夫婦の夢が叶ったカフェ《ヘッソオルガニカ》と高台の家
地域の “ヘソ” のような存在にーー《ヘッソオルガニカ》と名付けられたカフェ兼住居スペースです。
Yu Ebihara
2017年11月29日
Houzz Japan editorial team staff. / ハウズ ジャパンのエディトリアルスタッフです。
愛知県岡崎市の見晴らしのよい高台の住宅地に、2015年12月に誕生したオーガニックカフェ《HessOrganica(ヘッソオルガニカ)》。市内近郊の農家から仕入れた無農薬野菜を使った体に優しい料理はリピーターも多い。1階をカフェにし、半地下と2階に住居スペースを構えて、居住スペースとカフェの繋がりをもたせたのが特徴だ。
どんなHouzz?
居住者:西村拓也さん、真紀子さん
所在地:愛知県岡崎市
設計:山本卓郎建築設計事務所
延床面積:115.84平方メートル
竣工:2015年10月
設計したのは、東京以外の物件も多く手がけている山本卓郎建築設計事務所。
発注したきっかけは、2012年に山本さんが新宿で行った展示会。西村さん夫婦は、若くてセンスがある山本さんの模型に目が釘付けになったのだという。「家を建てるなら、ちゃんと建築家にお願いをしたいという希望がありました。それに、せっかくお金をかけて家を頼むなら、将来性のある若い建築家に頼みたいと思ったんです」という拓也さんの意見もあり、山本さんに依頼をした。
居住者:西村拓也さん、真紀子さん
所在地:愛知県岡崎市
設計:山本卓郎建築設計事務所
延床面積:115.84平方メートル
竣工:2015年10月
設計したのは、東京以外の物件も多く手がけている山本卓郎建築設計事務所。
発注したきっかけは、2012年に山本さんが新宿で行った展示会。西村さん夫婦は、若くてセンスがある山本さんの模型に目が釘付けになったのだという。「家を建てるなら、ちゃんと建築家にお願いをしたいという希望がありました。それに、せっかくお金をかけて家を頼むなら、将来性のある若い建築家に頼みたいと思ったんです」という拓也さんの意見もあり、山本さんに依頼をした。
設計を依頼した当初から、自宅でカフェを開きたいという夢はあったが、カフェを真ん中層にして、2つのプライベートルームで挟むというアイデアを山本さんから提案されたとき、夫婦は驚いたという。だが「家もカフェも繋がっている感じにしたい」という希望も叶えられ、なおかつ、飲食業をするスペースは独立性を保たなければならないという保健所のルールもクリアできる。「お店にいるときにも家族の気配が感じられるのがいいですね」と真紀子さん。
設計から2年もの月日をかけ、ようやく竣工。「建築家とクライアントという関係性ではありますが、納得いくまでたくさん話し合いましたね。お互い妥協しませんでしたので時間もかかりました(笑)。でもその結果、本当にすばらしいものを建てていただけたと思います」と夫婦は満足そうな笑顔で話す。
設計から2年もの月日をかけ、ようやく竣工。「建築家とクライアントという関係性ではありますが、納得いくまでたくさん話し合いましたね。お互い妥協しませんでしたので時間もかかりました(笑)。でもその結果、本当にすばらしいものを建てていただけたと思います」と夫婦は満足そうな笑顔で話す。
緩やかな傾斜の階段とエントランスを経て、ナチュラルでシンプルなカフェ兼リビング&キッチンへ。南西向きで北・南・西の3面から光が差し込み大変明るい。景観のよさがカフェの自慢だ。床のフローリングはレッドシダー材を使用。
リビングとキッチンは、お店と兼用だが、寝室は独立したスペースが欲しいというのが夫婦の希望だった。また、真紀子さんからは、ヨガができるスペースが欲しいという希望も出た。だからと言って、それら専用の部屋が欲しいということではなく、半地下のスペースか、2階部分のどちらかに布団を敷いて寝る。床には杉材を使用している。
ヨガをする真紀子さんにとって、太陽の光を取り入れること、すなわち「健康な家づくり」をすることは大切なポイントだった。そこで、完全に地下に部屋をつくるのではなく、エントランスよりも少し目線を落とした半地下に部屋を構えた。高台という立地を生かしたつくりと言える。
かと言って、直射日光が部屋全体に射し込むということはないため、夏は涼しく過ごせ、通称「夏の部屋」と呼ばれている。
サンクンガーデンにはシマトネリコ、紫陽花、レモンバーム、ミントなどのハーブ類が植えられている。半地下ということで、多少陽が当たらなくても元気に育つ植物をチョイスした。
かと言って、直射日光が部屋全体に射し込むということはないため、夏は涼しく過ごせ、通称「夏の部屋」と呼ばれている。
サンクンガーデンにはシマトネリコ、紫陽花、レモンバーム、ミントなどのハーブ類が植えられている。半地下ということで、多少陽が当たらなくても元気に育つ植物をチョイスした。
こちらが2階の部屋。通称「冬の部屋」。付近に陽を遮るものがなく、十分な採光で冬でも暖かなので、冬に家族で集う部屋=冬の部屋と名付けた。「夏の部屋」に比べて天井が低くつくられており、「寝るときに落ち着くんです」と拓也さん。「設計から施工まで熟考を重ねましたが、住んでみて初めてわかることが多いというか、発見のある家ですね」。
伝声管は、山本さんのアイデア。中古のトランペットのラッパ部分と亜鉛メッキの銅管で手作りした。2階の夏の部屋から、1階のお店、そして半地下の冬の部屋まで伝言ができる。内線電話よりもアナログで、“繋がっている” 感じがする工夫だ。
「お風呂やトイレや洗面所が南側で繋がっている感じが好きなんですよね」と真紀子さんは話す。水回りはコンパクトだが、バスルームにはトップライトがあり、ちょうどそこから満月が見えたことがあったのだという。朝には陽が差し込み、白いタイルの反射もまぶしい。そんな気持ちがシャキッとするような朝風呂もいいのだという。
白いタイルは、真紀子さんのこだわりポイントで、雑誌の住宅特集で見て欲しいと思った、ニューヨークのサブウェイ(地下鉄)のセラミックタイルを使っている。「日本のタイルと全然違い、つくりが適当で品質が均一じゃなくて、おまけに高くて弱いけど、絶対これがいいと思ったんです。その均一じゃない感じ、ひとつひとつのタイルに個性がある感じがかわいく思えて」と真紀子さん。
この家をつくるにあたって、「ひとりひとつ贅沢をしよう」というのが西村さん夫婦と山本さんの決め事だった。山本さんは伝声管、拓也さんはスペース、そして真紀子さんはこのタイルをチョイスしたのだ。
白いタイルは、真紀子さんのこだわりポイントで、雑誌の住宅特集で見て欲しいと思った、ニューヨークのサブウェイ(地下鉄)のセラミックタイルを使っている。「日本のタイルと全然違い、つくりが適当で品質が均一じゃなくて、おまけに高くて弱いけど、絶対これがいいと思ったんです。その均一じゃない感じ、ひとつひとつのタイルに個性がある感じがかわいく思えて」と真紀子さん。
この家をつくるにあたって、「ひとりひとつ贅沢をしよう」というのが西村さん夫婦と山本さんの決め事だった。山本さんは伝声管、拓也さんはスペース、そして真紀子さんはこのタイルをチョイスしたのだ。
《HessOrganica》は、駅から1kmほど離れた高台にある。建築計画は土地探しから始まったが、当初から、平地に住むことは考えられなかったのだという。「前のマンション住まいのときも、夕景が本当にきれいだったので、次の住まいも絶対に見晴らしのいいところがいいと思っていました」と真紀子さん。
拓也さんは通勤で、駅までの1kmの道のりを歩いているが、不便さを感じない絶妙な距離感なのだという。
こちらもあわせて
懐かしい昭和初期の洋館をイメージした、小田原の高台に立つ家
三世代同居、それぞれのライフスタイルやメンテナンスに配慮した家《ウィークリンク》
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地平線が見渡せるほど抜けのいい屋上テラスからの眺め。テラスの中央で軽く腰掛けられるように、と段差をつけた。外観も窓も全体的に四角で構成されているので、どこかに円形ものもが欲しいという真紀子さんの依頼で、溝は円形に掘られている。
ここで友人たちを招いてみんなで腰掛けて、日が暮れるのを眺めたり、岡崎の花火を鑑賞したりするのが至福のひとときなのだそう。
「夏だったらビールを飲むのが最高ですし、冬ならモーツァルトの『葬送行進曲』を聴きながら、この風景を眺めているとたまらない気持ちになるんです」と拓也さん。感動も哀愁も共有できるのが、この屋上テラスなのだ。
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My Houzz/日本/北米/中南米/ヨーロッパ/北欧/中東/アジア/オセアニア/新築/リノベーション/別荘/二世帯住宅/賃貸住宅
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伝声管は素敵なアイデアですね。
私の自宅も山の途中に建てられています。この眺めを色々な方とシェアする暮らしが夢です。カフェを一件経営していますが、いつかこの場所でも、と考えていたらすでにこんな素敵な実践があったと知り嬉しくなりました。写真はカフェですが、手作りオーナメントなど、楽しくオシャレ感を演出するのが私の楽しみです。
「一人 ひとつづつ贅沢をする」というコンセプトが、素敵だなと思いました。