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木の香りに包まれた、家族が仲良く、安心して暮らせる家
大きな吹き抜けが心地よい、自然素材に囲まれた、高断熱・高気密・高耐震の住まいをご紹介します。

Miki Anzai
2023年8月11日
Editor |Houzz Japan
小さい2人の娘さんを持つご夫婦が、「感受性豊かな子どもに育って欲しい」との願いをこめて建てた、自然素材の健康的で快適な住まいです。吹抜けでつながる立体的なLDKと、大きな寝室1つという間取りの家に、ご家族4人で仲良く暮らしています。
リビング続きのウッドデッキの先に、子どもたちが元気に遊べる庭をしつらえたお宅は、耐震等級3相当の強度で計画された、地震や雨風にも強い家でもあります。
リビング続きのウッドデッキの先に、子どもたちが元気に遊べる庭をしつらえたお宅は、耐震等級3相当の強度で計画された、地震や雨風にも強い家でもあります。
どんなHouzz?
住まい手:夫婦+子ども(7歳、4歳)
所在地:埼玉県さいたま市
構造:木造軸組み工法
敷地面積:122.92㎡
延べ床面積:89.84㎡
設計:田所裕樹建築設計事務所(田所裕樹)
耐震性能:耐震等級3相当
断熱性能:UA値0.53
写真:繫田諭
子どもと暮らす家を“建てる”のではなく、“探す”ことからスタートしたというオーナーの唐崎健太郎さんと裕子さんご夫妻。まずは裕子さんのご実家があるエリアで、マンションや建売住宅を見てまわりましたが、「耐震性や断熱性に優れた物件です」と説明されても、目に見えないだけに不安が募ったと言います。
そこで、裕子さんの高校の同級生であり、現在は建築家として活躍する田所裕樹建築設計事務所代表の田所裕樹さんに相談に乗ってもらうことにしました。ちょうど、裕子さんがご親戚の古い家を受け継いだタイミングとも重なり、家を“買う”から家を“建てる”ことに方向転換し、自然を感じる豊かな空間づくりを専門とする田所さんに設計を依頼することにしました。
住まい手:夫婦+子ども(7歳、4歳)
所在地:埼玉県さいたま市
構造:木造軸組み工法
敷地面積:122.92㎡
延べ床面積:89.84㎡
設計:田所裕樹建築設計事務所(田所裕樹)
耐震性能:耐震等級3相当
断熱性能:UA値0.53
写真:繫田諭
子どもと暮らす家を“建てる”のではなく、“探す”ことからスタートしたというオーナーの唐崎健太郎さんと裕子さんご夫妻。まずは裕子さんのご実家があるエリアで、マンションや建売住宅を見てまわりましたが、「耐震性や断熱性に優れた物件です」と説明されても、目に見えないだけに不安が募ったと言います。
そこで、裕子さんの高校の同級生であり、現在は建築家として活躍する田所裕樹建築設計事務所代表の田所裕樹さんに相談に乗ってもらうことにしました。ちょうど、裕子さんがご親戚の古い家を受け継いだタイミングとも重なり、家を“買う”から家を“建てる”ことに方向転換し、自然を感じる豊かな空間づくりを専門とする田所さんに設計を依頼することにしました。
大谷石敷きと草目地のアプローチが印象的な、奥行きのある唐崎邸
ご夫妻にとって、お子さんたちが遊びまわれる庭は必須だったので、敷地の前面に庭とパーキングスペースをつくり、建物を奥に配しました。杉板をはった玄関の外壁は、見た目の美しさに加え、感触も抜群だそう。「壁ってこんなに柔らかくてあたたかいんだ! と感激しました」(裕子さん)
同じ杉材で造作した郵便受けの周辺に植えたオリーブやユーカリ、アカシアの木は、竣工から1年たった現在、最大3メートルの高さに育っているので、リビングからは緑の眺めを楽しめ、前面道路側からは視線を遮ってくれています。「パーキングエリアも、草目地から生え出た植物が大谷石にかぶって、写真よりぐっと良い感じになっています」(裕子さん)
ご夫妻にとって、お子さんたちが遊びまわれる庭は必須だったので、敷地の前面に庭とパーキングスペースをつくり、建物を奥に配しました。杉板をはった玄関の外壁は、見た目の美しさに加え、感触も抜群だそう。「壁ってこんなに柔らかくてあたたかいんだ! と感激しました」(裕子さん)
同じ杉材で造作した郵便受けの周辺に植えたオリーブやユーカリ、アカシアの木は、竣工から1年たった現在、最大3メートルの高さに育っているので、リビングからは緑の眺めを楽しめ、前面道路側からは視線を遮ってくれています。「パーキングエリアも、草目地から生え出た植物が大谷石にかぶって、写真よりぐっと良い感じになっています」(裕子さん)
「仕事から帰ってくると木の香りが出迎えてくれるのが、なんとも心地よいです」というご主人の健太郎さん。無垢の木の床板の感触があまりにも良いため、「家のあちこちで寝ている」そうです。
玄関ホールは、採光に考慮して、奥(北側)にすりガラスをはめ込んでいます。北側のお手洗いにもハイサイドライトを設けたので、「日中に電気をつけなくてよくなったのも嬉しい」とご夫妻は話します。
玄関ホールは、採光に考慮して、奥(北側)にすりガラスをはめ込んでいます。北側のお手洗いにもハイサイドライトを設けたので、「日中に電気をつけなくてよくなったのも嬉しい」とご夫妻は話します。
高窓から空を眺めることができるLDK
当初、狭い個室で構成されていることが多いマンションや建売住宅ばかり見ていた唐崎ご夫妻にとって、目から鱗が落ちる思いだったのが、田所さんが提案した「子ども部屋をつくらず、家族で一緒に過ごせる吹き抜けの大空間をつくること」でした。
田所さん自身、自邸の寝室はひとつだけで、未だにそこで、1番上の高校生のお子さんも含めて、家族全員で寝ているそうです。「予算面でも3LDKにするよりもコストを抑えられますし、なによりも私たち家族が仲良く暮らせているので、ご提案しました」(田所さん)
当初、狭い個室で構成されていることが多いマンションや建売住宅ばかり見ていた唐崎ご夫妻にとって、目から鱗が落ちる思いだったのが、田所さんが提案した「子ども部屋をつくらず、家族で一緒に過ごせる吹き抜けの大空間をつくること」でした。
田所さん自身、自邸の寝室はひとつだけで、未だにそこで、1番上の高校生のお子さんも含めて、家族全員で寝ているそうです。「予算面でも3LDKにするよりもコストを抑えられますし、なによりも私たち家族が仲良く暮らせているので、ご提案しました」(田所さん)
天井高が6.4メートルの圧巻のLDK
ヤコブソン・ランプは、和のテイストを好まれるご主人と、北欧テイストを好まれる奥様のお2人が納得したデザイン。2階の廊下には、コンパクトサイズのペンダントランプを採用しています。
「ダイニングテーブルに座って、高い天井を見上げると、ライトがあって、空も眺められて最高です」と裕子さん。
照明に関する記事を読む
ヤコブソン・ランプは、和のテイストを好まれるご主人と、北欧テイストを好まれる奥様のお2人が納得したデザイン。2階の廊下には、コンパクトサイズのペンダントランプを採用しています。
「ダイニングテーブルに座って、高い天井を見上げると、ライトがあって、空も眺められて最高です」と裕子さん。
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吹き抜けは、採光や風通しがよく、家族の気配も感じられるのがメリットですが、「夏は暑く、冬は寒いのではないか」と思われがちです。しかし、壁や屋根、床下に性能が高い断熱材をしっかりと入れ、“Low-E複層ガラス”の断熱サッシを採用することで、1階と2階の温度差をほぼ無くすことができたという田所さん。冬は、吹き抜けと高窓から温かい日差しが家の奥まで届き、ほとんど暖房はつけずに済み、夏は深い庇のお陰で、直射日光がブロックされて、想像していた以上に快適だそうです。
また耐震面でも、外部の構造設計の専門家に依頼して、耐震等級3同等の強度を確保しています。
また耐震面でも、外部の構造設計の専門家に依頼して、耐震等級3同等の強度を確保しています。
田所さんがパースを作成して、ご夫妻と完成イメージを丁寧に確認しながら、全て造作したキッチン
収納扉の取っ手は、玄関やダイニングのハンガーバーと統一して、あたたかみのある真鍮に。扉にはソフトクローズの金具を使っているので、奥様は「開け閉めが楽で静か」な点がとても気に入っているそうです。
人工大理石の天板は、バックスプラッシュのタイルの色を決めてから色味を合わせました。「タイルは目地が細かすぎるとお掃除が大変と聞いていたので、大きめのタイルを選びました。色をいくつか混ぜようかどうか迷いましたが、シンプルに馴染む一色にして正解でした」(裕子さん)
収納扉の取っ手は、玄関やダイニングのハンガーバーと統一して、あたたかみのある真鍮に。扉にはソフトクローズの金具を使っているので、奥様は「開け閉めが楽で静か」な点がとても気に入っているそうです。
人工大理石の天板は、バックスプラッシュのタイルの色を決めてから色味を合わせました。「タイルは目地が細かすぎるとお掃除が大変と聞いていたので、大きめのタイルを選びました。色をいくつか混ぜようかどうか迷いましたが、シンプルに馴染む一色にして正解でした」(裕子さん)
階段の手すりも踏み板も、杉の無垢材で造作したので、あたたかい雰囲気が醸し出されています。
「1日のうちで何度も何気なく握る手すりの、握り心地のよいこと! 木の温もりを感じる瞬間、本当に優しいです」という裕子さん。
杉は柔らかく傷つきやすいものの、自邸で杉よりもさらに柔らかい桐(キリ)を使っている田所さんも「傷の心配よりも心地よさを重視してもらえて嬉しい」と語ります。
「1日のうちで何度も何気なく握る手すりの、握り心地のよいこと! 木の温もりを感じる瞬間、本当に優しいです」という裕子さん。
杉は柔らかく傷つきやすいものの、自邸で杉よりもさらに柔らかい桐(キリ)を使っている田所さんも「傷の心配よりも心地よさを重視してもらえて嬉しい」と語ります。
床は杉の無垢材、壁は土佐和紙、天井はベイマツの登り梁を使った、12畳以上ある南向きの寝室
「引越してきた翌朝、上の娘(当時6歳)が、『木の匂いがしていいね。梁が素敵〜!』と言うのを聞いて、自然素材の良さを五感で感じ取ってくれたのが嬉しかったです」(ご夫妻)
「引越してきた翌朝、上の娘(当時6歳)が、『木の匂いがしていいね。梁が素敵〜!』と言うのを聞いて、自然素材の良さを五感で感じ取ってくれたのが嬉しかったです」(ご夫妻)
東側寝室から西側の多目的ホールをつなぐ廊下
LDKからの吹き抜け感と、多目的ホールとの一体感をより感じられるように、廊下の左側には格子を、右側には背の低い本棚(その後ろは階段)を造作しました。
格子を見たご長女は、「おしゃれにしてくれたんだ!」と大喜び。反対側の造作本棚も、あとから余計な家具を買う必要がなく、助かったそうです。
LDKからの吹き抜け感と、多目的ホールとの一体感をより感じられるように、廊下の左側には格子を、右側には背の低い本棚(その後ろは階段)を造作しました。
格子を見たご長女は、「おしゃれにしてくれたんだ!」と大喜び。反対側の造作本棚も、あとから余計な家具を買う必要がなく、助かったそうです。
「子どもたちと庭で遊びたい。家族の気配を感じながら過ごしたい」という願いから導き出した間取りは、将来、子どもたちが個室を持ちたいと言い出したら、簡単に仕切ることもできるように計画されています。
注文住宅を検討している方へのアドバイスとして、家づくりを終えた唐崎ご夫妻は、「どういう家を建てたいかではなく、どういう風に暮らしたいかを考えることのほうが大切だった」と語ります。
注文住宅を検討している方へのアドバイスとして、家づくりを終えた唐崎ご夫妻は、「どういう家を建てたいかではなく、どういう風に暮らしたいかを考えることのほうが大切だった」と語ります。
「子どもたちと過ごせる年月は長いようで短いかもしれません。家族全員でどのように過ごしたいかという視点で家づくりができて、本当によかったです」という唐崎ご夫妻。
「私たちの住まいはとてもシンプルで、流行りのものはおそらくついておりません。そのシンプルな中に、設計者の綿密な計算がなされているのだろうな….と感じます。通り抜ける風の量や、空気の質までも、大袈裟ではなく、生き方をも設計してもらったようでとても感謝しています」と語ってくれました。
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「私たちの住まいはとてもシンプルで、流行りのものはおそらくついておりません。そのシンプルな中に、設計者の綿密な計算がなされているのだろうな….と感じます。通り抜ける風の量や、空気の質までも、大袈裟ではなく、生き方をも設計してもらったようでとても感謝しています」と語ってくれました。
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