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実は建築家に相談できる、設計以外の家づくりのこと
建築家の仕事は設計だけではないことを、ご存知でしたか?実はこんなことも相談できるのです。
安井俊夫
2019年12月9日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
建築家に対する敷居も以前に比べると低くなったようで、小さな家やローコストの家を考えている方でも、建築家に相談するケースが増えています。ですが、建築家には「設計以外のことは相談できない」と、思われている方もいるようです。そこで今回は、こんな相談や依頼にも対応するということをご紹介いたします。まずは、その前に、皆さんがイメージされている「設計」という作業に関して、今一度ご説明しておきましょう。
設計とは三つの業務から成り立っています
設計とひとくちに言っても、その内容は大きく分けると企画設計・実施設計・設計監理の三つの業務に分かれます。
【企画設計】
企画設計とは、その敷地に、どんな建物が建つのか、どのような建物が依頼者の希望を考慮した建物になるのかを、提案する作業を言います。そこには敷地の条件や法的規制、予算、近隣との関係や工事の際の障害などを考慮した提案が成されます。
設計とひとくちに言っても、その内容は大きく分けると企画設計・実施設計・設計監理の三つの業務に分かれます。
【企画設計】
企画設計とは、その敷地に、どんな建物が建つのか、どのような建物が依頼者の希望を考慮した建物になるのかを、提案する作業を言います。そこには敷地の条件や法的規制、予算、近隣との関係や工事の際の障害などを考慮した提案が成されます。
【実施設計】
実施設計とは、企画設計で出来上がった基本的なイメージを、実際に工事する施工者に理解して貰うための詳しい内容を記した図面を、作図する作業のことを言います。打ち合わせの際には、依頼者の細かい希望が追加されていくこともあり、それらを正しく盛り込んだ詳細な図面を書き上げていきます。
実施設計とは、企画設計で出来上がった基本的なイメージを、実際に工事する施工者に理解して貰うための詳しい内容を記した図面を、作図する作業のことを言います。打ち合わせの際には、依頼者の細かい希望が追加されていくこともあり、それらを正しく盛り込んだ詳細な図面を書き上げていきます。
【設計監理】
設計監理とは、実施設計図面を基に施工者が工事をしていく際に、図面通りの工事が成されているか、間違いや思い違いが無いかを御依頼者の代わりとなり、専門家の視点で確認していく作業のことを言います。
これら三つの業務は、時として別々に発注されることありますが、皆さんがイメージされている建築家の設計とは、これらすべてをワンセットにして考えられていると思います。そしてこれら以外の作業には、次にあげるような作業にも対応しています。
建築家を探す
設計監理とは、実施設計図面を基に施工者が工事をしていく際に、図面通りの工事が成されているか、間違いや思い違いが無いかを御依頼者の代わりとなり、専門家の視点で確認していく作業のことを言います。
これら三つの業務は、時として別々に発注されることありますが、皆さんがイメージされている建築家の設計とは、これらすべてをワンセットにして考えられていると思います。そしてこれら以外の作業には、次にあげるような作業にも対応しています。
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セカンド・オピニオン―設計図への意見・提案
セカンド・オピニオンと聞くと、医療の世界において複数の専門家に意見を求め、より自分に適したい医療行為を選択するための意見や判断のことを言いますが、これは建築の世界にも当てはまります。そして建築家は、このセカンド・オピニオンに対応してくれます。
例えば他の設計者が作成した計画案に関して、「なんとなく自分の考えている家のイメージと違う」などという場合があるかもしれません。あるいは何度伝えても、自分の考えているイメージと違う計画案が提示され、どうしたらよいか悩んでしまうような場合、一度、第三者の建築家に相談してみることをお薦めします。客観的なアドバイスが貰えれば、きっとスッキリと解決するかもしれません。
セカンド・オピニオンと聞くと、医療の世界において複数の専門家に意見を求め、より自分に適したい医療行為を選択するための意見や判断のことを言いますが、これは建築の世界にも当てはまります。そして建築家は、このセカンド・オピニオンに対応してくれます。
例えば他の設計者が作成した計画案に関して、「なんとなく自分の考えている家のイメージと違う」などという場合があるかもしれません。あるいは何度伝えても、自分の考えているイメージと違う計画案が提示され、どうしたらよいか悩んでしまうような場合、一度、第三者の建築家に相談してみることをお薦めします。客観的なアドバイスが貰えれば、きっとスッキリと解決するかもしれません。
セカンド・オピニオン―見積書の見方やチェック
例えばハウス・メーカーや地域の工務店と家造りを考えている場合、提出された見積り書の見方が分からず、その内容に不安を感じてしまうことがあるかもしれません。そんな時にも、見積書の読み方や内容に関する疑問点などに関して、客観的に意見を貰える筈です。
例えばハウス・メーカーや地域の工務店と家造りを考えている場合、提出された見積り書の見方が分からず、その内容に不安を感じてしまうことがあるかもしれません。そんな時にも、見積書の読み方や内容に関する疑問点などに関して、客観的に意見を貰える筈です。
セカンド・オピニオン―現場監理だけ依頼
建売住宅やマンションなどを購入する方が、引き渡しを受ける際に内覧をしますが、この時に同行して貰うことも可能です。専門家の視点で、引き渡し時に必要な検査や保証書、その他大切な書類のチェックやアフターケアのことなどに関しても、チェックやアドバイスが貰えることでしょう。また建売住宅を購入する場合で、なおかつ工事の着工前ならば、工事監理だけを依頼することも可能です。
ただしセカンド・オピニオン業務は、たいへん厄介な作業になる場合もあるため、正式に依頼したい場合には、事前にきちんとした情報を提示した上で、よく御相談することが大切ですので、お忘れなく。
建売住宅やマンションなどを購入する方が、引き渡しを受ける際に内覧をしますが、この時に同行して貰うことも可能です。専門家の視点で、引き渡し時に必要な検査や保証書、その他大切な書類のチェックやアフターケアのことなどに関しても、チェックやアドバイスが貰えることでしょう。また建売住宅を購入する場合で、なおかつ工事の着工前ならば、工事監理だけを依頼することも可能です。
ただしセカンド・オピニオン業務は、たいへん厄介な作業になる場合もあるため、正式に依頼したい場合には、事前にきちんとした情報を提示した上で、よく御相談することが大切ですので、お忘れなく。
インスペクション業務
これもある意味では、セカンド・オピニオン業務と言えるかもしれません。インスペクションとは調査・検査という意味で、建設業界においては「ホーム・インスペクション(住宅診断)」という言葉が広く浸透しています。これは中古住宅を売買する際に、その建物の状態を正確に把握し、住宅の売り手・買い手の双方に不利益を与えないようにという趣旨の基、国土交通省が定めた指針です。
専門知識を学んだ資格所有者が住宅の状態を調べ、中古住宅をより良い状態で維持して欲しいと考えられたものです。2018年に改正された宅建業法では、中古住宅売買契約時にはインスペクションを受けるようにと、告知することが義務付けられました。これもその資格を持つ建築家の業務の一つです。
これもある意味では、セカンド・オピニオン業務と言えるかもしれません。インスペクションとは調査・検査という意味で、建設業界においては「ホーム・インスペクション(住宅診断)」という言葉が広く浸透しています。これは中古住宅を売買する際に、その建物の状態を正確に把握し、住宅の売り手・買い手の双方に不利益を与えないようにという趣旨の基、国土交通省が定めた指針です。
専門知識を学んだ資格所有者が住宅の状態を調べ、中古住宅をより良い状態で維持して欲しいと考えられたものです。2018年に改正された宅建業法では、中古住宅売買契約時にはインスペクションを受けるようにと、告知することが義務付けられました。これもその資格を持つ建築家の業務の一つです。
土地探しに関するアドバイス
「土地探しは不動産屋さんでは?」と、思われるかもしれませんが、実はそう決めつけるのは早計というもの。例えば土地は良かったのだが、そこに行くまでの道路に狭い場所があり、建築工事の際に工事費が余計に掛かってしまった―なんて話があります。
また土地購入費の予算が少ない時に、変形地や狭小地が安くて掘り出し物のように売られていると、つい飛び付きたくなってしまいますが、本当にその土地を購入して、ご自分たちが理想とする家が建つのか分からない―なんてことがあると思います。他にも地盤の様子に関して、土地購入前におおよその見当が付いていれば、家を建てる際に地盤の補強費用が必要か否か、判断が付くこともあります。
不動産会社は、あくまでも不動産会社の視点で土地を御紹介しますが、建築家はそこに建築の視点を加えてアドバイスすることが出来ます。また土地購入費と建築予算とのバランスが、著しく不釣り合いの場合には、その辺りに関してもアドバイスをしてくれることでしょう。
「土地探しは不動産屋さんでは?」と、思われるかもしれませんが、実はそう決めつけるのは早計というもの。例えば土地は良かったのだが、そこに行くまでの道路に狭い場所があり、建築工事の際に工事費が余計に掛かってしまった―なんて話があります。
また土地購入費の予算が少ない時に、変形地や狭小地が安くて掘り出し物のように売られていると、つい飛び付きたくなってしまいますが、本当にその土地を購入して、ご自分たちが理想とする家が建つのか分からない―なんてことがあると思います。他にも地盤の様子に関して、土地購入前におおよその見当が付いていれば、家を建てる際に地盤の補強費用が必要か否か、判断が付くこともあります。
不動産会社は、あくまでも不動産会社の視点で土地を御紹介しますが、建築家はそこに建築の視点を加えてアドバイスすることが出来ます。また土地購入費と建築予算とのバランスが、著しく不釣り合いの場合には、その辺りに関してもアドバイスをしてくれることでしょう。
建築家と書きましたが、これは設計者・設計事務所と読み替えても良いと思います。なぜなら今回ご説明したセカンド・オピニオン業務は、厄介で手間が掛かるうえに創造的な作業ではないため、積極的に関わってもらえない場合もあるからです。
そのあたりを理解された上で、それでも相談に乗ってもらえる建築家がいたら、ご相談されてみることをお薦めいたします。きっと想像した以上の結果に繋がると思いますよ。
家づくりのヒントを読む
そのあたりを理解された上で、それでも相談に乗ってもらえる建築家がいたら、ご相談されてみることをお薦めいたします。きっと想像した以上の結果に繋がると思いますよ。
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