インダストリアルスタイルのクールなインテリアスパイス、配管の活かし方
配管がむき出しになった壁や天井は「倉庫っぽくてかっこいい!」というイメージが定着。ラフな味わいを楽しむ、インテリアスパイスとして活かした9のお手本。
takako kawaguchi
2015年11月2日
かつては配管といえば無粋なものであり、なるべく目につかないよう天井や壁の中に隠ぺいすべき存在でした。ところが今や、インダストリアルテイストの人気やリノベーション志向の高まりとともに、その価値観が大きく変化しています。リノベーション時に天井や壁から現れる配管は「武骨でおもしろい!」と喜んで受け入れられ、どのような姿でインテリアに活かしていくかが、設計者の腕の見せどころにもなっています。空間づくりの主役として、またはユニークなひねりの効いたスパイスとして、配管というマテリアルの魅力を最大限に引き出し、楽しんでいる例を見てみましょう。
太くて長い、大きな存在感で空間のテイストを決定づける
ブリックウォールに囲まれたダイニングキッチンを今風にかっこよく見せている決定的ポイントが、太く縦横に現したシルバーの配管。もしこの配管がなかったとしたら、もし配管を隠そうとして天井を低くつくっていたら……。そう考えてみると、配管を見せ、天井をできる限り高く上げたことが、このファクトリーライクな空間づくりの肝だとわかります。鉄骨を一本、あえて露出しているのも「武骨度」アップに一役買っています。
ブリックウォールに囲まれたダイニングキッチンを今風にかっこよく見せている決定的ポイントが、太く縦横に現したシルバーの配管。もしこの配管がなかったとしたら、もし配管を隠そうとして天井を低くつくっていたら……。そう考えてみると、配管を見せ、天井をできる限り高く上げたことが、このファクトリーライクな空間づくりの肝だとわかります。鉄骨を一本、あえて露出しているのも「武骨度」アップに一役買っています。
S状のラインで空間に動きを出して
スモールスペースにおいても、ちょっとした配管の形が空間イメージを左右します。写真では、S状に近い形で壁に現れている配管が、白い壁にちょっぴりレトロな表情を与え、おもしろみをプラスしてくれています。
スモールスペースにおいても、ちょっとした配管の形が空間イメージを左右します。写真では、S状に近い形で壁に現れている配管が、白い壁にちょっぴりレトロな表情を与え、おもしろみをプラスしてくれています。
1か所にラインを集めると倉庫風に
玄関やキッチンまわりなど、電気配線を集中できるエリアではこんな形もおすすめ。配線管を見せながら1か所に集め、ボックスをつけると倉庫のような雰囲気に。海外のオフィスなどでもよく見かけるスタイルです。白いラインはカラフルな壁やチョークボードペイントの壁にも映えそうですね。
玄関やキッチンまわりなど、電気配線を集中できるエリアではこんな形もおすすめ。配線管を見せながら1か所に集め、ボックスをつけると倉庫のような雰囲気に。海外のオフィスなどでもよく見かけるスタイルです。白いラインはカラフルな壁やチョークボードペイントの壁にも映えそうですね。
やわらかな曲線フォルムなら、温かみのあるインテリアにもぴったり
ほどよい古さを醸し出すヴィンテージ調で統一されたこちらのお宅。柔和なラインの配管が空間にうまくマッチし、なじんでいます。直線と曲線、どういったラインにするかで見た目や印象が大きく変わってくるので、インテリア全体をイメージしながら検討するとよいと思います。
ほどよい古さを醸し出すヴィンテージ調で統一されたこちらのお宅。柔和なラインの配管が空間にうまくマッチし、なじんでいます。直線と曲線、どういったラインにするかで見た目や印象が大きく変わってくるので、インテリア全体をイメージしながら検討するとよいと思います。
キッチンや家具と色を統一
配管だけを強調しすぎず、自然に空間に溶け込ませたい場合は、内装や家具類と色を合わせてみましょう。写真ではステンレスキッチンと配管をシルバーで揃え、モノトーンのスタイリッシュなスペースに仕上げています。
配管だけを強調しすぎず、自然に空間に溶け込ませたい場合は、内装や家具類と色を合わせてみましょう。写真ではステンレスキッチンと配管をシルバーで揃え、モノトーンのスタイリッシュなスペースに仕上げています。
こちらは天井につけた配管を赤に。吹き抜けのリビングのソファと色を合わせてあるので浮いて見えることはなく、スパイシーなアクセントになっています。天井に色を配することで高さが意識され、部屋を広々と感じる効果も。赤の他、ブルーやイエローなど明るい色の家具に合わせてペイントしてみると、ポップな雰囲気を楽しめそうですね。
格子状や直線ラインで、天井を表情豊かに
高さを確保するために天井板を取り払うことが多い最近のリノベーションでは、天井がむき出しのコンクリートになるのはよくあるケース。そこを利用し、実用性と遊びの要素を兼ねて幾何学柄のように亜鉛管で電気配管を設置。格子状の収納棚ともさりげなくつながりを感じる、オリジナリティのある空間を創出しています。
ちなみにキッチンカウンターを支えているのもガス管。配管をインテリア素材として使うアイデアは、後ほど番外編でもご紹介します。
高さを確保するために天井板を取り払うことが多い最近のリノベーションでは、天井がむき出しのコンクリートになるのはよくあるケース。そこを利用し、実用性と遊びの要素を兼ねて幾何学柄のように亜鉛管で電気配管を設置。格子状の収納棚ともさりげなくつながりを感じる、オリジナリティのある空間を創出しています。
ちなみにキッチンカウンターを支えているのもガス管。配管をインテリア素材として使うアイデアは、後ほど番外編でもご紹介します。
こちらはボーダー状の凹凸がある天井の形に着目し、凸部分に配線管を添わせた例。縦ラインが強調され、室内の奥行きを感じさせます。
閉鎖的な廊下もオープンなロフトのように演出
クローズドな空間になりがちな廊下でも、天井を抜いて配管を見せることで視界が一気に上へ向かってオープンに。むき出しの蛍光灯や電球が似合う、ユニークなロフト感覚のスペースとなっています。
クローズドな空間になりがちな廊下でも、天井を抜いて配管を見せることで視界が一気に上へ向かってオープンに。むき出しの蛍光灯や電球が似合う、ユニークなロフト感覚のスペースとなっています。
半埋め込み型にすれば、人気の「廃墟風」にも
壁に完全に埋め込まず、パイプの存在を楽しんでいるかのような見せ方がグッドセンス。ラフに埋め込むことで、年月を経た廃墟のようなイメージに仕上げることができます。
いかがでしょうか。今や配管は隠してしまうにはもったいない、インテリア性の高いアイテム。見せ方や色などで工夫を凝らし、自分らしくクールに取り入れて楽しみたいですね。
壁に完全に埋め込まず、パイプの存在を楽しんでいるかのような見せ方がグッドセンス。ラフに埋め込むことで、年月を経た廃墟のようなイメージに仕上げることができます。
いかがでしょうか。今や配管は隠してしまうにはもったいない、インテリア性の高いアイテム。見せ方や色などで工夫を凝らし、自分らしくクールに取り入れて楽しみたいですね。
番外編:配管をインテリア素材として使う
さてここからは番外編として、配管の本来の用途ではなく、武骨なビジュアルやイメージを活かしてインテリア素材として取り入れた、絶妙なアイデアをご紹介したいと思います。
まずはガス管で作った、階段の手すり格子。ゴツゴツとしたボルトが男前な印象で、白やウッドを基調としたインテリアのほどよいスパイスになっています。
さてここからは番外編として、配管の本来の用途ではなく、武骨なビジュアルやイメージを活かしてインテリア素材として取り入れた、絶妙なアイデアをご紹介したいと思います。
まずはガス管で作った、階段の手すり格子。ゴツゴツとしたボルトが男前な印象で、白やウッドを基調としたインテリアのほどよいスパイスになっています。
次は、吹き抜け部分に面した2階廊下に設置した手すりの事例。一見、黒のシンプルなアイアンのようですが、コネクティング部分をよく見るとガス管だと気づきます。こんなディテールへのちょっとしたこだわりが、大人っぽいインテリアの楽しみ方といえるのかもしれません。
配管でラックを作るのは目下、世界中で大人気。朽ちた風合いのある板との相性は最高です。多少曲がって取り付けたり、寸法が微妙にちがっていても、そのワイルド感もまた魅力のひとつとして、皆さん楽しんでいるようです。
キッチンのオープン棚を配管でつくった例。壁面に設置してもいいし、窓際につくりつけてスパイスやグラスなどを並べ、光を通す飾り棚のように見せても素敵なのではないでしょうか。モダンアートのようなユニークなラインにも注目です。
きれいめな白木の板を渡せば、都会的なテイストの部屋にもマッチ。
大理石など、トラディショナルな素材と合わせたミックス感も素敵です。プラチナカラーの配管は清潔感があり、白が基調のインテリアとぴったり。
余談になりますが、リノベーションを手掛ける施工会社の方々によれば、引き渡し後、配管を利用してグリーンのハンギングを始める人がとても多いのだとか。配管がインテリアにもたらす可能性はこの先、まだまだ広がりそうですね。
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配管を見せる形にすると、骨太な印象の住まいになりますね。実現してみたいものです。
テーブルの脚にガス管を使用してます v(^_^
昔、一時期にはやったコンテンポラリーなスタイルですね。
私もデザインする時にh心掛けている事は、裏方である筈のモノをいかに表に引き出してあげるかと言う手法を用いたデザインをする事が有りました。
特に家が作られている構造体が多かったように思います。
家が本来作られる時に使われている梁の構造体(通常は天井裏に隠れています)
この天井は2階建の1階部分の天井(2階の床)を現わしています。
これはマンションの天井ですが、本来必要の無い構造体を意匠として表現。