カリフォルニア・ナパのラグジュアリーロッジをテーマにした、七里ヶ浜の邸宅
神奈川県鎌倉市の七里ヶ浜にほど近いエリアに、マイホームを建てることに決めたオーナーご夫妻。住宅のテーマに選んだのは、お2人の思い出の場所である、ワインカントリーのラグジュアリーロッジでした。
アメリカ・ロサンゼルス出身のご主人と神奈川県・横浜出身の奥様は、当時中学生になる息子さんの成長と、愛犬のトイプードルの飼育で手狭になった東京・品川のマンションから、神奈川・鎌倉へと移り住むことに。ご夫妻は、マイホームを建てるために、七里ヶ浜にほど近い住宅街の土地を購入しました。
裏山を含めた全体面積約1,056平方メートル、敷地面積約441平方メートルと、かなり広大な土地でしたが、住民協定で土地の分割不可が掲げられているこのエリアでは、そう珍しくはありませんでした。海を望むことができ、美しい邸宅が立ち並ぶ開放的なこのエリアに、ご主人はロサンゼルスに通ずるものを感じたと話します。
購入したとき、敷地内にはかつてのオーナーが建てた住宅と、小高い山があったそう。ご夫妻は、もともとあった自然の特性を残しながら、ご自身たちの思い出のロッジをテーマにした家に建て替えることを決めました。「できればローカルで活躍する建築家に依頼したい」と考えたご夫妻は、不動産会社から紹介されたYu設計企画 一級建築士事務所の梅澤洋生さんに設計デザインを依頼することにしました。
裏山を含めた全体面積約1,056平方メートル、敷地面積約441平方メートルと、かなり広大な土地でしたが、住民協定で土地の分割不可が掲げられているこのエリアでは、そう珍しくはありませんでした。海を望むことができ、美しい邸宅が立ち並ぶ開放的なこのエリアに、ご主人はロサンゼルスに通ずるものを感じたと話します。
購入したとき、敷地内にはかつてのオーナーが建てた住宅と、小高い山があったそう。ご夫妻は、もともとあった自然の特性を残しながら、ご自身たちの思い出のロッジをテーマにした家に建て替えることを決めました。「できればローカルで活躍する建築家に依頼したい」と考えたご夫妻は、不動産会社から紹介されたYu設計企画 一級建築士事務所の梅澤洋生さんに設計デザインを依頼することにしました。
レッドシダーの外壁は、カリストガ・ランチの外観を忠実に再現しています。「ログハウスのような素朴なイメ-ジとなることを避けるため、壁タイル・アルミサッシ・アイアン手摺りなど、異素材でメリハリのある外観となるようデザインしました」と梅澤さんは話します。
「レッドシダ-は節無のコーティング塗装品を使用し、荒々しさを極力抑えました。表面コ-ティング塗装による劣化対策、材料・構造にて、防火対応仕様としています」
「レッドシダ-は節無のコーティング塗装品を使用し、荒々しさを極力抑えました。表面コ-ティング塗装による劣化対策、材料・構造にて、防火対応仕様としています」
また、ご夫妻は住まいのイメージを具体的に描くために、Houzzをよく利用していたといいます。「自分たちのアイデアブックをつくって、インスピレーションフォトを集めていたんです。梅澤さんとの打ち合わせの際に、それを共有することもありました」とご主人。「海外の事例写真をよく参考にしていましたね」と奥様も話します。
「イメージの共有やヒアリングに加え、実際にお使いの家具なども拝見させていただき、計画の足掛かりとさせていただきました」と梅澤さん。今回のプロジェクトの主題であるナパのロッジをはじめ、ご夫妻のご希望は海外の住宅のイメージに近かったため、「ご予算や工期工程的にも、当時日本で入手可能な建材を使用してご要望イメ-ジに近づけることは、難しかった点といえます」と梅澤さんは続けます。
アイデアブックにお気に入りの写真を保存する方法
「イメージの共有やヒアリングに加え、実際にお使いの家具なども拝見させていただき、計画の足掛かりとさせていただきました」と梅澤さん。今回のプロジェクトの主題であるナパのロッジをはじめ、ご夫妻のご希望は海外の住宅のイメージに近かったため、「ご予算や工期工程的にも、当時日本で入手可能な建材を使用してご要望イメ-ジに近づけることは、難しかった点といえます」と梅澤さんは続けます。
アイデアブックにお気に入りの写真を保存する方法
BBQスペースから庭を望む。BBQエリアの一段上にあるピクニックエリアからは、富士山や江ノ島を眺めることができる
玄関の裏側には、ウッドデッキを備えた大きな庭が。ウッドデッキには屋外用のダイニングセットを置き、アウトドアリビングとしています。
敷地内にある山には、もともと設けられていた階段から上がれるようになっており、写真手前に写るスペースは、今はBBQやピクニックを楽しめる空間とされています。「施工業者の方に紹介していただいた造園業者の大宏園さんに、庭づくりとアウトドアスペースの設計・施工をお願いしました。BBQスペースで食材を焼いて、ウッドデッキのテーブルで食事したりしています」と奥様。
BBQスペースのアイデアをもっと見る
玄関の裏側には、ウッドデッキを備えた大きな庭が。ウッドデッキには屋外用のダイニングセットを置き、アウトドアリビングとしています。
敷地内にある山には、もともと設けられていた階段から上がれるようになっており、写真手前に写るスペースは、今はBBQやピクニックを楽しめる空間とされています。「施工業者の方に紹介していただいた造園業者の大宏園さんに、庭づくりとアウトドアスペースの設計・施工をお願いしました。BBQスペースで食材を焼いて、ウッドデッキのテーブルで食事したりしています」と奥様。
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ご主人は、「造園家の方には、『あくまで鎌倉らしい庭にしてほしい』とお願いしました」と振り返ります。
もともと庭に植えられていた立派な梅の木(写真中央)は残し、新たにモミジ・桜・レモンの木を追加。さらに、鎌倉らしい紫陽花をBBQエリアに、鮮やかなラベンダーを建物表側に植えました。大きな庭石も購入当初からあったもので、これもそのまま活かし、一部をストーンガーデンのように演出しています。
庭づくりの記事を読む
もともと庭に植えられていた立派な梅の木(写真中央)は残し、新たにモミジ・桜・レモンの木を追加。さらに、鎌倉らしい紫陽花をBBQエリアに、鮮やかなラベンダーを建物表側に植えました。大きな庭石も購入当初からあったもので、これもそのまま活かし、一部をストーンガーデンのように演出しています。
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ライトアップされた夜のウッドデッキ。ウッドデッキはリビングに面しており、大開口サッシを開放すれば内外の境界をなくすことも
「レモンの木を植えたのは、南イタリア・アマルフィの要素を入れたかったからです。私たちにとっては、2018年の夏に家族で訪れた思い出のリゾート地ですが、なぜだか湘南エリアにはアマルフィという名前のお店が多いんですよね。街の雰囲気が少し似ているのかも」とご主人は笑います。
「レモンの木を植えたのは、南イタリア・アマルフィの要素を入れたかったからです。私たちにとっては、2018年の夏に家族で訪れた思い出のリゾート地ですが、なぜだか湘南エリアにはアマルフィという名前のお店が多いんですよね。街の雰囲気が少し似ているのかも」とご主人は笑います。
1階LDK。キッチンからダイニング・リビングを望む
内装のイメージは、ナパのロッジ以外に、Houzzなどで見つけたアメリカの住宅も参考にされています。
「インスピレーションを得た写真の多くはアメリカの住宅のものでしたので、キッチンやダイニングの規模がかなり大きかったんです」とご主人。「今回は日本の住宅のプロジェクトですし、当然規模は異なりますが、広く見せるための工夫として、一面を鏡張りにしました。壁の向こうまで部屋が続いているように見せる、視覚的トリックです」
また、インテリアにも、海外製のものが多く採用されています。たとえば照明器具は、日本製のものは写真手前のペンダントライトとダウンライトのみ。そのほかは、ご夫妻のお気に入りのブランドである、アメリカのWilliams-Sonoma(ウィリアムズ・ソノマ)や、Pottery Barn(ポッタリー・バーン)のものだそう。画像奥中央の照明は、ポッタリー・バーンの『Adeline Crystal(アデリーヌ・クリスタル)』です。
内装のイメージは、ナパのロッジ以外に、Houzzなどで見つけたアメリカの住宅も参考にされています。
「インスピレーションを得た写真の多くはアメリカの住宅のものでしたので、キッチンやダイニングの規模がかなり大きかったんです」とご主人。「今回は日本の住宅のプロジェクトですし、当然規模は異なりますが、広く見せるための工夫として、一面を鏡張りにしました。壁の向こうまで部屋が続いているように見せる、視覚的トリックです」
また、インテリアにも、海外製のものが多く採用されています。たとえば照明器具は、日本製のものは写真手前のペンダントライトとダウンライトのみ。そのほかは、ご夫妻のお気に入りのブランドである、アメリカのWilliams-Sonoma(ウィリアムズ・ソノマ)や、Pottery Barn(ポッタリー・バーン)のものだそう。画像奥中央の照明は、ポッタリー・バーンの『Adeline Crystal(アデリーヌ・クリスタル)』です。
階段室。中央の照明はウィリアムズ・ソノマの『Darlana Lantern(ダーラナ・ランタン)』
「照明はほとんど日本で販売されていないものなので、カリフォルニアの店舗のスタッフの方にオンラインで相談し、私たちのイメージに合ったものを提案してもらいました」と奥様。ご主人は、「購入したアメリカ製の家具は、コンテナを借りて日本まで輸送してもらったんです。なかなか大変でしたね」と振り返ります。
「照明はほとんど日本で販売されていないものなので、カリフォルニアの店舗のスタッフの方にオンラインで相談し、私たちのイメージに合ったものを提案してもらいました」と奥様。ご主人は、「購入したアメリカ製の家具は、コンテナを借りて日本まで輸送してもらったんです。なかなか大変でしたね」と振り返ります。
1階リビング。照明はダイニングに同じく、ポッタリー・バーンの『アデリーヌ・クリスタル』シリーズ
リビングで印象的なのは、なんといっても重厚感のあるテレビボード。中央にDIMPLEX暖炉が埋め込まれているテレビボードと、テレビの背面の壁にはタモ(柾目)の無垢材を採用し、両サイドの石貼りの柱に合わせた塗装が施されています。
「角度によって、黒やグレー、緑にも見える複雑な石で、この柱の複雑な色彩に合う色をブレンドしてつくってもらったんです。さらに『木目を残しながら色を乗せてほしい』ともリクエストしたので、難しい作業だったと思います」とご主人。その甲斐あって、ワントーンに統一されつつも、異素材がミックスされたラグジュアリーなテレビボードに仕上がりました。
リビングで印象的なのは、なんといっても重厚感のあるテレビボード。中央にDIMPLEX暖炉が埋め込まれているテレビボードと、テレビの背面の壁にはタモ(柾目)の無垢材を採用し、両サイドの石貼りの柱に合わせた塗装が施されています。
「角度によって、黒やグレー、緑にも見える複雑な石で、この柱の複雑な色彩に合う色をブレンドしてつくってもらったんです。さらに『木目を残しながら色を乗せてほしい』ともリクエストしたので、難しい作業だったと思います」とご主人。その甲斐あって、ワントーンに統一されつつも、異素材がミックスされたラグジュアリーなテレビボードに仕上がりました。
2階主寝室。照明はポッタリー・バーンの『Bella Crystal(ベラ・クリスタル)』。ベッドサイドには、窓を模した鏡が飾られている
主寝室の窓からは、敷地内にある山の緑(写真左の窓)と、晴れた日には富士山(写真外、反対側の窓)を望むことができます。山側の窓の前にはリモートワーク用のデスクが置かれ、自然を楽しみながら仕事に打ち込むことができます。
主寝室の窓からは、敷地内にある山の緑(写真左の窓)と、晴れた日には富士山(写真外、反対側の窓)を望むことができます。山側の窓の前にはリモートワーク用のデスクが置かれ、自然を楽しみながら仕事に打ち込むことができます。
「コロナ禍以降、ほとんどリモートワーク中心の働き方に変わりました。なので、住まいのいたるところにリモートワーク用のスペースを設けているんです。外までwi-fiを飛ばしているので、庭で仕事をすることもあります」とご主人。これは建て替えの計画がスタートした2019年当初にはなかったアイデアで、パンデミックにより計画が一時中断された後、再開した際に決定したのだそう。
「アウトドアリビングやBBQスペースなどもそうですが、家の中にさまざまな楽しめる要素があることに、コロナ禍は助けられました。家族で家の中にいても、それぞれの居場所がたくさんあるので、『あれ?今はどこで過ごしてるんだろう?』と探すこともあるくらいです」とご主人は楽しそうに話します。さらに、海外からのお客様をお迎えするスペースができたのも、お2人が満足されている点だそう。
「アウトドアリビングやBBQスペースなどもそうですが、家の中にさまざまな楽しめる要素があることに、コロナ禍は助けられました。家族で家の中にいても、それぞれの居場所がたくさんあるので、『あれ?今はどこで過ごしてるんだろう?』と探すこともあるくらいです」とご主人は楽しそうに話します。さらに、海外からのお客様をお迎えするスペースができたのも、お2人が満足されている点だそう。
2階ゲストルーム。この部屋だけはテイストを変えて、もとの住まいで使われていたイギリス製の家具が配置されている。ベッドカバーは奥様がロンドンで特注したもの
もし、計画がスタートしたのが一年後だったのなら、この家をつくることはできなかったかもしれないとご夫妻は話します。実際、輸入木材が不足している現在の状況を考えれば、レッドシダーをふんだんに使ったこの外観を、同じ予算でつくり上げることは難しいでしょう。
「コロナ禍の家づくりとなり、想像以上に時間がかかってしまいましたが、リモートワーク中にもリゾートにいるような感覚が味わえますし、とても満足しています」と奥様は話します。大切な思い出の場所をイメージしたこの家は、お2人のセンスとこだわりが反映された、唯一無二の住まいとなりました。
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もし、計画がスタートしたのが一年後だったのなら、この家をつくることはできなかったかもしれないとご夫妻は話します。実際、輸入木材が不足している現在の状況を考えれば、レッドシダーをふんだんに使ったこの外観を、同じ予算でつくり上げることは難しいでしょう。
「コロナ禍の家づくりとなり、想像以上に時間がかかってしまいましたが、リモートワーク中にもリゾートにいるような感覚が味わえますし、とても満足しています」と奥様は話します。大切な思い出の場所をイメージしたこの家は、お2人のセンスとこだわりが反映された、唯一無二の住まいとなりました。
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所在地:神奈川県鎌倉市
住まい手:オーナーご夫妻と中学生の息子さん、トイプードル
土地面積:1056.21平方メートル
敷地面積:440.99平方メートル
建築面積:133.80平方メートル
延床面積:239.51平方メートル
構造:木造2階建
設計:Yu設計企画 一級建築士事務所(梅澤洋生)
施工:株式会社クレイン
施工時期:2019年3月〜2021年10月
竣工:2021年10月
ご夫妻がデザインのテーマとして梅澤さんに共有したのは、アメリカ・カリフォルニア州ナパのCalistoga Ranch Estate Lodge(カリストガ・ランチ・エステート・ロッジ)。お2人がナパで結婚式を挙げた際に宿泊し、各国から駆けつけたご友人たちとパーティーをしたりと、素敵な時間を過ごされたそう。残念ながら、昨年起こった山火事のために現在は閉業しているものの、ご夫妻にとって思い出深い場所です。