プロに聞く、壁紙トレンド8つのキーワード
壁紙&ウォールカバリングの人気デザイン、そしてこれから来るトレンドは? 壁紙に詳しいインテリアデザイナーとプロに取材しました!
田村敦子|Atsuko Tamura
2016年11月7日
Freelance Editor
白い無難な壁だけのインテリアはすでに過去のもの。気軽に張り替えられる壁紙やアクセントウォールの普及により、ユニークな壁紙デザインを積極的に取り入れる人が増えています。技術の進歩もめざましく、さまざまなテクスチャーやパターンが楽しめるようになり、ウォールカバリングの世界はますます豊かに。今トレンドとなっているデザイン傾向、8つのキーワードをピックアップしてみました。
1. デジタルプリントによる表現の広がり
先頃開催されたJAPANTEX2016の会場でも目立ったのは、デジタルプリント壁紙。「空間に合わせて自由自在にサイズを変えたり、写真をプリントしたり、美しいグラデーションを出したりなど、デジタルにしかできない表現が続々登場しています」と語るのは、壁紙を張り替え、理想の住空間を実現する「Re壁(リカベ)プロジェクト」を推進している〈日本壁装協会〉の専門委員を務め、Color Design Firmを主宰するインテリアデザイナー、網村眞弓さん。「インテリアファブリックや照明やデコレーションと合わせたカスタマイズもできるので、スペシャルな壁紙で空間を演出できます」。
先頃開催されたJAPANTEX2016の会場でも目立ったのは、デジタルプリント壁紙。「空間に合わせて自由自在にサイズを変えたり、写真をプリントしたり、美しいグラデーションを出したりなど、デジタルにしかできない表現が続々登場しています」と語るのは、壁紙を張り替え、理想の住空間を実現する「Re壁(リカベ)プロジェクト」を推進している〈日本壁装協会〉の専門委員を務め、Color Design Firmを主宰するインテリアデザイナー、網村眞弓さん。「インテリアファブリックや照明やデコレーションと合わせたカスタマイズもできるので、スペシャルな壁紙で空間を演出できます」。
2. 凹凸のある自然素材の質感
いっぽうで、自然由来の素材を使ったり、またはその素材感を緻密に表現した異素材の壁紙の種類が豊富になったことも、最近のトレンドの大きな特徴だ。「アバカやシェル、シルクに枝、石英などの自然素材を使用した、表情豊かな壁紙がたくさん出てきています。これらは照明と組み合わせて使用すると効果的で、素材の表情がさらに美しく引き立ちます」と網村さんは言う。
いっぽうで、自然由来の素材を使ったり、またはその素材感を緻密に表現した異素材の壁紙の種類が豊富になったことも、最近のトレンドの大きな特徴だ。「アバカやシェル、シルクに枝、石英などの自然素材を使用した、表情豊かな壁紙がたくさん出てきています。これらは照明と組み合わせて使用すると効果的で、素材の表情がさらに美しく引き立ちます」と網村さんは言う。
植物を漉き込んだものや、レザータッチのものなど、その範囲は実に広い。それぞれ、驚くほどリアルな素材感が、インテリアに豊かな味わいを加える。
3. 材質自体の進化
世界の一流ブランドのテキスタイルを輸入・販売する〈マナトレーディング〉のプランニング・PRマネジャー、中尾幸子さんは、パターンやテクスチャー以外に、壁紙の材質自体の進化にも注目したい、と指摘する。「貼りやすく質感のいい不織布製の壁紙がさらに増えると思います。豊かなテクスチャーのある無地系の壁紙も増えてきており、それらは日本の一般のご家庭にも無理なく自然に使えるでしょう。従来の無難な白のビニール壁紙から脱却し、全体のクオリティーがアップすることは間違いないと思います」。
世界の一流ブランドのテキスタイルを輸入・販売する〈マナトレーディング〉のプランニング・PRマネジャー、中尾幸子さんは、パターンやテクスチャー以外に、壁紙の材質自体の進化にも注目したい、と指摘する。「貼りやすく質感のいい不織布製の壁紙がさらに増えると思います。豊かなテクスチャーのある無地系の壁紙も増えてきており、それらは日本の一般のご家庭にも無理なく自然に使えるでしょう。従来の無難な白のビニール壁紙から脱却し、全体のクオリティーがアップすることは間違いないと思います」。
4. クラフトとテクノロジーのハイブリッド
写真は〈マナトレーディング〉が扱うブランドのひとつ〈エリティス〉の新製品。メタリックフォイルの糸とペーパーヤーンを織り上げ、裏打ち紙をつけた素材にデジタルプリントを施し、陰影のあるキューブ柄を表現している。ひとつ上の花柄の壁紙は、ビーズ細工のように見えるエンボス加工を施したビニール素材に、花柄をデジタルプリントしたものだ。「このように違うテクニックを組み合わせたり、新しく開発されたテクニックが加わって、より豊かなテクスチャー感、立体感を出していくでしょう。ものづくりに関しては、クラフトとテクノロジーのハイブリッド化が進むのではないでしょうか」(中尾さん)。
写真は〈マナトレーディング〉が扱うブランドのひとつ〈エリティス〉の新製品。メタリックフォイルの糸とペーパーヤーンを織り上げ、裏打ち紙をつけた素材にデジタルプリントを施し、陰影のあるキューブ柄を表現している。ひとつ上の花柄の壁紙は、ビーズ細工のように見えるエンボス加工を施したビニール素材に、花柄をデジタルプリントしたものだ。「このように違うテクニックを組み合わせたり、新しく開発されたテクニックが加わって、より豊かなテクスチャー感、立体感を出していくでしょう。ものづくりに関しては、クラフトとテクノロジーのハイブリッド化が進むのではないでしょうか」(中尾さん)。
5. フェイクウォール、ヴィンテージスタイル
「木材、タイル、ファブリックなどの素材をプリントした、だまし絵風の壁紙の人気も続行中です」と語るのは、40以上におよぶ海外の一流ブランド壁紙を扱う、〈テシード〉の江面正明さん。「本物素材は重かったり、高価だったりして、壁面に気軽に取り入れるにはハードルの高いものがデザインされているので、壁紙を使ってそういった素材感を気軽に楽しんでいただけます」。
「木材、タイル、ファブリックなどの素材をプリントした、だまし絵風の壁紙の人気も続行中です」と語るのは、40以上におよぶ海外の一流ブランド壁紙を扱う、〈テシード〉の江面正明さん。「本物素材は重かったり、高価だったりして、壁面に気軽に取り入れるにはハードルの高いものがデザインされているので、壁紙を使ってそういった素材感を気軽に楽しんでいただけます」。
〈日本壁装協会〉事務局の中尾 亮さんもこう話す。「すっかり浸透した西海岸風インテリアやブルックリン風インテリアなど流行のスタイルを、壁紙一枚で表現できるデザインが人気です。ヴィンテージ感のあるデザイン、レンガやコンクリートをモチーフにしたデザイン、黒板になる壁紙なども豊富に揃っています」。
このような流れもあり、好きなインテリアテイストを実現する方法として、以前より気軽に壁紙を張り替えることが、さらに普通になってきつつある。
このような流れもあり、好きなインテリアテイストを実現する方法として、以前より気軽に壁紙を張り替えることが、さらに普通になってきつつある。
7. トーン・オン・トーン
ブルー系、グリーン系など、同じ色相でトーン(色調)を変化させた配色を「トーン・オン・トーン」というが、この取り入れやすい色づかいが、奥行きのある表現方法で登場している。「上品に光を反射する、雲母(きら)の襖紙を思わせるトーン・オン・トーンです。同系色の美しいグラデーションの中に柄が見え隠れするこのようなタイプが、新しい表現として加わりました。日本のインテリアにとても似合うと思うので、おすすめです」と〈マナトレーディング〉の中尾さんは言う。
写真は新シリーズ 《PURE MORRIS》 から、ウィリアム・モリスの伝統柄 《いちご泥棒》。
ブルー系、グリーン系など、同じ色相でトーン(色調)を変化させた配色を「トーン・オン・トーン」というが、この取り入れやすい色づかいが、奥行きのある表現方法で登場している。「上品に光を反射する、雲母(きら)の襖紙を思わせるトーン・オン・トーンです。同系色の美しいグラデーションの中に柄が見え隠れするこのようなタイプが、新しい表現として加わりました。日本のインテリアにとても似合うと思うので、おすすめです」と〈マナトレーディング〉の中尾さんは言う。
写真は新シリーズ 《PURE MORRIS》 から、ウィリアム・モリスの伝統柄 《いちご泥棒》。
8. 人気柄、伝統柄の新しい展開
カラフルな楽しい柄も充実。伝統柄や人気の定番柄の表現方法が広がっていることにも注目したい。「凛とした美しさのあるジオメトリック柄、シンメトリーの整然としたデザインは、多くのメーカーがコレクションとして提案しています。人気はまだまだ続きそうですね」と、〈テシード〉の江面さんも語る。そしてまた左の写真のような、ジオメトリック柄の進化形ともいえるカラフルで複雑なパターンも数多く登場している。
カラフルな楽しい柄も充実。伝統柄や人気の定番柄の表現方法が広がっていることにも注目したい。「凛とした美しさのあるジオメトリック柄、シンメトリーの整然としたデザインは、多くのメーカーがコレクションとして提案しています。人気はまだまだ続きそうですね」と、〈テシード〉の江面さんも語る。そしてまた左の写真のような、ジオメトリック柄の進化形ともいえるカラフルで複雑なパターンも数多く登場している。
牧歌的な田園風景や貴族の暮らしぶりを単色で描いた「トワル・ド・ジュイ」というフランスの伝統柄があるが、最近ではそのアレンジも多いのだそう。たとえば写真は、オペラの観客席をモチーフに、人々の暮らしを描いた楽しい柄だ。「世界中の人が行き来する中、景色や人の様子を描いたストーリーのある壁紙。トワル・ド・ジュイは、部屋にいながら、見知らぬ場所やかつて訪れた場所を楽しみ、旅する気分になれる魅力のモチーフです」と、網村さん。
楽しさ広がる壁紙の世界。今の気分を気軽に取り入れて、もっとインテリアを楽しんでみよう。
おしゃれな壁紙を使った空間の写真をもっと見る
教えてHouzz
気になる壁紙トレンド、使ってみたい壁紙はどんなものですか? コメント欄で教えてください。
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壁紙文化がここまで成熟して来たことに驚きを隠せませんね~!
素晴らしい限りです!
リフォームは出来ないけどリカベなら出来るかな?
素敵な壁紙を貼った壁は大きなキャンバスと言った感じですね。
DIYで貼り替えるのも最近流行っているようで、これでスクラップアンドビルドからリサイクル、リフォーム、リユースにどんどん繋がっていくと良いなと思っています。