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親子の暮らしを穏やかに包み込む、自然素材が心地よい住まい
生活に必要な機能が緩やかにつながる間取りを、一つの大きな屋根の下に。建築材料と設備の面がしっかり考えられたデザインは、親子2人の穏やかな暮らしを支えています。

田中祥子
2023年8月10日
伸びやかな大屋根の下に、柔らかな光が差し込む落ち着いた空間。高齢のお母様との2人暮らしのために、60代のオーナーが建てた住まいです。
この家に引っ越すまで、3階建ての事務所を兼ねた住戸で暮らしていたというオーナーとお母様。足の悪いお母様のためにも、階段などがなく過ごしやすい新居を作ろうと、土地探しからはじめました。
この家に引っ越すまで、3階建ての事務所を兼ねた住戸で暮らしていたというオーナーとお母様。足の悪いお母様のためにも、階段などがなく過ごしやすい新居を作ろうと、土地探しからはじめました。
どんなHouzz?
住まい手:60代と80代の親子
所在地:千葉県市川市
敷地面積:202.5平方メートル
延床面積:112.63平方メートル
建築面積:80.73平方メートル
構造:木造2階建て
設計:中村聖子/横山設計室
施工:日建ホーム
竣工時期:2020年9月
写真撮影:垂見孔士/畑 拓
「土地は、軽井沢や伊豆高原などの別荘地から、都内のマンションまで、幅広く検討しました」とオーナー。
数多くの土地を実際に目で確かめた上で、3年を掛けて最終的に決めたのが、オーナー自身が高校までの期間を過ごし、お母様と共に暮らした実家があった千葉県市川市の土地でした。古くからある落ち着いた住宅街にあり、自然が豊かなのに加え、地域に知り合いが多いことも決め手となりました。
住まい手:60代と80代の親子
所在地:千葉県市川市
敷地面積:202.5平方メートル
延床面積:112.63平方メートル
建築面積:80.73平方メートル
構造:木造2階建て
設計:中村聖子/横山設計室
施工:日建ホーム
竣工時期:2020年9月
写真撮影:垂見孔士/畑 拓
「土地は、軽井沢や伊豆高原などの別荘地から、都内のマンションまで、幅広く検討しました」とオーナー。
数多くの土地を実際に目で確かめた上で、3年を掛けて最終的に決めたのが、オーナー自身が高校までの期間を過ごし、お母様と共に暮らした実家があった千葉県市川市の土地でした。古くからある落ち着いた住宅街にあり、自然が豊かなのに加え、地域に知り合いが多いことも決め手となりました。
土地が決まり、次は設計を依頼する建築家を探しはじめたオーナー。インターネットを見ていた時に、Houzzに掲載されている中村聖子さんのプロフィールページが目に留まった、と振り返ります。
「中村さんのこれまでの事例写真から、日本の伝統的な住宅を踏まえた家づくりをされているのが伝わってきました。Houzzからリンクされた中村さんの公式HPを見ると、建築以外に植物のことや旅のことなどが書かれていました。文章を読むうちに、この方に頼めば間違いない!と確信しましたね」とオーナー。
いくら頑丈な家を設計してくれても「感性の部分が合わなければ心からは安心できない」と考えていたオーナー。すぐに中村さんにメールを送り、設計を依頼しました。
Houzzで建築家を探す
「中村さんのこれまでの事例写真から、日本の伝統的な住宅を踏まえた家づくりをされているのが伝わってきました。Houzzからリンクされた中村さんの公式HPを見ると、建築以外に植物のことや旅のことなどが書かれていました。文章を読むうちに、この方に頼めば間違いない!と確信しましたね」とオーナー。
いくら頑丈な家を設計してくれても「感性の部分が合わなければ心からは安心できない」と考えていたオーナー。すぐに中村さんにメールを送り、設計を依頼しました。
Houzzで建築家を探す
中村さんとの最初の相談の日。オーナーは、実現したい住まいのイメージを伝えるために、外観や各部屋、周辺環境の参考になる写真を、6枚のシートにまとめて中村さんに手渡しました。
「ざっくりした要望をまとめていただけたので、イメージを膨らませやすかったですね。ご要望を、いかに一つの大きな屋根の下に収めるかがポイントでした」と中村さん。その後、約1か月でファーストプレゼンテーションを行い、オーナーとともに調整を進めていきました。
「ざっくりした要望をまとめていただけたので、イメージを膨らませやすかったですね。ご要望を、いかに一つの大きな屋根の下に収めるかがポイントでした」と中村さん。その後、約1か月でファーストプレゼンテーションを行い、オーナーとともに調整を進めていきました。
玄関は、将来お母様が車椅子になった時のことなどをオーナーと相談し、最初の案よりも少し広く変更しました。
洗い出しの和風の床には、カールハンセン&サンの家具を合わせて落ち着いた佇まいに。ベンチチェアは靴を履くときにも役立っています。出掛ける準備がすべて玄関で整うように、コートなどが入る大きな収納も設けました。
地窓を開けると、風が抜けてしっかり換気もできる玄関は、近所の方が訪ねてきてくれた時も少しの時間を快適に過ごしてもらえる、ちょっとした接客スペースにもなってくれています。
洗い出しの和風の床には、カールハンセン&サンの家具を合わせて落ち着いた佇まいに。ベンチチェアは靴を履くときにも役立っています。出掛ける準備がすべて玄関で整うように、コートなどが入る大きな収納も設けました。
地窓を開けると、風が抜けてしっかり換気もできる玄関は、近所の方が訪ねてきてくれた時も少しの時間を快適に過ごしてもらえる、ちょっとした接客スペースにもなってくれています。
玄関ホールの先には、2階まで吹き抜けたピアノの置かれたアトリエがあります。上下の窓から柔らかな光が差し込みます。
お母様も「ここはとても気持ちがいい」と何回も言われるほど、お気に入りの空間なのだとか。アトリエとリビングダイニングの間には引き戸が設けてありますが、開け放って広く使うことが多いのだそうです。
階段を上がると、グラフィックデザイナーであるオーナーの書斎があります。1階に部屋のあるお母様に気を配りながら、仕事に専念できます。
お母様も「ここはとても気持ちがいい」と何回も言われるほど、お気に入りの空間なのだとか。アトリエとリビングダイニングの間には引き戸が設けてありますが、開け放って広く使うことが多いのだそうです。
階段を上がると、グラフィックデザイナーであるオーナーの書斎があります。1階に部屋のあるお母様に気を配りながら、仕事に専念できます。
無垢の檜のフローリングは、水蓄熱アクアレイヤー(㈱イゼナ)により、一年を通して快適な温度に保たれているそうです。
「床下に敷き詰めた水の入ったパックを、エアコンで蓄冷・蓄熱させ、床下の空気をダクトで部屋内に送り込むことで家中の空調をまかなう仕組みです」と中村さん。アクアレイヤーは、これまでのほかの施工例だけでなく、中村さんもご自宅で使っているとのこと。
オーナーは「エアコン1台で冬を乗り越えられるのか半信半疑だったので、予備のエアコンを壁付けしてもらいましたが、結局は使わずじまいでした」と話します。
「床下に敷き詰めた水の入ったパックを、エアコンで蓄冷・蓄熱させ、床下の空気をダクトで部屋内に送り込むことで家中の空調をまかなう仕組みです」と中村さん。アクアレイヤーは、これまでのほかの施工例だけでなく、中村さんもご自宅で使っているとのこと。
オーナーは「エアコン1台で冬を乗り越えられるのか半信半疑だったので、予備のエアコンを壁付けしてもらいましたが、結局は使わずじまいでした」と話します。
最初の案で玄関側にあったキッチンは、玄関を広げたことで壁側へ移動することになり、リビングダイニングの面積は小さくなりました。
「リビングダイニングが押されることに不安はありましたが、ちょうど友人の家が同じくらいの面積のリビングダイニングだったので、そこで広さを体感させてもらい、大丈夫だという確信を得て変更をお願いしました」とオーナー。
「リビングダイニングが押されることに不安はありましたが、ちょうど友人の家が同じくらいの面積のリビングダイニングだったので、そこで広さを体感させてもらい、大丈夫だという確信を得て変更をお願いしました」とオーナー。
コンパクトながら居心地の良いダイニングキッチン。壁側のカウンター上には、隣戸の庭を借景とするピクチャーウィンドウが。引き込んである障子を閉めれば、違った表情も楽しめます。
中村さんが設計で心掛けているのは自然素材の使用。ハーフユニットバスのお風呂の壁と天井には、天然の檜材を使用しています。
「お風呂に木材を使う場合、メンテナンスを気にされる方もいらっしゃいます。でも、窓を開けて換気ができるように設計しておけば、目地がカビやすいタイルよりも手入れがしやすい素材だと思います」と中村さん。「軽く水けをふき取るだけで、きれいな状態が保てていますよ」とオーナーも納得のご様子でした。
窓はサッシの外にルーバーの雨戸がついているため、外からの視線を気にすることなく入浴できるようになっています。
「お風呂に木材を使う場合、メンテナンスを気にされる方もいらっしゃいます。でも、窓を開けて換気ができるように設計しておけば、目地がカビやすいタイルよりも手入れがしやすい素材だと思います」と中村さん。「軽く水けをふき取るだけで、きれいな状態が保てていますよ」とオーナーも納得のご様子でした。
窓はサッシの外にルーバーの雨戸がついているため、外からの視線を気にすることなく入浴できるようになっています。
リビングダイニングとお母様の部屋の前にはウッドデッキが。南からの日差しを藤棚が遮ってくれます。
「新築時に植えた藤が少しずつ育ってきています」と待ち遠しそうに話すオーナー。親子の穏やかな生活を、家が見守ってくれているようです。
和モダンな住まいの写真を見る
「新築時に植えた藤が少しずつ育ってきています」と待ち遠しそうに話すオーナー。親子の穏やかな生活を、家が見守ってくれているようです。
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