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軽井沢のパン職人と奥様が愛犬と暮らす、北欧に学んだ住まい
健康幸福度の高いデンマークの優れた建材と工法で建てたコンパクトハウス。開放的な間取りやインテリアも魅力です。
Miki Anzai
2020年10月20日
毎朝のように行列のできるベーカリー「ハルタ軽井沢店」で、おいしいパンを焼いている徳武慶士郎さんが、奥様と愛犬と暮らす家です。
ご夫妻は約10年間、中軽井沢駅近くのお店から徒歩圏にある木造住宅を借りていました。しかし、デンマーク在住の慶士郎さんの弟さんが代表を務める株式会社ハルタが、現地で学んだ工法をもとに「サステナブル住宅」の設計・デザインを始めたのをきっかけに、長期住宅ローンが組めるギリギリの年齢ということもあって、追分に自宅を建てることにしました。
ご夫妻は約10年間、中軽井沢駅近くのお店から徒歩圏にある木造住宅を借りていました。しかし、デンマーク在住の慶士郎さんの弟さんが代表を務める株式会社ハルタが、現地で学んだ工法をもとに「サステナブル住宅」の設計・デザインを始めたのをきっかけに、長期住宅ローンが組めるギリギリの年齢ということもあって、追分に自宅を建てることにしました。
木漏れ日が降り注ぐ軽井沢追分の森の中に、静かに佇む、急勾配の屋根が印象的な徳武邸。
どんなHouzz?
住まい手:ご夫婦+愛犬
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町
敷地面積:831.62㎡
延床面積:84.87㎡
構造:木造二階建て
設計: 株式会社ハルタ建築設計事務所
施工:株式会社上田建装社
工事費:3600万円
竣工年月: 2020年3月
写真:池田裕朗
デンマークから輸入した「人と自然にやさしい」建材でつくった、カラダに優しく、快適に暮らせる省エネルギー住宅です。住みながら少しずつ手を加える余白を残した、シンプルかつミニマルな家。北欧から直輸入したインテリアが、センスの良い空間をつくりだしています。
どんなHouzz?
住まい手:ご夫婦+愛犬
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町
敷地面積:831.62㎡
延床面積:84.87㎡
構造:木造二階建て
設計: 株式会社ハルタ建築設計事務所
施工:株式会社上田建装社
工事費:3600万円
竣工年月: 2020年3月
写真:池田裕朗
デンマークから輸入した「人と自然にやさしい」建材でつくった、カラダに優しく、快適に暮らせる省エネルギー住宅です。住みながら少しずつ手を加える余白を残した、シンプルかつミニマルな家。北欧から直輸入したインテリアが、センスの良い空間をつくりだしています。
取材に伺ったのは平日の午後2時でした。毎朝9時のパン屋開店に合わせて、午前2時半に出勤している慶士郎さんですが、正午過ぎにはほぼ売り切れてしまうため、既にご在宅でした。
ハルタは、弟の睦裕(あつひろ)さんが代表をつとめる会社で、北欧の家具・雑貨の輸入販売、素材にこだわったパンづくりに加え、一級建築士事務所として、デンマーク流の「持続可能な」家を設計しています。「もともと妻も私も弟のセンスが好きなので、一切口を出さず、予算だけ伝えて、任せました」という慶士郎さん。おしゃれな玄関灯も、睦裕さんが選んだ北欧製です。
ハルタは、弟の睦裕(あつひろ)さんが代表をつとめる会社で、北欧の家具・雑貨の輸入販売、素材にこだわったパンづくりに加え、一級建築士事務所として、デンマーク流の「持続可能な」家を設計しています。「もともと妻も私も弟のセンスが好きなので、一切口を出さず、予算だけ伝えて、任せました」という慶士郎さん。おしゃれな玄関灯も、睦裕さんが選んだ北欧製です。
玄関に入ると、いきなりこの大空間が目に飛び込んできます。リビングとダイニングの大きな窓から、日が燦々(さんさん)と差し込み、愛犬の紺ちゃんが、気持ちよさそうに走り回っていました。
「この家に住み始めたら、他の家には住めません。雲泥の差です」という慶士郎さん。なぜそんなに快適な住まいなのか、その秘密を伺いました。
「この家に住み始めたら、他の家には住めません。雲泥の差です」という慶士郎さん。なぜそんなに快適な住まいなのか、その秘密を伺いました。
まずは断熱材です。採用しているのが、デンマーク製のロックウール(岩綿)。屋根から、基礎、壁にいたるまで、この高い断熱性を誇るロックウールで建物全体を包むことで、冷暖房費を大幅削減できるそう。奥様の愛美(なるみ)さんも、電気代が以前の1/3程度になったと喜ばれていました。
設計を担当した北山太一さんいわく、「日本で製造しているロックウールは、高炉スラグ(溶解炉かす)を原料としていますが、デンマーク製は天然岩石からつくっているので、100%リサイクル可能な建材です」
設計を担当した北山太一さんいわく、「日本で製造しているロックウールは、高炉スラグ(溶解炉かす)を原料としていますが、デンマーク製は天然岩石からつくっているので、100%リサイクル可能な建材です」
徳武邸では、ロックウールを建物の外壁に20cm、柱の内部に10cm(合計30cm)使っています。こうすることで、外部に露出する構造体部分が減り、経年による強度変化がほとんど起きないのだそう。その上、ロックウールは「防火性、防音性能も高く、よいこと尽くめです」(北山さん)
次が、間仕切りのように置かれた除湿型放射冷暖房パネルです。この中に水を循環させ、空間全体を放射と自然対流によって、自然な温度変化と、安定した涼しさ・暖かさをつくりだしているのだそう。「1階と2階の温度差は、1度も無いはずです」(北山さん)
そして、アレルギー体質の慶士郎さんにとって、まさに救いの神だったのが、花粉やPM2.5などをシャットアウトする熱交換換気システム。「窓を開けなくても24時間、外よりもきれいな空気が家の中を循環しているので、快適です」(慶士郎さん)
また壁も、ドイツうまれの自然粘土塗料(クレイペイント)で塗装しているので「赤ちゃんが舐めても大丈夫。予防医療の観点からも、天然素材にはこだわりました」(北山さん)
そして、アレルギー体質の慶士郎さんにとって、まさに救いの神だったのが、花粉やPM2.5などをシャットアウトする熱交換換気システム。「窓を開けなくても24時間、外よりもきれいな空気が家の中を循環しているので、快適です」(慶士郎さん)
また壁も、ドイツうまれの自然粘土塗料(クレイペイント)で塗装しているので「赤ちゃんが舐めても大丈夫。予防医療の観点からも、天然素材にはこだわりました」(北山さん)
デンマーク製トリプルガラス木製サッシも、冬の寒さを遮断してくれるので、「薪ストーブも必要なく、ラグ1枚敷く程度で十分です」(愛美さん)
ところで愛美さんは、家が完成して、初めて(写真奥の)5辺形の窓を見た時「シェイプが可愛い!」と歓声をあげたそう。特にこの窓から見る夜景が、とても綺麗なのだそう。
ところで愛美さんは、家が完成して、初めて(写真奥の)5辺形の窓を見た時「シェイプが可愛い!」と歓声をあげたそう。特にこの窓から見る夜景が、とても綺麗なのだそう。
左から愛美さん、慶士郎さんと紺ちゃん、一級建築士の北山太一さんと、二級建築士の山崎研太さん
愛美さんが、ご自宅の中で一番気に入っていると教えてくれた場所が、(画像右側の)ヴィンテージの白い扉とスタンドミラーが置かれたシャビー・シックなコーナーです。
愛美さんが、ご自宅の中で一番気に入っていると教えてくれた場所が、(画像右側の)ヴィンテージの白い扉とスタンドミラーが置かれたシャビー・シックなコーナーです。
そのヴィンテージの扉を開けると、まるで北欧のホテルのようなバスルームがお目見えです。
「最初はトイレとバスルームが一緒で、落ち着かなかったのですが、開放感があって、今はとても気に入っています」という慶士郎さん。
白を基調にしているので、天井に張られたレッドシダーや、デンマークから直輸入したレインシャワーが、とても映えていました。
「最初はトイレとバスルームが一緒で、落ち着かなかったのですが、開放感があって、今はとても気に入っています」という慶士郎さん。
白を基調にしているので、天井に張られたレッドシダーや、デンマークから直輸入したレインシャワーが、とても映えていました。
ナラ材を使用した造作キッチンは「素材が良いので対面式にせず、あえて見せるように設えました」(北山さん)
趣のある、北欧から直輸入したヴィンテージの扉の先に、パントリー兼機械室が続いています。
趣のある、北欧から直輸入したヴィンテージの扉の先に、パントリー兼機械室が続いています。
階段から上の壁面は全て、内装の下地材である(木片をプレスしてつくった)OSB合板をそのまま見せています。
個性的な表情が印象的ですが、表(あらわ)しにしたのは、コスト削減のためなので、慶士郎さんは「ゆくゆくは、自分で壁を塗りたいと思っている」そうです。
個性的な表情が印象的ですが、表(あらわ)しにしたのは、コスト削減のためなので、慶士郎さんは「ゆくゆくは、自分で壁を塗りたいと思っている」そうです。
階段をあがって右側のゲストルーム。北欧家具の名デザイナー(イルマリ・タピオヴァーラ)のベンチが、ぽつんと置かれているのが、なんとも絵になります。
ここに座って、夕陽を眺める時間は、まさに幸せの国デンマーク発祥の「ヒュッゲ」といえるでしょう。
ヒュッゲについての記事を読む
ここに座って、夕陽を眺める時間は、まさに幸せの国デンマーク発祥の「ヒュッゲ」といえるでしょう。
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反対側がご夫妻の寝室になっています。竣工直後、このように床はウレタン塗装をしたラワンベニヤ張りでした。
取材で訪れた時には、全面にコルクタイルが敷かれていたので、どうしたのかと伺うと、(愛犬の)紺ちゃんがベッドから飛び降りて、足を痛めてしまったので、緩衝性の高いコルクを貼ったのだそう。
取材で訪れた時には、全面にコルクタイルが敷かれていたので、どうしたのかと伺うと、(愛犬の)紺ちゃんがベッドから飛び降りて、足を痛めてしまったので、緩衝性の高いコルクを貼ったのだそう。
なるほど、だから1階ソファの前には大きなクッションが置かれていたのですね。紺ちゃん、きちんとクッションを使って、ソファに上り下りしていました。
2階は仕切りが一切無く、開放的な空間が広がっています。コンパクトながらも、ご夫妻と紺ちゃんが、暮らしやすいようにデザインされた、2LDKの住まいです。
最後にお庭を案内していただくと、慶士郎さんが「庭いじりは全く興味がなかったのですが、自分で芝生を植えました」と、その成果を見せてくださいました。今は玄関前の外構づくりにも励んでいるそうです。
ちょうどこの家が竣工した3月頃から、新型コロナウィルス感染症が蔓延し、数週間後に自粛要請が出されました。「今までの人生の中で、一番家の中にいる時間が長かったので、この家が完成していて、本当に助かりました」という慶士郎さん。
デンマークの人々の豊かな暮らし方に学んで建てられた徳武邸は、高断熱・高気密仕様による、快適性と省エネルギー性を追求した、持続可能なエコハウスでした。シンプルで洗練されたデザインは、時を経ると共にその趣をさらに増していくことでしょう。
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デンマークの人々の豊かな暮らし方に学んで建てられた徳武邸は、高断熱・高気密仕様による、快適性と省エネルギー性を追求した、持続可能なエコハウスでした。シンプルで洗練されたデザインは、時を経ると共にその趣をさらに増していくことでしょう。
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