開放的な空間に生まれ変わった、クラシックなテラスハウス
ロンドンの歴史ある建物の全面リフォーム。そして大胆に変身した廊下を、ビフォー・アフターの写真とともにご紹介します。
Michael Healey(マイケル・ハーレイ)さんのクライアントは猫好きの共働きのご夫婦。数年間住んだこのビクトリアンテラスハウス全体をリノベーションすることにしました。実は、2014年の時点でDesign Squared Architectsに依頼を持ちかけていたそうですが、獣医である夫がまずは自分の病院を立ち上げることに専念したかったので、このプロジェクトは中断されていました。
2021年になってようやく全ての準備が整いました。1階と建物裏手の増築部分をオープンプランの社交の場とし、ロフトを転用することによって、家全体を一新するというクライアントの依頼をハーレイの事務所がついに実行できる運びとなったのですDesign Squaredは暖房システムについてもより効率的なものに更新し、断熱材も追加しました。こうして実施されたリノベーションは、長い期間を待った甲斐のある、価値あるものとなりました。
2021年になってようやく全ての準備が整いました。1階と建物裏手の増築部分をオープンプランの社交の場とし、ロフトを転用することによって、家全体を一新するというクライアントの依頼をハーレイの事務所がついに実行できる運びとなったのですDesign Squaredは暖房システムについてもより効率的なものに更新し、断熱材も追加しました。こうして実施されたリノベーションは、長い期間を待った甲斐のある、価値あるものとなりました。
改装前、庭へは家から建物脇の通路を通ってアクセスする形になっていました。
「この住宅は長年手を入れてない状態でした。こういったビクトリア時代の住宅というものは連続感を欠く印象を与えます」と建築家のマイケル・ハーレイさんは言います。オーナーは、小部屋が多く、キッチンへのアクセスが廊下からのみだった当初の状態から、キッチンにいながらにして住宅の前と後ろまでの各スペースとのつながりを感じられる社交的な空間に変更することを希望していました。
Muchmore DesignのLinsey Skepper(リンゼイ・スケッパー)さんは、このプロジェクトのインテリアデザインを担当しました。「ご夫婦はインテリアの全てのディテールに対してアドバイスをくれる人を探していました」とマイケルさんは言います。
「この住宅は長年手を入れてない状態でした。こういったビクトリア時代の住宅というものは連続感を欠く印象を与えます」と建築家のマイケル・ハーレイさんは言います。オーナーは、小部屋が多く、キッチンへのアクセスが廊下からのみだった当初の状態から、キッチンにいながらにして住宅の前と後ろまでの各スペースとのつながりを感じられる社交的な空間に変更することを希望していました。
Muchmore DesignのLinsey Skepper(リンゼイ・スケッパー)さんは、このプロジェクトのインテリアデザインを担当しました。「ご夫婦はインテリアの全てのディテールに対してアドバイスをくれる人を探していました」とマイケルさんは言います。
特徴的な屋根形状は、既存の突き梁による屋根、新しい増築部分の屋根、そして上階の下側にある平天井の交差からつくられたものです。
天窓によって空間にリズムがつくられ、十分な自然光が取り入れられるようになっていますが、控え目な大きさのため、冬の熱損失や夏のオーバーヒートの可能性が低減されています。またこの住宅は周辺から見下ろされる形になるため、天窓にすることでプライバシーも確保しています。
ロンドンの古レンガを増築部分の壁部分に露出して残すことで、ミニマルなデザインからなるキッチンのスペースに、視覚的な温かみが加えられています。
天窓によって空間にリズムがつくられ、十分な自然光が取り入れられるようになっていますが、控え目な大きさのため、冬の熱損失や夏のオーバーヒートの可能性が低減されています。またこの住宅は周辺から見下ろされる形になるため、天窓にすることでプライバシーも確保しています。
ロンドンの古レンガを増築部分の壁部分に露出して残すことで、ミニマルなデザインからなるキッチンのスペースに、視覚的な温かみが加えられています。
改修前のキッチンは窮屈で、直接庭に出ることはできませんでした。
今ではキッチンとパティオが直接つながっています。屋内のガラスに合わせてパティオへ続くドアもスチール製にできたらクライアントは喜んだだろうとマイケルさんは言いますが、イギリス製の製品で彼らが希望するスタイルのものは見つからなかったため、実際に用いたのはアルミ製のものです。「彼らは屋内と屋外が連続した雰囲気を感じられるよう、2つ折りのドアを希望しました」とマイケルさん。
人造石のカウンタートップを備えたアイランドからは木製の朝食コーナーが伸びており、ご夫婦が日常的に利用できる食事スペースになっています。ご夫婦はすっきりとした、ミニマルなキッチンを希望していたため、床から天井までを占めるキャビネットの中に全てのものを収納できるようにしました。
建物の外装材を庭にぐるりと延長してフェンスとしました。このフェンスは美しい背景になるとと共に、キッチンへ視覚的に木の温かみをもたらしています。「60ミリ幅の帯板を使うことによってスマートな仕上げになっており、庭の物置のようには見えません」とマイケルさんは言います。角に沿って設置されたベンチには薄型の収納が組み込まれており、夜間にクッションをしまっておくことができます。
人造石のカウンタートップを備えたアイランドからは木製の朝食コーナーが伸びており、ご夫婦が日常的に利用できる食事スペースになっています。ご夫婦はすっきりとした、ミニマルなキッチンを希望していたため、床から天井までを占めるキャビネットの中に全てのものを収納できるようにしました。
建物の外装材を庭にぐるりと延長してフェンスとしました。このフェンスは美しい背景になるとと共に、キッチンへ視覚的に木の温かみをもたらしています。「60ミリ幅の帯板を使うことによってスマートな仕上げになっており、庭の物置のようには見えません」とマイケルさんは言います。角に沿って設置されたベンチには薄型の収納が組み込まれており、夜間にクッションをしまっておくことができます。
お客さまを招くときに使うダイニングエリアは、キッチンと住宅の手前側にあるフォーマルなリビングルームの間のスペースを橋渡しします。
チームがデザインしたスマートな見た目のサイドボードは、キッチンのワークトップに使用されているのと同じ人工石を天板にすることで2つの空間をつないでいます。また前板扉の一部にはモールガラスを使っています。
チームがデザインしたスマートな見た目のサイドボードは、キッチンのワークトップに使用されているのと同じ人工石を天板にすることで2つの空間をつないでいます。また前板扉の一部にはモールガラスを使っています。
リビング・ダイニングエリアと廊下の間にあった既存の壁。
壁は作り替えられました。マイケルさんのクライアントは、ダイニングとリビングエリアに面した壁をガラス張りにして、暗く幅の狭い廊下を開放するというアイディアを思い付きました。構造壁の一部は新しい壁の最上部に残し、スチール製のフレームによってこの壁に必要とされる強度をもたらしています。ガラスには耐火性のものが用いられています。
設計に影響を与えた安全性に対する考慮点は、ガラス壁の強度の他にもあります。「建物は5階立てで、プロジェクトの空間は完全なオープンプランであるため、火災時の避難経路となる階段を区画する必要がありました」とマイケルさんは言います。
壁に木製のドアが、この条件を満たすにあたって最も安価で素早い方法でしたが(スチールとガラス壁の納期は長いので)、マイケルさんはデザインの観点からガラス壁の解決策が最適だったと信じています。「ビクトリア時代の建物は廊下が非常に狭いのです」と彼は言います。「ですからガラス壁を選ぶことで、このエリアに明るさをもたらし、空間としての意味を与えることができました」
設計に影響を与えた安全性に対する考慮点は、ガラス壁の強度の他にもあります。「建物は5階立てで、プロジェクトの空間は完全なオープンプランであるため、火災時の避難経路となる階段を区画する必要がありました」とマイケルさんは言います。
壁に木製のドアが、この条件を満たすにあたって最も安価で素早い方法でしたが(スチールとガラス壁の納期は長いので)、マイケルさんはデザインの観点からガラス壁の解決策が最適だったと信じています。「ビクトリア時代の建物は廊下が非常に狭いのです」と彼は言います。「ですからガラス壁を選ぶことで、このエリアに明るさをもたらし、空間としての意味を与えることができました」
階段の下にある小さなドアの内側には、ガスメーターと電気設備が収められています。
廊下からガラスドア越しに見ると、エレガントで調和の取れた眺めが広がります。インテリアデザイナーはオーナーが所有していたアイテムと新しいアイテムをミックスし、色や素材の違いを超えて全てがマッチするよう、1つにまとめあげています。
床材は白く着色された三層からなるオークの複合材で、この空間を明るく感じさせるのに一役かっています。
廊下からガラスドア越しに見ると、エレガントで調和の取れた眺めが広がります。インテリアデザイナーはオーナーが所有していたアイテムと新しいアイテムをミックスし、色や素材の違いを超えて全てがマッチするよう、1つにまとめあげています。
床材は白く着色された三層からなるオークの複合材で、この空間を明るく感じさせるのに一役かっています。
オーナーはこれまで常に2階部分を日常使いのリビングルームに、そして現在はリビングルームとしている1階のスペース(写真)をホームオフィスとして使用してきました。
現在、そのスペースは落ち着いたフォーマルなリビングルームへと変貌を遂げ、作業机はエレガントなソファに置き換えられて、人を招き入れるような配置で置かれています。
ビクトリア時代の特徴的なディテールはコーニスやローゼットの形で復活させ、部屋に優美な雰囲気を加えています。オーディオと映像機器の専門家が住宅全体の計画を立て、全ての部屋にデータポイントを設ける事とともに、スピーカー付きのワイヤレスのホームサウンドシステムが庭まで含めて家全体に設置されました。この写真では、目立たない形で設置されたスピーカーが見て取れます。
上げ下げ式の窓は同様のデザインを備えた2重ガラスのものに置き換えられ、この家の断熱性能をさらに向上させています。
ビクトリア時代の特徴的なディテールはコーニスやローゼットの形で復活させ、部屋に優美な雰囲気を加えています。オーディオと映像機器の専門家が住宅全体の計画を立て、全ての部屋にデータポイントを設ける事とともに、スピーカー付きのワイヤレスのホームサウンドシステムが庭まで含めて家全体に設置されました。この写真では、目立たない形で設置されたスピーカーが見て取れます。
上げ下げ式の窓は同様のデザインを備えた2重ガラスのものに置き換えられ、この家の断熱性能をさらに向上させています。
この部屋では、新たに塗装を施したほか、造作の設置、暖炉の塗り直し、炉床タイルの交換をおこないました。
床板は引き続き使用するのに十分良い状態だったため、やすりがけし、1階の複合材とマッチする淡い色を保持するために明るい色の仕上げを施しました。
主寝室のドアの外側には、屋根裏のロフトを改装した客室/フィットネスルーム/ゲームルームへと通じる新しい階段室が見えます。この部分の壁は、1階の剥き出しのレンガに合わせた薄いレンガ板で仕上げました。
主寝室のドアの外側には、屋根裏のロフトを改装した客室/フィットネスルーム/ゲームルームへと通じる新しい階段室が見えます。この部分の壁は、1階の剥き出しのレンガに合わせた薄いレンガ板で仕上げました。
このプロジェクトのインテリアデザイナーは、緑色のトーンと植物を用いて、窓の外に見える木々の頂を部屋の雰囲気に取り込み、この部屋を静かで落ち着きのある部屋へと作り替えました。また以前は寝室の1つにあった電子ピアノもここに置かれ、この部屋を単なるテレビルームではない部屋に仕上げています。
炉胸を撤去すると部屋の配置に手を加えることができるようになり、ウォークイン式の大きなシャワー室と、その反対側には広々とした洗面台を設け、さらに浴槽を置けるスペースも残りました。黒色の金物は、1階のスチールサッシを踏襲しています。
以前の浴室
住まい手: 夫妻+2匹の猫
所在地: ロンドン
建物概要: ビクトリア様式のテラスハウス
設計: Design Squared Architects
インテリア・デザイン: Muchmore Design
庭デザイン: Caroline Crawford Garden Design
キッチンデザイン: Dulwich Design Kitchens
写真: Chris Snook
現代的なスタイルのリノベーションは、建物の外からでもはっきりと見て取れます。木材で仕上げられた建物裏手の増築部分には2つ折り式のドアが設置され、屋外と屋内をつなげています。