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家族みんなが快適に暮らせる、気持ちのいい二世帯住宅4選
親世帯や子世帯など、二つの世帯がともに暮らす「二世帯住宅」。Houzzで見つけた二世帯住宅の事例について、手がけた専門家が解説します。
コロナ禍以降、人々の住環境に対する価値観は大きく変化しています。テレワークによって住まいで過ごす時間が長くなった影響から、より広く、より暮らしやすい住まいを求めるようになったという人や、感染防止による外出自粛要請によって、遠方の家族と長い期間会えない状態が続き、家族の住まいの近くへUターンしたという人も少なくありません。
そんななか、これまで以上にニーズが高まっているのが「二世帯住宅」です。とはいえ、一口に二世帯住宅といっても、ケースやスタイルはさまざま。二世帯住宅のオーナーはそれぞれどんな要望をもち、依頼された専門家は、どのような提案をしているのでしょうか?
この記事では、Houzzにアップロードされている中から、二世帯住宅の事例をピックアップ。それぞれの事例を手がけた専門家の方々に、こだわりのポイントや、二世帯住宅を建てる際のコツについて伺いました。
それでは、4つの実例を詳しくみていきましょう。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
そんななか、これまで以上にニーズが高まっているのが「二世帯住宅」です。とはいえ、一口に二世帯住宅といっても、ケースやスタイルはさまざま。二世帯住宅のオーナーはそれぞれどんな要望をもち、依頼された専門家は、どのような提案をしているのでしょうか?
この記事では、Houzzにアップロードされている中から、二世帯住宅の事例をピックアップ。それぞれの事例を手がけた専門家の方々に、こだわりのポイントや、二世帯住宅を建てる際のコツについて伺いました。
それでは、4つの実例を詳しくみていきましょう。
写真をクリックすると、それぞれの事例の写真をもっとみることができ、手がけた専門家の詳細もチェックできます。
独立した空間も、共有できる空間もある、バランス型二世帯住宅
最初にご紹介するのは、大阪府池田市の閑静な住宅地に建つ、こちらの二世帯住宅。手がけたのは、若林秀典建築設計事務所です。
もともと、この地には築60年ほど経つ住宅が建っていたものの、立て続けに地震・台風といった天災に見舞われたために「補修して住み続けるよりも、近くに暮らす子世帯と一緒に暮らすことのできる住まいへ建て替えよう」と考え、二世帯住宅への建て替え計画がスタートしたといいます。
最初にご紹介するのは、大阪府池田市の閑静な住宅地に建つ、こちらの二世帯住宅。手がけたのは、若林秀典建築設計事務所です。
もともと、この地には築60年ほど経つ住宅が建っていたものの、立て続けに地震・台風といった天災に見舞われたために「補修して住み続けるよりも、近くに暮らす子世帯と一緒に暮らすことのできる住まいへ建て替えよう」と考え、二世帯住宅への建て替え計画がスタートしたといいます。
若林秀典さんは、「4世代8人にもわたる多世帯同居の住まいになることから、それぞれの家族団らんやプライバシー確保のための距離感、複数台所有されている車の駐車スペース、建物ボリュームと両世帯のゾーニング、桜並木の景観へ配慮した外観、これら多くの要望を解決した完全分離型の二世帯住宅を求められました」とふり返ります。
「間口の広い角地であったことから、1階に両世帯のLDKをそれぞれ独立配置した2棟が、共通の通り庭を挟んで建つレイアウトと、その上に2階を掛け渡すように積み上げるプランを提案しました。通り庭は共通のテラスにもなり、また屋根がかりのある駐車スペースにもなります」
「間口の広い角地であったことから、1階に両世帯のLDKをそれぞれ独立配置した2棟が、共通の通り庭を挟んで建つレイアウトと、その上に2階を掛け渡すように積み上げるプランを提案しました。通り庭は共通のテラスにもなり、また屋根がかりのある駐車スペースにもなります」
奥の庭へとつながる通り庭のアイデアは、家族の人数に比例して多くなる要望を、共有して叶えられる場所として工夫されたそう。例えば、通常は駐車スペースとして利用できる一方で、車を少し動かせば共有テラスとなり、休日にはBBQを楽しんだりできる、両世帯やゲストが集う場所になります。
「完全分離型の二世帯住宅だからこそ、それぞれ必要とするスペースや設備もありますが、お互いが共有することのできる場所もあるのです。何を共有できて何を独立させるのか、みなさんが心地よく暮らせる家族の距離感を大切にしてください」と若林さんは話します。
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「完全分離型の二世帯住宅だからこそ、それぞれ必要とするスペースや設備もありますが、お互いが共有することのできる場所もあるのです。何を共有できて何を独立させるのか、みなさんが心地よく暮らせる家族の距離感を大切にしてください」と若林さんは話します。
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フロアでゾーニングされた二世帯住宅
続いてご紹介するのは、株式会社an cube(アンキューブ)が手がけた、大阪府和泉市にある住宅。既存住宅を60代の親世帯と30代の子世帯の二世帯住宅とする計画でしたが、an cubeの山下羊子さんがご相談を受けたとき、すでにオーナーは大手ハウスメーカーと打ち合わせを進めていたそう。その提案内容や見積もり金額に納得できず、改めて山下さんへ依頼し直したのだといいます。
続いてご紹介するのは、株式会社an cube(アンキューブ)が手がけた、大阪府和泉市にある住宅。既存住宅を60代の親世帯と30代の子世帯の二世帯住宅とする計画でしたが、an cubeの山下羊子さんがご相談を受けたとき、すでにオーナーは大手ハウスメーカーと打ち合わせを進めていたそう。その提案内容や見積もり金額に納得できず、改めて山下さんへ依頼し直したのだといいます。
「大手ハウスメーカーからの提案は、ただ大きく増築するものでしたが、弊社からはそれぞれの玄関部分のみを増築し、既存建物の1階を親世帯、2階を娘さん世帯とするプランをご提案しました」と山下さん。
「間取りや仕上げテイストにもこだわり、3Dパースを作成して、ご納得いただけるまでお客様と打ち合わせを繰り返しました。『その内容をこの金額でできるのは嬉しい!』とお話は進んでいきました」
「間取りや仕上げテイストにもこだわり、3Dパースを作成して、ご納得いただけるまでお客様と打ち合わせを繰り返しました。『その内容をこの金額でできるのは嬉しい!』とお話は進んでいきました」
「2階建て木造住宅だったため耐震補強を行い、既存の窓位置を増築部分との通路にして、階段位置なども考えてプランしました」と山下さんは続けます。
子世帯はできるだけ解放感のあるプランとし、階段を上がるとそのままLDKへ出る配置に。また、親世帯は愛犬と同居だったため、収納の下を愛犬用のスペースにするなど、それぞれのライフスタイルに合わせた改修となりました。
子世帯はできるだけ解放感のあるプランとし、階段を上がるとそのままLDKへ出る配置に。また、親世帯は愛犬と同居だったため、収納の下を愛犬用のスペースにするなど、それぞれのライフスタイルに合わせた改修となりました。
世帯ごとの要望が反映された、完全分離型二世帯住宅
続いてご紹介するのは、彩羽工藝舎が手がけた、ご夫婦とご主人のご両親による二世帯住宅。オーナーの要望は完全に世帯をわける構造であり、彩羽工藝舎の中村和彦さんは、「玄関、水まわりを完全分離したプランで考え、親世帯、子世帯は並列に配置し、すべてを分けて内部に1ヶ所のみ行き来き可能な場所をつくることを提案しました」とふり返ります。
続いてご紹介するのは、彩羽工藝舎が手がけた、ご夫婦とご主人のご両親による二世帯住宅。オーナーの要望は完全に世帯をわける構造であり、彩羽工藝舎の中村和彦さんは、「玄関、水まわりを完全分離したプランで考え、親世帯、子世帯は並列に配置し、すべてを分けて内部に1ヶ所のみ行き来き可能な場所をつくることを提案しました」とふり返ります。
屋根・外壁・サッシなどの外観は同じ色、同じ素材で一体化しながら、内装はそれぞれの好みで決めていったそう。「子世帯は内装を可愛らしくしたいとのご要望でしたので、リビングの内装はとくに打ち合わせに時間を掛けて決めていきました」と中村さんは話します。
また、もともとお持ちだったモノを多く利用したいというのも要望のひとつだったため、置きたい家電などの寸法をひとつひとつ確認し、それらがきれいに収まるよう収納や棚の高さを決めていったそう。「完成後は全てが思い通りに納まり、満足していただけました」
また、もともとお持ちだったモノを多く利用したいというのも要望のひとつだったため、置きたい家電などの寸法をひとつひとつ確認し、それらがきれいに収まるよう収納や棚の高さを決めていったそう。「完成後は全てが思い通りに納まり、満足していただけました」
一方、親世帯では、「冬暖かく、夏涼しいこと」が重要でした。とくに冬に暖かく過ごせることが最優先だったため、リビング、キッチンの一部は床暖房とし、トイレや洗面室には壁掛けの電気ヒーターが設置されています。
「二世帯住宅の間取りは、お客様によって二世帯の考えが異なるため、どのタイプにすることが最も適しているか十分聞き取りをする必要があります。また、親世帯、子世帯の建物の仕様に対する考えが違いますので、両方の意見を聞いて互いに納得できる内容にまとめることも重要です」
「二世帯住宅の間取りは、お客様によって二世帯の考えが異なるため、どのタイプにすることが最も適しているか十分聞き取りをする必要があります。また、親世帯、子世帯の建物の仕様に対する考えが違いますので、両方の意見を聞いて互いに納得できる内容にまとめることも重要です」
回遊&スキップフロアの2世帯住宅
最後にご紹介するのは、神奈川県川崎市にある、こちらの二世帯住宅。手がけたのはシーズ・アーキスタディオです。
敷地は乗降客の多い駅にほど近く、周囲の環境から家族のプライバシーを守るためにオーナーが選択したのは、コートハウス形式。建物をくぐって中庭に向かうと世帯ごとの玄関が見えてきます。
「ゲリラ豪雨対策として、中庭のほうを道路より約30cmあげ、そのアプローチが外に向かって緩やかに下がっていきます。地中の排水管で処理しきらない万が一の場合、アプローチ上で処理しても、屋内に被害はないという考え方です」と話すのは、シーズ・アーキスタディオの白崎泰弘さん。
最後にご紹介するのは、神奈川県川崎市にある、こちらの二世帯住宅。手がけたのはシーズ・アーキスタディオです。
敷地は乗降客の多い駅にほど近く、周囲の環境から家族のプライバシーを守るためにオーナーが選択したのは、コートハウス形式。建物をくぐって中庭に向かうと世帯ごとの玄関が見えてきます。
「ゲリラ豪雨対策として、中庭のほうを道路より約30cmあげ、そのアプローチが外に向かって緩やかに下がっていきます。地中の排水管で処理しきらない万が一の場合、アプローチ上で処理しても、屋内に被害はないという考え方です」と話すのは、シーズ・アーキスタディオの白崎泰弘さん。
1階世帯は、中庭を眺めながら調理できるキッチンが特徴。一方、2階世帯はスキップフロアで構成され、オーナーがお持ちだったF.L.ライトやルイスポールセン等、照明器具を活かしたインテリアがさまざまな角度から楽しめます。
「スキップフロアについては、ガレージが階高を必要としないことを利用し、通常の階段の3分の2ほどの段数でリビングに辿りつき、そこから4段上がってダイニングや寝室へと向かう構成になっています。家の真ん中に中庭があると、生活動線が長くなるので、1周できる回遊型を提案した」とのことです。
「スキップフロアについては、ガレージが階高を必要としないことを利用し、通常の階段の3分の2ほどの段数でリビングに辿りつき、そこから4段上がってダイニングや寝室へと向かう構成になっています。家の真ん中に中庭があると、生活動線が長くなるので、1周できる回遊型を提案した」とのことです。
白崎さんはこの二世帯住宅について、「それぞれの生活スタイルを守りつつも、時々は一緒にご飯を食べるなど、程よい距離感を保つことができる住宅スタイル」だと話します。
「分離しながらも、共有する何か、例えば、小さい子が二世帯を行き来したくなるような場所、両世帯で使える和室などがあると、一つ屋根の下で共に住むことへの意義につながっていくと思います」
こちらの記事もあわせて
二世帯住宅で失敗しないために考えておきたいこと
二世帯住宅の紹介記事をもっと読む
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