アウトドアダイニングとキッチンをつなぐ、新しい窓付きキッチンの形
キッチンとダイニングの間が窓でやり取りできるカウンターキッチンはよくあります。ところがオーストラリアで最近増えているのは、屋外ダイニングと屋内キッチンをつなぐ窓を設置するスタイル。キッチンからすぐに物を渡せて、会話もはずむので、アウトドアダイニングを楽しみたい人たちに人気です。
Joanna Tovia
2015年11月25日
キッチンとダイニングの間に室内窓のような開口がある「窓付きキッチンカウンター」は、以前からありました。「窓つきキッチンカウンターの本来の目的は、散らかったキッチンを来客の目から隠し、フォーマルなダイニングルームに食事を運ぶメイドや料理人の動きを効率的にすることでした」と説明するのは建築家のレベッカ・ノーティンさん。実は、オーストラリアでは近年、窓付きキッチンカウンターの人気が復活しているのですが、昔と違うのは室内と屋外をつなぐ目的で窓が取り入れられていること。このスタイルのキッチンの利点とは? 取り入れるのは難しい? 2人の専門家に取材しました。
「オープン設計のダイニングや屋外ダイニングの人気が高まるにつれ、窓もキッチンと屋外をスムーズにつなげるひとつの方法になってきました」とノーティンさん。「今では専用のダイニングルームを作らない家も増えています。男性も女性も料理するようになったし、家族とより多くの時間を過ごせる効率的な工夫が欲しいと考えるようになりました。」
窓の目的は「空間をつなぎ、家族をつなぐこと」だとノーティンさんは言います。
窓の外にスツールを並べるなら、窓の幅を広く取り、必要な数のスツールを置いても余裕があることを確かめるようにノーティンさんはアドバイスしています。隣の人と肘がぶつからず、楽に立ち座りするためには、1人当たり幅75センチ程度のスペース(椅子やスツールを含む)を確保することが必要です。
〈ダン・キッチン・オーストラリア〉のデザイナー、グレアム・メトカーフさんは、屋外に向けた窓付きキッチンは、新築の物件で特に人気が出てきていると言います。家の外でおもてなしするアウトドアダイニングがさらに進化した形がアウトドアキッチンだとメトカーフさんは言います。
キッチンとダイニングをつなぐ昔ながらの室内窓付きキッチンカウンターは、つまるところ壁に開口部をつけただけ。キッチンが隠すべき場所から家庭生活の中心へと変化した現在では、すたれてしまったスタイルです。
「今では、キッチンとダイニングの間の壁を完全に取り去って、ひとつながりの広いスペースにすることが多いですね」とメトカーフさん。
「今では、キッチンとダイニングの間の壁を完全に取り去って、ひとつながりの広いスペースにすることが多いですね」とメトカーフさん。
では、キッチンと屋外をつなぐ窓の利点とはどんなところでしょうか? 機能面からいうと、食事や飲み物をキッチンから外のテーブルに素早く運ぶことができること。汚れた靴で何度も出たり入ったりする必要もなくなります。
窓を通して、キッチンにいる人たちも、外にいる家族や友達の会話の輪に加わることができるようになります。
通常より大きな窓が多く、外が広く見渡せるため、キッチンが解放的になり、中にいても屋外とのつながりを感じさせてくれます。「この用途に最適なのは折れ窓で、オーストラリアではいちばんよく使われています。窓を完全に開放することができて眺めを妨げないのが理由ですね」とメトカーフさん。
上方向に外に開くタイプの突き出し窓は、窓の外の座席部分に庇を作ってくれますし安価ですが、中から閉めることはできません。メトカーフさんのアドバイスは「どちらを選ぶにしても、気密性の高いものにすること。少しの隙間があってもちりやほこりが舞い込みます。」
上方向に外に開くタイプの突き出し窓は、窓の外の座席部分に庇を作ってくれますし安価ですが、中から閉めることはできません。メトカーフさんのアドバイスは「どちらを選ぶにしても、気密性の高いものにすること。少しの隙間があってもちりやほこりが舞い込みます。」
アウトドアに開かれた窓をキッチンに取り入れるなら、新築や増築時のほうが簡単で経済的です。すでにある壁に窓をつけるとなると、外壁と内壁の両方の改修工事が必要になり、現在の窓やキッチンカウンターを取り換えなければならない可能性もあります。
「窓の内側にシンクが位置する場合は、蛇口が邪魔になることがあるのでカウンタートップの幅を広めにすることをお勧めします」とメトカーフさん。
「窓の内側にシンクが位置する場合は、蛇口が邪魔になることがあるのでカウンタートップの幅を広めにすることをお勧めします」とメトカーフさん。
窓を作りたい場所に現在窓がない場合、その壁が耐力壁でないことを確認する必要があります。耐力壁の場合は、構造技術者を雇って設計し、建設業者を雇って構造を支えるフレームを加えてもらうことになり、さらに手間と費用がかかります。
カウンタートップとキャビネットの素材には防水性が高く色あせにくいものを選ぶことが大切、とメトカーフさん。「コーリアンのような人工石の製造会社もアウトドアダイニングの流行をふまえて製品をテストし、どの製品がこのような用途に向いているか示してくれているので、各社のウェブサイトで確認することができます。」
窓の設置には、建設業者、窓の販売者、石工業者など、複数の業者が関わってきます。「このようなケースでは、お互いが一緒にチームとして作業したことのある業者を選ぶのがいちばんですね」とメトカーフさん。
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