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Houzzツアー:4つの箱と巧みなゾーニングで心地よさを追求した、光あふれる家
家族の距離感を大切にしながら快適に暮らせる家は、敷地の形状に配慮しつつ、オーナーの希望を叶えるために生まれた斬新なデザインによって実現しました。
永松典子
2016年9月28日
静岡の編集プロダクションとして、冊子、パンフレット、雑誌、ウェブ、映像など各種編集に携わりながら、住宅、建築、インテリアなどの取材撮影対応も致します。オリジナルの冊子、タブロイド誌などの制作も承ります。
また、海外に向けて静岡を発信すべく、FIEJAというウェブサイトの運営、インバウンド促進のためのタブロイド誌の発行もしつつ、静岡への移住定住、文化、芸術、商業の活性化も目指しています。
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愛知県豊川市の住宅街、ずっと転勤族だったオーナーご家族が定住する場所として選んだ土地は、四方を住宅に囲まれ、決して日当たりがいいとは言い難かった。道路に面した表側ではなく、裏側に竿状の細長い土地がついているという逆旗竿の形状の敷地。「家族が一緒に過ごせる居場所があれば、個室は最小限でいい」というオーダーを受けた〈mA-style achitects〉の川本敦史とまゆみさんは、完成した家に《光の郭(くるわ)》と名づけた。
どんなHouzz?
所在地:愛知県豊川市
住まい手:夫婦と子ども2人
延床面積:82.81平方メートル
竣工:2013年
建築設計:mA-style architects
どんなHouzz?
所在地:愛知県豊川市
住まい手:夫婦と子ども2人
延床面積:82.81平方メートル
竣工:2013年
建築設計:mA-style architects
9.1m四方の白い箱のような家は、表の通りから約6mセットバックしている。駐車場としても十分なスペースを確保すると共に、広々とした印象を与えている。
ご家族が定住する場所として選んだこの土地で、家族4人がどう心地よく暮らせるのか。「心地よさ」という普遍的なことを追い求めるからこその、常識ではアプローチしにくい新しい発想によって出来上がった。
基本的に〈mA-style architects〉の川本さんたちに全てお任せだったというホームオーナーのご主人は、実は自身も一級建築士であり建築を教える教師。川本さんたちは、後にそれを知ることになるのだが、プロがプロに任せるという希少なケース。「家族が一緒に過ごせる居場所があれば、個室は最小限でいい」というオーダーに、光の妙のみならず、斬新なアイデアを盛り込み、当たり前の価値観をくつがえす程の家が完成した。
基本的に〈mA-style architects〉の川本さんたちに全てお任せだったというホームオーナーのご主人は、実は自身も一級建築士であり建築を教える教師。川本さんたちは、後にそれを知ることになるのだが、プロがプロに任せるという希少なケース。「家族が一緒に過ごせる居場所があれば、個室は最小限でいい」というオーダーに、光の妙のみならず、斬新なアイデアを盛り込み、当たり前の価値観をくつがえす程の家が完成した。
1間のスペースがある通り土間は、まるで路地を思わせるような造り。扉を開放すると奥の竿状の土地に続き、庭が続く奥行きの広い家に見せる効果があり、風が家の中を通り抜けている。
こちらもあわせて:ゲストも気楽に過ごせる、13.2mの「土間」がつなぐリビング空間
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土間にはご主人の趣味でもあるハーレーを停め、ソファセットも置き、玄関がそのまま憩いのラウンジスペースに。アウトドアキャンプが好きなご家族らしい、開放的な発想で土間スペースを活用している。
室内の高さは4.5mほどの大空間。天井の四方にぐるりと設けられているトップライト(採光窓)から光が差し込み、時間の変化と共に変わる光を、サイディングやシナ合板が柔らかな光に変換させ、空間全体を優しく包み込んでいる。それにより一見単調になりがちなシンプルな空間も光と影によって美しい壁面として表現しているのだ。朝日は東から当たるもの、窓は壁にあるものという光に対する常識をくつがえし、光を上から取り入れることで、空間の向きや位置にかかわらず、光への感謝の気持ちを抱くような家の構造になっている。
こちらもあわせて:築35年の木造2階建てをリノベーションで静謐な光あふれる空間に
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大空間には4つの白い箱が配置されている。箱のサイズは様々で大きなものは幅140cm×奥行220cmのご夫婦の寝室としての箱。およそキングサイズのベッドほどの大きさで中は和室という造り。背の高い箱には梯子がかけられ、ロフトタイプで上段を子ども部屋として使用している。部屋は寝る目的であればいいというホームオーナーの考えもあり、宿題などの勉強するスペースは箱の外に作られた。子ども部屋の下段は収納スペースになっている。そして残りのひとつの箱は、浴室になっている。寝室、収納、浴室といったゲストに見せたくないエリアを大きさの異なる箱に納めた。
4つの箱越しに見え隠れしながら、その領域を壁で仕切るのではなく、スペースをそれぞれの用途として認識できるように巧みに配置されている。
土間と4つの箱が配置された空間には柱がなく、さながら街並みのようにも見える。箱は建物、箱と箱の間のスペースは路地、土間はまるで広場のように、小さな街が家の中にあるようだ。そして、白い箱に降り注ぐ柔らかな光と影はこの"街"のような家の姿を刻々と変えていく。家族が一緒にいる光の降り注ぐ街、それが《光の郭》だ。
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