インテリアの色と照明の光の色の関係
壁の色を選ぶ際は、昼間の自然光だけでなく、夜の照明に照らされたときの見え方を意識することも大切です。電球色、昼白色、昼光色の照明が、空間のベースカラーにもたらす影響を知っておきましょう。

カツウラアキツ
2023年3月16日
昼間はきれいな色に見えていた壁の色が、夜になると見え方が変わり、本当の色味がよくわからなくなったことはないでしょうか。その現象は、単に暗いことが理由ではありません。太陽の光が降り注ぐ昼間と、照明に照らされる夜では、そもそも光の色が違います。住まいに使われる照明色としては、夕陽のような温かみのあるオレンジの光を放つ電球色、昼間の明るい太陽の光に近く自然に見える昼白色、昼間の太陽より少し青みがかったクールな昼光色があり、どれを選ぶかによって昼夜の見え方の差がどれくらいあるかも変わってきます。今回は、夜の室内で使われる照明の色によって変化する壁の色の見え方と使い分け方のヒントをご紹介します。
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光源によって色の見え方が違う
まず、この写真をご覧ください。この部屋の中には、窓から入る太陽の光と、室内の照明の2種類の光源があります。この部屋の壁や天井は同じ白ですが、引いて全体を見てみると、2つの壁の色が部分によってずいぶん違うことがわかるでしょう。このように空間の色は、そこにある照明の色を反映して、見え方が変化します。
白は特に周囲の光をよく反射するため、違いがわかりやすいですが、白以外の色だとどんな変化が起きるでしょうか。いくつか例を見ていきましょう。
まず、この写真をご覧ください。この部屋の中には、窓から入る太陽の光と、室内の照明の2種類の光源があります。この部屋の壁や天井は同じ白ですが、引いて全体を見てみると、2つの壁の色が部分によってずいぶん違うことがわかるでしょう。このように空間の色は、そこにある照明の色を反映して、見え方が変化します。
白は特に周囲の光をよく反射するため、違いがわかりやすいですが、白以外の色だとどんな変化が起きるでしょうか。いくつか例を見ていきましょう。
温かみのある電球色の光
電球色の温かい光は、リラックスできる空間にぴったりなので、壁の色を問わず、リビングや寝室に向いています。
リビングをはじめ、さまざまな空間のベースカラーとして人気の高い明るく穏やかなブルー。昼間の自然光のもとでは青みが際立ち、さわやかな印象に見えますが、照明の影響を受けると少しこっくりとした色味に変化します。この写真の照明は電球色ですが、周囲の壁の色に注目してみると、オレンジの光とブルーが混ざり合って、グレーのような色に変化しているのがわかります。
電球色の温かい光は、リラックスできる空間にぴったりなので、壁の色を問わず、リビングや寝室に向いています。
リビングをはじめ、さまざまな空間のベースカラーとして人気の高い明るく穏やかなブルー。昼間の自然光のもとでは青みが際立ち、さわやかな印象に見えますが、照明の影響を受けると少しこっくりとした色味に変化します。この写真の照明は電球色ですが、周囲の壁の色に注目してみると、オレンジの光とブルーが混ざり合って、グレーのような色に変化しているのがわかります。
クールで無骨な印象のあるコンクリートやモルタルなど、素材由来のグレーは、電球色の光で照らすと、温かくやわらかなグレージュのような色味に見えます。素材に含まれている砂や砂利が、グレーの中でもイエロー寄りの色をしているため、暖色系の色に照らされることで際立ってくるのです。
昼間の太陽に近い昼白色の光
同じ照明でも、太陽の光に近い昼白色の白い光に照らされると、同じコンクリートやモルタル素材でも黄味が抑えられ、グレーがもつクールな印象が際立ってきます。写真のバスルームのように、この素材を取り入れている空間でシャープさやクールさを強調したい場合には、昼白色がもってこいの光といえます。
同じ照明でも、太陽の光に近い昼白色の白い光に照らされると、同じコンクリートやモルタル素材でも黄味が抑えられ、グレーがもつクールな印象が際立ってきます。写真のバスルームのように、この素材を取り入れている空間でシャープさやクールさを強調したい場合には、昼白色がもってこいの光といえます。
青と黄色が混ざったグリーンなら、朝や昼の白い光では青みが際立ってクールに見え、電球色のもとでは黄味がかった温もりを感じる色に見えます。このように、光が壁の色に与える影響は、どんな色の空間でも同じです。
なお昼白色では、周囲の壁やファブリックの色は、昼と夜の見え方がほぼ変わりません。食材の色をはっきり見せたいキッチンやダイニングも、昼白色の照明が向いている空間といえます。
なお昼白色では、周囲の壁やファブリックの色は、昼と夜の見え方がほぼ変わりません。食材の色をはっきり見せたいキッチンやダイニングも、昼白色の照明が向いている空間といえます。
女の子の部屋などで選ばれることの多いピンク。ここに含まれている暖色系の赤や黄色の顔料は、電球色に照らされると、ソフトなベージュ系の色に見え、よりくつろいだ雰囲気になります。そのため、勉強する環境も必要な部屋の場合は、手元まで明るく照らし、ピンクをすっきり見せてくれる昼白色の照明がおすすめです。
青みがかった昼光色の光
昼光色は、昼白色よりさらにすっきりと明るい光です。空間の色も青みよりのクールな色でくっきりと見せるため、クローゼットや物置、仕事部屋、勉強部屋などにも向いています。ただ、光がやや強めなので、長時間見続けていると疲れてしまうことがあります。長く同じ空間にいるのであれば、昼白色に変えるのもよいでしょう。
昼光色は、昼白色よりさらにすっきりと明るい光です。空間の色も青みよりのクールな色でくっきりと見せるため、クローゼットや物置、仕事部屋、勉強部屋などにも向いています。ただ、光がやや強めなので、長時間見続けていると疲れてしまうことがあります。長く同じ空間にいるのであれば、昼白色に変えるのもよいでしょう。
光の色も目的別に使い分ける
トイレや洗面スペースなど狭い空間では特に、壁の色と光の色の組み合わせ効果が顕著に表れます。好みにもよりますが、ゆっくりとくつろいで過ごしたいなら、リラックス感を演出する電球色を。狭い空間なので、どんな壁色を合わせても温かみのある見え方になります。
写真では逆に、暖色系の壁に昼白色の白い光を合わせていますが、赤みの強いオレンジ色が、夏の空の下で見るような明快ですっきりした見え方になっています。
トイレや洗面スペースなど狭い空間では特に、壁の色と光の色の組み合わせ効果が顕著に表れます。好みにもよりますが、ゆっくりとくつろいで過ごしたいなら、リラックス感を演出する電球色を。狭い空間なので、どんな壁色を合わせても温かみのある見え方になります。
写真では逆に、暖色系の壁に昼白色の白い光を合わせていますが、赤みの強いオレンジ色が、夏の空の下で見るような明快ですっきりした見え方になっています。
同じスペースで、清潔感を大切にしたいのなら、ブルーなどの寒色系やグリーン系の色を選びましょう。白いさわやかな昼白色の光と合わせると、よりすっきりとした印象になります。
白と照明の組み合わせ
最初に挙げた例に見られるように、白は最も光の反射率の高い色なので、わずかな光でも空間に光を回してくれます。そのため、他の光源に比べて光量の少ない電球色でも、十分明るく見せてくれます。
また反射率が高いことで、それぞれの光の色の特徴もわかりやすく感じさせます。電球色を合わせると温かみと穏やかさを感じさせ、昼白色のライトならより明るく明快に感じさせます。
最初に挙げた例に見られるように、白は最も光の反射率の高い色なので、わずかな光でも空間に光を回してくれます。そのため、他の光源に比べて光量の少ない電球色でも、十分明るく見せてくれます。
また反射率が高いことで、それぞれの光の色の特徴もわかりやすく感じさせます。電球色を合わせると温かみと穏やかさを感じさせ、昼白色のライトならより明るく明快に感じさせます。
ダークカラーの見え方の違い
反対に、光の反射率が低いダークカラーの場合はどうでしょうか。光量が少ない電球色では、色味はかなりわかりにくくなりますが、陰影がやわらかいグラデーションになるので、包み込まれるような印象に。逆に明るい昼白色や昼光色を合わせると、光と陰のめりはりが強調され、シャープさが際立つ空間になります。
反対に、光の反射率が低いダークカラーの場合はどうでしょうか。光量が少ない電球色では、色味はかなりわかりにくくなりますが、陰影がやわらかいグラデーションになるので、包み込まれるような印象に。逆に明るい昼白色や昼光色を合わせると、光と陰のめりはりが強調され、シャープさが際立つ空間になります。
壁の色選びも、照明の光の色選びも、まずはその部屋で過ごす時間や目的をはっきりさせることが成功の秘訣です。たとえばベッドルームでは、夜寝るときの心地よさを重視したいのか、朝起きたときのさわやかな目覚めを重視したいのかによって、選ぶ光や色が変わってくるでしょう。
だからこそ、実際にその部屋で過ごす時間の光源のもとで、使う色を確認することはとても大切です。サンプルを取り寄せて壁に貼ったり、置いたりして確かめてみましょう。目的に合った色の見え方か、思い描いていた通りの色にに見えるか、一日たっぷりとって、じっくり観察してみてください。
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松村晴恵さま、コメントをありがとうございます!もっと細かく分けることもできるのですが、基本的にはこの3種類が多く使われています。色とあわせて色々な魅せ方ができるので、ぜひ色と照明を楽しんでくださいね。
BEHRの写真の証明がとても素敵です。
ぜひ自宅に取り入れたいのですが、メーカー等教えていただけますでしょうか。
野田様
いつもご利用ありがとうございます。この度はコメントをご投稿いただき、誠にありがとうございました。気になる商品について知りたい場合、「相談・情報交換をする」のコーナーに写真と合わせてご投稿をいただくと、専門家やユーザーの方から情報をいただけるチャンスが広がります。こちらのお悩みも、もしよろしければ投稿をされてみてくださいね!
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