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性別を問わない「ジェンダーニュートラル」なカラーとは?
男性的、あるいは女性的といった伝統的な性別によるイメージ認識にとらわれない、中立的=ニュートラルな色とは? 子供部屋から大人の空間まで例を挙げて解説します。
カツウラアキツ
2018年4月4日
カラーの好みは本来、男女の差なく自由でさまざまであるべきですが、私たちの意識の中では小さい頃からの刷り込みの記憶の延長として、多少なりとも男性らしい色、女性らしい色を意識してとらえている場合があるかもしれません。伝統的な性別認識にとらわれない思考や行動、制度が注目されている今の時代。今回は、先入観にとらわれないインテリアの色選びを取り上げたいと思います。
男の子が好む色、女の子が好む色が変化している
昔と比べて、子供たちを取り巻く色が変化しています。ランドセルひとつとっても、男の子は黒、女の子は赤と決まっていた時代は終わり、今や赤は男の子の人気色のひとつとなっています。またファッションでも、男の子がピンクの服を、女の子が水色やブルーの服を好んで着ることも珍しくなく、性差や年齢関係なく色をニュートラルにとらえる傾向は、年々顕著になってきています。
昔と比べて、子供たちを取り巻く色が変化しています。ランドセルひとつとっても、男の子は黒、女の子は赤と決まっていた時代は終わり、今や赤は男の子の人気色のひとつとなっています。またファッションでも、男の子がピンクの服を、女の子が水色やブルーの服を好んで着ることも珍しくなく、性差や年齢関係なく色をニュートラルにとらえる傾向は、年々顕著になってきています。
性差にとらわれないニュートラルな色とは
しかし、住まいに目を転じてみると、日本の子供部屋の色はまだ意外と多様化されていません。男の子はブルー系統、女の子はピンク系統で彩る部屋が、やはり多く見受けられます(もちろん、好きな色ならそれでいいのですが)。
もし、子供部屋にブルーやピンク以外の色を意識して取り入れたいなら、グリーンやイエローなどは、性差を感じにくいジェンダーニュートラルな色としておすすめです。
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グリーンとイエローはトーンにも注意
グリーンを選ぶ際は、暗いトーンは避けるといいでしょう。グリーン系は明度が低いと、男性的で強いイメージが出てくるためです。また、キッズ世代の部屋に黄色をチョイスする場合は、明るく彩度の高い鮮やかなトーンがおすすめです。ちなみに彩度を落とした干し草のような黄色は、ラスティックな雰囲気になるので、よりソフトで落ち着いた色を好むティーンエイジャー世代以降に向くといえます。
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スポーティで活発な印象になるオレンジ
色の個性に着目して配色を工夫することで、制約にとらわれない自由な色づかいを楽しむことができます。たとえば、男の子の部屋にもよく使われる鮮やかなオレンジは、スポーティなイメージ。白や黒と合わせるとその個性がより際立ち、彩度の高い青や緑、紫などと多色配色するとアクティブな印象が増します。
一方、グレーやソフトな色と合わせると、強さが和らぎ、楽しくポップなイメージに。鮮やかな色は少量でもアクセントとなるので、写真のような女の子の部屋に使うのもいいですね。
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アーティスティックな個性を表現するパープル
ピンクやホワイトとの配色ではガーリーな印象になる淡いパープル。鮮やかなトーンの緑や黄色と組み合わせると、大胆さや自由な遊び心など別の個性が現れてきます。ただ、鮮やかな色が多すぎると疲れてしまうので、足すのは2色程度に抑え、空間の「息抜き」として白やグレーのモノトーンを取り入れるといいでしょう。こちらの男の子のプレイルームのように、個性の強いパープルも目線より低い床面に使えば、煩わしさは感じさせません。
ピンクやホワイトとの配色ではガーリーな印象になる淡いパープル。鮮やかなトーンの緑や黄色と組み合わせると、大胆さや自由な遊び心など別の個性が現れてきます。ただ、鮮やかな色が多すぎると疲れてしまうので、足すのは2色程度に抑え、空間の「息抜き」として白やグレーのモノトーンを取り入れるといいでしょう。こちらの男の子のプレイルームのように、個性の強いパープルも目線より低い床面に使えば、煩わしさは感じさせません。
模様やモチーフによっても印象が変わる
鮮やかなターコイズブルーは、そのスポーティな印象から、どちらかといえば男の子っぽいとされる色ですが、雲や花などラブリーなモチーフで表現すると、女の子の部屋にもよく似合います。いきいきとした印象を与えるさわやかで清潔なターコイズブルーは、壁に限らず、そして男女を問わず、クッションやラグ、ベッドカバーなどのファブリック類にアソートカラーとして取り入れるのもおすすめ。パッと明るい印象のインテリアになります。
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色の使い方の基本:ベースカラーのアシスタント、自由に使える「アソートカラー」
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年齢や性別の制約が少ない、ニュートラルでグレイッシュな色
ここまでは子供部屋を例に見てきましたが、大人の空間ではどうでしょうか? まず、明るめの穏やかなニュートラルカラーは、ジェンダー的にも中立的な色ということができます。シックなグレイッシュカラーも同様に、表現の幅が非常に広く、性差や年齢関係なく使いこなしやすい色です。
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女性的なイメージの色をシャープな雰囲気に
従来は女性的な色の代表格だったピンクは、今やファッションだけでなくインテリアでも、男性が好んで使うジェンダーニュートラルな色。鮮やかなピンクは女性的な側面がやや強く表れますが、彩度を抑えたクリアで明るいピンクなら、よりニュートラルな雰囲気で空間に自然になじみます。イギリス王室のハリー王子が自室の色を模様替えした際、ごく明るいピンクとダークなグレーを組み合わせて使ったことは日本でもニュースになっていましたが、このスタイリッシュな配色はよいお手本です。
従来は女性的な色の代表格だったピンクは、今やファッションだけでなくインテリアでも、男性が好んで使うジェンダーニュートラルな色。鮮やかなピンクは女性的な側面がやや強く表れますが、彩度を抑えたクリアで明るいピンクなら、よりニュートラルな雰囲気で空間に自然になじみます。イギリス王室のハリー王子が自室の色を模様替えした際、ごく明るいピンクとダークなグレーを組み合わせて使ったことは日本でもニュースになっていましたが、このスタイリッシュな配色はよいお手本です。
ピンクを無彩色やダークカラー、また無機質なステンレスや鉄などの素材と組み合わせると、優しげな印象を残したまま、甘すぎす格好いい、シャープな空間をつくることができます。
男性的なイメージの色を穏やかで優しげな印象に
通常、有彩色のダークトーンには重厚感や男性的な印象があります。しかし豊かな大地や土をイメージさせる暖色系のダークカラー、つまりさまざまなブラウン系統の色は、他のアースカラーやソフトなトーンと合わせて使うことで、力強く男性的なイメージとは対照的な、包み込むような安心感を表現することもできます。
このように、すでに男性らしい、女性らしいという印象が定着している色でも、トーンの選び方や配色によって、より自由な空間づくりができます。ぜひ色選びの参考にしてみてください。
教えてHouzz
ご感想をお聞かせください。
通常、有彩色のダークトーンには重厚感や男性的な印象があります。しかし豊かな大地や土をイメージさせる暖色系のダークカラー、つまりさまざまなブラウン系統の色は、他のアースカラーやソフトなトーンと合わせて使うことで、力強く男性的なイメージとは対照的な、包み込むような安心感を表現することもできます。
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