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スローライフを楽しむ、テキスタイル・アーティストの自宅兼スタジオ
忙しい生活を見直すことを決意したアーティストがフランスの田舎に建てた、新しいライフスタイルにマッチする住まいをご紹介します。

Valérie Carreno & Frédéric Sautai
2022年7月16日
フランスの西海岸にある、とある村のはずれに突然あらわれる北欧風の一軒家。 オーナーであるテキスタイル・アーティストのジュリー・オイリは、パティオのひとつから私たちを出迎えてくれました。パティオの前には、朝ちょうど草を刈ったばかりの畑が広がっています。
「これまでもナント周辺で家を建てたり、リノベーションをしたりしてきましたが、長く住むことを想像できる家にやっとめぐり会えました」と彼女は言います。 「以前はがむしゃらに働いていましたが、人生に対する信念に変化が起き、すべてを考え直すなかで、より充実したライフスタイルを選ぶことにしたのです。それがきっかけで、家という快適な環境で働きたいと考えるようになりました」
「これまでもナント周辺で家を建てたり、リノベーションをしたりしてきましたが、長く住むことを想像できる家にやっとめぐり会えました」と彼女は言います。 「以前はがむしゃらに働いていましたが、人生に対する信念に変化が起き、すべてを考え直すなかで、より充実したライフスタイルを選ぶことにしたのです。それがきっかけで、家という快適な環境で働きたいと考えるようになりました」
Photos by Jours & Nuits © Houzz 2019
どんなHouzz?
住まい手:テキスタイル・アーティストのジュリー・オイリと、 彼女の夫で住宅建設会社の営業担当者のバンジャマン、そして二人の息子、16歳のトムと19歳のマーティン
所在地:フランス西海岸、ナント近郊のゲランデ近くの集落
「日当たりが抜群で、見渡す限り広がる畑と、かねてから庭に植えたいと思っていた松の木が決め手となり、この土地に家を建てることにしました」とオイリは話します。
また、「高価な素材の使用は問題外でした」と彼女はいいます。 「家は軽量コンクリートブロック構造で、屋外用に処理されたパイン材のサイディングで仕上げました。徹底的に簡素かつ洗練された美しさを、妥当な予算で実現したいと考えていたんです。 10代の若者と両親の双方が十分にプライベート空間を確保できるような間取りを計画しました。家の高さにより、プライベート・スタジオを持つという私の夢も実現したんですよ」
どんなHouzz?
住まい手:テキスタイル・アーティストのジュリー・オイリと、 彼女の夫で住宅建設会社の営業担当者のバンジャマン、そして二人の息子、16歳のトムと19歳のマーティン
所在地:フランス西海岸、ナント近郊のゲランデ近くの集落
「日当たりが抜群で、見渡す限り広がる畑と、かねてから庭に植えたいと思っていた松の木が決め手となり、この土地に家を建てることにしました」とオイリは話します。
また、「高価な素材の使用は問題外でした」と彼女はいいます。 「家は軽量コンクリートブロック構造で、屋外用に処理されたパイン材のサイディングで仕上げました。徹底的に簡素かつ洗練された美しさを、妥当な予算で実現したいと考えていたんです。 10代の若者と両親の双方が十分にプライベート空間を確保できるような間取りを計画しました。家の高さにより、プライベート・スタジオを持つという私の夢も実現したんですよ」
夫婦は、黒く塗装された伝統的な塩の貯蔵庫である“サロージ”からヒントを得たといいます。 「真っ黒なキューブを2つ作りました。用途に応じて全く異なる雰囲気に仕上げたパティオが特徴です」とオイリ。
玄関に置かれたスツールは、一家のマラケシュでの休暇の思い出がつまったもので、ディエゴ・ブルー(ルスルス社のセルジュ・ベンシモンのカラーコレクションより)に塗られた壁と美しいコントラストをつくっています。 そして空間を仕上げるのは、オイリ自身の作品です。
玄関はダイニングに直接つながっていて、そこには“マテオ・グラッシ”の椅子が添えられた大きなテーブルが中央に据えられています。このテーブルは中古売買サイトでオイリがみつけた逸品です。
「インゴ・マウラーのペンダントライト、『ツェッツル 5』のような美しいものに投資することには躊躇しません。実際、13年も持っていますが、まったく飽きないんです」とオイリは言います。
家の床には、クラシックで優美な無垢オーク材が敷かれていました。
日本の家具屋・インテリアショップを探す
「インゴ・マウラーのペンダントライト、『ツェッツル 5』のような美しいものに投資することには躊躇しません。実際、13年も持っていますが、まったく飽きないんです」とオイリは言います。
家の床には、クラシックで優美な無垢オーク材が敷かれていました。
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優美なトリックスのスツールが、カナダの農場のリサイクル木材を仕上げに活用したオーダーメイドのキッチン空間を引き立てています。このキッチンユニットには全てのキッチン家電が収められています。
カウンタートップは、今はジンク(亜鉛)ですが、間もなくデクトン(セラミックストーン)という酸性の食材に耐えられる建材にかわる予定です。頭上の大きな天窓から自然光がたっぷり注ぎ込みます。
カウンタートップは、今はジンク(亜鉛)ですが、間もなくデクトン(セラミックストーン)という酸性の食材に耐えられる建材にかわる予定です。頭上の大きな天窓から自然光がたっぷり注ぎ込みます。
大きなガラス戸は、家族をリビングから外へと誘い、漆黒の壁は隅のストーブをカモフラージュして、部屋に美しい奥行きを与えます。
「家が新しいので天井高は2.5mもあって、焦点が少し狂ってしまうんです。そこで、近くのラ・ボル=エスクブラック村にあるラ・グランジャ・ボアのジェロームに依頼して、部屋の天井高を見せるために、ベルギーのリサイクル足場木材を活用した大きい本棚を作ってもらいました。彼はキッチン家具も担当してくれたんですよ。ペレットストーブは月33ユーロ(約4,000円)で家全体を暖めることができます」とオイリは言います。
「家が新しいので天井高は2.5mもあって、焦点が少し狂ってしまうんです。そこで、近くのラ・ボル=エスクブラック村にあるラ・グランジャ・ボアのジェロームに依頼して、部屋の天井高を見せるために、ベルギーのリサイクル足場木材を活用した大きい本棚を作ってもらいました。彼はキッチン家具も担当してくれたんですよ。ペレットストーブは月33ユーロ(約4,000円)で家全体を暖めることができます」とオイリは言います。
ソファはオイリが一目ぼれしたもの。「キャラバンのヴィジルソファで、ル・ボン・コワン(フランスの中古売買サイト)で見つけました。この世に二つしか存在しないものです」 と彼女は言います。
「ひどい状態でしたが、サンフランシスコで購入した藍色のマリ製ヴィンテージ生地がオリジナルに近かったので、その生地を使って修復しました。ラグは全て、7年前から毎年通い続けているマラケシュのものです」
「ひどい状態でしたが、サンフランシスコで購入した藍色のマリ製ヴィンテージ生地がオリジナルに近かったので、その生地を使って修復しました。ラグは全て、7年前から毎年通い続けているマラケシュのものです」
ラフィアの作品は、オイリが数年前に鏡にあわせて作ったそう。スーツケースに載っているランプは、樽のタガでできています。
部屋はパティオのひとつにつながっていて、夕方はそこで過ごすことも多いとのこと。気温が低い時に使える火鉢もおいてあり、オイリがソファを購入したマラケシュのインテリアショップや、キャラバンで見つけたクッションの数々が木製のベンチとテーブルを飾っています。
ひときわ繊細なのが、オンディーヌ・サグリオによる、リバティ・スタイルのプリント生地クッションです。
ひときわ繊細なのが、オンディーヌ・サグリオによる、リバティ・スタイルのプリント生地クッションです。
主寝室は黒いキューブのひとつに収められています。「加工していない植物繊維が大好きなので、床はシーグラスを選びました」とオイリ。「ベッドサイドテーブルはオーク材から削り出したものです」
バスルーム側の壁に掛けられているのはオイリの作品で、ウールとラフィアという2つの素材がやわらかく組み合わされています。
バスルーム側の壁に掛けられているのはオイリの作品で、ウールとラフィアという2つの素材がやわらかく組み合わされています。
バスルームの床と壁には、ワックスで仕上げられたモルタルが使われています。イギリスで購入した壁付けの蛇口は、昔ながらの学校の洗い場からヒントを得たシンクと相性抜群です。
寝室は別のパティオに続いていて、軍隊のキャンプで使用されていた1942年製のベッド(外へ続くドアの隣に写っているもの)が置いてあります。この松の木陰の空間は、ひと時の休憩や読書を楽しむ、家族の憩いの場となっています。
屋根裏はオイリの織物作品のために確保されています。大きなモロッカンラグ“ベニ・ムリャート”の上には、職に就けない人々を雇用するネットワークでリサイクル家財などを取り扱っている事業、「エマス」から購入した大理石のテーブルが置いてあります。
「昔はリビングで織物を作っていたのですが、この家を建てるにあたり、家族と離れて、落ち着いて創作活動に励める空間を作りたいと思ったのです」とオイリは言います。「この部屋には、初期から現在に至るまでの私の作品と、リンディゴウィービング(e-コマースショップ)の商品を飾っています」
モロッコインテリアとは?お部屋に上手に取り入れるヒント
「昔はリビングで織物を作っていたのですが、この家を建てるにあたり、家族と離れて、落ち着いて創作活動に励める空間を作りたいと思ったのです」とオイリは言います。「この部屋には、初期から現在に至るまでの私の作品と、リンディゴウィービング(e-コマースショップ)の商品を飾っています」
モロッコインテリアとは?お部屋に上手に取り入れるヒント
隣にはオフィスと、発送用に作品を梱包する場所があります。
「ゾーンを分けたかったのです」とオイリ。「上階はスカンジナビア調で、バンジャマンが設置した白樺の幹と、黒い壁によって作品が引き立てられるようにしています。床はシンプルに白く塗られたフローリングです。壁には“ルスルス”の塗料を選びました」
金属の加工職人が、シンプルなアルミパイプに麻縄を通して作ったレールを、天井から吊るしています。隣には、ヤードセールで買ったキャンピングベッドやスーツケース類。
ここは、オイリが織物作品を製作するオフィスです。
オイリは1日のうち8〜10時間を仕事にあてます。「何も描かずに構想を考え始めます。だいたいはじめにラフィアやスパンコールを手に取りますが、自分の好きなものからインスピレーションを受けることも多いですね。機織り機で繊維の糸を準備して、ウールを通したり、ラグなどのために結び目を作ったりします」
こちらの巨大な新作は、制作に5週間を要し、なんと15キロもの羊毛でできています。
バンジャマンが工事の足場板をリサイクルして作ったこの「ウール館(woolothèque ※woolと、図書館という意味のbibliothèqueからなる造語)」に誰もが恋せざるを得ないでしょう。
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