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畳店と建築家が教える、子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けるメリット
おむつ替えやお昼寝スペースとして。読書やお絵描きを楽しむスペースとして。子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けると、さまざまなシーンで役立ちます。

近年、日本住宅では洋式が一般的となっており、畳の敷かれた和室のない家も多くなっています。家づくりの際、「和室を設けるか否か」について悩む人も多いはず。
一方で、襖で閉ざされた和室を設けるのではなく、リビングなどの空間の一角に“畳スペース”を設けるアイデアも、最近では人気を集めています。とくに小さな子どもと暮らす家庭では、フローリングよりも柔らかく、子どもたちが安心して遊べるスペースとして活用されることも多いようです。
今回は、子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けるメリットについて、3人の専門家に伺いました。
一方で、襖で閉ざされた和室を設けるのではなく、リビングなどの空間の一角に“畳スペース”を設けるアイデアも、最近では人気を集めています。とくに小さな子どもと暮らす家庭では、フローリングよりも柔らかく、子どもたちが安心して遊べるスペースとして活用されることも多いようです。
今回は、子どもと暮らす住まいに畳スペースを設けるメリットについて、3人の専門家に伺いました。
住宅に使われる畳の種類
「一般的な住宅に使用されている畳は、『ヘリ付き畳』と『琉球畳』です」と話すのは、大矢さん。「昔から畳といえばヘリ付き畳です。ヘリ付き畳は、天然のい草などを使用した畳ござに、布でできたフチ(畳ヘリ)を付けた、一般的な畳です」
「一般的な住宅に使用されている畳は、『ヘリ付き畳』と『琉球畳』です」と話すのは、大矢さん。「昔から畳といえばヘリ付き畳です。ヘリ付き畳は、天然のい草などを使用した畳ござに、布でできたフチ(畳ヘリ)を付けた、一般的な畳です」
琉球畳は、半畳サイズで、市松模様に敷かれている畳のこと。最近の住宅では、琉球畳を採用している事例も多く見かけます。
「そもそもは、大分産の『七島(しちとう)い草』を使用した畳が琉球畳と呼ばれていましたが、最近は畳ヘリがない畳が琉球畳と呼ばれています。畳ござの色が豊富で部屋が広く見え、洋間との相性もいいので、最近人気を集めていますね」
「そもそもは、大分産の『七島(しちとう)い草』を使用した畳が琉球畳と呼ばれていましたが、最近は畳ヘリがない畳が琉球畳と呼ばれています。畳ござの色が豊富で部屋が広く見え、洋間との相性もいいので、最近人気を集めていますね」
大矢さんは、リビングの一角に畳スペースを設ける場合「カラー琉球畳がおすすめ」だと話します。「カラー琉球畳に使用されている畳ござには、和紙製のものやポリプロピレン製のものがあり、カビ・ダニの発生がほとんどないので、お子様にも安心してご使用いただけます」と大矢さん。
和紙製やポリプロピレン製の畳の中には、アトピー性皮膚炎にも対応している商品もあるそう。また、い草に比べて変色しにくいことも特長のひとつだといいます。
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子どものための畳スペースを設けるメリット
実際に小さな子どものいる住まいを手がけた経験のある大西さんは、畳スペースを設けるメリットについて、乳児のおむつ替えスペースに最適という点を挙げます。フローリングの場合、おむつ替えの際にはクッション性のあるマットやおむつ替えシートを敷く必要がありますが、畳は柔らかく、赤ちゃんを仰向けに寝かせても安心なので、汚れ防止のためのガーゼさえあれば、すぐにおむつ替えが行えます。
実際に小さな子どものいる住まいを手がけた経験のある大西さんは、畳スペースを設けるメリットについて、乳児のおむつ替えスペースに最適という点を挙げます。フローリングの場合、おむつ替えの際にはクッション性のあるマットやおむつ替えシートを敷く必要がありますが、畳は柔らかく、赤ちゃんを仰向けに寝かせても安心なので、汚れ防止のためのガーゼさえあれば、すぐにおむつ替えが行えます。
また、幼児や児童の場合、「親の目の届くところで、畳スペースの一部に足が入る机を設ければ、一緒に勉強したり、絵を描いたり、本を読んだりして楽しむことができます」と大西さんは話します。
こちらの写真の事例でも、椅子のように畳に腰掛けるスペースが設けられており、ご長男はよくここで絵を描いたり、塗り絵をしたりしているそうです。
こちらの写真の事例でも、椅子のように畳に腰掛けるスペースが設けられており、ご長男はよくここで絵を描いたり、塗り絵をしたりしているそうです。
一方で、大西さんは、「畳スペースや和室を、子ども用に限定して設けるのはもったいない」と話します。「来客や、家族みんながそれぞれの目的で多目的に使えるように、設えのある部屋にすることが大事です」
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同じく、子育て世帯の住宅で、畳スペースを設けた経験をお持ちの安井さんは、「親からすれば、授乳やおむつ替えなどを含めた、育児全般が楽になります」と言います。
「子どもとの距離感が近付くこともメリットです。子どもは親のそばで遊び、昼寝し、勉強することができる。そのための床材とすれば、ほかのものより適していると言えます」
「子どもとの距離感が近付くこともメリットです。子どもは親のそばで遊び、昼寝し、勉強することができる。そのための床材とすれば、ほかのものより適していると言えます」
反対に、高齢者のいる住まいには、畳は不向きだとも安井さんは話します。「座する姿勢から立ち上がるのが大変なので、高齢者には適していないことも理解するべきです」
子どもが汚してしまったら? 畳のメンテナンス方法
畳を取り入れたいと思っても、「子どもが飲み物をこぼしてしまったり、落書きをしたりして、汚してしまうのでは」と心配になってしまう人もいるでしょう。
畳を取り入れたいと思っても、「子どもが飲み物をこぼしてしまったり、落書きをしたりして、汚してしまうのでは」と心配になってしまう人もいるでしょう。
食べ物や飲み物で畳を汚してしまった場合は、「洋服の染み抜きをするように、畳を固く絞ったタオルで叩くように拭いてください」と大矢さんはアドバイスします。
「その後、消臭・除菌スプレーを遠くから吹きかけてください。濡れたタオルで畳の汚れ部分を拭き取るようにこすると汚れが広がりますので、おすすめしません」
「その後、消臭・除菌スプレーを遠くから吹きかけてください。濡れたタオルで畳の汚れ部分を拭き取るようにこすると汚れが広がりますので、おすすめしません」
子どもたちがうっかり汚してしまうことは、ある程度仕方がないことですが、大西さんは、「食べ物をこぼしたり落書きをしないように、小さいときから教えることが大事です」と話します。
汚れてしまったら親がひとりで対処するのではなく、子どもと一緒にケアをしたり、畳を大切に扱うことをしっかり教えることで、子どもたちの中にも「気をつけよう」という思いが芽生えるかもしれません。
汚れてしまったら親がひとりで対処するのではなく、子どもと一緒にケアをしたり、畳を大切に扱うことをしっかり教えることで、子どもたちの中にも「気をつけよう」という思いが芽生えるかもしれません。
安井さんは、「汚す可能性は高いですが、ほかの床材に比べて交換しやすいので、親は汚れに関して神経質にならないことも大切です」と話します。たしかに、フローリングの床に比べれば、畳の交換は比較的簡単に、安価で行うことができます。
また、大矢さんは、環境や使用状況にもよるものの、10年に一度は張り替えを行ったほうが良いとアドバイスします。定期的な張り替えを行うことを考えると、家づくりの段階から、住宅のある地域の畳店にコンタクトを取ると良いかもしれません。
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リビングに畳スペースを設ける際の注意点
リビングなどに畳スペースを設ける場合、小上がりとする場合には問題ありませんが、「ほかの床材と厚さが違うことが多いので、異なる床材が隣接する際には、段差の解消などには気を付けたほうがいい」と安井さんは忠告します。
琉球畳のような縁のない畳は異なる床材を採用している空間にも取り入れやすい一方、値段も張るため、家づくりの際は予算と相談する必要もあるでしょう。
リビングなどに畳スペースを設ける場合、小上がりとする場合には問題ありませんが、「ほかの床材と厚さが違うことが多いので、異なる床材が隣接する際には、段差の解消などには気を付けたほうがいい」と安井さんは忠告します。
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畳スペースを取り入れて、親子で至福の時間を
赤ちゃんや小さな子どもは、お昼寝の回数も多いはず。眠たくなったら畳の上にゴロンと横になって、すぐに寝かしつけられるのも利点のひとつ。ついうっかり大人も一緒に寝てしまったとしても、その心地よさは格別なはずです。
「畳の上でゴロゴロできることが一番のメリットです」と大矢さんはいいます。「とくに、エアコンを入れた夏の和室での昼寝は最高ですよ」
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