海外での大胆なトレンド、「カラードレンチング」とは?
インテリアデコレーターのヘザー・ブラッキンさんが、海外で話題の色の使い方を教えてくれます。
インテリアのカラーコーディネートにはさまざまな基本ルールがあり、それを守ることで、まとまり感のある美しいインテリアを実現することができます。ベースカラー、アソートカラー、アクセントカラーを組み合わせる基礎的な方法は、きっと耳にしたことのある方も多いでしょう。
そんなルールを覆すような大胆なトレンドが、昨年頃から海外で見られるようになりました。そのスタイルとは「カラードレンチング」。ドレンチングとは英語で「浸す」という意味の言葉で、天井や壁、床、家具やカーテン等、部屋の全てをまるで一色に浸したようなインテリアのことを指します。日本でも近年流行している「ホワイトインテリア」のカラー版ともいえるでしょう。
部屋全体を一色に浸すとはかなり勇気が要りますが、与えるインパクトは抜群です。広い空間はともかく、トイレのような小さな空間や、空間の一面で試してみてはいかがでしょう。
そんなルールを覆すような大胆なトレンドが、昨年頃から海外で見られるようになりました。そのスタイルとは「カラードレンチング」。ドレンチングとは英語で「浸す」という意味の言葉で、天井や壁、床、家具やカーテン等、部屋の全てをまるで一色に浸したようなインテリアのことを指します。日本でも近年流行している「ホワイトインテリア」のカラー版ともいえるでしょう。
部屋全体を一色に浸すとはかなり勇気が要りますが、与えるインパクトは抜群です。広い空間はともかく、トイレのような小さな空間や、空間の一面で試してみてはいかがでしょう。
素材や質感で変化をつくり出す
こちらのように、壁や建具や、キャビネットまで一色にペイントする際には、塗る部位によって光沢が異なるペンキを使うことで、質感や凹凸の変化をより引き立たせることができます。
建具やキャビネットのような木部には、傷に強く、光の反射をより受ける光沢のあるペイントを。壁はマットで落ち着いた雰囲気にし、質感のコントラストを活かすと良いでしょう。
また、キャビネットの背面はナチュラルな木を選び、ライトアップすることで、飛び出るような立体感が生み出され、フォーカルポイントにもなっています。
すべてを一色にしてしまうと単調になりがちなため、色や素材、光を利用して、ちょっとした変化を加えましょう。
こちらのように、壁や建具や、キャビネットまで一色にペイントする際には、塗る部位によって光沢が異なるペンキを使うことで、質感や凹凸の変化をより引き立たせることができます。
建具やキャビネットのような木部には、傷に強く、光の反射をより受ける光沢のあるペイントを。壁はマットで落ち着いた雰囲気にし、質感のコントラストを活かすと良いでしょう。
また、キャビネットの背面はナチュラルな木を選び、ライトアップすることで、飛び出るような立体感が生み出され、フォーカルポイントにもなっています。
すべてを一色にしてしまうと単調になりがちなため、色や素材、光を利用して、ちょっとした変化を加えましょう。
バランスよく異なるトーンを配合
ドレンチカラーはブルーでありながら、トーン違いでメリハリをつけつつ、全体に落ちついたバランスをもたらしています。
こちらは、グラデーションが楽しめる素敵な空間。クールカラーの中、天然木の天井と床があたたかみを与えてくれています。子ども部屋はもちろん、これぐらい落ち着いたブルーでしたら、リビングに使っても、リラックスできる空間となるでしょう。
ドレンチカラーはブルーでありながら、トーン違いでメリハリをつけつつ、全体に落ちついたバランスをもたらしています。
こちらは、グラデーションが楽しめる素敵な空間。クールカラーの中、天然木の天井と床があたたかみを与えてくれています。子ども部屋はもちろん、これぐらい落ち着いたブルーでしたら、リビングに使っても、リラックスできる空間となるでしょう。
まとめ役となる背景として
壁とビルトインの本棚を同じ色で揃えることで、一体感を生み出しているリビング。色の多い本の背表紙が並んでいても、ダーク系のカラーで背景をつくることで、不思議と落ち着き、まとまり感が出ています。さらに、同じブルーを、クッションやソファのスローにも反映させていて、部屋全体に統一感をもたせています。
壁とビルトインの本棚を同じ色で揃えることで、一体感を生み出しているリビング。色の多い本の背表紙が並んでいても、ダーク系のカラーで背景をつくることで、不思議と落ち着き、まとまり感が出ています。さらに、同じブルーを、クッションやソファのスローにも反映させていて、部屋全体に統一感をもたせています。
家具と壁を合わせたナチュラルな風合い
お気に入りの家具に合わせて、壁の色を選んでみてはいかがでしょう。これは、比較的挑戦しやすいカラードレンチングの方法です。
こちらの空間では、自然な木を生かした落ち着いた色で、統一感をもたせています。ドア枠や巾木にはダークな色を取り入れて濃淡をつけ、ベージュ系の色合いを引き立てています。
とくにライト系の色は、全体が単調に、ぼやけたようになりがちなため、引き締めのカラーをプラスすることでインパクトが出せるでしょう。
お気に入りの家具に合わせて、壁の色を選んでみてはいかがでしょう。これは、比較的挑戦しやすいカラードレンチングの方法です。
こちらの空間では、自然な木を生かした落ち着いた色で、統一感をもたせています。ドア枠や巾木にはダークな色を取り入れて濃淡をつけ、ベージュ系の色合いを引き立てています。
とくにライト系の色は、全体が単調に、ぼやけたようになりがちなため、引き締めのカラーをプラスすることでインパクトが出せるでしょう。
小さなスペースでも真似できそうなカラードレンチング。壁と棚を同色に、そしてディスプレイも同じ色にしながら、色や質感で変化をもたせています。一見大胆に見えますが、見ていて気持ちがすーっと落ち着くような統一感。自然なグリーンの効果もあるのでしょう。グレーや白といったニュートラルトーンも少しプラスしているため、軽いメリハリも生まれ、見た目のバランスも綺麗にまとまっています。
カラートレンドの記事をもっと読む
カラートレンドの記事をもっと読む
さりげないトーン違いの壁
優しいピンクでまとめたコーナー。トーン違いのボーダーでさりげない濃淡の差を出し、個性的な空間に。巾木も同じ色に塗ることで、壁そのものをより高く感じる効果も得られています。
スタンドやチェアも、穏やかで優しい組み合わせですね。同じ色でもチェアのシャープなラインや、スタンドの丸みがしっかりと見え、さらにインパクトを強めています。
ピンクに浸った優しいグラデーションは子ども部屋にぴったりですし、ややくすんだ色は甘すぎないため、ホールやゲストルームにもよく似合いそうですね。
優しいピンクでまとめたコーナー。トーン違いのボーダーでさりげない濃淡の差を出し、個性的な空間に。巾木も同じ色に塗ることで、壁そのものをより高く感じる効果も得られています。
スタンドやチェアも、穏やかで優しい組み合わせですね。同じ色でもチェアのシャープなラインや、スタンドの丸みがしっかりと見え、さらにインパクトを強めています。
ピンクに浸った優しいグラデーションは子ども部屋にぴったりですし、ややくすんだ色は甘すぎないため、ホールやゲストルームにもよく似合いそうですね。
カラードレンチングに人気のジュエルトーン
高級感溢れるピンクのカラードレンチング。宝石からインスピレーションを得たジュエルトーンが魅力的です。同じカラーをベースに、柄も取り入れると、さらに表情深くなります。ゴールドのアクセントと合わせて、どこかファッションライクなエッセンスが感じられますよね。
実はカラードレンチングとは、主にインテリアで使われる用語ですが、その影響はファッションにも及び、近年ではトップスから靴までをワンカラーで揃えるスタイルとしてトレンドになっています。
こちらもあわせて
森瑤子エッセイに学ぶ、素敵な暮らしとインテリア:ジュエルトーンの空間
高級感溢れるピンクのカラードレンチング。宝石からインスピレーションを得たジュエルトーンが魅力的です。同じカラーをベースに、柄も取り入れると、さらに表情深くなります。ゴールドのアクセントと合わせて、どこかファッションライクなエッセンスが感じられますよね。
実はカラードレンチングとは、主にインテリアで使われる用語ですが、その影響はファッションにも及び、近年ではトップスから靴までをワンカラーで揃えるスタイルとしてトレンドになっています。
こちらもあわせて
森瑤子エッセイに学ぶ、素敵な暮らしとインテリア:ジュエルトーンの空間
壁やカーテン、家具を青みのあるグリーンでまとめたリビングルームでは、ジュエルトーンならではのリッチな味わいと、ダークカラーのパワフルさが感じられます。
濃いピンクの花が目を引くアクセントになり、空間全体をキュッと引き締めてくれています。
濃いピンクの花が目を引くアクセントになり、空間全体をキュッと引き締めてくれています。
小さな空間、見せたいものが映える効果
海外のメディアでも「勇気が必要なトレンド」「最も恐ろしいトレンド」などといった表現も使われているぐらい、カラードレンチングは大胆なインテリアスタイルです。
その一方で、1色でまとめるシンプルさは、小さなスペースを活かすのにも効果的なテクニックでもあります。どこかコージーで、色に優しく包み込まれるような安心感を与えてくれることも。
また、ポイントにしたい部分だけを引き立てる背景にもなります。こちらの空間では、壁と洗面台の下の部分の色を合わせることで、白いベーシンと美しい瑪瑙のバックスプラッシュがまるで浮いているように見え、ドラマチックな効果を生んでいます。
広い部屋にはなかなか勇気が必要な色使いを、トイレやパウダールームのような場所で試してみるのはいかがでしょう。
海外のメディアでも「勇気が必要なトレンド」「最も恐ろしいトレンド」などといった表現も使われているぐらい、カラードレンチングは大胆なインテリアスタイルです。
その一方で、1色でまとめるシンプルさは、小さなスペースを活かすのにも効果的なテクニックでもあります。どこかコージーで、色に優しく包み込まれるような安心感を与えてくれることも。
また、ポイントにしたい部分だけを引き立てる背景にもなります。こちらの空間では、壁と洗面台の下の部分の色を合わせることで、白いベーシンと美しい瑪瑙のバックスプラッシュがまるで浮いているように見え、ドラマチックな効果を生んでいます。
広い部屋にはなかなか勇気が必要な色使いを、トイレやパウダールームのような場所で試してみるのはいかがでしょう。
タイルも合わせてバスルームもドレンチ!
明るい緑色がフレッシュなバスルーム。まさに気持ちをリフレッシュできそうな色です。天井から床までしっかりとドレンチングしていますね。無地の壁とタイルの模様の組み合わせが絶妙です。
白いシンクカウンターとフレームは、グリーンの鮮やかさを強調すると同時に、少し落ち着かせるワンクッションとしての役割も果たしています。
明るい緑色がフレッシュなバスルーム。まさに気持ちをリフレッシュできそうな色です。天井から床までしっかりとドレンチングしていますね。無地の壁とタイルの模様の組み合わせが絶妙です。
白いシンクカウンターとフレームは、グリーンの鮮やかさを強調すると同時に、少し落ち着かせるワンクッションとしての役割も果たしています。
空間の目的に合わせた色選びを
色の選び方は、場所や光の入り方、部屋の用途によって慎重にしたいものです。
ここまでたくさんの事例を見てきて、やはりリビングや寝室で人気なのがブルー。寒色であるブルーは気持ちを落ち着かせる効果があるからでしょう。
反対に、エネルギッシュな黄色は、海外のキッチンでは人気のカラーです。テンションを上げ、料理も楽しくなりそうですね。しかし、黄色に浸したリビングや寝室では、なかなかリラックスはできないかもしれません。
色が与える心理的な効果を考慮しながら、ドレンチカラーを選ぶと良いでしょう。
色の選び方は、場所や光の入り方、部屋の用途によって慎重にしたいものです。
ここまでたくさんの事例を見てきて、やはりリビングや寝室で人気なのがブルー。寒色であるブルーは気持ちを落ち着かせる効果があるからでしょう。
反対に、エネルギッシュな黄色は、海外のキッチンでは人気のカラーです。テンションを上げ、料理も楽しくなりそうですね。しかし、黄色に浸したリビングや寝室では、なかなかリラックスはできないかもしれません。
色が与える心理的な効果を考慮しながら、ドレンチカラーを選ぶと良いでしょう。
最後にご紹介させていただきたいのが、我が家のパントリー。最近リノベーションしたこのパントリーでも、カラードレンチングのテクニックを応用してみました。
海外で見られるカラードレンチングほどは大胆ではありませんが、グレーでドレンチングして、落ち着きのあるコーナーを目指してみました。壁をチャコールグレーに塗り、さらに棚も壁と同化するように同じグレーに。カウンターはナラの集成材をあえてそのままの状態とし、キッチンとのつながりを意識しました。
もうワンステップ上を目指すのであれば、収納ボックスやカゴもダークグレーでまとめれば、完全になカラードレンチングになりそうですが、パントリーだけではなくキッチン全体のことも考え、「あまり暗くするのは……」と思い、とりあえずナチュラルなカゴを採用しました。
思った以上に楽しかった我が家の小さなカラードレンチングのプロジェクト。とくに嬉しいのが、黒やグレーの家電が目立たなくなったこと。「次はどこをドレンチしよう?」なんて思ってしまったぐらいです。
Houzzでインテリアデザイナー・コーディネーターを探す
海外で見られるカラードレンチングほどは大胆ではありませんが、グレーでドレンチングして、落ち着きのあるコーナーを目指してみました。壁をチャコールグレーに塗り、さらに棚も壁と同化するように同じグレーに。カウンターはナラの集成材をあえてそのままの状態とし、キッチンとのつながりを意識しました。
もうワンステップ上を目指すのであれば、収納ボックスやカゴもダークグレーでまとめれば、完全になカラードレンチングになりそうですが、パントリーだけではなくキッチン全体のことも考え、「あまり暗くするのは……」と思い、とりあえずナチュラルなカゴを採用しました。
思った以上に楽しかった我が家の小さなカラードレンチングのプロジェクト。とくに嬉しいのが、黒やグレーの家電が目立たなくなったこと。「次はどこをドレンチしよう?」なんて思ってしまったぐらいです。
Houzzでインテリアデザイナー・コーディネーターを探す
クラシックな要素が多いにもかかわらず、カラードレンチングにより、どこかコンテンポラリーな香りもしてきます。普通の住宅では、なかなかここまでのドレンチングスタイルに挑戦するのは難しいかもしれませんが、ディテイルをどう活かすかが大切なポイントとなるでしょう。