賢い子どもが育つ部屋づくり、ロシア編
好奇心いっぱいの13歳の少女の知性を刺激する、スタイリッシュで最高に使いやすい子供部屋のレポートです。
Мария Эстрова
2017年4月23日
設計・建築事務所〈INT2アーキテクチャー〉が手がけたのは、今どきの創造力豊かなティーンエイジャーのために快適で面白いスペースを作るという、ちょっと変わったプロジェクト。この部屋に暮らすダーシャちゃんは4人きょうだいの長女。かわいくて、賢くて、外国語、音楽、昆虫、ダイビングに興味津々の13歳だ。両親から、モスクワにあるマンションの3つの寝室のうちの1室をもらった。自分だけの小さな世界をどう作り上げるか真剣に考えて、ダーシャちゃんはいくつかの明確なリクエストを出した。まず、大きな勉強机と、本をしまうスペースがあること。次に、クッションを並べられる大きなベッドがあること。そして、インテリアは暗くなくて、ピンクでもないこと。そしてこれらの「大人びた」アイデアに加えて、もうひとつ、いたずらっぽくて子どもらしいことも考えついた。壁が黒板みたいに書けるようになっていたらかっこいいかも!
プロジェクトは、ダーシャちゃんの夢と希望をもとにして実現。3ヵ月かけて、ミニマルで機能的な部屋が完成した。プロジェクトの中心は合板でできた「箱(ボックス)」、つまり前面の空いた立方体で、中に大きなベッドがあり、収納棚もたくさん造り付けられている。おかげで、部屋の残りの部分を完全に自由に使えるようになり、見た目にも広く明るくなった。
どんなHouzz?
所在地:モスクワの高層マンション
規模:3部屋のマンションの小部屋
住まい手:ダーシャちゃん、13歳。6人家族(両親、娘2人、息子2人)の長女
設計:〈INT2アーキテクチャー〉のアレクサンドル・マリーニンさんとアナスタシア・シェヴェレヴァさん
プロジェクトは、ダーシャちゃんの夢と希望をもとにして実現。3ヵ月かけて、ミニマルで機能的な部屋が完成した。プロジェクトの中心は合板でできた「箱(ボックス)」、つまり前面の空いた立方体で、中に大きなベッドがあり、収納棚もたくさん造り付けられている。おかげで、部屋の残りの部分を完全に自由に使えるようになり、見た目にも広く明るくなった。
どんなHouzz?
所在地:モスクワの高層マンション
規模:3部屋のマンションの小部屋
住まい手:ダーシャちゃん、13歳。6人家族(両親、娘2人、息子2人)の長女
設計:〈INT2アーキテクチャー〉のアレクサンドル・マリーニンさんとアナスタシア・シェヴェレヴァさん
「以前、この部屋には物がごちゃごちゃと置かれていました。家族全員の洋服やベッドリネンをしまうタンス、学校の物を置く棚、小物や本をしまってあったドレッサー、それにシングルベッド1つと机1つがあったのです。そのため、アパートにはありがちなことですが、スペースが小間切れで狭く感じました」と設計を担当したふたりは話す。
「いちばんの課題は、いろいろなものをむすびつけて、空間全体をまとめてくれる要素を探すこと。設計に加えて、白とグレーが統一感を生み出すのに重要な役割を果たしています。白い構造用合板のフローリング材と無垢のオーク材を使い、壁には白い水性塗料を塗りました」。
「いちばんの課題は、いろいろなものをむすびつけて、空間全体をまとめてくれる要素を探すこと。設計に加えて、白とグレーが統一感を生み出すのに重要な役割を果たしています。白い構造用合板のフローリング材と無垢のオーク材を使い、壁には白い水性塗料を塗りました」。
アレクサンドルさんとアナスタシアさんは、部屋のなかにばらばらに置かれていた家具をすべて1ヵ所にまとめた。「コンパクトな収納システム(タンス、ドレッサー、棚、小物用ロッカー、ベッドリネンなどのかさばる物用の引き出し)を組み込んだうえ、睡眠や休息のための場所(ソファとしても使えるベッド)でもある多機能な『ボックス』を作ろうと考えました」。
「ボックス」は、1920年代から建築家たちが好んで使ってきた針葉樹合板で作られている。軽くて丈夫な上、非常に加工しやすいのが特徴だ。値段も手ごろで、無垢材と同じくらい見た目がよいという長所もある。ほかにも天然素材が使われていて、壁は漆喰塗り、テキスタイルは綿、亜麻(リネン)、ウールを使っている。
「ボックス」は、1920年代から建築家たちが好んで使ってきた針葉樹合板で作られている。軽くて丈夫な上、非常に加工しやすいのが特徴だ。値段も手ごろで、無垢材と同じくらい見た目がよいという長所もある。ほかにも天然素材が使われていて、壁は漆喰塗り、テキスタイルは綿、亜麻(リネン)、ウールを使っている。
勉強のためのスペースはシンプルに整理されている。引き出しの付いたオーク材の机は本格的な書き物机のようで、ここに座るとダーシャちゃんはすっかり大人の気分に。椅子はありふれたものではなく、1940年代にかの有名なチャールズ・イームズとエーロ・サーリネンが制作したプロトタイプを製品化したもの。テーブルランプは1922年にフランスのベルナール・アルバン・グラスが作ったもので、地元の小さなデザイン博物館に展示されている。
虫のポスターは、古い動物学の参考書のイラストを拡大したもの。レーザーで切り出された金属製の「D」のオブジェは、この部屋の主を示している。
虫のポスターは、古い動物学の参考書のイラストを拡大したもの。レーザーで切り出された金属製の「D」のオブジェは、この部屋の主を示している。
「ボックス」の表面は、一部にミント色のエナメル塗料を使用。ほかの部分は、天然木の質感を引き立たせるため、繊細な刷毛目で仕上げた。
籐のかごも、ナチュラルに全体をエコスタイルにまとめてみせてくれる。予備の枕やブランケットなど、何でもしまえる優れた収納方法でもある
籐のかごも、ナチュラルに全体をエコスタイルにまとめてみせてくれる。予備の枕やブランケットなど、何でもしまえる優れた収納方法でもある
右手には洋服ダンスが隠されている。スライド式で、大きく、中は2段になっている。ベッドの下には引き出しが2つあり、ベッドリネンや季節ものの服をしまえる。
ドアの横には、洋服を掛けられるように、ユニークなボタン型のフックが付いている。壁と床にペイントされた三角形は、ちょっとした遊び心で、引き出しがスライドする方向を示している。
この部屋に大きな「ボックス」を作るにあたって、天井高(2.5 m)を確保する工夫が必要だった。そのため、「ボックス」内は埋め込み式の照明、フリースペースでは天井に取り付けるシーリングライトとペンダントライトをセレクト。勉強机の上のペンダントライトは、カテリーナ・コピティーナがデザインしたもの。木製のソケットはオークの無垢材から削り出されていて、省エネ型の電球専用だ。
「『ボックス』の反対側の壁には、多機能なパネルを取り付けました。鏡、黒板オーガナイザー、そしてスクリーンとして使えます」と設計者は説明する。
秘密は、スライドする幅広のボードの使い方にある。これを片側に寄せると黒板が現れ、反対側に移動すると鏡が現れる。ボードを真ん中に移動すると、ノートパソコンに接続して使うプロジェクターのスクリーンになる。
家具を含む平面図。
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