(15歳)、愛犬2匹
敷地面積:567.93㎡
建築面積:150.71㎡
延床面積:140.77㎡
構造:木造軸組工法
竣工:2021年6月
設計: HAPTIC HOUSE
施工:米山工務店
設計は、HAPTIC HOUSEの長尾隆行さんです。石田さんの奥さまが、15年ほど前に長尾さんの主催するイベントに参加して以来の知り合いで、人柄も感性も合うことがわかっていたのでお任せしたそうです。
石田さん夫妻から「平屋で、冬は温かく、車椅子になっても生活できるフラットな家にしたい」という要望がありました。そして、石田さんが何よりも熱望されたのが「クロワッサンみたいな家」。その願いを受けた長尾さんが導き出したのが、南に向かって開口する、太陽の光がたっぷりと差し込む「くの字型」の家でした。建物の中心部にティールームを設け、念願のクロワッサンのような形状を実現させました。
北向きの玄関。北側にある接道は生活道路として使われており、朝晩は多くの車が行き交うため、プライバシーを重視し、北側の窓は小ぶりなサイズに。外壁はジョリパットの塗り壁です。
石田邸がある周囲は住宅街ですが、東から西にかけて針葉樹の森に囲まれており、まるで森の中の一軒家のように感じられます。
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石田邸がある周囲は住宅街ですが、東から西にかけて針葉樹の森に囲まれており、まるで森の中の一軒家のように感じられます。
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玄関ドアを開けると、広い三和土が出迎えます。
御殿場市は、真冬の朝の気温が氷点下になることも少なくありません。温かい家に暮らしたいという夫妻のリクエストに応え、すべての窓にアンダーセンの複層ガラスの木製サッシを採用し、外断熱によって機密性を高めました。冬の寒い朝でも家の中はぽかぽかで、1年中快適に暮らせると奥さまは話します。
御殿場市は、真冬の朝の気温が氷点下になることも少なくありません。温かい家に暮らしたいという夫妻のリクエストに応え、すべての窓にアンダーセンの複層ガラスの木製サッシを採用し、外断熱によって機密性を高めました。冬の寒い朝でも家の中はぽかぽかで、1年中快適に暮らせると奥さまは話します。
玄関の右手(画面奥)に広がるスペースがゲストルームです。石田邸は来客が多い上に、すでに独立したお嬢さん2人が帰省する際にも宿泊できるように、ゲストルームは必須でした。
玄関ホールの壁のように見える木製の板は実は引き戸で、リビングとゲストルームの間を仕切れます。
玄関ホールの壁のように見える木製の板は実は引き戸で、リビングとゲストルームの間を仕切れます。
ゲストルームの反対側にあたる玄関の左手が、キッチンとリビングです。床はオーク。玄関からゲストルームへと続く天井の板は、ご両親の別荘だったスウェーデンスタイルの家で使われていた木材を再利用しています。
玄関を開けると家の中が丸見えになってしまうのが少しだけ気がかりだったという奥さま。実際には、リビングと三和土を分けるマツの格子とスプーンカットで仕上げた丸い柱がほどよい目隠しとなっており、暮らし始めてみたらさほど気にならなかったそうです。
玄関ホールとキッチンの間にあるのは、靴や傘などをしまう家族専用のシューズクロークです。玄関からキッチンへと通り抜けることができます。クローク内部は、手が届く範囲にすべて棚を設けており、収納力が抜群!玄関ホールをスッキリと保てます。
玄関ホールとキッチンの間にあるのは、靴や傘などをしまう家族専用のシューズクロークです。玄関からキッチンへと通り抜けることができます。クローク内部は、手が届く範囲にすべて棚を設けており、収納力が抜群!玄関ホールをスッキリと保てます。
リビングの薪ストーブは、イタリア製のクッキングストーブであるドミノ8を選びました。家の中全体を温めることができるサイズで、調理もできることが決め手となりました。
当初は玄関に薪ストーブを設置し、リビングには大きな暖炉を造作する予定でしたが、薪ストーブだけで家全体が十分温まります。
薪ストーブの横は、寝室や浴室へと繋がる廊下です。行き来する人がぶつからないように柱と壁の間を抜き、三角形の棚を設けました。棚の上には、奥さまが季節の花を活けて飾ります。
廊下の天井には雲梯(うんてい)があり、スポーツマンの石田さんだけでなく、奥さまや娘さんも、ここで楽しみながらトレーニングしているそうです。
当初は玄関に薪ストーブを設置し、リビングには大きな暖炉を造作する予定でしたが、薪ストーブだけで家全体が十分温まります。
薪ストーブの横は、寝室や浴室へと繋がる廊下です。行き来する人がぶつからないように柱と壁の間を抜き、三角形の棚を設けました。棚の上には、奥さまが季節の花を活けて飾ります。
廊下の天井には雲梯(うんてい)があり、スポーツマンの石田さんだけでなく、奥さまや娘さんも、ここで楽しみながらトレーニングしているそうです。
ダイニングテーブルとチェア、照明、キャビネットなど調度品の多くは、ご両親の別荘で使われていたアンティークです。古い照明を安心して仕えるよう、職人さんがメンテナンスしました。
間接照明が効果的に使われているリビングの折り上げ天井。以前宿泊したホテルの天井デザインを気に入った石田さんが、長尾さんにその写真をみせて、設計の参考にしてもらいました。
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リビング照明はどう選ぶ?明るさや光の色、おすすめの照明器具の使い方
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家具作家のTREOW FURNITURE WORKS代表の石井直樹さんに制作を依頼したアイランドキッチン。天板には人工大理石を、ガスコンロにはハーマンのプラス・ドゥを選びました。
床に採用した天然石のタイルの内の1枚に植物の化石があるのを職人さんが見つけました。石田夫妻は「自然の造形が面白い」と考え、そのまま使用してもらいました。
一日の始まりには、木々の隙間を照らす美しい朝日がキッチンの窓から差し込みます。奥さまは、その美しい光を眺めるのがなによりの楽しみだと語ります。
キッチンの奥がパントリー、その先に家事室、寝室、子ども部屋、浴室などプライベートな空間が廊下に沿って続きます。
床に採用した天然石のタイルの内の1枚に植物の化石があるのを職人さんが見つけました。石田夫妻は「自然の造形が面白い」と考え、そのまま使用してもらいました。
一日の始まりには、木々の隙間を照らす美しい朝日がキッチンの窓から差し込みます。奥さまは、その美しい光を眺めるのがなによりの楽しみだと語ります。
キッチンの奥がパントリー、その先に家事室、寝室、子ども部屋、浴室などプライベートな空間が廊下に沿って続きます。
リビングの正面に位置するティールームは、クロワッサン型の中央部にあたります。
ティールームは、ご両親の別荘にあったイギリス調のインテリアでコーディネートしています。中学生時代をイギリスのパブリックスクールで過ごした石田さんにとって、最も居心地がよい空間で、休日の多くの時間をここで過ごしているそうです。特に、床のタイルがテラスのタイルと90°の角度で繋がるさまがとても美しく、お気に入りなのだとか。
壁の照明:笠松照明
ティールームは、ご両親の別荘にあったイギリス調のインテリアでコーディネートしています。中学生時代をイギリスのパブリックスクールで過ごした石田さんにとって、最も居心地がよい空間で、休日の多くの時間をここで過ごしているそうです。特に、床のタイルがテラスのタイルと90°の角度で繋がるさまがとても美しく、お気に入りなのだとか。
壁の照明:笠松照明
ピーコックブルーのアクセントウォールが映える娘さんの部屋。広々と使える造作のデスクから目を上げれば、家の周囲に広がる森の緑が広がります。床はパイン。
西北に位置する石田夫妻の寝室。壁は全室、珪藻土の塗り壁にしたので、「犬を2匹飼っているのに、犬の匂いがしないとよく言われます」と石田さん。以前暮らしていた借家に比べ、家の中の空気がいつも清々しいと奥さまも喜ばれていました。
寝室と浴室の間にファミリークローゼットがあり、衣類はすべてそこに収納しています。
寝室と浴室の間にファミリークローゼットがあり、衣類はすべてそこに収納しています。
手洗い場付きのトイレは、車椅子でも問題なく利用できる広さを確保しました。便器はTOTOのレストパルFをチョイス。フローティングデザインなので、床の掃除が楽にできます。
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洗面室とバスルームの床は、空間につながりが生まれるように同じヨーロッパ製のタイルを選びました。「タイルの種類も色もたくさんあり過ぎて、自分たちでは選びきれませんでした。イメージを伝え長尾さんに選んでもらったら、予想以上に素敵に仕上がり、とてもうれしいです」と石田夫妻は声を弾ませます。
洗濯機とガス乾燥機を置くスペースを確保した洗面室。ここで洗濯物をたためるよう、マシンの上に天板を渡し、棚を造作しました。
「洗濯機と乾燥機の扉の高さが揃っているので、濡れて重たい洗濯物の移動がスムーズです。乾かした衣類を立ったまま畳めるので、洗濯するのがとてもラクになりました」と奥さま。御殿場市は雨の日が多いため、衣類乾燥機は導入してよかったとのこと。
「洗濯機と乾燥機の扉の高さが揃っているので、濡れて重たい洗濯物の移動がスムーズです。乾かした衣類を立ったまま畳めるので、洗濯するのがとてもラクになりました」と奥さま。御殿場市は雨の日が多いため、衣類乾燥機は導入してよかったとのこと。
「外の景色を眺めながら入浴したい」という石田さんのリクエストに応え、浴室には小さな窓を設えました。足を伸ばして悠々と過ごせるバスルームは、石田さんだけでなく、奥さまも「本当に気持ちよくて気に入っています」と頬をゆるめます。
採光と眺望を重視したクロワッサン型の石田邸では、カーテンやブラインドをひとつも使っていません。家の中央に位置するキッチンに立って屋内を見渡せば、時間と共に変わる光が映し出す景色が美しくてまったく飽きないと、奥さまは目を細めます。
新築にあたり、申請した敷地面積は567.93㎡(約172坪)ですが、石田さんが所有する土地は1,200坪ほどあります。家が完成した今、庭師のHitotoki代表の横山太一さんと相談しながら、遊歩道やドッグラン、東屋があるロックガーデンの造成を始めています。針葉樹の森に向かって広がる広大な庭が完成すれば、誰の目を気にすることなく、家の中から美しいロックガーデンを眺められます。
最後に石田さんは、「家づくりが第1章なら、庭づくりは第2章。これから何年かかけて庭をつくっていくのが、今の楽しみです」と話してくれました。
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