ストレスを和らげる住まいづくり。「ウェルネス・デザイン」とは?
心を落ち着けてくれる色、素材、デザインを取り入れた、心身ともにリラックスできるインテリアが注目を集めています。

Georgia Madden
2022年10月29日
風水、ホームジム、マインドフルネスを意識したインテリアなど、健康に関連した住宅のトレンドはたくさんありますね。今回は、今注目されている「ウェルネス・デザイン」をご紹介します。
癒し系の色と素材を選ぶことで疲れた心を落ち着かせ、クリエイティブな思考を刺激するための新しいデザインの潮流です。3人の専門家に詳しく聞きました。
癒し系の色と素材を選ぶことで疲れた心を落ち着かせ、クリエイティブな思考を刺激するための新しいデザインの潮流です。3人の専門家に詳しく聞きました。
スタイリング: Bree Leech
写真:Lisa Cohen
ウェルネス・デザインのトレンドはどこから生まれた?
「健康とウェルネスは2019年から大きな注目の的となっています」と話すのは、Duluxのカラー・アンド・コミュニケーションズ・マネジャーを務めるアンドレア・ルセナ=オールです。「ペースの速い現代社会において、非常に重要なテーマです。多くの人がストレスを感じ、神経を張り詰め、一瞬たりとも気を休めることができずにいます。その結果、日々の生活の中にリラックスして心のバランスを整える方法を求めているのです」
「ウェルネスのトレンドは、落ち着き、癒しの色、コントラストを抑えた色調のバランスで成り立っています」とルセナ=オールは話します。「使われる色も、個人の好みを反映し、自宅にいながら静養しているような気分になれる暖色系が多くなっています」
写真:Lisa Cohen
ウェルネス・デザインのトレンドはどこから生まれた?
「健康とウェルネスは2019年から大きな注目の的となっています」と話すのは、Duluxのカラー・アンド・コミュニケーションズ・マネジャーを務めるアンドレア・ルセナ=オールです。「ペースの速い現代社会において、非常に重要なテーマです。多くの人がストレスを感じ、神経を張り詰め、一瞬たりとも気を休めることができずにいます。その結果、日々の生活の中にリラックスして心のバランスを整える方法を求めているのです」
「ウェルネスのトレンドは、落ち着き、癒しの色、コントラストを抑えた色調のバランスで成り立っています」とルセナ=オールは話します。「使われる色も、個人の好みを反映し、自宅にいながら静養しているような気分になれる暖色系が多くなっています」
写真:OstenのNo 71
人とのつながりやコミュニティも、このデザイン・ムーブメントの主要なテーマだと話すのは、Cheah Saw Architectureの共同ディレクターを務めるユージーン・チーです。「ウェルネス・トレンドは、ライフスタイルに注目しながら、建築とデザインの焦点をよりシンプルに、より近く、親密で人間中心の観点に戻すものです」と彼は言います。
このトレンドは、人間の脳の中で、幾何学と空間の構成――建築的環境を含む――をつかさどる海馬にある特別な細胞を発見した神経科学者たちによって裏づけられています。行動心理学者らによれば、私たちの脳がストレスを感じる空間では、心拍数や呼吸数が増加し、副腎から「ストレス」ホルモンであるコルチゾールとアドレナリンが分泌されることがわかっています。
こちらもあわせて
2022年ロンドン・デザイン・フェスティバルで見つけた、住まいにウェルビーイングを取り入れる方法
人とのつながりやコミュニティも、このデザイン・ムーブメントの主要なテーマだと話すのは、Cheah Saw Architectureの共同ディレクターを務めるユージーン・チーです。「ウェルネス・トレンドは、ライフスタイルに注目しながら、建築とデザインの焦点をよりシンプルに、より近く、親密で人間中心の観点に戻すものです」と彼は言います。
このトレンドは、人間の脳の中で、幾何学と空間の構成――建築的環境を含む――をつかさどる海馬にある特別な細胞を発見した神経科学者たちによって裏づけられています。行動心理学者らによれば、私たちの脳がストレスを感じる空間では、心拍数や呼吸数が増加し、副腎から「ストレス」ホルモンであるコルチゾールとアドレナリンが分泌されることがわかっています。
こちらもあわせて
2022年ロンドン・デザイン・フェスティバルで見つけた、住まいにウェルビーイングを取り入れる方法
ウェルネス・デザイン・ムーブメントの主なインテリア要素は?
- 天然素材。
- 木材――床だけでなく、壁や天井も。
- 柔らかく、癒し効果のある色。
- 自然とつながる空間。
- 曲線のある家具。
- 観葉植物。
建築的な特徴は?
専門家としての経験から、建築事務所、Canny architectural firmの所長であるロジャー・ボーランドは次のような建築的特徴を取り入れるよう提案しています。
こちらもあわせて
「ウェルネス」をテーマにした書斎づくり
専門家としての経験から、建築事務所、Canny architectural firmの所長であるロジャー・ボーランドは次のような建築的特徴を取り入れるよう提案しています。
- ゆったりとしたエントランスと廊下は中庭や庭へと続いていて、正面玄関から一歩踏み入れた瞬間から落ち着きのある雰囲気が広がっている。
- 隣接するリビングや書斎と、灯り、空気、面積を共有することで平均的な廊下よりも幅が広くなっている廊下。こうした空間の共有により、暗くて魅力のないものと思われがちな廊下はなくすことができる。
こちらもあわせて
「ウェルネス」をテーマにした書斎づくり
- オープンプラン。壁のないオープンなLDKは、天井までの高さのあるスライディングドアで仕切ることができる(仕切ったそれぞれのゾーンから屋外へ出ることができます)。ひとつの開放的な空間として使うことも可能。
- 大きな主寝室はリラクゼーションの場所であり、明るさを調整するため、透ける生地や遮光ブラインドを備えている。
- 完全一体型のウォークインクローゼットと贅沢なエンスウィートにより、居住者がこの空間を共同で、あるいは個別に利用することができる。
本当に効果はある?私もリラックスできる?
このような空間づくりをすることで人はリラックスできる、とボーランドは、言います。「これらの原則は何千年もかけて実証されているものです。ローマの浴場がリラクゼーションのためにデザインされたことを考えてみてください。それに、空間が人の考え方にどう影響するのかについても、数多くの研究がされています」と彼は言います。
「空間の幾何学は機能だけに留まりません。形、明るさ、陰影、換気、素材を適切に組み合わせることができれば、私たちの感じ方は変わります。それが、よい建築とインテリアデザインの喜びなのです」
空間やデザインが私たちを魅了する理由とは?
このような空間づくりをすることで人はリラックスできる、とボーランドは、言います。「これらの原則は何千年もかけて実証されているものです。ローマの浴場がリラクゼーションのためにデザインされたことを考えてみてください。それに、空間が人の考え方にどう影響するのかについても、数多くの研究がされています」と彼は言います。
「空間の幾何学は機能だけに留まりません。形、明るさ、陰影、換気、素材を適切に組み合わせることができれば、私たちの感じ方は変わります。それが、よい建築とインテリアデザインの喜びなのです」
空間やデザインが私たちを魅了する理由とは?
スタイリング: Bree Leech
写真:Lisa Cohen
自宅のインテリアにウェルネスを取り入れるなら?
「テレビやコンピューターのない静かな一角を家の中に設け、完全にリラックスできる安らぎの場をつくりましょう」とルセナ=オールは言います。
「リラックスと癒し効果のある曲線的な家具を取り入れてみましょう。部屋全体に使える、心が穏やかになる色や、同系色でまとめた色調を選んでください。それから、空気を浄化して自然とのつながりを生む、たっぷりの植物を用意しましょう」
写真:Lisa Cohen
自宅のインテリアにウェルネスを取り入れるなら?
「テレビやコンピューターのない静かな一角を家の中に設け、完全にリラックスできる安らぎの場をつくりましょう」とルセナ=オールは言います。
「リラックスと癒し効果のある曲線的な家具を取り入れてみましょう。部屋全体に使える、心が穏やかになる色や、同系色でまとめた色調を選んでください。それから、空気を浄化して自然とのつながりを生む、たっぷりの植物を用意しましょう」
おすすめの記事
専門家とのやりとり
プロと一緒に部屋づくりをして、素敵なインテリアを手に入れよう
部屋づくりをインテリアの専門家に依頼すると、自分では思いつかない提案がもらえることも。プロに依頼するメリットや探し方などをご紹介します。
続きを読む
カラー
インテリアの色と照明の光の色の関係
文/カツウラアキツ
壁の色を選ぶ際は、昼間の自然光だけでなく、夜の照明に照らされたときの見え方を意識することも大切です。電球色、昼白色、昼光色の照明が、空間のベースカラーにもたらす影響を知っておきましょう。
続きを読む
キッチンの記事
さえないキッチンが、シックでモダンなスカンジナビア風に変身!
使い勝手の良くないレイアウトに、無駄なスペース、どんよりとくすんだ配色。このキッチンがどのように変わったかをご覧ください。
続きを読む
寝室の記事
ベッドルームをブティックホテル風に仕立てる7つの方法
「シティライク」「カントリー」「ラグジュアリー」「スパ」。どんなスタイルがお好みでも、寝室を特別なものにできるヒントをご紹介します。
続きを読む
和室の記事
こだわりの和モダンインテリアをつくるヒント
日本の住まいに馴染み、永く世代を問わず愛される「和モダン」なインテリア。家づくりの早い段階から完成形を意識することで、こだわりの空間が出来上がります。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
アートを上手に飾って、住まいをおしゃれに演出してみませんか?
暮らしにアートを取り入れるのは難しくありません。アートを飾るメリットと、上手な飾り方のコツをお伝えします。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(海外)
大胆な色使いとアートが活気を与える、若い家族のための住まい
楽しいことが大好きな若いオーナー家族は、Houzzで見つけたデザイナーに、ワシントンD.C.の住まいのコーディネートを依頼しました。
続きを読む
自宅でのリラックス、とても重要だと思います。色調や自然との繋がり、とても納得がいきました。家で落ち着ける部屋を目指します。