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Houzzツアー:登れる三角屋根とテラスになる大きな窓が楽しい別荘
大家族で最高のバカンスを楽しむために、若手建築家が工夫をこらしたスウェーデンの木造の別荘。
Sara Norrman
2016年4月29日
理想のバカンスといえば、思い浮かぶのは、自然に囲まれた場所で、安らかさ静けさの中、家族や友人たちと過ごしたい、ちょっとしたスペースを利用して読書や昼寝を楽しむ、というイメージではないだろうか。建築家のレオ・クヴァルセボさんも例外ではなかった。だが、彼が他の人と違っていた点が1つある。それは、建築学科を卒業すると、すぐにすばらしい別荘を建てて理想のバカンスを手に入れてしまったということ。「若い建築家なら誰でもそうだと思うのですが、自分の実力を人に見せたい、という気持ちがあったんです。それも、コンペに参加するのとは別の方法で。だから、身につけた知識を実際の住まいと暮らしにとりいれた家を自分で設計し、建てよう、と思ったんです」とクヴァルセボさんは話す。
クヴァルセボさんの家は、兄弟姉妹が4人いる大家族。夏には親族や友人がシャーンスンドに集まるが、20人が泊まれる家はなかった。「いとこたちがシャーンスンドに住んでいて、土地ももっていました。遊びに行ったときにそのあたりを一緒に散歩していると、ふいに牧草地の真ん中に小さな敷地が見えたのです。まさに、求めていた通りの環境でした。まず電気と水道を引いて、それからこのあたりに座って、デッサンを始めました」とクヴァルセボさん。
まず、周囲にある昔ながらの建物や納屋を観察したが、それだけでは、代わり映えのしないアイデアしか湧いてこない。とはいえ、現代的なファームハウスを建てるには技術力が足りない。「そんななかで、自分はバカンスで本当は何をしたいだろうか、と考え、建築的なコンセプトを現実化して住宅をつくろう、と思い始めました。別荘では何をするのだろうかと考えてみると、料理をすること、屋内と屋外の両方を楽しむこと、のんびりと読書すること、という3点が浮かびました。では、これらの3つの活動をどうしたら家にすることができるのか? それぞれの活動のための空間を並べるのはつまらないと思ったので、積み重ねることにしました。すると、3つの活動のための空間を備えた、テントに似た、というよりはまるでテントのような建物が生まれました」とクヴァルセボさんは話す。
クヴァルセボさんの家は、兄弟姉妹が4人いる大家族。夏には親族や友人がシャーンスンドに集まるが、20人が泊まれる家はなかった。「いとこたちがシャーンスンドに住んでいて、土地ももっていました。遊びに行ったときにそのあたりを一緒に散歩していると、ふいに牧草地の真ん中に小さな敷地が見えたのです。まさに、求めていた通りの環境でした。まず電気と水道を引いて、それからこのあたりに座って、デッサンを始めました」とクヴァルセボさん。
まず、周囲にある昔ながらの建物や納屋を観察したが、それだけでは、代わり映えのしないアイデアしか湧いてこない。とはいえ、現代的なファームハウスを建てるには技術力が足りない。「そんななかで、自分はバカンスで本当は何をしたいだろうか、と考え、建築的なコンセプトを現実化して住宅をつくろう、と思い始めました。別荘では何をするのだろうかと考えてみると、料理をすること、屋内と屋外の両方を楽しむこと、のんびりと読書すること、という3点が浮かびました。では、これらの3つの活動をどうしたら家にすることができるのか? それぞれの活動のための空間を並べるのはつまらないと思ったので、積み重ねることにしました。すると、3つの活動のための空間を備えた、テントに似た、というよりはまるでテントのような建物が生まれました」とクヴァルセボさんは話す。
どんなHouzz
居住者:建築家レオ・クヴァルセボさん、妻と2人の子供
所在地:スウェーデンのダーラナ地方、シャーンスンド
規模:85平方メートル、8部屋(うち小部屋が2つ)
写真 : Lindman Photography
最初の課題は、テント型の家をどうやってつくるか、ということだった。「すべてが木でできた家を建てたいと考えました。木はエコロジカルな建材ですし、自然な環境をつくりだしてくれますから」とクヴァルセボさん。
居住者:建築家レオ・クヴァルセボさん、妻と2人の子供
所在地:スウェーデンのダーラナ地方、シャーンスンド
規模:85平方メートル、8部屋(うち小部屋が2つ)
写真 : Lindman Photography
最初の課題は、テント型の家をどうやってつくるか、ということだった。「すべてが木でできた家を建てたいと考えました。木はエコロジカルな建材ですし、自然な環境をつくりだしてくれますから」とクヴァルセボさん。
「切妻屋根を自然にとけこませたいと考え、外壁を少しくすんだグレーにペイントしました。グレーは、家の後ろに広がる森にある色なのです」とクヴァルセボさん。
色を塗ると、驚くような視覚的な効果が生まれた。家の背面の壁はまるで大地に屹立する垂直な岩壁のようにも見える。
色を塗ると、驚くような視覚的な効果が生まれた。家の背面の壁はまるで大地に屹立する垂直な岩壁のようにも見える。
広々とした景色が広がる一方、北側には森が壁のように聳え立つ敷地である。そこで、ビショーン湖に面した眺めを存分に楽しめるよう、家は南向きに建設した。また、ただ漫然と景色を眺めるだけでは終わらせたくない、とも考えた。「家の中から表情豊かなパノラマの景色を楽しめるようにしたい、と思ったのです」とクヴァルセボさんは話す。
東側のファサードは実はクライミング練習用の壁になっている。テラスまでよじ登ったら、屋根に背を委ねながらのんびり座って過ごせる。
傾斜した屋根に張り出し窓を設置すると、その上がテラスとなり、座れるスペースになった。窓の内側には、バカンスを過ごすためのわずかな荷物を置いておく収納スペースもできた。「家族はみんな、30分で荷造りし、車に載せてここに来ます。だから、みんな持ってくる荷物は少ないんです。」
傾斜した屋根に張り出し窓を設置すると、その上がテラスとなり、座れるスペースになった。窓の内側には、バカンスを過ごすためのわずかな荷物を置いておく収納スペースもできた。「家族はみんな、30分で荷造りし、車に載せてここに来ます。だから、みんな持ってくる荷物は少ないんです。」
足を踏み入れたとたんに、くつろぎを感じられる室内だが、クヴァルセボさん一家は、計画通り、ここで読書や瞑想を楽しんでいるのだろうか?「ええ、その通りです。ここでは、情報に追い立てられる都会とは全然違う時間を過ごしています。すべてがシンプルな暮らし、自分の思うままに時を過ごしています」とクヴァルセボさん。
比較的狭い敷地に、8室を絶妙に配置している。部屋の広さと天井高は、部屋の使用目的と配置によって変えている。天井高さは最高8メートルだが、小部屋ではわずか1.2メートル。「自動車でいうとクーペです。必要なものにすぐ手が届きますからね。」
部屋は空に向かって開かれており、8月には星空や稲妻の走る空を眺めることができる。
階段が各階の間に動きを生み出す。1.2メートルごとに踊り場があって折り返す。「上の階の様子が見えて、踊り場と踊り場の間につながりが生まれるような構造を目指しました。」
いずれは、壁に、階段の背景となるような大きな本棚を建築するつもりだそう。完成すれば、住まいに新しい広がりが生まれそうだ。
いずれは、壁に、階段の背景となるような大きな本棚を建築するつもりだそう。完成すれば、住まいに新しい広がりが生まれそうだ。
中国に工場を移転するというおもちゃメーカーから、壁を覆うベニヤ板を入手した。「厚手のものから品質の良いものまで、あらゆる種類のベニヤ板がてに入りました。子供たちがこのメーカーのジグソーパズルで遊んでいるのですが、ピースを手に取って見ると、わが家の壁の模様と同じだったりするので楽しいです 。」
友人たちと父で芸術家のミカエル・クヴァルセボさんに手伝ってもらい、セルフビルドで建てた家だ。「作業中は常にメモを取り、後で骨組みの組み立てやファサードの補強、室内の仕上げといった作業に要した時間を集計しました。建築にかけた時間は最終的には2000時間、つまり50週間の作業でした。」
ドアや小窓、キッチンの家具のような、家に必要な要素はすべて、インターネットのオークションサイトで手に入れた。浴室の洗面台に至るまで中古品。ただし、未使用品だけを選んだそうだ。
最近は、子どもたちが遊ぶブランコの支柱でホップを育てている。(ブランコも変わらず使える)。ここちよい木漏れ日が落ちるので、ここで朝食をとることも。
地面にはダンスをする2羽のツルの彫刻が置かれている。「父のミカエルは芸術家で、トラーノース(スウェーデンのある町)のためにこの作品をつくりました。実物は、5倍の大きさがありますが、ここにあるのはその前につくったモデルです。この場所ほど、この作品にぴったりな場所はないと思います。何しろ、目の前の草原で、本物のツルたちが求愛のダンスをしているのですからね。」
求愛のダンスをするツルの姿は、テラスから観察することができる。ここは人生において欠かすことのできない大切なことに気づかされる場所。訪れる度にそうした気づきを一家は大切にしている。
地面にはダンスをする2羽のツルの彫刻が置かれている。「父のミカエルは芸術家で、トラーノース(スウェーデンのある町)のためにこの作品をつくりました。実物は、5倍の大きさがありますが、ここにあるのはその前につくったモデルです。この場所ほど、この作品にぴったりな場所はないと思います。何しろ、目の前の草原で、本物のツルたちが求愛のダンスをしているのですからね。」
求愛のダンスをするツルの姿は、テラスから観察することができる。ここは人生において欠かすことのできない大切なことに気づかされる場所。訪れる度にそうした気づきを一家は大切にしている。
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