一時製造中止していた北欧ミッドセンチュリーのスツールを復刻するまで
オーストラリアの伝統ある家具ブランドが、半世紀以上前に一世を風靡したバースツールを再製造。その過程をご覧にいれます。
1950年〜70年代を通して、南オーストラリア州アデレード郊外にあるTH Brown社の工場は、コレクター垂涎のミッドセンチュリーのコーヒーテーブルやダイニング家具、スツール、ラウンジ家具の生産で賑わっていました。職人たちは切断、研磨、組み立て、塗装、布張りなどの作業に携わり、名の通った家具を製造していました。その代表例がDanish Bar Stoolで、当時オーストラリアの最もモダンな家庭に登場し始めたオープンプランのキッチンのアイランドカウンターの周りに置かれたものでした。
1980年代に大量生産された安価輸入品が入って来るようになると、1911年創業の同社は家庭用家具の生産を中止し、代わりに商業用家具に軸足を移した結果、オーストラリアでは住宅用家具の製造がほとんど行われなくなってしまったのです。
しかし今日、ブラウン家の3代目が家業を継いだことで、TH Brown社の最も愛されてきたデザインが再び蘇ってきたのです。Workspace Commercial Furniture社のアデレードでのライセンス生産によって、オーストラリアの最もアイコン的な北欧ミッドセンチュリーデザインの何点かが、職人たちの手作業で再び生産されています。ここではDanish Bar Stoolの復活の経緯を紹介します。
1980年代に大量生産された安価輸入品が入って来るようになると、1911年創業の同社は家庭用家具の生産を中止し、代わりに商業用家具に軸足を移した結果、オーストラリアでは住宅用家具の製造がほとんど行われなくなってしまったのです。
しかし今日、ブラウン家の3代目が家業を継いだことで、TH Brown社の最も愛されてきたデザインが再び蘇ってきたのです。Workspace Commercial Furniture社のアデレードでのライセンス生産によって、オーストラリアの最もアイコン的な北欧ミッドセンチュリーデザインの何点かが、職人たちの手作業で再び生産されています。ここではDanish Bar Stoolの復活の経緯を紹介します。
Workspace Commercial Furniture社の会長兼製造部門長トレバー・グールドさんとマスターデザイナーの息子であるサイモン・ブラウンさん。Workspace Commercial Furniture社の工場にて。
ことの発端は、サイモンさんと妻のトニ・ブリッグス・ブラウンさんが、フィリップ・コックス氏設計のシドニーの家の改築を計画していた時のこと。彼らはDanish Bar Stoolがミッドセンチュリースタイルのキッチンにぴったりだということに気付いたのです。
ヴィンテージ家具業者に問い合わせた結果、そのバースツールは依然として人気がある一方で、数を揃えるのが難しいことが分かりました。
ことの発端は、サイモンさんと妻のトニ・ブリッグス・ブラウンさんが、フィリップ・コックス氏設計のシドニーの家の改築を計画していた時のこと。彼らはDanish Bar Stoolがミッドセンチュリースタイルのキッチンにぴったりだということに気付いたのです。
ヴィンテージ家具業者に問い合わせた結果、そのバースツールは依然として人気がある一方で、数を揃えるのが難しいことが分かりました。
TH Brown社の生産計画のバックカタログ
興味をそそられた彼らは、Workspace Commercial Furniture社のトレバー・グールド会長に連絡を取って、彼がそのアイコン的なバースツールを再度製造することに興味があるか探りを入れてみたのです。工場で最後にそのスツールを生産したのは、TH Brown社が同社を所有していた1982年のことです。150人の従業員を抱える工場で、再びそのスツールをライセンス生産することができるでしょうか? トレバーさんはイエスと即答。こうして、59歳のサイモンの生涯にわたる情熱が甦ったのです。
2017年、サイモンさんは家族が残したブランドを再度立ち上げ、翌年、マスターデザイナーだった父のピーター・ブラウンさんが50年以上前に創り上げたアイコニックな作品の復刻を開始しました。
家具修理・修繕のプロをさがす
興味をそそられた彼らは、Workspace Commercial Furniture社のトレバー・グールド会長に連絡を取って、彼がそのアイコン的なバースツールを再度製造することに興味があるか探りを入れてみたのです。工場で最後にそのスツールを生産したのは、TH Brown社が同社を所有していた1982年のことです。150人の従業員を抱える工場で、再びそのスツールをライセンス生産することができるでしょうか? トレバーさんはイエスと即答。こうして、59歳のサイモンの生涯にわたる情熱が甦ったのです。
2017年、サイモンさんは家族が残したブランドを再度立ち上げ、翌年、マスターデザイナーだった父のピーター・ブラウンさんが50年以上前に創り上げたアイコニックな作品の復刻を開始しました。
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それぞれのオリジナルデザインは、昔作られた映写用のフィルムに残されています。
40年経った今、このバースツールは先人たちと同様、現在の職人たちの献身的な姿勢と細心の注意をもって再び制作されています。ただし、以前はチーク材のフレームとビニールの張り地でしたが、現在は持続可能な方法で生育されたアッシュ材に(イタリアンレザーを含む)さまざまな張り地の選択が可能となっています。
そして、半世紀近く経った今でも、製造工程は以前とほぼ同じで、唯一の違いはより耐久性の高い二液型の塗装仕上げになっていることです。
40年経った今、このバースツールは先人たちと同様、現在の職人たちの献身的な姿勢と細心の注意をもって再び制作されています。ただし、以前はチーク材のフレームとビニールの張り地でしたが、現在は持続可能な方法で生育されたアッシュ材に(イタリアンレザーを含む)さまざまな張り地の選択が可能となっています。
そして、半世紀近く経った今でも、製造工程は以前とほぼ同じで、唯一の違いはより耐久性の高い二液型の塗装仕上げになっていることです。
成部品や各種パーツ、原材料が、南オーストラリア州アデレードにある工場に到着。その後、アッシュ材をオリジナルの型にそって切り出したら、職人がひとつひとつ手作業で、帯鋸やスピンドルを使って成形していきます。
Danish Bar Stoolの背もたれと座面のサンディング
次に、各パーツが機械と手作業でサンディングされ、仕上げには220番のサンドペーパーが使われています。
次に、各パーツが機械と手作業でサンディングされ、仕上げには220番のサンドペーパーが使われています。
次は、主にダボと接着剤を使用して、25個の部品を組み立ててスツールに。
これらの部材には、シートレールや、ブーメラン型パーツ、バックレール、アンダーフレーム、シート、シート用ウレタンフォーム、さらに機械部品などが含まれます。
これらの部材には、シートレールや、ブーメラン型パーツ、バックレール、アンダーフレーム、シート、シート用ウレタンフォーム、さらに機械部品などが含まれます。
各スツールに脚をつけます
職人たちは1脚ずつ丁寧にフレームをサンディングして、品質チェックをおこないます。
Danish Bar Stoolのサンディングが終わり、次は染色塗装へ
マスタークラフトマンのデイヴィッド・ラングドンさんは、家具の艶出し職人として27年以上の経験があり、彼はアルコールベースのステインと二液型の塗料を使用しています。
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下地を2回塗りした後、カラー塗料をスプレーします
一般に艶出しプロセスは2〜3日かかりますが、非常に暑かったり寒かったりする場合、そのタイミングに影響がでる可能性があります。
座面を取り付けます
次の工程はシート張り
オリジナルではシート地はビニール製または布製でした。今ではカスタマイズが可能で、経年変化により味わいを深めるイタリアンレザーも選ぶことができます。
オリジナルではシート地はビニール製または布製でした。今ではカスタマイズが可能で、経年変化により味わいを深めるイタリアンレザーも選ぶことができます。
次にDanish Bar Stoolのシート地を縫製
最後に、シートがフレームに取り付けられます。 (写真のスツールは特注生地が張られています)
そしてこれが完成したDanish Bar Stool。最初の工程から最後まで6週間にわたって15人以上の職人が携わっています。
各スツールは、シリアル番号を記したTH Brownのバッジと鑑定書、10年間の保証書付きです。
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TH Brown社の創業者トマス・ハワード・ブラウンさん の孫であるサイモン・ネーピア・ブラウンさんは、子どもの頃、学校が休みになると家族の工場で働いたりして、ものづくりに夢中になっていました。しかし、同社が住宅用家具から離れると、サイモンも会社を離れ、IT業界で働き始めました。