賃貸の家で実現したスローで心地よいインテリア
築100年を超えるスイスの美しい建物。その1階を借り、ゆっくりと好きなものだけを選び抜いて、光と自然があふれる快適な空間をつくりあげました。
Agnès Conté
2015年10月15日
建物は、20世紀初頭に建てられた、美しい大きな家。緑が生い茂る庭にかこまれているため、通りからは見えない。ここに暮らすイザベルさんは、初めて訪れたときから、木製のインテリアのディテールや空間のもつたたずまいに魅力を感じ、なんて居心地のよい場所なんだろう、と思ったそうだ。
居住者:インテリアデザイン事務所「セ・デュ・ボー」を運営するイザベルさん、彼女のパートナー、猫のリル
所在地:スイス、ヌーシャテル近郊
規模:20世紀初頭に建てられた一戸建ての1階部分、100平方メートル(庭は除く)
インテリアのテーマ:「賃貸の空間に自分らしさを」
居住者:インテリアデザイン事務所「セ・デュ・ボー」を運営するイザベルさん、彼女のパートナー、猫のリル
所在地:スイス、ヌーシャテル近郊
規模:20世紀初頭に建てられた一戸建ての1階部分、100平方メートル(庭は除く)
インテリアのテーマ:「賃貸の空間に自分らしさを」
建物のロッジア(吹放しになった柱廊)とサンルームを見た瞬間に、イザベルさんの直感は確信に変わった。季節の移ろいを感じる暮らしを求める人にとって、都会で庭のある生活を送ることはひとつの夢だ。
「私がこの家を見つけたのではなく、この家が私を見つけてくれたんだと思います」とイザベルさんはうれしそうに話す。
8年前にここに引越してきたイザベルさんは、オフィスも兼ねたこの家のインテリアに少しずつ手を加えてきた。
インテリアデザイナー・コーディネーターを探す
「私がこの家を見つけたのではなく、この家が私を見つけてくれたんだと思います」とイザベルさんはうれしそうに話す。
8年前にここに引越してきたイザベルさんは、オフィスも兼ねたこの家のインテリアに少しずつ手を加えてきた。
インテリアデザイナー・コーディネーターを探す
何事もじっくりと時間をかけてとりくむのが好きだというイザベルさん。スローデザインを愛する人らしく、まずその空間の雰囲気を感じ取り、暮らしながら、この家がもつ本質的な魅力を見極めていったのだった。
「選択には時間をかけること。身のまわりに置くものは、愛情や敬意を感じられるものを選ぶようにしています」とイザベルさん。
「選択には時間をかけること。身のまわりに置くものは、愛情や敬意を感じられるものを選ぶようにしています」とイザベルさん。
転職し、以前から大好きだったインテリアデザインを仕事にしたイザベルさん。自宅であるこの家がアトリエ兼ショールームとして、さまざまなインテリアのアイデアを実践している。近くの骨董市や中古品ショップ、世界各地を旅して集めた掘り出し物を使って、小さな展覧会のような空間で見せることも。
賃貸住宅なので、部屋そのものにはほとんど手を加えていない。見栄えのしない合成素材の天井が目立たないよう、壁に絵を飾って室内の木の質感が美しいディテールを引き立て、自分らしいセンスを加えている。
部屋に最初に置いたのは、愛用のライティングデスクと祖母から受け継いだ数点の家具。個性のあるこれらの家具を中心にして、インテリアをつくりあげていった。
ライティングデスクのあるくつろぎコーナーの作り方
部屋に最初に置いたのは、愛用のライティングデスクと祖母から受け継いだ数点の家具。個性のあるこれらの家具を中心にして、インテリアをつくりあげていった。
ライティングデスクのあるくつろぎコーナーの作り方
テーマは1つだけ、いつでもどこでも自然を感じられる空間にすること。麻などの天然繊維や素材の質感、色の組み合わせ、ちょっとしたコーディネートのディテールをうまく使って、このテーマを表現している。
インテリアに使う色は、イザベルさんが好んで身につける洋服と同じ、ブルーとトープ(グレーとベージュの中間の色)。トープのもつ安心感と暖かさが好きなのだそう。トープは他の色を引き立ててコントラストを生み出し、インテリアの木のディテールを際立たせ、空間に個性を生み出してくれるし、決して重い印象になることはない。
インテリアに使う色は、イザベルさんが好んで身につける洋服と同じ、ブルーとトープ(グレーとベージュの中間の色)。トープのもつ安心感と暖かさが好きなのだそう。トープは他の色を引き立ててコントラストを生み出し、インテリアの木のディテールを際立たせ、空間に個性を生み出してくれるし、決して重い印象になることはない。
場がもつ雰囲気は、そこに住む人を映し出すもの。ここでは、あらゆるものが静けさと調和に満ちている。年代物の骨董家具、デザイナー家具、大型家具店で手に入れた家具を組み合わせ、美しいエクレクティックスタイルに仕上げている。それぞれの家具があるべきところに納まり、古びたこの家がもつ魅力を引き立てている。
家の間取りは、昔からのスタイルなので、細長い廊下ですべての部屋がつながっている。エントランスには骨董市で見つけたクリーム色のイームズチェアを置いて、空間を明るく照らすアクセントにしている。
リビングは旅を思わせるインテリア。デザイナーズチェアと、モロッコのベニワレン産の美しいラグが見事にマッチしている。コンテンポラリーなソファにも、銀製のモロッコのトレイをローテーブルとして合わせて、個性をプラス。
リビングとつながったダイニング。ここに置く理想のテーブルを求め、探しまわったイザベルさんだが、1年をかけても納得のいくものが見つからなかった。そこで、とうとう部屋の大きさに合わせて自分でデザインし、地元の職人に作ってもらったのが、写真のテーブルだ。
イームズの「シェルチェア」のあるダイニング14選
イームズの「シェルチェア」のあるダイニング14選
部屋づくりにいちばん苦労したのはキッチン。使いにくいレイアウトなので、工夫が必要だったのだ。グレーと白をベースにした色使いで統一すると、室内の雰囲気は一変した。木製の小物をアクセントにして、暖かみのある、居心地のいい空間にしている。
ベッドルームではブルーが、心地よい夢や旅への思いをかきたてる。ベッドヘッド側の壁には日本の着物、他の壁には美しい浮世絵を飾り、アクセントにしている。
イザベルさんは、自分が納得できるもの、部屋に似合うと確信できるものだけを選び抜いて、ゆっくり焦らず部屋づくりを続けてきた。まさに、思わず時を忘れて長居してしまう、心地よい空間が実現していた。
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