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心地よい空間をつくるためには、家を建てるときから「作り付け家具」と照明の計画を
せっかく美しい住宅ができあがっても、中に入れる家具がしっくりと合わなければ、住みやすい空間にはなりません。快適に暮らせる空間をつくるためには、建築=住宅と家具の融合を考えること。つまり、家を建てるときから「作り付け家具」や照明のデザインを計画することが不可欠です。
akiyoshi kawajiri
2015年7月8日
ハウスメーカー、ゼネコン、設計事務所から長年多くのオーダー家具の設計と施工管理の依頼を請けてきました。現在は、2004年に開発したフロートテレビボードとその他の家具の販売、家具データ販売、家具の記事のライティングを中心に活動しています。
ハウスメーカー、ゼネコン、設計事務所から長年多くのオーダー家具の設計と施工管理の依頼を請けてきました。現在は、2004年に開発したフロートテレビボードとその他の家具の販売、家具データ販売、家具の記事のライティングを中心に活動しています... もっと見る
家を「箱」とするならば棚や照明はその中に入れる部品ととらえることもできると思いますが、出来上がった「箱」の中に暮らしに必要な棚や照明を置くことで、住みやすさが犠牲になってしまうこともあります。家ができてしまったあとで、その空間にぴったりとあう棚や家具を手に入れるのは思いのほか難しいことなのです。そこで、家の設計段階から棚や照明のことを同時に考えることが大切です。この記事では、作り付け家具を活用して、室内空間に不要な凹凸をつくることなく、動きやすい動線を実現している空間をご紹介します。
TVをフラットに納めている壁には書棚も埋め込まれています。元は暖炉があった部分の奥行をうまく使おうと設計されたものと思えますが、狙い通り、壁、天井、床にも余計な凹凸のラインが現れていません。
壁の作り付けの棚にご注目ください。あらかじめ壁に凹みを作り、クロスの色とソファーの色を統一しています。
キッチンから続くカップボード兼食事スペース。縦長の狭いスペースを有効に使ったデザインです。写真の椅子の左側には、通常は側板が付くものですが天板の下に引出しボックスを作り付け、側板なしでも成立する強度を持たせています。
家に入ったときに最初に目に入る部分は床、壁、天井です。この部分にある凹凸を間接照明スペース、TVボードスペースとし、背景を同一建材にして目に入る色も少なくしています。その結果、落ち着きのある空間となっています。
奥の壁の幅いっぱいに、シンプルな棚板を渡した棚を作り付けています。すっきりしていて使いやすいので、真似したいものですよね。でもこんなシンプルな棚でさえ家が完成した後で取り付けるのはなかなか難しいものです。設計段階からあらかじめ考えて設置しておかないと、こんなふうに完璧にはいきません。
ダークカラーのTVボードと手前に見えるボード。いずれも取り付ける位置に、しっかりと支持がとれるかどうかがポイントです。家の設計段階から考えていないと、こうすっきりとまとまりません。
天井の照明ラインがとても目立っていますが、左側にはさりげなく吊り戸棚が見えています。そしてその吊り戸棚の下にも同じような間接照明のラインが見えています。「作り付け家具」の良さは、建築に逆らわないというところにもあるのです。
どちらかというと狭さを感じさせる空間ですが、階段下の小さな空間の奥行きと、TVボードの間接照明の効果により狭さを軽減させることに成功していると思います。
2階分吹き抜けた空間の壁、リビングの床から天井までのびる壁面に棚が作り付けられています。下のTVボードと上部の開口部に見える小さなキャビネットは、対になっています。
壁を囲むように作りこまれた棚。あまり知られていないことですがこのような家具は家の構造的な強さにも多少貢献しています。設計段階では床の強度をしっかりと考えておく必要があります。
天井の梁がそのまま壁に連続し、書棚とTV台を構成しています。「余計な棚なんてなくても大丈夫」と言われているみたいな気がしてきますね。
棚は正面から見るだけではありません。この家具は階段上からどのように見えるかを家の設計者とともに考えて作ったものです。
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