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「サステナブルな素材」の本質とは?
何千もの革新的な素材やテクノロジーのデータベースである「MatériO’」。その創始者に"真にサステナブルな素材"とは何なのか、これからの素材の考え方について聞きました。
Elen Pouhaer
2020年2月25日
20年前に設立されたMatériO’(マテリオ)は、世界中の専門家向けに8,500以上の素材サンプルと参考情報を提供する国際的なデータベースです。パリにオープンした素材ライブラリーは、その後、プラハ、ソウル、深セン、そして上海へと徐々に海外展開していきます。建築・デザイン分野でのデザイン、生産、消費において、サステナブル(持続可能)であることが、かつてないほど重視されている今、私たちは素材とどのように向き合っていくべきなのでしょうか。MatériO’の創設者で社長のクエンティン・イルサンジェーにお話を伺いました。
MatériO’の使命とは?
MatériO’は、パッケージングや建築、化粧品、ファッション、さらには自動車産業といった各種分野のために、ユニークで革新的な、珍しい素材を発見してもらおうと作られたデータベースです。
MatériO’は、パッケージングや建築、化粧品、ファッション、さらには自動車産業といった各種分野のために、ユニークで革新的な、珍しい素材を発見してもらおうと作られたデータベースです。
メゾン・エ・オブジェ2019年9月展での、MatériO’のブース ©matériO’
各分野で利用される素材の可能性を広げるため、素材の区分を撤廃したいと考えています。私たちは、ある分野で、どのような材料がよく使われているかを特定します。たとえば、パッケージ業界で働く人は大抵、紙や厚紙でできることについて知っているでしょうが、それ以外の興味深い素材を見逃しているかもしれません。
そこでMatériO’は、例えば、あるタイプのポリウレタンゲルや金属繊維テキスタイルについて、ユーザーにお知らせします。今まで知らなかった素材を知ってもらう機会をつくることで、どんな分野の人にも、新素材に挑戦してもらいやすくなります。
自然の色、素材、形に注目。メゾン・エ・オブジェ2020年1月展の見どころ
各分野で利用される素材の可能性を広げるため、素材の区分を撤廃したいと考えています。私たちは、ある分野で、どのような材料がよく使われているかを特定します。たとえば、パッケージ業界で働く人は大抵、紙や厚紙でできることについて知っているでしょうが、それ以外の興味深い素材を見逃しているかもしれません。
そこでMatériO’は、例えば、あるタイプのポリウレタンゲルや金属繊維テキスタイルについて、ユーザーにお知らせします。今まで知らなかった素材を知ってもらう機会をつくることで、どんな分野の人にも、新素材に挑戦してもらいやすくなります。
自然の色、素材、形に注目。メゾン・エ・オブジェ2020年1月展の見どころ
©Selency
これまで、どのような新たな素材がデザインや建築分野へと転用されましたか?
一般に石油掘削や水処理プラントでのろ過に使用されるステンレス鋼管は、現在、建築物の柱やラジエーターを覆うために使用され、ファサードの日除けの軒としても使われています。
世界的に有名なもう1つの例がフォーマイカで、1950年代から各種家具で使用されています。この複合材料は1912年に2人のアメリカ人エンジニアが発明したもので、もともとマイカ(雲母)に替わる電気絶縁材料として作られました。フェノール樹脂を含浸させたクラフト紙の層を熱プレスで成形したものです。
これまで、どのような新たな素材がデザインや建築分野へと転用されましたか?
一般に石油掘削や水処理プラントでのろ過に使用されるステンレス鋼管は、現在、建築物の柱やラジエーターを覆うために使用され、ファサードの日除けの軒としても使われています。
世界的に有名なもう1つの例がフォーマイカで、1950年代から各種家具で使用されています。この複合材料は1912年に2人のアメリカ人エンジニアが発明したもので、もともとマイカ(雲母)に替わる電気絶縁材料として作られました。フェノール樹脂を含浸させたクラフト紙の層を熱プレスで成形したものです。
©Les Gambettes
この絶縁材料は、マイカと同じ層状構造を持ち、大量生産可能な標準化された製品でもあります。
表面に装飾としてリトグラフのデザインを加えるアイデアが生まれたのは1920年代後半のことでした。
この絶縁材料は、マイカと同じ層状構造を持ち、大量生産可能な標準化された製品でもあります。
表面に装飾としてリトグラフのデザインを加えるアイデアが生まれたのは1920年代後半のことでした。
木材チップとバイオベース樹脂の複合材料で作られた鉢。右:アルミ板から作られたメッシュのオーバーオール。食品産業で保護エプロンとして使われる。©matériO’
MatériO’創立以来、サステナビリティ(持続可能性)に対する需要はどのように進化しましたか?
かつて、専門家や企業は主にマーケティングに集中していたか、あるいは単に経済的なペナルティーを回避しようとしていました。今では環境問題が本当の意味で認識されていますが、持続可能な開発に付随する課題と複雑さについての認識が不足している状況でもあります。
コンピテンシーとトレーニングの面では、あまり進歩がありません。むしろ、いまだに「黒か白」の状態にあります。
MatériO’創立以来、サステナビリティ(持続可能性)に対する需要はどのように進化しましたか?
かつて、専門家や企業は主にマーケティングに集中していたか、あるいは単に経済的なペナルティーを回避しようとしていました。今では環境問題が本当の意味で認識されていますが、持続可能な開発に付随する課題と複雑さについての認識が不足している状況でもあります。
コンピテンシーとトレーニングの面では、あまり進歩がありません。むしろ、いまだに「黒か白」の状態にあります。
サステナブルな素材に関する落とし穴とは?
「サステナブルな素材」という用語は、真のエコデザインのアプローチという点では絵に描いた餅であり、空虚な観念で、言葉の濫用です。素材自体は良いものでも悪いものでもありません。考慮しないといけないのは、素材の使い方が賢明か、賢明でないのか、ということです。その素材を使ったプロジェクトを考慮に入れて考えなければ、環境面での素材の影響について評価することはできません。
「サステナブルな素材」という用語は、真のエコデザインのアプローチという点では絵に描いた餅であり、空虚な観念で、言葉の濫用です。素材自体は良いものでも悪いものでもありません。考慮しないといけないのは、素材の使い方が賢明か、賢明でないのか、ということです。その素材を使ったプロジェクトを考慮に入れて考えなければ、環境面での素材の影響について評価することはできません。
ザイファー(デザインスタジオAPEと共同制作)による、『サースティー(Thirsty)』チェア、リサイクルPETボトルで作成 ©Zuiver
各プロジェクトは、そのサイクルの中、その枠組み内で全体として考える必要があります。あるときには最適な素材も、別の場合には最悪の素材になり得ます。何はさておき、前進するにはこの複雑さを受け入れざるを得ないのです。
一般に環境に悪い素材の象徴とみなされているプラスチックは、実のところ優れた性質も持っています。たとえば、医療分野では1950年代から数百万人の命を救ってきました。私たちは「サステナブルな素材」という用語には反対です。なぜなら、木はプラスチックよりも良いといった、誤った概念を伝えてしまうからです。
各プロジェクトは、そのサイクルの中、その枠組み内で全体として考える必要があります。あるときには最適な素材も、別の場合には最悪の素材になり得ます。何はさておき、前進するにはこの複雑さを受け入れざるを得ないのです。
一般に環境に悪い素材の象徴とみなされているプラスチックは、実のところ優れた性質も持っています。たとえば、医療分野では1950年代から数百万人の命を救ってきました。私たちは「サステナブルな素材」という用語には反対です。なぜなら、木はプラスチックよりも良いといった、誤った概念を伝えてしまうからです。
革の代替品として使用される、廃棄パイナップルの葉の繊維からできた不織布素材 ©matériO’
デザインと調度品分野で話題になっている「ビーガンレザー」。こういった新素材についてどのようにお考えですか?
「ビーガンレザー」については、毎日のようにリクエストを受けます。この場合もやはり、意味論的な問題があります。見た目や特性をまねた革の代替品について語るなら、疑似皮革について触れる必要があります。
世界中で使われる皮革の95%以上が食品産業からの廃棄物です。なぜこの天然素材を、耐久性がはるかに低く、もっと汚染がひどい代替品(一般的にはポリウレタンコーティングされた布)に置き換えたいのでしょうか? 環境の観点から言えば、現在の真の問題は皮なめし産業にあります。
【ハイムテキスタイル2020】 環境に優しいホームテキスタイルとは?
デザインと調度品分野で話題になっている「ビーガンレザー」。こういった新素材についてどのようにお考えですか?
「ビーガンレザー」については、毎日のようにリクエストを受けます。この場合もやはり、意味論的な問題があります。見た目や特性をまねた革の代替品について語るなら、疑似皮革について触れる必要があります。
世界中で使われる皮革の95%以上が食品産業からの廃棄物です。なぜこの天然素材を、耐久性がはるかに低く、もっと汚染がひどい代替品(一般的にはポリウレタンコーティングされた布)に置き換えたいのでしょうか? 環境の観点から言えば、現在の真の問題は皮なめし産業にあります。
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『イン・ビボ(In Vivo)』プロジェクト、パリ13区
リインベンティング・パリ(Reinventing Paris)の2020年受賞者 © XTU
今日の建築において最も話題になっている、サステナブルなプロジェクトは何ですか?
エネルギー・ニュートラルであるか、またはスマートグリッドにエネルギーを売ることができるような、生態学的に優れた建物への関心をますます高めています。
微細藻類について非常に興味深い研究が行われています。私は太陽光発電について非常に懐疑的なのですが、それは太陽発電装置の生産が膨大な汚染を引き起こすためです。特に現在作られているセルの耐久性があまりよくないため、上流での環境影響が重大です。
リインベンティング・パリ(Reinventing Paris)の2020年受賞者 © XTU
今日の建築において最も話題になっている、サステナブルなプロジェクトは何ですか?
エネルギー・ニュートラルであるか、またはスマートグリッドにエネルギーを売ることができるような、生態学的に優れた建物への関心をますます高めています。
微細藻類について非常に興味深い研究が行われています。私は太陽光発電について非常に懐疑的なのですが、それは太陽発電装置の生産が膨大な汚染を引き起こすためです。特に現在作られているセルの耐久性があまりよくないため、上流での環境影響が重大です。
『ベイエコタリウム(BayEcotarium)』、サンフランシスコ © XTU
建築家アヌーク・ルジャンドル(Anouk Legendre)とニコラス・デマジエール(Nicolas Desmazières)が設立した機関であるXTUは、バイオテクノロジー研究を行っています。実験的研究に投資し、真の生物学的な太陽熱収集装置である微細藻類で作ったバイオファサードを開発しています。このような建築は、都市環境における生物多様性保全を保証する生態系とみなされています。この取り組みは、生物学的サイクルに配慮しており、非常に興味深いものです。
自然界や生物のあり方から学ぶのは、インスピレーションと同じくらい興味深いです。建築家たちは、シロアリの蟻塚の複雑な構造からインスピレーションを得て、自然換気の建物を作っています。
エコ・サステナブルの記事を読む
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自然界や生物のあり方から学ぶのは、インスピレーションと同じくらい興味深いです。建築家たちは、シロアリの蟻塚の複雑な構造からインスピレーションを得て、自然換気の建物を作っています。
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