サステナブルなインテリアのための7つのポイント
環境に配慮したインテリアをつくるためには、どういう点に気をつけたらよいのでしょうか?
Claire Tardy
2023年9月4日
環境問題に取り組むことは、インテリアや設備の分野においても重要です。
昨年秋にパリで開催された『メゾン・エ・オブジェ』でも、専門家たちから様々な意見が出ていました。国際的な素材のデータベース「MatériO’(マテリオ)」の創設者、クエンティン・イルサンジェーは「素材自体は良いものでも悪いものでもありません。考慮しないといけないのは、素材の使い方が賢明か、賢明でないのか、ということ」だと話しました。
この記事では、インテリアのアイテムを選ぶ際に、よりよい選択をするためのヒントを探っていきます。
昨年秋にパリで開催された『メゾン・エ・オブジェ』でも、専門家たちから様々な意見が出ていました。国際的な素材のデータベース「MatériO’(マテリオ)」の創設者、クエンティン・イルサンジェーは「素材自体は良いものでも悪いものでもありません。考慮しないといけないのは、素材の使い方が賢明か、賢明でないのか、ということ」だと話しました。
この記事では、インテリアのアイテムを選ぶ際に、よりよい選択をするためのヒントを探っていきます。
1. 素材の性質
より責任ある選択をするためにまず注意しなければならないことは、素材の性質です。天然素材が最高のオプションだと思われるかもしれませんが、素材の持続性の問題は見かけほど単純ではありません。エコと言われる素材は、3つのカテゴリーに分類する事が可能です。
より責任ある選択をするためにまず注意しなければならないことは、素材の性質です。天然素材が最高のオプションだと思われるかもしれませんが、素材の持続性の問題は見かけほど単純ではありません。エコと言われる素材は、3つのカテゴリーに分類する事が可能です。
- バイオベース素材 : 動物や植物を元にしたバイオマス由来の素材。建築や装飾品の原料としても使用されます。例えば木材、コルク、リネン、羊毛など。地質や化石を形成する素材はバイオマスには入りません。
- 生分解性素材 : 自然のプロセスによってコンポスト可能な素材。しかし、素材の生分解性は限定的であることに注意が必要です。実際には、集めたものを整理し、分解に適した環境に置くことが必要となります。
- 再利用可能素材 : 使用後に再利用、もしくは再活用できるすべての製品を指します。たとえばプラスチック、ガラス、アルミニウムや紙など。ここでも、適切な再利用の手順が存在すること、つまり使用後に新しい素材に変換させる仕組みが必要となります。
持続可能な素材に関しては、バイオプラスチックの話題は避けて通れません。現在バイオプラスチックは、新しいエコロジーデザインの実験に使用されています。たとえば、ロッサーナ・オルランディは、リサイクルプラスチック製品に焦点を当てた、『ギルトレス・プラスチック』の発起人です。
バイオプラスチックには2種類の素材が含まれていることを理解する必要があります。処理済みの天然素材で構成されたバイオベースプラスチックと、使用後に再利用出来るリサイクルプラスチックです。すべての素材と同じように、バイオベースの製品も必ずしもリサイクルや生分解ができるとは限らず、その逆も然りだということを念頭に置いておきましょう。
バイオプラスチックには2種類の素材が含まれていることを理解する必要があります。処理済みの天然素材で構成されたバイオベースプラスチックと、使用後に再利用出来るリサイクルプラスチックです。すべての素材と同じように、バイオベースの製品も必ずしもリサイクルや生分解ができるとは限らず、その逆も然りだということを念頭に置いておきましょう。
2. 素材の種類
よりよい消費のために消費量を減らすことは、装飾、家具、デザインにも当てはまります。製造に使用される材料の種類が少ないほど、製品のリサイクルが容易になります。実際、1つの素材のみでつくられた家具や付属品は、分解するために前もって素材を分離する必要がないので、リサイクルの手順に組み込むのが容易になります。
「サステナブルな素材」の本質とは?
よりよい消費のために消費量を減らすことは、装飾、家具、デザインにも当てはまります。製造に使用される材料の種類が少ないほど、製品のリサイクルが容易になります。実際、1つの素材のみでつくられた家具や付属品は、分解するために前もって素材を分離する必要がないので、リサイクルの手順に組み込むのが容易になります。
「サステナブルな素材」の本質とは?
3. 製品の寿命
“よりよい消費のために消費量を減らす”理論では常に、製品の寿命は環境への影響を測るための重要な要因です。実際、部品に持続性があれば取り替える必要が少なくなり、追加の資源と原料の使用に影響を与え、当然配送にも影響を与えます。製品の寿命は、たとえば保証期間によって測ることができます。
環境に配慮した新しい家具のブランド「ノマ」の共同創立者の一人であるギヨーム・ガロワによると、製品の持続性の概念は、使用後に再利用できるからといって打ち消されるものではありません。「寿命を保証された家具でさえ、いつかは捨てられるでしょう。したがって、セカンドライフのために、どのようにリサイクルの関連産業に組み込むことができるかを考えることが重要です」
“よりよい消費のために消費量を減らす”理論では常に、製品の寿命は環境への影響を測るための重要な要因です。実際、部品に持続性があれば取り替える必要が少なくなり、追加の資源と原料の使用に影響を与え、当然配送にも影響を与えます。製品の寿命は、たとえば保証期間によって測ることができます。
環境に配慮した新しい家具のブランド「ノマ」の共同創立者の一人であるギヨーム・ガロワによると、製品の持続性の概念は、使用後に再利用できるからといって打ち消されるものではありません。「寿命を保証された家具でさえ、いつかは捨てられるでしょう。したがって、セカンドライフのために、どのようにリサイクルの関連産業に組み込むことができるかを考えることが重要です」
4. 製造プロセス
どのような製造プロセスを経ているかに関係なく、素材自体に持続性があることもあります。たとえば、エネルギーの燃焼または温室効果ガスを放出する産業プロセスによって得られる特定の材料の場合です。しかし環境に応じて、材料の作成に溶媒や重資材を使用したり、あまり熟慮されていない管理を行ったりすることも考えられます。製品のライフサイクルにおいて、もっとも環境に負担を与えるのは製造段階なのです。
幸運にも、いくつかのメーカーは環境への影響を軽減させるために努力しており、さまざまな企業で新しい素材がつくり出されています。ギャラリー・ラファイエット・グループが発案した、『ゴー・フォー・グッド』のサイトには、管理されている持続可能な森から得られた、木のパルプをリヨセルの手法を使って加工した、“テンセル”と“モノセル”という2つの天然繊維が掲載されています。その加工においては、循環型プロセスにより、工程水と毒性のある溶媒を使わない有機溶液が用いられています。
どのような製造プロセスを経ているかに関係なく、素材自体に持続性があることもあります。たとえば、エネルギーの燃焼または温室効果ガスを放出する産業プロセスによって得られる特定の材料の場合です。しかし環境に応じて、材料の作成に溶媒や重資材を使用したり、あまり熟慮されていない管理を行ったりすることも考えられます。製品のライフサイクルにおいて、もっとも環境に負担を与えるのは製造段階なのです。
幸運にも、いくつかのメーカーは環境への影響を軽減させるために努力しており、さまざまな企業で新しい素材がつくり出されています。ギャラリー・ラファイエット・グループが発案した、『ゴー・フォー・グッド』のサイトには、管理されている持続可能な森から得られた、木のパルプをリヨセルの手法を使って加工した、“テンセル”と“モノセル”という2つの天然繊維が掲載されています。その加工においては、循環型プロセスにより、工程水と毒性のある溶媒を使わない有機溶液が用いられています。
5. 素材の起源
効率的に消費するためには地産地消を意識するべき、というのは、もはや周知のことです。現地生産を奨励することにより、輸送の必要性、つまりは製品の二酸化炭素排出量が制限されます。
しかしながら、ベー・アッシュ・ヴェー・マレ店のディレクターであり、「ギャラリー・ラファイエット・グループ」のリビング部門のバイヤーディレクターでもあるアマンディーヌ・ド・スーザは、「関連産業の中には、もう存在しないか、あるいはフランス国内にも近隣諸国にもまったく存在しないものもあるので、フランスの中で完結することは容易ではありません。たとえば、クリスマスのイルミネーションは、すべて中国で生産されています」と述べています。
輸送に関して言えば、廃棄物の発生を減らすために包装を考える必要もあります。いくつかの企業努力により、リサイクルやバイオマテリアルの使用、輸送を考慮した経済的な製品デザインを採用するなど、重量、容積、解体の容易さまで考慮することで、梱包が生態系に与える影響を抑えることが可能になっています。
効率的に消費するためには地産地消を意識するべき、というのは、もはや周知のことです。現地生産を奨励することにより、輸送の必要性、つまりは製品の二酸化炭素排出量が制限されます。
しかしながら、ベー・アッシュ・ヴェー・マレ店のディレクターであり、「ギャラリー・ラファイエット・グループ」のリビング部門のバイヤーディレクターでもあるアマンディーヌ・ド・スーザは、「関連産業の中には、もう存在しないか、あるいはフランス国内にも近隣諸国にもまったく存在しないものもあるので、フランスの中で完結することは容易ではありません。たとえば、クリスマスのイルミネーションは、すべて中国で生産されています」と述べています。
輸送に関して言えば、廃棄物の発生を減らすために包装を考える必要もあります。いくつかの企業努力により、リサイクルやバイオマテリアルの使用、輸送を考慮した経済的な製品デザインを採用するなど、重量、容積、解体の容易さまで考慮することで、梱包が生態系に与える影響を抑えることが可能になっています。
6. 使用後の製品の運命
中古品として再利用されたり、再活用されたりすること、製品を構成する素材を簡単にリサイクルすることはできるのでしょうか? 使用後の製品を考慮するためには、このようなたくさんの疑問が生じます。そこで、いくつかの再利用プロセスが考えられます。
中古品として再利用されたり、再活用されたりすること、製品を構成する素材を簡単にリサイクルすることはできるのでしょうか? 使用後の製品を考慮するためには、このようなたくさんの疑問が生じます。そこで、いくつかの再利用プロセスが考えられます。
- リサイクル : よく知られていることですが、廃棄物を回収し、選別して処理したあと、新たな生産サイクルの中に再導入します。
- ユーズド・ビンテージ : 捨てるのではなく、既に最初の人生を終えた製品を販売の流通に戻すことです。
- アップサイクリング : 使用後の品物や素材から新しい商品を作ることです。とくに、廃棄品を集めて新しい品物を作る場合がアップサイクリングにあたります。
7. 製品の影響
製品の持続可能性について語るとき、それは環境だけでなく人々も尊重しているべきです。生産が社会に与える影響を知ることは、賢明な選択をするために重要です。その影響は、次のような方法で測定することができます。
製品の持続可能性について語るとき、それは環境だけでなく人々も尊重しているべきです。生産が社会に与える影響を知ることは、賢明な選択をするために重要です。その影響は、次のような方法で測定することができます。
- フェアトレードラベル : 生産者や労働者の権利が、貿易のパートナーシップの枠組みの中で尊重されていることを保証するラベル。世界貿易における公平性を高めることが目的です。
- ソリダリティ製品 : 不安定な状況や困難な状況にある人々によって作られており、そうした人たちが仕事の対価を受け取ることができているということが証明されている製品。
- チャリティー製品 : 販売から得られた利益の一部を、慈善団体に寄付している製品。その割合はメーカーにより異なります。
もしすべての基準を考慮しながら買い物することが難しいのなら、家具や布製品に貼られたいくつかのラベルが指標となりますので、安心してください。 日本サステナブル・ラベル協会は、サイト上でさまざまなラベルについて説明しています。
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