日々の花の楽しみ方:春の花は「やんちゃ」にいけてみよう
春に咲く花がまとっているエネルギーを生かし、器との出会いを楽しみながら。肩肘張らずに、自由にいける「日々の花」に親しむヒントをお伝えします。
Mikako Ichimura
2016年3月27日
フラワーデザイナー、「緑の居場所デザイン」主宰。大きな緑の居場所から、花一輪の小さな緑の居場所まで、生花にまつわる様々な提案をしています。
植物は、季節それぞれのエネルギーをまとっています。春には春のエネルギーを、夏には夏のエネルギーを。
春は新芽がぐんぐん伸びて、つぼみがふくらみ、花が咲き、緑が芽吹いて広がっていく、始まりの季節。だから、植物も若いエネルギーに満ち満ちています。そのエネルギーを最大限に生かす方法は、「やんちゃにいける」こと。今の季節のお花の持ち味を楽しむためにご提案したい方法のひとつです。今回はそのお話をしましょう。
春は新芽がぐんぐん伸びて、つぼみがふくらみ、花が咲き、緑が芽吹いて広がっていく、始まりの季節。だから、植物も若いエネルギーに満ち満ちています。そのエネルギーを最大限に生かす方法は、「やんちゃにいける」こと。今の季節のお花の持ち味を楽しむためにご提案したい方法のひとつです。今回はそのお話をしましょう。
花のそばを通りかかったときに、思わずくすっと笑ってしまうような、暮らしの中で、人も植物もちょっとほっとするような、そんな花のいけ方があると思います。特に、なんでもない毎日の暮らしに寄り添う「日々の花」であれば。
さて、「やんちゃにいける」ってどういうこと? とお思いになったでしょうか。これからその例をいくつか見ていただきます。
こちらは、黒いピッチャーから、原色の花たちが四方八方にびゅんびゅん飛び跳ねているようなイメージです。赤と黄色のラナンキュラス、ブルーのアネモネ、黄色のラケナリア、そしてゼラニュームの葉。花たちの鮮やかな色彩と、茎の勢いを生かした軽やかで元気いっぱいの躍動感が、静かでどっしりとした黒い器と真逆の印象なので、さらに持ち味が引き出されます。
こちらは、黒いピッチャーから、原色の花たちが四方八方にびゅんびゅん飛び跳ねているようなイメージです。赤と黄色のラナンキュラス、ブルーのアネモネ、黄色のラケナリア、そしてゼラニュームの葉。花たちの鮮やかな色彩と、茎の勢いを生かした軽やかで元気いっぱいの躍動感が、静かでどっしりとした黒い器と真逆の印象なので、さらに持ち味が引き出されます。
長ーい試験管のようなガラスの筒の先に、ちょこんとのっかった小さなビオラ。短い花を、あえて背の高い花瓶にいけることによって、その花の可愛らしさ、小ささが強調されます。普通に考えたらバランスが悪いかもしれませんが、このアンバランスさ、不安定さが、なんだか自由奔放でユーモラスに見えませんか? こういったやんちゃな可愛らしさを、春の花でいろいろチャレンジしてみていただきたいのです。
この骨董の壺は直径5、6cm程度の小さなものですが、黒百合と一緒に、ひゅーんと大胆に横に張り出した枝をいけました。器が小さく静かな雰囲気であることで、枝の形の自由な感じが強調されて見えると思います。
これも、普通に考えたらちょっとアンバランスかもしれません。エピデンドラム(蘭の一種)の長く伸びた茎が、まるで思いっきり背伸びをしているようで可愛らしいですね。おちゃめな顔つきが、穏やかな白い花器とも好対照です。
ここまで見てきた例のように、花の個性を、それとは対照的な印象を持つ花瓶が引き立ててくれることを、ぜひ覚えておいてください。
ここまで見てきた例のように、花の個性を、それとは対照的な印象を持つ花瓶が引き立ててくれることを、ぜひ覚えておいてください。
花と花瓶の出会いはとても大切です。「やんちゃにいける」場合は特に、勢いや若々しさ、少々アンバランスだからこその楽しさを表現するために、あえて「相性ぴったり」とはいえないものを選ぶのもよいかもしれません。たとえば、大きい花瓶に小さな花、小さい花瓶に大きな花、どっしりと存在感のある花瓶に華奢な花、背の高い花瓶に短い花。相反する要素が出会うことで引き立て合い、大きい花はより大きく、華奢な花はさらに華奢に見える、というわけです。
よい花瓶の選び方についてはまた別の回で解説しますが、花瓶自体に表情やチカラがあるものを選ぶと、花をいけるのがとてもラクに、そして楽しくなります。たとえば、このオランダ・デルフト焼のジャグは、少し大ぶりで口が広いですが、だからといって、花をたくさん用意しなくても大丈夫。花瓶の豊かな表情が助けてくれるので、花がたった4本でも、十分見ごたえのあるアレンジになります。
また、花を無理に「立てよう」と思ってがんばるのもやめましょう。花瓶の縁にそっと置く、それがいちばん自然で美しい場合もあります。
こちらも、鮮やかな紫のアネモネと濃い黄色のラナンキュラスを、素朴なポットの縁にそっと置いただけ。
上を向いて真っすぐに咲くポピーは、素直に素朴に、一輪挿しに。
「やんちゃ」でいい、と思えば、肩肘張らずに、日々の花をいけることをもっと楽しめると思いませんか。花と一緒に春が来た喜びを感じながら、できるだけ無心に、自由にに花をいける時間を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
健やかなエネルギーを暮らしにもたらす、「日々の花」
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花ってどういけても素敵だし、個性が出て楽しいと思いました。やんちゃでいいんですよね。気軽に楽しみます(^^♪