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「焼杉」でつくる、黒くモダンな板張りの家
主に西日本で使われてきた伝統的な外壁素材の「焼杉」。そのすぐれた防火性や調湿性から、最近はモダンなデザインの住宅にとりいれられています。
永井理恵子
2017年3月31日
同じ黒色の家でも、住まいの形や使用する外壁材によって印象はガラリと変わるもの。ガルバリウム鋼板やサイディングといった新しい素材も素敵だけれど、ニッポンには黒く美しい外壁材・焼杉があることを忘れないで。主に西日本で使われてきた焼杉は、見た目が美しいうえ、想像以上に機能的。上手に取り入れれば、日本の風景に馴染みながらもモダンな印象の家に仕上げることができるのです。
その名の通り焼杉は、杉板の表面を焼いて炭化させて作られます。
焼くのは表面の数ミリだけですが、炭化しているということは“既に燃えていた”ということ。だから火が燃え移りづらいのです。
炭化した層は湿気を吸収しないので腐りにくいという特徴があり、外壁や軒天に使われることが多いのです。
焼くのは表面の数ミリだけですが、炭化しているということは“既に燃えていた”ということ。だから火が燃え移りづらいのです。
炭化した層は湿気を吸収しないので腐りにくいという特徴があり、外壁や軒天に使われることが多いのです。
焼杉は元々、主に関西で使われており、東日本では見ることがありませんでした。関西の人には見慣れた“黒い木の家”ですが、東日本ではあまり馴染みがないかもしれません。
「黒一色ではちょっと重たいかも」と思うなら、漆喰と組み合わせるのもいいでしょう。
緻密で硬く、耐水性、耐火性に優れる漆喰壁と、しっかり炭化されているから水に強く腐りにくい焼杉。
このコンビ、外壁にもってこいではないでしょうか。
緻密で硬く、耐水性、耐火性に優れる漆喰壁と、しっかり炭化されているから水に強く腐りにくい焼杉。
このコンビ、外壁にもってこいではないでしょうか。
奈良時代から使われていたと言われる漆喰は、緻密で硬いのも特徴です。
しっかり押さえつけて凸凹をなくしたり、あえてコテむらを残したりできる漆喰と組み合わせれば、さらにイメージが広がります。
しっかり押さえつけて凸凹をなくしたり、あえてコテむらを残したりできる漆喰と組み合わせれば、さらにイメージが広がります。
訪れる人を木の温もりで迎え入れるこちらの家。玄関ドアや軒天の色と焼杉の黒色の色のコントラストは強いけれどなんだかとてもしっくりくるのは、同じ木でできているからではないでしょうか。
この家を少し遠くから眺めてみると……。
この家を少し遠くから眺めてみると……。
黒く存在感が強い家ですが、外壁、柱、そして板塀。これらの色を上手に組み合わせているから、周囲の緑にも隣家にも違和感なく溶け込みます。
この家は、焼杉の板を縦に張っています。すると、シャープな印象を生み出します。
深い軒は、夏は日差しを遮り、冬は家の中に太陽の光を導くので暮らしやすいうえ、外壁にかかる雨を減らすので外壁の劣化を少なくしてくれます。
深い軒は、夏は日差しを遮り、冬は家の中に太陽の光を導くので暮らしやすいうえ、外壁にかかる雨を減らすので外壁の劣化を少なくしてくれます。
近づいて焼杉の壁を見ると、そこには木の風合いが感じられ、異素材で作られているランプシェードの黒との違いが際立ちます。
焼杉は、杉材を焼いた後にブラシで磨けば、表面にしっとりとした艶が出てきます。磨くときにベンガラを混ぜて色味をつける、なんていうこともできるそうです。
焼杉は、杉材を焼いた後にブラシで磨けば、表面にしっとりとした艶が出てきます。磨くときにベンガラを混ぜて色味をつける、なんていうこともできるそうです。
焼杉に太陽の光が当たると木の風合いが目でも感じられ、木の温もり、木のやさしさが伝わってきます。
最近では海外での人気も急上昇しており、世界各地のデザイン住宅で使われているそう。
機能性と美しさをあわせ持つ日本生まれの焼杉。私たちの祖先が生み出したこの素晴らしい素材を、家づくりに取り入れてみてはいかがでしょう?
こちらもあわせて
世界に広がる日本の伝統的外装材「焼杉」の魅力
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