世界のHouzzから:オーストラリアの最新エコ住宅9選
環境に優しい最新技術を導入し、設計に工夫をこらし、オーストラリアのさまざまな建築賞を受賞した、折り紙つきのエコ住宅9作品をご紹介します。
Susan Redman
2016年5月14日
優れたデザインとエネルギー効率の両立は、環境に配慮した家づくりをするうえで世界共通の関心事だろう。しかし、国内でも気候や風土が大きく異なるオーストラリアの場合、その土地の気候に最適なシステムを取り入れた家作りをするには、建築家にとってより一層の創意工夫が求められることになる。
土地の特性に応じたエコロジカルな設計で世界に知られる建築家のひとりに、オーストラリアのグレン・マーカットがいる。彼の手掛ける自然と調和した建築は、環境に優しい建物づくりを目指すほかの建築家のインスピレーションともなっている。環境への細やかな配慮が評価され、マーカットは2002年にプリツカー賞を受賞。審査委員長のJ・カーター・ブラウンは、彼の作品を「派手さのない、どこまでも実直な芸術作品」と表現した。
数々の受賞歴のある建築事務所〈ダン・アンド・ヒラム・アーキテクツ〉のアシュリー・ダンさんはこう語る。「オーストラリア大陸には、亜熱帯や乾燥帯、高山気候と、幅広い気候条件が存在します。ですからひとつの建築が国中どこでも通用するわけではなく、その土地の特性と合わせて考えることが必須になります。でもそれは本来、オーストラリアに限らず世界中で、デザインにおいていちばんに考慮されるべき点だと思います。」
今回ご紹介するオーストラリアの住宅は、いずれも優れた建築に与えられる賞を受賞している。低木林を望む家、砂漠の中のオアシスのような家、熱帯雨林に隠れた家、海辺の家と、環境はさまざまだ。風景と調和する建物の美しさは言うまでもないが、冷暖房やゴミ処理などをできるだけ機械的なシステムに頼らなくて済むよう、工夫を凝らして設計されている。
数々の受賞歴のある建築事務所〈ダン・アンド・ヒラム・アーキテクツ〉のアシュリー・ダンさんはこう語る。「オーストラリア大陸には、亜熱帯や乾燥帯、高山気候と、幅広い気候条件が存在します。ですからひとつの建築が国中どこでも通用するわけではなく、その土地の特性と合わせて考えることが必須になります。でもそれは本来、オーストラリアに限らず世界中で、デザインにおいていちばんに考慮されるべき点だと思います。」
今回ご紹介するオーストラリアの住宅は、いずれも優れた建築に与えられる賞を受賞している。低木林を望む家、砂漠の中のオアシスのような家、熱帯雨林に隠れた家、海辺の家と、環境はさまざまだ。風景と調和する建物の美しさは言うまでもないが、冷暖房やゴミ処理などをできるだけ機械的なシステムに頼らなくて済むよう、工夫を凝らして設計されている。
1. ヴィクトリア州/地元の素材を生かした丘の家
プロジェクト:ソーミル・ハウス
設計:〈アーチアー〉のクリス・ギルバート。兄で彫刻家のベン・ギルバートに依頼され、協力して制作
所在地:ヴィクトリア州、ヤッカンダンダー
規模:延床面積90平方メートル(デッキ込みで150平方メートル)、ベッドルーム×1、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:2015年ナショナル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年ヴィクトリアン・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年ハウジズ賞 受賞(200平方メートル以下の新築住宅部門)、2015年ハウジズ賞 受賞(新進建築事務所部門)、2015年ヴィクトリアン・アーキテクチャー賞 奨励賞(サステナビリティ部門)、2015年ハウジズ賞 奨励賞(サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ソーミル・ハウス
設計:〈アーチアー〉のクリス・ギルバート。兄で彫刻家のベン・ギルバートに依頼され、協力して制作
所在地:ヴィクトリア州、ヤッカンダンダー
規模:延床面積90平方メートル(デッキ込みで150平方メートル)、ベッドルーム×1、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:2015年ナショナル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年ヴィクトリアン・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年ハウジズ賞 受賞(200平方メートル以下の新築住宅部門)、2015年ハウジズ賞 受賞(新進建築事務所部門)、2015年ヴィクトリアン・アーキテクチャー賞 奨励賞(サステナビリティ部門)、2015年ハウジズ賞 奨励賞(サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
- 廃材をコンクリートブロックとして使用
- 通気と風通しをよくするレイアウトデザイン
- 地元の森からの木材を活用
ヴィクトリア州北部、かつては金鉱と製材所(があった丘の斜面に建てられたこちらの家。無駄にするのはもったいない、という素朴な気持ちがデザインの基礎になっている。いちばん印象的なのは、廃材を利用して作られた、外壁を成す270個の巨大なコンクリートブロック。近所で住宅用のコンクリートスラブを打った後に余った素材を手に入れて、再利用したものだ。ブロックの重さは1つ1トン以上。これをヤッカンダンダーの現場までトラック輸送して積み上げ、約9×10メートルの構造を形成した。ブロックは、セメントで固定してはいるが、もともとの粗い手触りを残したまま仕上げている。
「現場の近くにあった余分なコンクリートを使うというのが、今回のサステナビリティへの取り組みの大きな部分となりました。あまり一般的ではないし、革新的なやり方です」と建築家のクリス・ギルバートさんは言う。「既存のいわゆる『エコ製品』に頼るのではなく、自分たちの周りを見て、使えるものを探したんです。」
「現場の近くにあった余分なコンクリートを使うというのが、今回のサステナビリティへの取り組みの大きな部分となりました。あまり一般的ではないし、革新的なやり方です」と建築家のクリス・ギルバートさんは言う。「既存のいわゆる『エコ製品』に頼るのではなく、自分たちの周りを見て、使えるものを探したんです。」
建物の規模と立地を生かし、谷から吹き上げてくるそよ風を空調調節に取り入れている。「夏の間は、通風を使ったパッシブ冷房になります。寒い時期には、デッキを覆っている長さ14メートルの可動屋根を開放し、デッキの周囲にある折り戸も調整して、温かい太陽光を最大限に取り入れます」とギルバートさん。こうして、太陽熱によるパッシブ暖房で冬もほとんど快適に過ごせるそうだ。
もうひとつ、地元の素材を活用したのがレッド・ストリンギーバーク(学名 Eucalyptus macrorhyncha)と呼ばれる木の木材。床と天井の板張りに使用している。木が生えていた森は、家からも見える。
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もうひとつ、地元の素材を活用したのがレッド・ストリンギーバーク(学名 Eucalyptus macrorhyncha)と呼ばれる木の木材。床と天井の板張りに使用している。木が生えていた森は、家からも見える。
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2. ノーザン・テリトリー(北部特別地域)/岩を使って温度調節する砂漠の家
プロジェクト:デザート・ハウス
設計:〈ダン・アンド・ヒラム・アーキテクツ〉
所在地:ノーザン・テリトリー、アリス・スプリングス
規模:延床面積350平方メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×3
受賞歴:2015年NTアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2014年BPNサステナビリティ賞ノミネート、2014年ハウジズ賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅部門)、2014年NTアーキテクチャー賞 奨励賞(住宅建築―新築住宅部門)、2014年NTアーキテクチャー賞 受賞(サステナブルな建築部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:デザート・ハウス
設計:〈ダン・アンド・ヒラム・アーキテクツ〉
所在地:ノーザン・テリトリー、アリス・スプリングス
規模:延床面積350平方メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×3
受賞歴:2015年NTアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2014年BPNサステナビリティ賞ノミネート、2014年ハウジズ賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅部門)、2014年NTアーキテクチャー賞 奨励賞(住宅建築―新築住宅部門)、2014年NTアーキテクチャー賞 受賞(サステナブルな建築部門)
環境に優しい3つのポイント
- 電力自家供給
- ソーラーパネルとソーラー温水
- 断熱性の高い壁面。フライングルーフと配置の工夫で日陰を作る
デザート・ハウス(砂漠の家)という名前のとおり、この家があるアリス・スプリングスの町は砂漠の真ん中に位置している。地球上でも最も手ごわい自然環境のひとつと言える、オーストラリア砂漠だ。古くから伝説のある赤いマクドネル山脈がアリス・スプリングスの東西に広がり、南西にはウルル(エアーズロック)がある。気温は、夏は摂氏45度を超え、冬はマイナス6度まで下がる。
「この家は岩に切り込んで建てられています。地面に埋まったような状態なので、大地の蓄熱作用(サーマルマス)を活用して建物内部の気温を調整できるんです」とダンさんは言う。
「この家は岩に切り込んで建てられています。地面に埋まったような状態なので、大地の蓄熱作用(サーマルマス)を活用して建物内部の気温を調整できるんです」とダンさんは言う。
家の中心部には、閉じられた中庭とプールがある。守られた環境の中で、住人たちが砂漠気候を楽しむことのできる場所だ。プールはぜいたく品ではあるが、エネルギー効率の優れたシステムを活用している。メンテナンスや掃除に外からの電力は不要で、ポンプの電力は屋根のソーラー発電パネルから供給される。またプールは、住人たちのために涼しい微気候を作り出してくれるだけでなく、熱を吸収してくれるヒートシンクでもある。ソーラー温水タンクに溜まった余分な温水は、プールに放水されてプールの水量を足すとともに、夜のうちに冷却される。
「極端な気温の変化から家を守るため、高断熱の箱のような形状の家の上に、傾斜のある大きなフライングルーフを設置して、家に影を作っているんです」とダンさんは説明する。「この屋根の窓から、温かい空気を夜のうちに排出してくれます。」居住して1年間の記録を見てみると、公共送電網からの供給は実質ゼロで、電力自給が実現しているそうだ。
パッシブな環境対策をメインに用いた家がこれほどうまく機能していることにホームオーナーは驚き、また喜んでいるそうだ。「構造の多層化、方角に配慮したレイアウト、サーマルマス、通気といった工夫をすることで、この建物では室内外でおよそ摂氏15.5度もの温度差を生むことが可能になっています」とダンさんは言う。
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パッシブな環境対策をメインに用いた家がこれほどうまく機能していることにホームオーナーは驚き、また喜んでいるそうだ。「構造の多層化、方角に配慮したレイアウト、サーマルマス、通気といった工夫をすることで、この建物では室内外でおよそ摂氏15.5度もの温度差を生むことが可能になっています」とダンさんは言う。
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3. クイーンズランド州/太古の熱帯雨林の中にたたずむ家
プロジェクト:ケープ・トリビュレーション・ハウス
設計:〈m3architecture〉 ベン・ヴィエル
所在地:クイーンズランド州、ケープ・トリビュレーション
規模:延床面積308平方メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年ハウジズ賞 奨励賞(サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ケープ・トリビュレーション・ハウス
設計:〈m3architecture〉 ベン・ヴィエル
所在地:クイーンズランド州、ケープ・トリビュレーション
規模:延床面積308平方メートル、ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年ハウジズ賞 奨励賞(サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
- 熱帯雨林への影響が少ない
- 電力・水・ごみ処理をすべてオフグリッドに
- 自然換気
クイーンズランド州の北端、トリビュレーション岬のビーチにほど近い、約12,000平方メートルの敷地に建つオフグリッド(自足型)住宅。この家(および近隣の小さなコミュニティ)の周囲に広がるデイントリー熱帯雨林は、オーストラリアでも最も古く、厳重に保護されている生態系であるため、住宅建設に当たっては計画段階からさまざまな対策を取り、サステナビリティに配慮する必要があった。
サステナビリティの専門家と相談を重ねながら設計を進め、建材選びのほか、発電や水処理などオフグリッドのインフラシステムについてもアドバイスを受けた。「ソーラーパネルと蓄電池で家に電力を供給しています」と、設計チームを率いる建築家のベン・ヴィエルさんは説明する。「家電や機器などはすべて、こうして作った電力を効率的に利用することを考えて選びました。通気も、天井のファンや大きなルーバー窓を活用して、自然な気流が起こるようになっています。機器や調度はすべて、エネルギー効率が優れたものを使っています。」
サステナビリティの専門家と相談を重ねながら設計を進め、建材選びのほか、発電や水処理などオフグリッドのインフラシステムについてもアドバイスを受けた。「ソーラーパネルと蓄電池で家に電力を供給しています」と、設計チームを率いる建築家のベン・ヴィエルさんは説明する。「家電や機器などはすべて、こうして作った電力を効率的に利用することを考えて選びました。通気も、天井のファンや大きなルーバー窓を活用して、自然な気流が起こるようになっています。機器や調度はすべて、エネルギー効率が優れたものを使っています。」
ヴィエルさんのエコデザインの信念は、この家の見た目にも表れている。外観は黒いプラスチックの外装材とミラーガラスでカモフラージュされ、生い茂る熱帯雨林の陰に隠れてしまうようだ。家の中に入ると、リビングエリアは明るいトーンの合板仕上げ。部屋の外にはトロピカルな風景が広がり、背の高い南向きの窓からは熱帯雨林が眺められる。「パヴィリオンのように緩やかな空間なので、人数に合わせて寝室を工夫することができます。リビングスペースも、キャンプサイトのように使うことも可能です」とヴェイルさんは言う。寝室のうち2部屋は、ドミトリー式にアレンジすることもできる。
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4. 西オーストラリア州フリーマントル/リサイクル建材と節水の都心の家
プロジェクト:フリーマントル・ハウス
設計:パトリック・コスキー、〈Nie + Co〉ユン・ニー・チョン
所在地:西オーストラリア州フリーマントル
規模:延床面積210平方メートル(ガレージ含む);ベッドルーム×2、ゲストルーム兼書斎×1、バスルーム(トイレ含む)×2
受賞歴:2015年WAアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:フリーマントル・ハウス
設計:パトリック・コスキー、〈Nie + Co〉ユン・ニー・チョン
所在地:西オーストラリア州フリーマントル
規模:延床面積210平方メートル(ガレージ含む);ベッドルーム×2、ゲストルーム兼書斎×1、バスルーム(トイレ含む)×2
受賞歴:2015年WAアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
環境に優しい3つのポイント
- パッシブソーラー
- 自然換気と自然光の活用
- 節水の工夫
パースの南に位置する港町、フリーマントル。市街地の埋め立て区画、わずか250平方メートルに建てられたこちらの新築住宅では、環境への配慮がデザインの基礎となっている。住んでいるのは、この家を自ら設計した建築家カップル、パトリック・コスキーさんとユン・ニー・チョンさんだ。コスキーさんは、サステナビリティへの試みには2つの方向から取り組んだと説明する。「まず1つ目は、建材に消費されるエネルギーを最小限にすること。そのため、リサイクル建材(れんが)や、計画栽培された木材(骨組み、仕上げ材の合板)をたくさん使用しています。」
2つ目の方法は、エネルギーと水の使用量を減らすことだ。「パッシブソーラーの原理を取り入れ、自然な通気や自然光の明るさを最大限に活用しています」とコスキーさんは言う。「節水機器や、地下にある12立方メートルの雨水貯水システムを利用したり、ソーラー発電パネル、ソーラー温水パネル、LEDライトも全面的に取り入れています。」
2つ目の方法は、エネルギーと水の使用量を減らすことだ。「パッシブソーラーの原理を取り入れ、自然な通気や自然光の明るさを最大限に活用しています」とコスキーさんは言う。「節水機器や、地下にある12立方メートルの雨水貯水システムを利用したり、ソーラー発電パネル、ソーラー温水パネル、LEDライトも全面的に取り入れています。」
この家ですでに1年以上暮らしているが、どの季節でもうまく機能し、冷暖房器に頼ることはほとんどないとチョンさんは言う。「夕方ひんやりする時期になると、コンクリートの床が温かさを保ってくれるし、日差しが強いときには、窓の外の深い覆いが大きな影を作ってくれます。床から天井まである窓ガラスからは、冬でも温かい日差しを室内に取り込むことができます。」
奥に長いレイアウト、通気の悪さ、自然光が家の中心部まで入らない…こういった問題が、従来の都心住宅には付きものだった。コスキーさんが目指したのは、中庭、窓、吹き抜け部分、スカイライトの配置を計算したデザインで、これらの問題点を克服することだったと言う。「それに、簡単に手に入るテクノロジーもたくさんあります。例えばソーラー発電パネル、真空管ヒートパイプ温水器、地下貯水タンク、コンポストごみ処理器など。こういった技術を使えば、外から供給するエネルギー、使用するエネルギーを最小限に抑えることができます。」
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奥に長いレイアウト、通気の悪さ、自然光が家の中心部まで入らない…こういった問題が、従来の都心住宅には付きものだった。コスキーさんが目指したのは、中庭、窓、吹き抜け部分、スカイライトの配置を計算したデザインで、これらの問題点を克服することだったと言う。「それに、簡単に手に入るテクノロジーもたくさんあります。例えばソーラー発電パネル、真空管ヒートパイプ温水器、地下貯水タンク、コンポストごみ処理器など。こういった技術を使えば、外から供給するエネルギー、使用するエネルギーを最小限に抑えることができます。」
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5. ニュー・サウス・ウェールズ州/コンクリート彫刻のようなビーチハウス
プロジェクト:バルモラル・ハウス
設計:クリントン・マレー、ポリー・ハービソン
所在地:ニュー・サウス・ウェールズ州バルモラル
規模:延床面積450平方メートル;ベッドルーム×4、バスルーム(トイレ含む)×3
受賞歴:
2015年ナショナル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
2015年モスマン・デザイン賞 受賞(建築環境への貢献部門)
2015年ハウジス賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅部門)
マスター・ビルダーズ・アソシエーションNSW 優秀住宅賞(施工会社ベルヴァルデ・コンストラクションズ)
マスター・ビルダーズ・アソシエーションNSW コンクリート優秀活用賞(施工会社ベルヴァルデ・コンストラクションズ)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:バルモラル・ハウス
設計:クリントン・マレー、ポリー・ハービソン
所在地:ニュー・サウス・ウェールズ州バルモラル
規模:延床面積450平方メートル;ベッドルーム×4、バスルーム(トイレ含む)×3
受賞歴:
2015年ナショナル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
2015年モスマン・デザイン賞 受賞(建築環境への貢献部門)
2015年ハウジス賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅部門)
マスター・ビルダーズ・アソシエーションNSW 優秀住宅賞(施工会社ベルヴァルデ・コンストラクションズ)
マスター・ビルダーズ・アソシエーションNSW コンクリート優秀活用賞(施工会社ベルヴァルデ・コンストラクションズ)
環境に優しい3つのポイント
- コンクリートの蓄熱能力で室温を安定
- 室内にも日光を取り入れてソーラー蓄熱
- 通気を最適化するレイアウト
シドニー・ハーバー沿岸、バルモラル・ビーチの真正面に建つこの家は、「塊」と「余白」というフォルムを住宅建築で実験したかのような、印象的な建物だ。クリントン・マレーとポリー・ハービソンによる当初の設計は、存在と余白という概念を追求したイサム・ノグチの彫刻作品からインスピレーションを受けている。ホームオーナーはアート愛好家で(作品が家と庭の各所に見られる)、この家の彫刻的なデザインはまさにぴったりだ。
「この家は、塊と余白、光と影という要素の微妙な構成で出来ています」とマレーさんは言う。「家の横を通る人に、建物の空洞部分からバルモラル湾の反対側にある灯台が見えるように考えて作った、いわば彫刻作品なんです。風景を切り取り、一部を隠して見せることで、緊張感を作り出しています。」
「この家は、塊と余白、光と影という要素の微妙な構成で出来ています」とマレーさんは言う。「家の横を通る人に、建物の空洞部分からバルモラル湾の反対側にある灯台が見えるように考えて作った、いわば彫刻作品なんです。風景を切り取り、一部を隠して見せることで、緊張感を作り出しています。」
フォルム、抑制された色使い、テクスチャー、居心地の良さといった要素を組み合わせ、静かで落ち着いた住まいを作り出した。コンクリートをふんだんに使いサーマルマスを確保することで、冬場に熱を蓄えるだけでなく、夏場の極端な温度上昇も防ぐことができる。コンクリート壁の各所には特徴的な「空洞」部が作られており、そこから自然光が室内に射しこむ。このプロジェクトについて記した文章で、マレーさんはこう語っている。「雨風からは保護しながらも、できるだけ室内を自然光で照らすよう工夫しました。窓にはすべて外側に雨戸を付けています。キッチンは天井が高く、長さ4メートル近い窓があるので、冬でも日光が部屋の中に広がります。光が強すぎる場合は外側のブラインドで調節します。」
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6. オーストラリア首都特別地域/日射しの多い土地ならではのスマート冷暖房
プロジェクト:ウォンガ・ストリート・ハウス
設計:〈ライトハウス(旧・ジグソーハウジング)〉アンドリュー・ヴェリ
所在地:オーストラリア首都特別地域、オコナー
規模:延床面積180平方メートル;ベッドルーム×3、リビングエリア×3(うち1つはゲストベッドルームにもなる)、バスルーム(トイレ含む)×2
受賞歴:
2015年ACTレジデンシャル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)2015年ACTアーキテクチャー賞ノミネート(住宅建築―サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ウォンガ・ストリート・ハウス
設計:〈ライトハウス(旧・ジグソーハウジング)〉アンドリュー・ヴェリ
所在地:オーストラリア首都特別地域、オコナー
規模:延床面積180平方メートル;ベッドルーム×3、リビングエリア×3(うち1つはゲストベッドルームにもなる)、バスルーム(トイレ含む)×2
受賞歴:
2015年ACTレジデンシャル・アーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)2015年ACTアーキテクチャー賞ノミネート(住宅建築―サステナビリティ部門)
環境に優しい3つのポイント
- パッシブソーラー設計でエネルギー節約
- ソーラーで給湯と発電
- 気密性などをテストする科学的試験を実施
首都キャンベラの周辺地区は、パッシブソーラーにはぴったりの地域だ。「太陽にとても恵まれていて、1日あたり平均日照時間は7.6時間にもなります」と、建築科学者のジェニー・エドワーズさんは言う。「基本的な建築科学と、優れた設計、質の良い建設工事という条件さえ満たせば、キャンベラの寒い冬でも日中はほとんど暖房不要な家を作ることが可能です。夏も、天井のファンさえあれば快適な室温が維持できます。」
家の向きも重要な要素だ。キャンベラ郊外にある、こちらのシンプルな家族向け住宅は、裏庭にある1本の大きな落葉樹を中心に設計されている。夏には木の葉が影を作ってくれ、葉が落ちた冬には日光を通す。「北向きのダイニングエリアは、広いデッキを通じて裏庭にスムーズにつながっています」と建築家のアンドリュー・ヴェリさんは説明する。「窓はどれも、庭の景色が見えるように配置しています。外壁は、目立つ色合いではありませんが表情豊かに仕上がっています。窓やドアのフレームはシダー材で、スタジオスペース(※書斎エリア??)の黄色の壁が、灰色のブロックや黒い外装材の中でアクセントになっています。」
家の向きも重要な要素だ。キャンベラ郊外にある、こちらのシンプルな家族向け住宅は、裏庭にある1本の大きな落葉樹を中心に設計されている。夏には木の葉が影を作ってくれ、葉が落ちた冬には日光を通す。「北向きのダイニングエリアは、広いデッキを通じて裏庭にスムーズにつながっています」と建築家のアンドリュー・ヴェリさんは説明する。「窓はどれも、庭の景色が見えるように配置しています。外壁は、目立つ色合いではありませんが表情豊かに仕上がっています。窓やドアのフレームはシダー材で、スタジオスペース(※書斎エリア??)の黄色の壁が、灰色のブロックや黒い外装材の中でアクセントになっています。」
冬は気温が氷点下となり、夏には摂氏30度を超える地域のため、一般的にはこのような住宅でサステナブルなデザインを実現するのはなかなか難しい。しかしヴェリさんの事務所には、地域の気候に適合した家屋の設計・改修を専門とするエドワーズさんがいる。エドワーズさんが中心となって、この家のエネルギー効率を確かめる厳しいテストも実施した。
ホームオーナーたちが暮らし始めて間もなく、気密性の測定を行った。ウォンガ・ハウスでは、寒い冬も暑い夏も室温調整をしやすくするため、可能な限り気密性を高めている。測定結果は、テスト時の気圧において1時間あたりの換気回数は8回。キャンベラの新築住宅では10回以下とされる理想値を満たしていた。ホームオーナーによると、密閉性・断熱性が非常に優れているため、猛暑日の日中でも、家を閉め切っていると気温の上昇が緩やかだったという。最高温度が低くとどまり、家族は家の中で快適に過ごすことができたそうだ。
ヴェリさんとエドワーズさんによると、キャンベラ地域で二重窓を取り付けるコストは十分に元が取れると言う。熱や冷気が中に入らなければ、冷房も暖房も必要ないのだ。エドワーズさんは、このプロジェクトについて書いた文章のなかで、「このような方法を使って、私たちの家はエネルギー効率認定(EER)で8スターを取得することもしばしばです。これは、同じ規模で6スターを取得している家と比べると、加熱負荷・冷却負荷が半分であることと同等になります(現在オーストラリアのほとんどの州では、EER の6スターを取得することが最低基準)」と説明する。
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ホームオーナーたちが暮らし始めて間もなく、気密性の測定を行った。ウォンガ・ハウスでは、寒い冬も暑い夏も室温調整をしやすくするため、可能な限り気密性を高めている。測定結果は、テスト時の気圧において1時間あたりの換気回数は8回。キャンベラの新築住宅では10回以下とされる理想値を満たしていた。ホームオーナーによると、密閉性・断熱性が非常に優れているため、猛暑日の日中でも、家を閉め切っていると気温の上昇が緩やかだったという。最高温度が低くとどまり、家族は家の中で快適に過ごすことができたそうだ。
ヴェリさんとエドワーズさんによると、キャンベラ地域で二重窓を取り付けるコストは十分に元が取れると言う。熱や冷気が中に入らなければ、冷房も暖房も必要ないのだ。エドワーズさんは、このプロジェクトについて書いた文章のなかで、「このような方法を使って、私たちの家はエネルギー効率認定(EER)で8スターを取得することもしばしばです。これは、同じ規模で6スターを取得している家と比べると、加熱負荷・冷却負荷が半分であることと同等になります(現在オーストラリアのほとんどの州では、EER の6スターを取得することが最低基準)」と説明する。
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7. 南オーストラリア州/流出水を有効利用する丘の家
プロジェクト:ロバートソン・ハウス
設計:〈マックス・プリチャード・アンド・ガナー・アーキテクツ〉マックス・プリチャードとアンドリュー・ガナー
所在地:南オーストラリア州、マイポンガ・ビーチ
規模:延床面積250平方メートル;ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年SAアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ロバートソン・ハウス
設計:〈マックス・プリチャード・アンド・ガナー・アーキテクツ〉マックス・プリチャードとアンドリュー・ガナー
所在地:南オーストラリア州、マイポンガ・ビーチ
規模:延床面積250平方メートル;ベッドルーム×3、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年SAアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)
環境に優しい3つのポイント
- 雨水を集める屋根のデザイン
- 北向きの二重窓で
- 現地調達した建材
南オーストラリア州、フルリュー半島の静かな海岸を望む丘の上、人里離れた場所に経つこちらの家では、環境への配慮が設計の重要なポイントとなった。ダイナミックに傾斜した三角形の屋根は、雨水が1カ所に集まり、地下のタンクに流れ込むよう工夫されたデザインだ。「これが家の水源になるんです」と建築家のマックス・プリチャードさんは言う。「この敷地はわりと傾斜が強いんですが、(できるだけ日光を取り入れるため)北向きに開いた家にしたかったので、家の片側を丘の斜面に埋め込み、もう片方を空中に突き出す形にしました。宙に浮いた側からは素晴らしい眺めが楽しめますよ。」
プリチャードさんが驚き、また感激したのは、環境に配慮したプロジェクト施行を、ホームオーナーたちが最初から積極的に受け入れて協力してくれたことだ。「家に使った石はすべて、家族の皆さんが敷地内から集めてきてくれたんです。庭づくりもかなり手伝ってくれました。ライフスタイルの変化の一部として、こうして新しい家と積極的に向きあってくれるのは嬉しいですね。」
家は、高床式の高断熱コンクリート基盤の上に建っている。家を温めたり冷やしたりするサーマルマスを確保するため、このコンクリート基盤がとても重要になる。室温を一定に保ち、リビングエリアに明るい光を取り入れるため、北側には大きな二重窓を設置。
プロジェクトの設計に携わったもう1人の建築家、アンドリュー・ガナーさんは、パッシブデザインの考えに基づいて細部まで配慮した家づくりをすれば、「夏はエアコンをほとんど使わずに過ごせます。冬も、効率性の高い暖炉で地域で手に入る木材を燃やし、温かく過ごすことができます」と言う。
「オーストラリアといえば、暑く乾燥した夏の気候が有名ですが、こういったプロジェクトでは、夏と同じくらいの冬期の対策をしっかりするのが重要なんです。それから、屋外で過ごすライフスタイルと、室内でのライフスタイルとのバランスを考えてデザインすることも大切ですね。ちょっと雨風が強い時期になると、家の中で過ごす時間が長くなりますから。」
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プロジェクトの設計に携わったもう1人の建築家、アンドリュー・ガナーさんは、パッシブデザインの考えに基づいて細部まで配慮した家づくりをすれば、「夏はエアコンをほとんど使わずに過ごせます。冬も、効率性の高い暖炉で地域で手に入る木材を燃やし、温かく過ごすことができます」と言う。
「オーストラリアといえば、暑く乾燥した夏の気候が有名ですが、こういったプロジェクトでは、夏と同じくらいの冬期の対策をしっかりするのが重要なんです。それから、屋外で過ごすライフスタイルと、室内でのライフスタイルとのバランスを考えてデザインすることも大切ですね。ちょっと雨風が強い時期になると、家の中で過ごす時間が長くなりますから。」
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8.タスマニア州/ブルーガムの林の中の家
プロジェクト:ラグーン・ハウス
設計:〈マット・ハインズ・アンド・ポリー・テイラー・アーキテクツ〉 マット・ハインズとポリー・テイラー
所在地:タスマニア州、クリフトン・ビーチ
規模:延床面積293平方メートル;ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
エドモンド・ドーニー住宅建築賞 受賞(新築住宅部門)、2015年インターグレイン・ティンバー・ヴィジョン賞 受賞(住宅インテリア部門)、2015年インターグレイン・ティンバー・ヴィジョン賞 奨励賞(住宅エクステリア部門)、2015年ハウジズ賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅賞)、2015年シンク・ブリック賞 最終ノミネート(ケビン・ボーランド・メーソンリー賞)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ラグーン・ハウス
設計:〈マット・ハインズ・アンド・ポリー・テイラー・アーキテクツ〉 マット・ハインズとポリー・テイラー
所在地:タスマニア州、クリフトン・ビーチ
規模:延床面積293平方メートル;ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
エドモンド・ドーニー住宅建築賞 受賞(新築住宅部門)、2015年インターグレイン・ティンバー・ヴィジョン賞 受賞(住宅インテリア部門)、2015年インターグレイン・ティンバー・ヴィジョン賞 奨励賞(住宅エクステリア部門)、2015年ハウジズ賞 奨励賞(200平方メートル超の新築住宅賞)、2015年シンク・ブリック賞 最終ノミネート(ケビン・ボーランド・メーソンリー賞)
環境に優しい3つのポイント
- サステナビリティへの包括的なアプローチ
- 日照と通気の効率を考えた屋根の形
- 野生動植物の生息地を考慮したレイアウト
こちらは、活動的な若い一家のために設計された1階建ての家。パイプクレイ・ラグーン(潟)の端に位置し、ラグーンから家を挟んで反対側には海岸が広がっている。ホバートの南にある数々のサーフビーチからもほど近い場所だ。ラグーンと海という水辺が近いことのほか、この立地で特徴的なのは、タスマニアンブルーガムの森に囲まれた空地であること。大きな木々が、雰囲気のある木陰を作り出してくれる。
設計した建築家のポピー・テイラーさんとマット・ハインズさんが心掛けたのは、加熱・冷却システムに最適なものを選択すること。採用したのは、ソーラーを活用した温水循環式床暖房、コンクリートの床とブロック壁の蓄熱作用を利用した室温調節、そして屋根は部分的に持ち上がった形状にして、真空管換気システムを取り付けるスペースを確保している。建材には、できるだけ地元で生産されたサステナブルな素材を指定して取り入れた。
設計した建築家のポピー・テイラーさんとマット・ハインズさんが心掛けたのは、加熱・冷却システムに最適なものを選択すること。採用したのは、ソーラーを活用した温水循環式床暖房、コンクリートの床とブロック壁の蓄熱作用を利用した室温調節、そして屋根は部分的に持ち上がった形状にして、真空管換気システムを取り付けるスペースを確保している。建材には、できるだけ地元で生産されたサステナブルな素材を指定して取り入れた。
家の配向は、太陽方位を考慮して自然光を有効活用し、自然な換気を促すレイアウトになっている。「木製のシャッターを、空気の通りがいちばん良くなるように考えて配置しています。特に真夏は、南からの海風がよく通るんです」とハインズさんは言う。
「建築は、そこで暮らしていく中で、住人どうしが一緒に過ごす時間に対する意識や、住んでいる場所に対する意識を高めてくれる道具だと私たちは考えています」とハインズさんは言う。「まずその条件を理解したうえで、人間と、周囲の世界との調和が感じられる建築を作る必要があるんです。」
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「建築は、そこで暮らしていく中で、住人どうしが一緒に過ごす時間に対する意識や、住んでいる場所に対する意識を高めてくれる道具だと私たちは考えています」とハインズさんは言う。「まずその条件を理解したうえで、人間と、周囲の世界との調和が感じられる建築を作る必要があるんです。」
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9. A recycled cottage on a triangular urban site, New South Wales
プロジェクト:ニッキー・マロニー・ハウス
設計:〈ドリュー・ヒース・アーキテクツ〉 ドリュー・ヒース
所在地:ニュー・サウス・ウェールズ州、マリックヴィル
規模:延床面積200平方メートル以下;ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(サステナブルな建築部門)
環境に優しい3つのポイント
プロジェクト:ニッキー・マロニー・ハウス
設計:〈ドリュー・ヒース・アーキテクツ〉 ドリュー・ヒース
所在地:ニュー・サウス・ウェールズ州、マリックヴィル
規模:延床面積200平方メートル以下;ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
受賞歴:
2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(住宅建築―新築住宅部門)、2015年NSWアーキテクチャー賞 受賞(サステナブルな建築部門)
環境に優しい3つのポイント
- コテージの再利用と建材リサイクル
- 準工業地帯の郊外に、気温冷却効果のある場所を作り出す
- 自然換気とソーラーパネルの活用
古くからあるシドニー郊外の市街地に建つ小さな住宅。以前こちらにあったコテージを解体し、リサイクルして新しい建物に作り変えたという家だ。全体の30%はリサイクル建材で構成されている。「デザイン過程では、素材をどう使うか、とくに端材の活用法を中心に考えました。無駄になったものは何もありません」と、建築家のドリュー・ヒースさんは言う。現地で手に入らなかったものは、別の場所から持ってきた。例えば、床の一部には近所の工場の床を再利用している。
小ぶりな占有面積、ソーラー温水、自然換気、低VOC(揮発性有機化合物)塗料の使用、低消費電力機器、リサイクル素材…。サステナブルな建築の要素は、この家にすべて揃っているようだ。「この家は、初めから低予算で完成するだろうと思っていました。全体的に、あまり仕上げに手を加えないベーシックな素材を使っています。余った時間とお金は、細かい部分を手作りでしっかり作り上げることに費やしました。例えば、キッチンの棚やカウンター部分ですね」とヒースさんは語る。
三角形の敷地に建つこの家は、通り側から見るとふつうの1階建てだが、裏側には広々とした中庭が隠れている。この緑のスペースがあるおかげで、周囲の市街地の建物や路面から伝わる熱による温度上昇が緩和されるのだ。「庭に向かって開いた、プライベートな中庭住宅を建てたいと思ったのです」とヒースさんは言う。「この辺りに生息する野鳥の居場所になったのも、うれしいですね。
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三角形の敷地に建つこの家は、通り側から見るとふつうの1階建てだが、裏側には広々とした中庭が隠れている。この緑のスペースがあるおかげで、周囲の市街地の建物や路面から伝わる熱による温度上昇が緩和されるのだ。「庭に向かって開いた、プライベートな中庭住宅を建てたいと思ったのです」とヒースさんは言う。「この辺りに生息する野鳥の居場所になったのも、うれしいですね。
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オーストラリアの自然と共生する住宅のデザインはとても面白いと思います。