HOUSE VISION 2016に見る、これからの住まいと暮らしとは?
デザイナーの原研哉さんがディレクターをつとめるHOUSE VISIONの2回目の展覧会が開催中。住まいと暮らしの未来を見に行こう。
Junko Kawakami
2016年8月12日
Freelance since 1999.
家はこれからどこへ向かうのか? 住宅関連企業と建築家/クリエーターのコラボレーションを通して、新しい住まいや暮らしのあり方を考察・提示する展覧会「HOUSE VISION 2」が、2013年につづき、2回目となる展覧会を東京・青海で開催している。
少子高齢化、都市の過密化、農村の過疎化、空き家の増加、災害の続発、日本の住環境は複合的な問題を抱えている。一方で、IoTを始めとする情報技術、住宅設備や建築素材・技術などのイノベーションが次々と起こり、公共と個人、共有の精神など、住まいをめぐる新しいコンセプトも登場しており、私たちのライフスタイルはかつてないほどのスピードで大きく変わりつつある。
そんななか、HOUSE VISIONでは、これらの問題を手がかりとしつつ、単なる容れ物としての住宅ではなく、暮らしの場=プラットフォームとしての住まいのあり方を探究した作品を展示している。
この記事では、住まいと暮らしのこれからを垣間見せてくれる作品のいくつかをご紹介していこう。
HOUSE VISION 2016 TOKYO EXHIBITION
会場:お台場・青海駅前 特設会場
会期:8月28日まで開催中
入場料:1,800円
少子高齢化、都市の過密化、農村の過疎化、空き家の増加、災害の続発、日本の住環境は複合的な問題を抱えている。一方で、IoTを始めとする情報技術、住宅設備や建築素材・技術などのイノベーションが次々と起こり、公共と個人、共有の精神など、住まいをめぐる新しいコンセプトも登場しており、私たちのライフスタイルはかつてないほどのスピードで大きく変わりつつある。
そんななか、HOUSE VISIONでは、これらの問題を手がかりとしつつ、単なる容れ物としての住宅ではなく、暮らしの場=プラットフォームとしての住まいのあり方を探究した作品を展示している。
この記事では、住まいと暮らしのこれからを垣間見せてくれる作品のいくつかをご紹介していこう。
HOUSE VISION 2016 TOKYO EXHIBITION
会場:お台場・青海駅前 特設会場
会期:8月28日まで開催中
入場料:1,800円
世界からのゲストをもてなすコミュニティハウス
《吉野杉の家》
Airbnb ✕ 長谷川豪
民泊サービス最大手のAirbnbが気鋭の建築家長谷川豪と組み、さらに奈良県吉野町を協力してつくりあげた「吉野杉の家」。House Visionでの展示が終わったら、日本でも最高品質の杉「吉野杉」の産地である吉野町に、コミュニティでゲストをもてなすための家として移築することを想定して設計されている。
《吉野杉の家》
Airbnb ✕ 長谷川豪
民泊サービス最大手のAirbnbが気鋭の建築家長谷川豪と組み、さらに奈良県吉野町を協力してつくりあげた「吉野杉の家」。House Visionでの展示が終わったら、日本でも最高品質の杉「吉野杉」の産地である吉野町に、コミュニティでゲストをもてなすための家として移築することを想定して設計されている。
1Fは町の人が交流する「みんなの空間」で、キッチンがあり、お茶を入れたり食事を準備したりすることができる。食器や円卓などの家具や小物も、吉野杉を使っている。2Fはゲストが泊まる空間。吉野川沿いに移築されるので、川の流れを楽しめる長い形になっており、ゲスト用寝室となる東側の部屋からは、美しい日の出を眺めることができる。Airbnbにとっては、既存の個人宅ではなく、新築で家を建て、しかもそれを町の人たちが運営するという意味で新しい試みとなる。
《吉野杉の家》の写真をもっと見る
《吉野杉の家》の写真をもっと見る
住まいの物流と情報のインフラをイノベーション
《冷蔵庫が外から開く家》
ヤマトホールディングス ✕ 柴田文江
住宅とは、「暮らしのプラットフォーム」であり、私たちの日常生活はその上を、人や情報やものがかつてない量とスピードで行き交う中で営まれており、情報化と連動した物流の高度化が今まで以上に重要性を増している。そうとらえれば、現代の家庭生活において、最も重要な物流インフラは、宅配便だろう。何しろ日本においては、宅急便の配達拠点が、郵便局の数を上回っているのだから。
今回、宅配便最大手のヤマトホールディングスは、プロダクトデザイナーの柴田文江と組んで、「冷蔵庫が外から開く家」を展示。人が出入りするドアのほかに、家の中と外をつなぐ「もうひとつのドア」をつくり、不在時に宅配便を受け取るだけでなく、フレッシュな生鮮食品やクリーニング品、薬などを配達人が家の外から入れて、受け取る人は中から取り出すことができるというしかけだ。要冷蔵の食品でも、冷蔵ボックスに入れておいてもらえば、いつでも家の中から受け取れるようになる。
セキュリティやボックスの管理はコントロールパネルで集中操作し、さらにIoTでネット経由で管理すれば、たとえば、冷蔵庫内で必需品が切れたときには、自動的に注文・補充されるというシステムも開発可能。ハイテクノロジーの力で、今後の家まわりの「ものの流れ」をもっと便利に効率的にするシステムの提案だ。
《冷蔵庫が外から開く家》の写真をもっと見る
《冷蔵庫が外から開く家》
ヤマトホールディングス ✕ 柴田文江
住宅とは、「暮らしのプラットフォーム」であり、私たちの日常生活はその上を、人や情報やものがかつてない量とスピードで行き交う中で営まれており、情報化と連動した物流の高度化が今まで以上に重要性を増している。そうとらえれば、現代の家庭生活において、最も重要な物流インフラは、宅配便だろう。何しろ日本においては、宅急便の配達拠点が、郵便局の数を上回っているのだから。
今回、宅配便最大手のヤマトホールディングスは、プロダクトデザイナーの柴田文江と組んで、「冷蔵庫が外から開く家」を展示。人が出入りするドアのほかに、家の中と外をつなぐ「もうひとつのドア」をつくり、不在時に宅配便を受け取るだけでなく、フレッシュな生鮮食品やクリーニング品、薬などを配達人が家の外から入れて、受け取る人は中から取り出すことができるというしかけだ。要冷蔵の食品でも、冷蔵ボックスに入れておいてもらえば、いつでも家の中から受け取れるようになる。
セキュリティやボックスの管理はコントロールパネルで集中操作し、さらにIoTでネット経由で管理すれば、たとえば、冷蔵庫内で必需品が切れたときには、自動的に注文・補充されるというシステムも開発可能。ハイテクノロジーの力で、今後の家まわりの「ものの流れ」をもっと便利に効率的にするシステムの提案だ。
《冷蔵庫が外から開く家》の写真をもっと見る
窓を拡張した新しい中間領域
《内と外の間/家具と部屋の間》
TOTO・YKK AP ✕ 五十嵐淳・藤森泰司
いうまでもなく窓は屋内と屋外の2次元インターフェースである。それを引き伸ばし、3次元の空間にして、そこにそれぞれ、新しい機能をもたせたらどうなるだろうか――建築家五十嵐淳のそんな発想を形にしたのが、この家だ。窓が外に向かって空間となって突き出し、そこに「食べる」「くつろぐ」「眠る」「思考する」「入浴する」という機能をもたせているが、それは通常の屋内にある部屋とはことなり、内と外をつなぐ、中間領域的性質が生まれている。
《内と外の間/家具と部屋の間》
TOTO・YKK AP ✕ 五十嵐淳・藤森泰司
いうまでもなく窓は屋内と屋外の2次元インターフェースである。それを引き伸ばし、3次元の空間にして、そこにそれぞれ、新しい機能をもたせたらどうなるだろうか――建築家五十嵐淳のそんな発想を形にしたのが、この家だ。窓が外に向かって空間となって突き出し、そこに「食べる」「くつろぐ」「眠る」「思考する」「入浴する」という機能をもたせているが、それは通常の屋内にある部屋とはことなり、内と外をつなぐ、中間領域的性質が生まれている。
そこにまた、部屋が出現する。窓の外に生まれた空間にしつらえた家具のデザインは、家具デザイナーの藤森泰司が手がけた。部屋にぽんと置かれるのではなく、空間と統合的にデザインされた家具により、洞窟的な、包み込まれながら開かれる不思議な居住性が生まれている。
《内と外の間/家具と部屋の間》をもっと見る
《内と外の間/家具と部屋の間》をもっと見る
水回り設備をイノベーションする《凝縮と開放の家》
LIXIL ✕ 坂茂
風呂、トイレ、洗面、キッチンという「水回り」設備の配管は、通常は床下に設置する。すると、その配管は簡単には動かせないため、リノベーションをする場合にも、「水回りの場所はあまり動かせない」という不自由さが発生する。新築の場合にも、床下に配管を取り回してしまえば、それで自ずと水回りを配置できる場所はおおむね決まってくる。
だが、LIXILが提案する「ライフコア」の場合は、配管ダクトを天井に回し、排水はポンプによって吸い上げる仕組みとなっているため、工事や間取りの制限から解放され、室内の好きな場所に水回り設備を配置することが可能になる。
LIXIL ✕ 坂茂
風呂、トイレ、洗面、キッチンという「水回り」設備の配管は、通常は床下に設置する。すると、その配管は簡単には動かせないため、リノベーションをする場合にも、「水回りの場所はあまり動かせない」という不自由さが発生する。新築の場合にも、床下に配管を取り回してしまえば、それで自ずと水回りを配置できる場所はおおむね決まってくる。
だが、LIXILが提案する「ライフコア」の場合は、配管ダクトを天井に回し、排水はポンプによって吸い上げる仕組みとなっているため、工事や間取りの制限から解放され、室内の好きな場所に水回り設備を配置することが可能になる。
また、建築家の坂は、棚や机に使われるPHPパネルを建築の構造体として使用。紙のハニカムボードを合板で挟んだもので、家型のフレームを土台に取り付けるだけで骨組みが完成し、大きな梁や柱のない開放的な空間を実現する。屋根はジッパーで脱着可能な防水テント幕をかぶせる形となるので、工期や工費を大きく短縮できる。ガラス窓は水平に跳ね上がったり、家の側面に収納できるため、屋内空間を屋外に向けて完全に「開放」できる。
水回りに可動性を与えたテクノロジーと坂茂の軽快な作風が見事にマッチした作品といえる。
水回りに可動性を与えたテクノロジーと坂茂の軽快な作風が見事にマッチした作品といえる。
環境を印刷する
《木目の家》
凸版印刷✕日本デザインセンター 原デザイン研究所
105ミリ角の角材をそのまま巨大化したように見える家。ありえない大きな年輪がファサードに見えるが、実は外装や内装に見られる木目模様は、すべてプリント。ファサードの年輪は、吉野檜の木片を超高解像度スキャンし、20倍に拡大してプリントしたものだ。
最先端のグラビア印刷技術により、木目の精妙な濃淡を実現。さらに新技術の「質感コート」や物理的な凹凸や艶のばらつきまで再現する同期印刷技術により、まるで磨き上げた木肌のようなリアルな質感を実現している。
《木目の家》
凸版印刷✕日本デザインセンター 原デザイン研究所
105ミリ角の角材をそのまま巨大化したように見える家。ありえない大きな年輪がファサードに見えるが、実は外装や内装に見られる木目模様は、すべてプリント。ファサードの年輪は、吉野檜の木片を超高解像度スキャンし、20倍に拡大してプリントしたものだ。
最先端のグラビア印刷技術により、木目の精妙な濃淡を実現。さらに新技術の「質感コート」や物理的な凹凸や艶のばらつきまで再現する同期印刷技術により、まるで磨き上げた木肌のようなリアルな質感を実現している。
「モノ」より「コト」の家
《の家》
パナソニック ✕ 永山祐子
歴史を振り返れば、家には身を守るシェルターという役割が強く求められ、そのためさまざまな「モノ」が家に盛り込まれてきた。だが、情報化とテクノロジーの進化により、頑丈なモノをたくさん設置しなくても、豊かな「コト」がつまった暮らしが実現することを示す家である。
日本語の「の」の字を描く壁がつくる丸い家の中に入ると、バス・トイレを集めて上にベッドスペースをのせた中央の四角いコアやキッチンアイランド以外にはほとんどモノのない空間が広がる。曲面の壁はすべて映写スクリーンとなっており、IoTによりどこでも映画や映像/音声によるコミュニケーション、インターネットが楽しめる。
屋根のてっぺんには風見鶏ならぬ「風見猫」のセンサーがついており、気象の変化をモニターし、異変があれば室内の人にすぐに知らせる仕組みとなっている。
《の家》の写真をもっと見る
《の家》
パナソニック ✕ 永山祐子
歴史を振り返れば、家には身を守るシェルターという役割が強く求められ、そのためさまざまな「モノ」が家に盛り込まれてきた。だが、情報化とテクノロジーの進化により、頑丈なモノをたくさん設置しなくても、豊かな「コト」がつまった暮らしが実現することを示す家である。
日本語の「の」の字を描く壁がつくる丸い家の中に入ると、バス・トイレを集めて上にベッドスペースをのせた中央の四角いコアやキッチンアイランド以外にはほとんどモノのない空間が広がる。曲面の壁はすべて映写スクリーンとなっており、IoTによりどこでも映画や映像/音声によるコミュニケーション、インターネットが楽しめる。
屋根のてっぺんには風見鶏ならぬ「風見猫」のセンサーがついており、気象の変化をモニターし、異変があれば室内の人にすぐに知らせる仕組みとなっている。
《の家》の写真をもっと見る
賃貸住宅を再定義する
《賃貸空間タワー》
大東建託 ✕ 藤本壮介
賃貸用集合住宅といえば、普通はそれぞれに生活に必要な機能を備えた専有(プライベート)空間を集合させたものであり、専有空間の最大化を目指す一方、共有空間への配慮は小さいものが多かった。しかし、この作品は「賃貸住宅の再定義」を試みている。
《賃貸空間タワー》
大東建託 ✕ 藤本壮介
賃貸用集合住宅といえば、普通はそれぞれに生活に必要な機能を備えた専有(プライベート)空間を集合させたものであり、専有空間の最大化を目指す一方、共有空間への配慮は小さいものが多かった。しかし、この作品は「賃貸住宅の再定義」を試みている。
藤本の手法は、まずプライベート空間と共有空間の要素を一旦ときほぐし、それを組み直して、タワーのように再構成するというもの。個人のスペースはベッド、収納、トイレだけという最小限にまとめ、大きさも7〜16平方メートルにとどめる一方、共有空間・施設として、ホームシアター、ゲストルーム、広々とした贅沢な浴室、居住者みんなでつくる畑、みんなで使えるダイニング、ライブラリーを設置。廊下や階段なども、単なる通路ではなく、小さな庭のように使える。
各個室+共有リビングといったシェアハウス以上に、プライベートと共有部分を鮮明に区分けした上で再統合しているため、まるで小さな街のように、居住者たちの間に豊かなコミュニティが生まれる可能性を秘めている。
《賃貸空間タワー》の写真をもっと見る
各個室+共有リビングといったシェアハウス以上に、プライベートと共有部分を鮮明に区分けした上で再統合しているため、まるで小さな街のように、居住者たちの間に豊かなコミュニティが生まれる可能性を秘めている。
《賃貸空間タワー》の写真をもっと見る
新しいノマドのための家
《遊動の家》
三越伊勢丹✕谷尻誠・吉田愛
日本最大の百貨店グループとして広くライフスタイル全体を提案する三越伊勢丹グループが、建築家の谷尻誠、吉田愛とともにつくった「遊動の家」は仕事で頻繁に移動することが当たり前となった「ニュー・ノマド」と呼ばれる人たちを対象として提案した家だ。
あちこちを飛び回り、交友範囲も広いこうした人たちにとって必要なのは、月の半分程度をすごす快適な拠点。1つの大きな屋根の下の土間空間に、LDK、バス・トイレ、寝室、茶室など、住宅の要素を小屋のように配置し、家の中でも生活のシーンごとの心地よい移動性を感じさせる構成になっている。黒と木や土の色をベースとし、各部屋の仕切りも引戸を使い、縁側を設けて風を招き入れるなど、伝統的な日本家屋の要素や効果をカジュアルにとりいれている。
《遊動の家》
三越伊勢丹✕谷尻誠・吉田愛
日本最大の百貨店グループとして広くライフスタイル全体を提案する三越伊勢丹グループが、建築家の谷尻誠、吉田愛とともにつくった「遊動の家」は仕事で頻繁に移動することが当たり前となった「ニュー・ノマド」と呼ばれる人たちを対象として提案した家だ。
あちこちを飛び回り、交友範囲も広いこうした人たちにとって必要なのは、月の半分程度をすごす快適な拠点。1つの大きな屋根の下の土間空間に、LDK、バス・トイレ、寝室、茶室など、住宅の要素を小屋のように配置し、家の中でも生活のシーンごとの心地よい移動性を感じさせる構成になっている。黒と木や土の色をベースとし、各部屋の仕切りも引戸を使い、縁側を設けて風を招き入れるなど、伝統的な日本家屋の要素や効果をカジュアルにとりいれている。
LDKの中心は、長いコンクリート製のキッチンアイランドと、大きなテーブル。この2つをとりまく空間が、家族の集まる生活の中心であり、友人や知人をもてなす舞台ともなる。「遊動」という言葉のとおり、路地をめぐるように屋内を心地よく動き回れる空間だ。
《遊動の家》の写真をもっと見る
《遊動の家》の写真をもっと見る
晴耕雨読を実践する
《棚田オフィス》
無印良品 ✕ アトリエワン
少子化、過疎化の進行に伴う空き家の増加という社会現象を背景に、日本では都市と農村の二拠点居住に関心が集まっている。そんななか、無印良品はかねてから交流している千葉県鴨川市の釜沼集落という農村地帯に事業活動の一部を移すためのオフィス用建物を、アトリエ・ワンとともに考案。棚田が広がる農村地帯に、パソコンでできる業務の一部をこの地に移す予定だ。
耐震性が高く、空間を広く確保できるSE構法を使い、壁などの素材には使う人が簡単に補修やカスタマイズをできるよう、ポリカーボネイト波板やビニールなどの手に入りやすい素材を使用。建物は、2Fはパソコンで仕事をする空間、1Fは農作業のための空間となる。日本人は昔から理想としてきた「晴耕雨読」のライフスタイルが実現される空間だ。
《棚田オフィス》の写真をもっと見る
《棚田オフィス》
無印良品 ✕ アトリエワン
少子化、過疎化の進行に伴う空き家の増加という社会現象を背景に、日本では都市と農村の二拠点居住に関心が集まっている。そんななか、無印良品はかねてから交流している千葉県鴨川市の釜沼集落という農村地帯に事業活動の一部を移すためのオフィス用建物を、アトリエ・ワンとともに考案。棚田が広がる農村地帯に、パソコンでできる業務の一部をこの地に移す予定だ。
耐震性が高く、空間を広く確保できるSE構法を使い、壁などの素材には使う人が簡単に補修やカスタマイズをできるよう、ポリカーボネイト波板やビニールなどの手に入りやすい素材を使用。建物は、2Fはパソコンで仕事をする空間、1Fは農作業のための空間となる。日本人は昔から理想としてきた「晴耕雨読」のライフスタイルが実現される空間だ。
《棚田オフィス》の写真をもっと見る
木でつくる日本の庭と水辺
《市松の水辺》
住友林業 ✕ 西畠清順 ✕ 隈研吾
隈研吾設計による角材を組み上げた市松の水辺に西畠清順が選んだ美しい楓を配した作品は、限られた空間に自然の風情をとりいれる日本の庭の精神を、清々しく表現している。夏真っ盛り、会場を歩き疲れたら、冷たい水に足を入れて休みたい。
《市松の水辺》の写真をもっと見る
他にも、TOYOTAと隈研吾が提案する新しい屋外リビング/グランピング《グランド・サード・リビング》やVRで家族がつながる《電波の屋根を持つ家》では、新しいコンセプトとテクノロジーが生み出す未来の暮らしの形を体験できる。
《市松の水辺》
住友林業 ✕ 西畠清順 ✕ 隈研吾
隈研吾設計による角材を組み上げた市松の水辺に西畠清順が選んだ美しい楓を配した作品は、限られた空間に自然の風情をとりいれる日本の庭の精神を、清々しく表現している。夏真っ盛り、会場を歩き疲れたら、冷たい水に足を入れて休みたい。
《市松の水辺》の写真をもっと見る
他にも、TOYOTAと隈研吾が提案する新しい屋外リビング/グランピング《グランド・サード・リビング》やVRで家族がつながる《電波の屋根を持つ家》では、新しいコンセプトとテクノロジーが生み出す未来の暮らしの形を体験できる。
展覧会ディレクターを務めるデザイナーの原研哉氏(左)と企画コーディネートを手がけた建築家の土谷貞雄氏。HOUSE VISIONは展覧会の開催に加え、中国、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、台湾でも現地の建築家や企業とともに住まいと暮らしの未来に関する研究を行っている。
HOUSE VISION 2016 の会期中、会場ではこれからの家やライフスタイルをテーマにした、建築家やデザイナーによるさまざまなトークイベントも開催されている。詳しくは展覧会ウェブサイトへ。
こちらもあわせて:
8月の日本&海外デザインイベント情報
HOUSE VISION 2016 の会期中、会場ではこれからの家やライフスタイルをテーマにした、建築家やデザイナーによるさまざまなトークイベントも開催されている。詳しくは展覧会ウェブサイトへ。
こちらもあわせて:
8月の日本&海外デザインイベント情報
おすすめの記事
建築
日本的感性を象徴する「茶室」の伝統と革新性
茶道とともに成立し500年にわたり発展してきた茶室。茶聖・千利休が伝統建築を革新して生まれた茶室は、今も「利休の精神」により革新され続け、新しい表現を生み出し続けている建築形式です。
続きを読む
建築
日本の伝統的住宅の12の基本的な特徴とは?
日本で育ち、現在はロサンゼルスで暮らすアメリカ人ライターが、日本の伝統的住宅の基本的な特徴である12のポイントを解説します。あらためてなるほど、と思うこともあるかもしれません!
続きを読む
家を建てる
平面図、模型、3D間取り図……。家づくりのプレゼンで建築家が使用するツールの種類
文/安井俊夫
専門家がオーナーへのプレゼンの際に使うさまざまなツール。その種類や内容、使う時期について、現役建築家がご説明します。
続きを読む
日本の建築家は「木の操り方が上手」だと感じます。