建築中の雨はどこまで気にしたらいい?建主が知っておきたい雨と工事の関係
雨で工事中の建物が濡れてしまった!大丈夫なの?と慌てる前に。知っておきたい情報をご紹介します。
日本では、1年のうち平均で122日間が雨の日となっているそうです(総務省統計局『統計でみる都道府県のすがた2018』の降水日数(年間)データより)。これは、仮に住宅の工事期間が180日かかるとすれば、3日に1度は雨が降ることになります。もし工事が梅雨や台風シーズンと重なった場合には、雨が降る日はもっと増えることでしょう。日本では工事中に雨が降ることは、どうやら避けられそうもないようです。
とはいえ、工事中に雨が降ると、建主としてはなにかと心配なもの。そこで建主が現場で直面する天候にかかわる心配事などに関して、分かりやすくご説明いたします。
とはいえ、工事中に雨が降ると、建主としてはなにかと心配なもの。そこで建主が現場で直面する天候にかかわる心配事などに関して、分かりやすくご説明いたします。
捨コンの上に水が溜まるリスクは「中」
鉄筋が濡れることよりも気になるのは、鉄筋の下に水が溜まっていた場合です。
鉄筋の下には、「捨てコン」と呼ばれるコンクリートが設置されます。これは鉄筋の施工精度を上げるための下地のようなものですが、この捨コンの上に水が溜まったままコンクリートを打設すると、期待したコンクリート強度が出ない可能性があります。
それを避けるために、基礎の側面に水抜き用の小さな穴が開けられ、水溜りが出来ることが無いように工夫されます。この水抜き用の穴は、後でふさがれるので心配は要りません。基礎工事ではコンクリートを打設する前に水が溜まっておらず、ゴミ等が掃除されていることが大切なのです。
鉄筋が濡れることよりも気になるのは、鉄筋の下に水が溜まっていた場合です。
鉄筋の下には、「捨てコン」と呼ばれるコンクリートが設置されます。これは鉄筋の施工精度を上げるための下地のようなものですが、この捨コンの上に水が溜まったままコンクリートを打設すると、期待したコンクリート強度が出ない可能性があります。
それを避けるために、基礎の側面に水抜き用の小さな穴が開けられ、水溜りが出来ることが無いように工夫されます。この水抜き用の穴は、後でふさがれるので心配は要りません。基礎工事ではコンクリートを打設する前に水が溜まっておらず、ゴミ等が掃除されていることが大切なのです。
基礎コンクリート打設工事中の雨のリスクは「中」
基礎の鉄筋を敷設し終えたら、次はコンクリートの打設(生コンクリートを型枠の中に流し込む作業)です。雨が降っている日に、コンクリートを打設することは避けなければなりません。雨の日にコンクリートを打つと、強度が下がる可能性があるからです。
コンクリートは、セメントと水との化学反応で固まるので、水が必要なことは間違いありませんが、その量は多すぎても少なすぎてもいけません。またコンクリートは、打設翌日には歩ける程度には固まりますが、設計強度(その建物に必要な強度)まで固まるためには4週間の時間が必要です。ですから、打設の当日は勿論ですが、翌日以降から雨が降るような場合には、シートなどで適切な養生を行う必要があります。
また夏の炎天下にコンクリートを打設するような場合でも、急激に水分が蒸発することで強度の低下を招く恐れがあります。この場合にもシート等を用いて養生を行う必要があります。現場監督は監理者と相談し、最善の注意の上で作業を行いますが、型枠を外した後で建主が心配な箇所を見付けた場合には、監理者と相談した上で、コンクリート強度を確認する試験などを行うことも良いでしょう。
実は建築家に相談できる、設計以外の家づくりのこと
基礎の鉄筋を敷設し終えたら、次はコンクリートの打設(生コンクリートを型枠の中に流し込む作業)です。雨が降っている日に、コンクリートを打設することは避けなければなりません。雨の日にコンクリートを打つと、強度が下がる可能性があるからです。
コンクリートは、セメントと水との化学反応で固まるので、水が必要なことは間違いありませんが、その量は多すぎても少なすぎてもいけません。またコンクリートは、打設翌日には歩ける程度には固まりますが、設計強度(その建物に必要な強度)まで固まるためには4週間の時間が必要です。ですから、打設の当日は勿論ですが、翌日以降から雨が降るような場合には、シートなどで適切な養生を行う必要があります。
また夏の炎天下にコンクリートを打設するような場合でも、急激に水分が蒸発することで強度の低下を招く恐れがあります。この場合にもシート等を用いて養生を行う必要があります。現場監督は監理者と相談し、最善の注意の上で作業を行いますが、型枠を外した後で建主が心配な箇所を見付けた場合には、監理者と相談した上で、コンクリート強度を確認する試験などを行うことも良いでしょう。
実は建築家に相談できる、設計以外の家づくりのこと
土台敷きの際の雨のリスクは「小」
基礎工事を終えると、いよいよ建て方工事(柱や梁を取り付け、屋根をかけていく工事)ですが、その初めに行うのが土台敷きです。
土台材には米栂(べいつが)という木材が使用されることが増えているようですが、米栂は水に弱いため防腐剤を注入し、痛まないように配慮されています。
また水に強いヒバ材を、土台として使用することもありますが、その場合でも雨に濡らすことは出来れば避けた方が良いかもしれません。上棟作業の前に、基礎にシートが掛けられている様子を見掛けますが、あれは土台が濡れることを防いでいるのかもしれません。
基礎工事を終えると、いよいよ建て方工事(柱や梁を取り付け、屋根をかけていく工事)ですが、その初めに行うのが土台敷きです。
土台材には米栂(べいつが)という木材が使用されることが増えているようですが、米栂は水に弱いため防腐剤を注入し、痛まないように配慮されています。
また水に強いヒバ材を、土台として使用することもありますが、その場合でも雨に濡らすことは出来れば避けた方が良いかもしれません。上棟作業の前に、基礎にシートが掛けられている様子を見掛けますが、あれは土台が濡れることを防いでいるのかもしれません。
柱や梁が濡れた際のリスクは「小」
そしていよいよ上棟を迎えます。上棟予定日が雨だと、「柱や梁が濡れても大丈夫だろうか?」と、たいていの建築主は心配になるものですが、結論から言えば多少の雨に濡れる程度なら心配いりません。
心配いらない理由を簡単に御説明しましょう。木にはもともと多くの水分が含まれています。例えば柱として使う杉の樹の伐採直後の含水率は、50~60%もあります。含水率とは簡単に言えば木に含まれる水分量の比率のことですが、建築資材として利用する際には、含水率を15~25%程度にまで乾燥させ、強度を高めてから使用しています。
ひと昔前は、半年から1年ほど天日に当てて乾燥させる自然乾燥が主流でしたが、今では大型の乾燥炉に入れて機械で乾燥させることが主流です。この乾燥炉で含水率25~15%程度まで乾燥させた材料をKD材(Kiln Dried Lumber=強制乾燥材)と呼びます。乾燥させる理由は、樹種によって若干の違いはありますが、この辺りの含水率が木の持つ強度を一番高めてくれるため乾燥させるのです。
そして、一度乾燥させた木材は、その表面から水分を吸収しにくくなる特性を持っています。また加工する過程で表面を削ることも、吸水力を弱めることに一役買っています。したがって工事現場で柱や梁が雨に濡れてしまったとしても、夏場なら3~4日で乾いてしまいます。だから心配はないのです。
とはいっても、やはり濡らさずに済むのならば、濡らさないに越したことはありません。柱や梁の表面は大丈夫でも、切断面は水を吸い込み易く、同時に乾燥し難い部位でもあります。上棟に先駆けて現場に積まれている場合には、シート等で濡れないように養生しておくことは大切ですし、上棟後の場合でも建物を工事用のシートで囲い、濡れないように配慮する気遣いは大切です。
専門家とのコミュニケーションの記事を読む
そしていよいよ上棟を迎えます。上棟予定日が雨だと、「柱や梁が濡れても大丈夫だろうか?」と、たいていの建築主は心配になるものですが、結論から言えば多少の雨に濡れる程度なら心配いりません。
心配いらない理由を簡単に御説明しましょう。木にはもともと多くの水分が含まれています。例えば柱として使う杉の樹の伐採直後の含水率は、50~60%もあります。含水率とは簡単に言えば木に含まれる水分量の比率のことですが、建築資材として利用する際には、含水率を15~25%程度にまで乾燥させ、強度を高めてから使用しています。
ひと昔前は、半年から1年ほど天日に当てて乾燥させる自然乾燥が主流でしたが、今では大型の乾燥炉に入れて機械で乾燥させることが主流です。この乾燥炉で含水率25~15%程度まで乾燥させた材料をKD材(Kiln Dried Lumber=強制乾燥材)と呼びます。乾燥させる理由は、樹種によって若干の違いはありますが、この辺りの含水率が木の持つ強度を一番高めてくれるため乾燥させるのです。
そして、一度乾燥させた木材は、その表面から水分を吸収しにくくなる特性を持っています。また加工する過程で表面を削ることも、吸水力を弱めることに一役買っています。したがって工事現場で柱や梁が雨に濡れてしまったとしても、夏場なら3~4日で乾いてしまいます。だから心配はないのです。
とはいっても、やはり濡らさずに済むのならば、濡らさないに越したことはありません。柱や梁の表面は大丈夫でも、切断面は水を吸い込み易く、同時に乾燥し難い部位でもあります。上棟に先駆けて現場に積まれている場合には、シート等で濡れないように養生しておくことは大切ですし、上棟後の場合でも建物を工事用のシートで囲い、濡れないように配慮する気遣いは大切です。
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合板類を濡らすリスクは「中」
柱や梁と同じように、大切な材料の一つに合板があります。合板は屋根の下地や室内の床下地にも利用され、在来工法の場合には地震や風に対する水平力を担保する部材としての役割も担う場合があります。また2×4工法の場合には、合板の強度が家の強さを担保する構造用合板があります。他にも耐水合板やコンパネ、ベニヤと言った合板もあり、使用する場所や目的も様々です。
そんな合板ですが、あまり濡らしたくない材料の一つです。とくに現場で平積みにされた状態で濡れるような事があると、上の材料から使い始めるため、下の合板は長い時間、濡れたままになっている可能性もあります。
もちろん、短時間濡れただけならば十分に乾燥させることで心配は無くなりますが、それでも合板内部からヤニが染み出し、まるで黒カビが生えたように見えることもあります。ヤニとは木の持つ脂分なので、それ自体は問題無いのですが、建築主によっては全部を交換してほしい、という気持ちになるかもしれません。強度的に問題が無くても、変色等により見た目が悪くなることは避けたいものです。
家づくりのヒントをもっと読む
柱や梁と同じように、大切な材料の一つに合板があります。合板は屋根の下地や室内の床下地にも利用され、在来工法の場合には地震や風に対する水平力を担保する部材としての役割も担う場合があります。また2×4工法の場合には、合板の強度が家の強さを担保する構造用合板があります。他にも耐水合板やコンパネ、ベニヤと言った合板もあり、使用する場所や目的も様々です。
そんな合板ですが、あまり濡らしたくない材料の一つです。とくに現場で平積みにされた状態で濡れるような事があると、上の材料から使い始めるため、下の合板は長い時間、濡れたままになっている可能性もあります。
もちろん、短時間濡れただけならば十分に乾燥させることで心配は無くなりますが、それでも合板内部からヤニが染み出し、まるで黒カビが生えたように見えることもあります。ヤニとは木の持つ脂分なので、それ自体は問題無いのですが、建築主によっては全部を交換してほしい、という気持ちになるかもしれません。強度的に問題が無くても、変色等により見た目が悪くなることは避けたいものです。
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断熱材(グラスウール)を濡らすリスクは「大」
住宅工事の際に、絶対に濡らしてはいけない物がいくつかあります。濡らしてはいけないものの一つ目は、断熱材のグラスウールです。これは一度濡れてしまうと、性能が低下するどころか、マイナス側に働く材料となってしまいます。工事中も、住みはじめてからでも、濡らした場合には全て交換しましょう。
それから、石膏ボードも濡らしてはいけません。紙と石灰を主成分としているため、濡れると強度を無くし、ポロポロと崩れてしまいますから。
また、仕上げ材料も濡らすのはNGです。
住宅工事の際に、絶対に濡らしてはいけない物がいくつかあります。濡らしてはいけないものの一つ目は、断熱材のグラスウールです。これは一度濡れてしまうと、性能が低下するどころか、マイナス側に働く材料となってしまいます。工事中も、住みはじめてからでも、濡らした場合には全て交換しましょう。
それから、石膏ボードも濡らしてはいけません。紙と石灰を主成分としているため、濡れると強度を無くし、ポロポロと崩れてしまいますから。
また、仕上げ材料も濡らすのはNGです。
工事の最初は基礎工事です。建物の要となる基礎ですが、ベタ基礎(鉄筋とコンクリートを一体化させる基礎)の底板に整然と敷き並べられた鉄筋の数を見ると、その量の多さに強度が感じられ安心するのではないでしょうか。
ですが、そんな鉄筋が雨で濡れている様子を見ると、錆びや汚れで強度が落ちるのでは?と、心配になるかもしれませんね。でも大丈夫です。鉄筋は一度濡れても直ぐに乾くので心配には及びません。それに多少の錆が生じた程度では、鉄筋の強度が下がると言うこともありません。