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自然の色、素材、形に注目。メゾン・エ・オブジェ2020年1月展の見どころ
ヨーロッパ最大級のインテリア見本市である「メゾン・エ・オブジェ」1月展の最新情報をお届けします。
Elen Pouhaer
2020年1月29日
インテリアデザインの専門家にとって、ヨーロッパで最も重要なイベントのひとつが、今年25周年を迎えたメゾン・エ・オブジェ見本市です。Houzz編集部は今年も現地からトレンドについてお伝えします。
目立っていたのは、柔らかなナチュラルカラー、自然素材、有機的な形です。つまり、今年のインテリアでは自然がふたたび流行するのです。
目立っていたのは、柔らかなナチュラルカラー、自然素材、有機的な形です。つまり、今年のインテリアでは自然がふたたび流行するのです。
意識の高い世代
25年周年を記念して、メゾン・エ・オブジェは「(Re)Generation」というテーマのもと若い世代にスポットライトをあて、未来に目を向けました。
重大な変革や技術的なイノベーションが起こった時期に育ったジェネレーションXやYの世代は、圧倒的に意識が高く、ライフスタイルやインテリアの伝統を大きく変えました。
25年周年を記念して、メゾン・エ・オブジェは「(Re)Generation」というテーマのもと若い世代にスポットライトをあて、未来に目を向けました。
重大な変革や技術的なイノベーションが起こった時期に育ったジェネレーションXやYの世代は、圧倒的に意識が高く、ライフスタイルやインテリアの伝統を大きく変えました。
トレンドのコンサルティングを行うネリーロディ社は、デザインや消費の革新によりエシカルな未来を目指すミレニアル世代の新たなライフスタイルを、次のように分析します。
「私たちの『愛しのわが家』は、専門的な活動をしたり、そしてそれ以上に、友だちを呼んで自分を解放したりする場所になってきています。ミレニアル世代に人気なのは、インテリア、料理、ガーデニング、DIYです。将来のことをあまり気にしないこの世代にとって、家という場所は逃避の場所であり、その瞬間を充分に生きることのできる場所なのです」と、コンサルタントのヴァンサン・グレゴワールはHouzzの独占取材に答えました。
エコ・サステナブルの記事を読む
「私たちの『愛しのわが家』は、専門的な活動をしたり、そしてそれ以上に、友だちを呼んで自分を解放したりする場所になってきています。ミレニアル世代に人気なのは、インテリア、料理、ガーデニング、DIYです。将来のことをあまり気にしないこの世代にとって、家という場所は逃避の場所であり、その瞬間を充分に生きることのできる場所なのです」と、コンサルタントのヴァンサン・グレゴワールはHouzzの独占取材に答えました。
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メゾン・エ・オブジェでのマイケル・アナスタシアデス 写真:Aethion
デザイナー・オブ・ザ・イヤーはマイケル・アナスタシアデス
マイケル・アナスタシアデスはロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業し、ロンドンを拠点に活躍するキプロス人のデザイナーです。1994年にロンドンに自身のデザインスタジオを設立し、2007年に自身の名前を冠したブランドを立ち上げました。すっきりした幾何学的なラインの照明器具で有名な彼は、そのミニマルでタイムレスな美学により、作品とユーザーの間の関係性を探求します。
デザイナー・オブ・ザ・イヤーはマイケル・アナスタシアデス
マイケル・アナスタシアデスはロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業し、ロンドンを拠点に活躍するキプロス人のデザイナーです。1994年にロンドンに自身のデザインスタジオを設立し、2007年に自身の名前を冠したブランドを立ち上げました。すっきりした幾何学的なラインの照明器具で有名な彼は、そのミニマルでタイムレスな美学により、作品とユーザーの間の関係性を探求します。
マイケル・アナスタシアデスによる『チューブ・シャンデリア』 写真:ヘレネ・ビネット
「視覚的な情報をそぎ落とすのは簡単ではありませんが、余計な要素をすべて取り除くよう精製し、オブジェの本質だけを残すのです」と、アナスタシアデスはHouzzのインタビューに答えました。
詩的な光の探求者。マイケル・アナスタシアデスに聞く【メゾン・エ・オブジェ 2020年1月展】
「視覚的な情報をそぎ落とすのは簡単ではありませんが、余計な要素をすべて取り除くよう精製し、オブジェの本質だけを残すのです」と、アナスタシアデスはHouzzのインタビューに答えました。
詩的な光の探求者。マイケル・アナスタシアデスに聞く【メゾン・エ・オブジェ 2020年1月展】
マイケル・アナスタシアデスによる『モビール・シャンデリア』 写真:Aethion
2020年のデザイナー・オブ・ザ・イヤーとして、アナスタシアデスは、10年前から展開してきた自身の『モビール・シャンデリア』コレクションをテーマとしたインスタレーションを提案しました。モーターによって動く16個の彫刻的なパーツが動くさまは、まるで詩的なバレエのようです。
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「ライジング・タレント・アワード」で展示された、ジュリ・リショズによる『Isla vase』(左)、『Oreilles vase』(右)、『Binaire carpet』、『Cicala chai』 写真:Aethion
若手の注目デザイナーたち
メゾン・エ・オブジェでは毎回、「ライジング・タレント・アワード」にて、特定の国の若いデザイナーに注目しています。レバノン、中国、アメリカに続き、今年度はフランスにスポットを当てました。エイドリアン・ガルシア(Adrien Garcia)、ウェンディ・アンドリュー(Wendy Andreu)、ジュリ・リショズ、ロールリンヌ・ガリオット(Laureline Galliot)、マチュー・ペイルーレ・ギリニといった5人の新進デザイナーとともに、ナターシャ・アンド・サーシャ(Natacha & Sacha)という若いフランス人の2人組が今シーズンの受賞者となりました。
若手の注目デザイナーたち
メゾン・エ・オブジェでは毎回、「ライジング・タレント・アワード」にて、特定の国の若いデザイナーに注目しています。レバノン、中国、アメリカに続き、今年度はフランスにスポットを当てました。エイドリアン・ガルシア(Adrien Garcia)、ウェンディ・アンドリュー(Wendy Andreu)、ジュリ・リショズ、ロールリンヌ・ガリオット(Laureline Galliot)、マチュー・ペイルーレ・ギリニといった5人の新進デザイナーとともに、ナターシャ・アンド・サーシャ(Natacha & Sacha)という若いフランス人の2人組が今シーズンの受賞者となりました。
『Piggy Bank』 写真:ロールリンヌ・ガリオット
この若き新進フランス人デザイナーたちは、伝統的な技術とデジタルでの創作に誇りを持つ一方で、便利で機能的な家のインテリアや家具を作る創意工夫も持ち合わせています。例えばナターシャ・アンド・サーシャは、テクノロジーと小型家電製品に対して新たな解釈を提示しました。
この若き新進フランス人デザイナーたちは、伝統的な技術とデジタルでの創作に誇りを持つ一方で、便利で機能的な家のインテリアや家具を作る創意工夫も持ち合わせています。例えばナターシャ・アンド・サーシャは、テクノロジーと小型家電製品に対して新たな解釈を提示しました。
『Ceramic data server』 写真:ナターシャ・アンド・サーシャ
「これらのデバイスに対するユーザーの見方を変化させる、つまり、長く大切に使われるようにするために、より魅力的なデバイスにすることを目指しました。そこで、ガラスで出来た加湿器、ビトリファイド磁気のケトル、刺しゅう入りの電気カーペット、耐火性レンガのラジエーター、セラミックのデータサーバーをデザインしました。各作品は、製作上のノウハウが持つユニークな一面に着目しています」
「これらのデバイスに対するユーザーの見方を変化させる、つまり、長く大切に使われるようにするために、より魅力的なデバイスにすることを目指しました。そこで、ガラスで出来た加湿器、ビトリファイド磁気のケトル、刺しゅう入りの電気カーペット、耐火性レンガのラジエーター、セラミックのデータサーバーをデザインしました。各作品は、製作上のノウハウが持つユニークな一面に着目しています」
カラートレンド
明るい色、特にピンクをふんだんに取り入れた柔らかい雰囲気や、休息や静けさ、幸福を促すような禅(ZEN)のスタイルを作り出すヌードカラーやニュートラルカラーの到来にそなえましょう。
明るい色、特にピンクをふんだんに取り入れた柔らかい雰囲気や、休息や静けさ、幸福を促すような禅(ZEN)のスタイルを作り出すヌードカラーやニュートラルカラーの到来にそなえましょう。
自然はインテリアの世界にインスピレーションを与え続けています。植物的な色がここ数シーズン注目されてきました。柔らかい緑から、はっきりしたミント・グリーンやピーコック・ブルーにいたるまで、今年度もさまざまな色合いが登場しました。また、スカイ・ブルーがパステルカラーのパレットに新色として追加されました。
ペイント会社に聞く!2020年のイチオシカラーは?
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テラコッタの人気も続いています。茶色や黄褐色、ナチュラルウッドとあわせたり、寒色と対比させたりすることにより、インテリアにほのかな暖かみをもたらします。
新たに登場した色は他にもあります。そのひとつが非常にシックなバーガンディで、昨年12月にパントン研究所によって2020年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたクラシック・ブルーとの組み合わせが特に印象的です。
2020年のトレンド色「クラシック・ブルー」をインテリアに取り入れるなら?
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ダリールズによる『Jati WL dining table』
素材のトレンド
特に若い世代の間で顕著にみられる、オーセンティシティ(本物であること)、耐久性、自然とのつながりを必要とする風潮をうけ、未加工の自然素材がかつてないほど人気です。
自然を取り入れて、住まいを癒しの空間にするヒント
素材のトレンド
特に若い世代の間で顕著にみられる、オーセンティシティ(本物であること)、耐久性、自然とのつながりを必要とする風潮をうけ、未加工の自然素材がかつてないほど人気です。
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「What’s New」での展示、『Care』 写真:Aethion
家の全ての部屋における主要な素材はウッドであり、オーク、バーチ、メープル材が特に好まれていました。
このトレンドを完璧に表したのが見本市の展示、「What’s New」です。その中でも顕著だったのが、エリザベス・レリッシュ(Elizabeth Leriche)のキュレーションによる、調理道具や食器の世界を展示した『シェア(Share)』のスペース、そしてフランソワ・バーナード(François Bernard)によってキュレーションされた、寝室や浴室に注目した『ケア(Care)』スペースでした。
家の全ての部屋における主要な素材はウッドであり、オーク、バーチ、メープル材が特に好まれていました。
このトレンドを完璧に表したのが見本市の展示、「What’s New」です。その中でも顕著だったのが、エリザベス・レリッシュ(Elizabeth Leriche)のキュレーションによる、調理道具や食器の世界を展示した『シェア(Share)』のスペース、そしてフランソワ・バーナード(François Bernard)によってキュレーションされた、寝室や浴室に注目した『ケア(Care)』スペースでした。
ハンデッド・バイ(Handed By)による『Halo High』サイドテーブル
籐編み、織物、組紐などの伝統工芸は現在でも注目されており、今回はカラフルな新しいスタイルや、特に屋外用などの新たな素材への応用が見られました。
籐編み、織物、組紐などの伝統工芸は現在でも注目されており、今回はカラフルな新しいスタイルや、特に屋外用などの新たな素材への応用が見られました。
鉄やガラス、大理石などの自然の鉱物素材、人造大理石は今でもインテリアに欠かせません。コンクリートの人気が高まっており、特に小さなインテリアアイテムにおいてその傾向が顕著です。
テキスタイルにおいては、居心地のよいアームチェアやソファーなどあらゆる形状を美しく飾るベルベット、パイル織り、ウールの、とりわけその心地よさに注目が集まっています。
【ハイムテキスタイル2020】 環境に優しいホームテキスタイルとは?
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今年度の模様のトレンドも、自然の豊かさから想起されています。花柄や植物柄は現在でも人気があり、木や水、写真の大理石柄の壁紙のような石などに由来するような模様も見られました。未加工で不規則な自然の形状はインテリアを上手く装飾し、その不完全さは美しさと捉えられます。
家具のトレンド
曲線を描く、ゆったりとして心地よい最新のソファー、アームチェア、アクセント・チェア、オットマンはくつろぎへと誘います。今年は曲線や円形が間違いなく流行するでしょう。
このような柔らかい線はテーブル、照明、食器棚、鏡といった、あらゆる調度品に使用されていました。特にアーチは、いたるところで見られました。
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このような柔らかい線はテーブル、照明、食器棚、鏡といった、あらゆる調度品に使用されていました。特にアーチは、いたるところで見られました。
同じように、デイベッドの人気が高まっています。この多機能なアイテムは、ソファーや読書コーナー、またはベッドとして、多様な空間に簡単に組み込むことができます。
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