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照明のコーディネートをプロに依頼するメリットとは?
住まいの印象を大きく左右する照明のコーディネート。プロに依頼すると、どのくらいの予算が必要となるのでしょう? 3人の専門家にお話を伺いました。

家づくりの際、意外と見落とされがちな照明の計画。色温度、器具、配置など、空間によって適切な照明を選ぶことで、印象はぐっと変わります。インテリアの質を向上させるだけでなく、集中力を高めたり、居心地のよさを演出したりと、快適性にも大きく影響します。
「それぞれの部屋に最適な照明がわからない……」「家づくりの際に決めることが多すぎて、照明にまで手が回らない!」とお悩みなら、いっそのこと、プロの手を借りてみてはいかがでしょう?
この記事では、3人の照明デザイナーの方にお話を伺い、プロに照明コーディネートを依頼するメリットや、予算感など、詳しくご紹介します。
「それぞれの部屋に最適な照明がわからない……」「家づくりの際に決めることが多すぎて、照明にまで手が回らない!」とお悩みなら、いっそのこと、プロの手を借りてみてはいかがでしょう?
この記事では、3人の照明デザイナーの方にお話を伺い、プロに照明コーディネートを依頼するメリットや、予算感など、詳しくご紹介します。
家ごと、家族ごとに合った提案をしてもらえる
そもそも、照明コーディネートというと、ペンダントやシャンデリアなど、意匠物の照明器具を選ぶことのように思われてしまうことが多いですが、実際の照明設計・デザインの仕事はもっと幅広いと、梅田さんは話します。
そもそも、照明コーディネートというと、ペンダントやシャンデリアなど、意匠物の照明器具を選ぶことのように思われてしまうことが多いですが、実際の照明設計・デザインの仕事はもっと幅広いと、梅田さんは話します。
「外構を含めた住宅全体、そして、1日を通して窓からどのような太陽光が入り、クライアントがどの場所でどんな生活をするか想像しながら、どのような光環境が最適かを考え、その光が出る器具を選んだり、オリジナルで作成したりしていく。クライアント家族が最も幸せに暮らせる光を、照明器具やスイッチ、センサー、時には映像や家電・インテリアとの関連や暖炉やろうそくの光なども含め、家ごとに提案してもらえます」
空間や用途に見合った器具を選んでもらえる
「照明器具にはかなりの種類があります。メーカーはそれぞれ厚みのあるカタログを用意していますが、ダウンライトやスポットライト、間接照明用のライン照明など、見た目が同じように見えても、機能が違う器具が多く存在します。それらの使い方を把握し、的確な場所で用途に見合った照明器具を使いこなせるのは、照明デザイナーの強みです」と話すのは、久保さんです。
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「照明器具にはかなりの種類があります。メーカーはそれぞれ厚みのあるカタログを用意していますが、ダウンライトやスポットライト、間接照明用のライン照明など、見た目が同じように見えても、機能が違う器具が多く存在します。それらの使い方を把握し、的確な場所で用途に見合った照明器具を使いこなせるのは、照明デザイナーの強みです」と話すのは、久保さんです。
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さらに、久保さんは、「聞いてみないとわからないようなわずかな演出効果をデザインしたり、微妙な明るさのバランスで良い光環境をつくり出したり……。『何故か分からないけど良い雰囲気を感じる』ということがあれば、それは光の仕業です」と続けます。
「長時間住み続ける住まいでは、とくに照明デザインはとても重要だと思います」
「長時間住み続ける住まいでは、とくに照明デザインはとても重要だと思います」
これには、梅田さんも同じ意見です。
「照明器具は常に進化し、その技術や商品化の速度はとても速く、とくに光源がLEDになったことで、建築家も照明器具やその制御の知識についていけなくなっています。ですが、専門家は日々、日本国内外の各メーカーの動向を把握していますから、プロジェクトが竣工するタイミングで、一番目的にかなった光源や器具を、メーカーに関わらず提案してくれます」と梅田さん。
「専門家に頼めば、竣工してスイッチを入れたときに、建築家や施主が『こんなはずではなかった!』と思うことは避けられるはず。クライアント自身が予想もしていなかった、暮らしの楽しみを提案してもらえる可能性もあります」
「照明器具は常に進化し、その技術や商品化の速度はとても速く、とくに光源がLEDになったことで、建築家も照明器具やその制御の知識についていけなくなっています。ですが、専門家は日々、日本国内外の各メーカーの動向を把握していますから、プロジェクトが竣工するタイミングで、一番目的にかなった光源や器具を、メーカーに関わらず提案してくれます」と梅田さん。
「専門家に頼めば、竣工してスイッチを入れたときに、建築家や施主が『こんなはずではなかった!』と思うことは避けられるはず。クライアント自身が予想もしていなかった、暮らしの楽しみを提案してもらえる可能性もあります」
光の質を大切にしながら、照明器具のデザインにこだわることができる
もちろん、意匠デザインを優先して器具を選びたい人にとっても、照明デザイナーに依頼することはメリットがあります。三原さんは、「器具のデザインにこだわりたいときは、さまざまなデザイナーの器具を知っているコーディネーターの力は、強い味方になります」と話します。
「照明に特化した設計事務所は、施主もしくは建築士が選んださまざまな素材を活かすために、どんな光をどの位置から照射すればいいのかを考えるため、器具のデザインより光の“質”にこだわります」と三原さん。
もちろん、意匠デザインを優先して器具を選びたい人にとっても、照明デザイナーに依頼することはメリットがあります。三原さんは、「器具のデザインにこだわりたいときは、さまざまなデザイナーの器具を知っているコーディネーターの力は、強い味方になります」と話します。
「照明に特化した設計事務所は、施主もしくは建築士が選んださまざまな素材を活かすために、どんな光をどの位置から照射すればいいのかを考えるため、器具のデザインより光の“質”にこだわります」と三原さん。
例えば間接照明では、フォーカスする場所に天井を選ぶか壁を選ぶかで、同じ明るさでも素材の“見え方”も違えば、“明るさ感”も変わると、三原さんは説明します。
「ダイニング照明なら、料理が美味しく見える光を優先し、意匠が絡む場合は施主にペンダント照明の器具選定を委ねます。料理がおいしく見える主役の光は、スポットライトやダウンライトで確保しますから、ペンダントの光の量を考慮する必要がないため、施主は好きな器具を選ぶことができるんです。コントローラースイッチを併用するなど、調光に対応できる回路計画も、同時にデザイナーが行います」
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照明コーディネートを依頼するには?
それでは、家づくりの際、照明デザイナーに依頼するには、具体的にどうしたらよいのでしょうか。
今回お話を伺ったお三方は、「個人からの依頼も受け付けている」と話します。しかし、ほとんどが設計事務所を通じて依頼されたもので、個人からの依頼は全体の5%程度という意見も。「個人のクライアントは、コーディネーターに直接依頼することに、ハードルを感じているのかもしれません」と久保さんは言います。
それでは、家づくりの際、照明デザイナーに依頼するには、具体的にどうしたらよいのでしょうか。
今回お話を伺ったお三方は、「個人からの依頼も受け付けている」と話します。しかし、ほとんどが設計事務所を通じて依頼されたもので、個人からの依頼は全体の5%程度という意見も。「個人のクライアントは、コーディネーターに直接依頼することに、ハードルを感じているのかもしれません」と久保さんは言います。
「家づくりの際、照明デザイナーに依頼するなら、タイミングは早ければ早い方がいいです」と話すのは、三原さんです。
「間接照明やニッチ照明、階段の手すり照明など、建築に絡むものは、間取りプランの作成時から入るのが望ましいです。後から行うと、設計変更に手間や時間がかかったり、追加の段取りをしなければならなかったりといった理由で、オプション扱いされ金額が跳ね上がるケースもあります。結果として施主はあきらめざるを得ない状況になる場面をたくさん見てきました」
「間接照明やニッチ照明、階段の手すり照明など、建築に絡むものは、間取りプランの作成時から入るのが望ましいです。後から行うと、設計変更に手間や時間がかかったり、追加の段取りをしなければならなかったりといった理由で、オプション扱いされ金額が跳ね上がるケースもあります。結果として施主はあきらめざるを得ない状況になる場面をたくさん見てきました」
久保さん、梅田さんも同意見です。梅田さんは、「間接照明を建物に入れたり、光源を家具に仕込むことが多いので、あらかじめ建物のディテールの形状をそれに合わせたり、予算を多めに取らないと、照明デザイナーを雇った意味がなくなってしまう可能性があります」と忠告します。
照明コーディネートの予算はどのくらい?
では、照明デザイナーに依頼すると、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。もちろん、建物の広さや構造、間取りなどによって、かかる金額は変わりますが、お三方に「これまでもっとも高額だった案件」を伺ったところ、「80〜100万程度」ということでした。「通常は高くても100万円以内に収まりますが、中にはホテルのようにゲストルームの多い住宅もあるため、その場合には100万円を超えることもあります」と久保さんは話します。
では、照明デザイナーに依頼すると、どのくらいの費用が必要になるのでしょうか。もちろん、建物の広さや構造、間取りなどによって、かかる金額は変わりますが、お三方に「これまでもっとも高額だった案件」を伺ったところ、「80〜100万程度」ということでした。「通常は高くても100万円以内に収まりますが、中にはホテルのようにゲストルームの多い住宅もあるため、その場合には100万円を超えることもあります」と久保さんは話します。
三原さんは、「戸建て住宅の場合、照明計画の費用は、建築費の0.1〜1.5%程度がボリュームゾーンです。照明器具の予算には、坪10万円程度を確保する工務店が圧倒的に多いですが、空間演出を取り入れた照明計画をするのであれば、坪30万は欲しいところです」と話します。
「もちろん計画の内容にもよりますが、見積もりの内容を丁寧に説明し、期待感、ワクワク感を引き出すことができれば、完成時の満足度は高いはず。『高い買い物をしてしまった』と言う施主はほとんどいません」
また、マンションの場合、引っ掛けシーリング以外であれば、後付けのスタンド照明やカラー照明は、50,000円あればさまざまな機能を付加した選択ができると三原さんは話します。
「もちろん計画の内容にもよりますが、見積もりの内容を丁寧に説明し、期待感、ワクワク感を引き出すことができれば、完成時の満足度は高いはず。『高い買い物をしてしまった』と言う施主はほとんどいません」
また、マンションの場合、引っ掛けシーリング以外であれば、後付けのスタンド照明やカラー照明は、50,000円あればさまざまな機能を付加した選択ができると三原さんは話します。
戸建て住宅の外構の場合は、計画内容にもよりますが、防犯・表札・通路・植栽などの最低限の予算であれば、10万円以内でも可能とのこと。ただし、三原さんによれば、建材と組み合わせたり、庭園灯などの照明器具本体の選び方で価格は変動するそうです。
一方、久保さんは、「具体的な価格は、実際にお会いして業務内容を説明してから、もしくは案件の詳細内容を伺ってからお伝えしています。弊社の業務内容が理解されないまま、金額ばかりが独り歩きしてしまうため、公開していません」と話します。
「まずは照明デザイナーさんへ相談すると良いと思います。最初の相談では、相談料は取られないことが多いはず。その時に予算を伝えるのも、一つのやり方かと思います」
「まずは照明デザイナーさんへ相談すると良いと思います。最初の相談では、相談料は取られないことが多いはず。その時に予算を伝えるのも、一つのやり方かと思います」
「照明のコーディネートをプロに依頼すると、コストがかかってしまう」というイメージがあるかもしれませんが、自分たちで器具について調べたり、配置を考えたりする時間を節約でき、さらに住んでみてから「なんだか落ち着かない」という不満が生まれるリスクを減らせるという意味では、プロに依頼したほうがコストパフォーマンスが良いともいえます。
家づくりの際には、建築家や工務店だけでなく、ぜひ照明デザイナーにも相談してみてはいかがでしょうか?
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