中古マンションのリノベーション、いちばん気になる予算の考え方は?
最近人気と注目が集まっている中古マンションのリノベーション。物件の価格やリノベーションの費用についての概要をまとめました。
「中古マンションを買ってリノベーションするにはどのくらいの予算があればいいの?」「どこに依頼すれば希望にかなうリノベーションが実現できるの?」など、マンションのリノベーションに関する疑問にお答えします。
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中古の平均は築27年。築浅物件は少なく、築21年以上の物件が6割以上
価格が安い理由は、当たりまえながら、築年数が経って建物が古くなっているからです。では、市場で取引される中古マンションの築年は、実際、どの程度なのでしょうか。2021年の首都圏の中古マンションの築年別の登録件数をみてみましょう。
築浅といわれる築10年以内の物件は16.4%と思った以上に少ないのがわかります。実際に登録された物件の約6割以上は築21年以上の物件です(平均築年数は27.27年)。築20~25年経ったマンションは、一般的には、共用部に関しては大規模修繕工事が1~2回実施され(大規模修繕工事を実施するタイミングは築12年後、築20~24年後が目安とされています)、内装や水周りの設備や配管に関しては、新たなものと交換が必要となる時期にあたります。築20年を越える物件は、ちょうど新築時の内装や設備が寿命を迎え、フルリノベーションによって新たな住まいとして再生する必要がある時期の物件だということができます。
価格が安い理由は、当たりまえながら、築年数が経って建物が古くなっているからです。では、市場で取引される中古マンションの築年は、実際、どの程度なのでしょうか。2021年の首都圏の中古マンションの築年別の登録件数をみてみましょう。
築浅といわれる築10年以内の物件は16.4%と思った以上に少ないのがわかります。実際に登録された物件の約6割以上は築21年以上の物件です(平均築年数は27.27年)。築20~25年経ったマンションは、一般的には、共用部に関しては大規模修繕工事が1~2回実施され(大規模修繕工事を実施するタイミングは築12年後、築20~24年後が目安とされています)、内装や水周りの設備や配管に関しては、新たなものと交換が必要となる時期にあたります。築20年を越える物件は、ちょうど新築時の内装や設備が寿命を迎え、フルリノベーションによって新たな住まいとして再生する必要がある時期の物件だということができます。
マンションのリフォームの平均工事費は約700万円。フルリノベーションの場合は予算500万円以上が目安
中古マンションのリノベーションの費用はどのくらいかかるのでしょうか?
グラフは平成29年度(2017年度)のリフォーム実例調査によるマンションのリフォーム工事の契約金額です。平均工事費は720.2万円(中央値555万円)となっています。この金額は、部分的なリフォーム工事なども含めた金額です。
一般的にリノベーションといった場合は、現況の床、壁、天井などの内装や間仕切り、水周りなどの設備、配管やダクトなどをすべて一旦、撤去してスケルトン(コンクリートの躯体)の状態にして、新たにいちから作り直す、いわゆるフルリノベーションを指すことが多いと思われます。50~60㎡の広さの住戸の場合、予算500万円以上がフルリノベーション可能なひとつの目安として挙げられます。1,000万円程度の予算があれば、ある程度こだわったフルリノベーションが可能になると思われます。逆に、築浅物件を選んで部分リノベーションで済ませたり、一部をDIYで仕上げたりすることによって工事費を抑える工夫も可能です。
もちろん、住戸の広さ、仕上げや設備のグレード、デザインへのこだわりなどによって工事費は大きく変わってきます。
中古マンションのリノベーションの費用はどのくらいかかるのでしょうか?
グラフは平成29年度(2017年度)のリフォーム実例調査によるマンションのリフォーム工事の契約金額です。平均工事費は720.2万円(中央値555万円)となっています。この金額は、部分的なリフォーム工事なども含めた金額です。
一般的にリノベーションといった場合は、現況の床、壁、天井などの内装や間仕切り、水周りなどの設備、配管やダクトなどをすべて一旦、撤去してスケルトン(コンクリートの躯体)の状態にして、新たにいちから作り直す、いわゆるフルリノベーションを指すことが多いと思われます。50~60㎡の広さの住戸の場合、予算500万円以上がフルリノベーション可能なひとつの目安として挙げられます。1,000万円程度の予算があれば、ある程度こだわったフルリノベーションが可能になると思われます。逆に、築浅物件を選んで部分リノベーションで済ませたり、一部をDIYで仕上げたりすることによって工事費を抑える工夫も可能です。
もちろん、住戸の広さ、仕上げや設備のグレード、デザインへのこだわりなどによって工事費は大きく変わってきます。
どこに依頼するのがよいのか。リノベーションの3つの選択肢
では、中古マンションを購入してリノベーションしたい場合、どこに依頼するのがよいのでしょうか。中古+リノベーションには、不動産(仲介)、設計、施工の3つの業務が重複するように関係してきます。リノベーションを実現する選択肢として、以下の3パターンが考えられます。
1. 物件の仲介、設計、工事の施工のすべての業務をリノベーション会社が担う「ワンストップ型」
「ワンストップ型」のメリットとしては、不動産、設計、工事に関してすべてひとつの窓口で済むこと、物件の購入費とリノベーションの工事費を合わせた総予算の調整が可能なこと、物件の購入検討段階で設計や施工の技術的な点や工事費に関して確認や判断が容易なことなどが挙げられます。ワンストップ型では、外部の設計者にプランニングを依頼することや相見積もりによって工事費を比較したり、施工会社を選ぶことは、基本的にはできません。設計費は工事費に含まれている場合が多いようです。
2. 不動産仲介業者を通じて中古マンションを購入し、設計と施工を一括して施工会社に依頼する「設計施工型」
「設計施工型」のメリットは、複数の施工会社からの提案や見積もりを比較して決定できること、設計施工なのであらかじめ工事費を伝えてプランを提案してもらうことや予算額に応じた複数のプランを提案してもらうことなど、工事費の見極めやコントロールがしやすい点です。不動産購入後に設計施工会社を決める場合は、購入後に希望のリノベーションが出来なかったというようなことにならないように、現場調査や竣工図確認など、不動産購入検討段階でのリノベーションの技術的なチェックを行うことが求められます。この場合も設計費は工事費に含まれていることが多いようです。
3. 仲介、設計、施工の業務をそれぞれに、不動産仲介業者、設計事務所、施工会社の3社に依頼する「完全分離型」
「完全分離型」のメリットは、提案性やデザイン性に優れる設計事務所や自分の好みのスタイルに合致したデザイナーを、リノベーション会社や施工会社のインハウスの設計者に限定せずに自由に選定できることです。物件の購入検討段階で設計者を決定しておけば、リノベーションの技術的なチェックなどの面も安心できます。業務を分離して発注する際は、当然ながら、それぞれの業務間のスケジュール調整、費用のコントロール、契約や交渉などは、発注者が主体的に行うことが求められます。設計費は工事費とは別立てになります。
では、中古マンションを購入してリノベーションしたい場合、どこに依頼するのがよいのでしょうか。中古+リノベーションには、不動産(仲介)、設計、施工の3つの業務が重複するように関係してきます。リノベーションを実現する選択肢として、以下の3パターンが考えられます。
1. 物件の仲介、設計、工事の施工のすべての業務をリノベーション会社が担う「ワンストップ型」
「ワンストップ型」のメリットとしては、不動産、設計、工事に関してすべてひとつの窓口で済むこと、物件の購入費とリノベーションの工事費を合わせた総予算の調整が可能なこと、物件の購入検討段階で設計や施工の技術的な点や工事費に関して確認や判断が容易なことなどが挙げられます。ワンストップ型では、外部の設計者にプランニングを依頼することや相見積もりによって工事費を比較したり、施工会社を選ぶことは、基本的にはできません。設計費は工事費に含まれている場合が多いようです。
2. 不動産仲介業者を通じて中古マンションを購入し、設計と施工を一括して施工会社に依頼する「設計施工型」
「設計施工型」のメリットは、複数の施工会社からの提案や見積もりを比較して決定できること、設計施工なのであらかじめ工事費を伝えてプランを提案してもらうことや予算額に応じた複数のプランを提案してもらうことなど、工事費の見極めやコントロールがしやすい点です。不動産購入後に設計施工会社を決める場合は、購入後に希望のリノベーションが出来なかったというようなことにならないように、現場調査や竣工図確認など、不動産購入検討段階でのリノベーションの技術的なチェックを行うことが求められます。この場合も設計費は工事費に含まれていることが多いようです。
3. 仲介、設計、施工の業務をそれぞれに、不動産仲介業者、設計事務所、施工会社の3社に依頼する「完全分離型」
「完全分離型」のメリットは、提案性やデザイン性に優れる設計事務所や自分の好みのスタイルに合致したデザイナーを、リノベーション会社や施工会社のインハウスの設計者に限定せずに自由に選定できることです。物件の購入検討段階で設計者を決定しておけば、リノベーションの技術的なチェックなどの面も安心できます。業務を分離して発注する際は、当然ながら、それぞれの業務間のスケジュール調整、費用のコントロール、契約や交渉などは、発注者が主体的に行うことが求められます。設計費は工事費とは別立てになります。
どの方法を選ぶのかは、リノベーションにかけられる予算や時間的余裕にも左右されます。自分にとっていちばんふさわしい方法を選びましょう。
<参考資料>
首都圏不動産流通市場の動向 2021 東日本不動産流通機構
首都圏新築分譲マンション市場動向 2021年まとめ 不動産経済研究所
築年数から見た首都圏の不動産流通市場 2021年 東日本不動産流通機構
平成29年度第15回住宅リフォーム実例調査 住宅リフォーム推進協議会
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グラフは首都圏の新築マンションと中古マンションの㎡単価を比較したものです。中古マンションの単価は、新築マンションの単価の約6割前後の水準であることがわかります。データは同じマンションの単価を比較したものではなく、年間に出回った物件の平均単価(新築は発売物件の平均単価、中古は成約物件の平均単価)を比較したものですが、マンションの相場観としては概ね合っていると思われます。新築マンションの供給戸数の低空飛行が続くなか、中古単価の割合は上昇傾向にあり、2021年においては63.9%の水準と、近年の中古マンションの人気を裏づけています。
もちろん、中古マンションの価格は築年数によって違いますし、また、希少性の高いヴィンテージマンションなどでは新築よりも高単価で取引されている物件もあり、一概にはいえませんが、一般に中古マンションは大きな価格優位性を持っていることがわかります。ちなみに、2021年の首都圏の平均価格(平均面積)は、新築は6,260万円(66.88㎡)、中古は3,869万円(64.68㎡)です。
中古マンション、特に築年が古いマンションの場合は、今では新たなマンション建設が難しくなった人気のエリアや駅近などの好立地の物件が手に入るというのも、新築マンションにはない魅力です。さらに、中古マンションは新築マンションの年間供給数に対して、5~6倍の数の物件が市場に出回っており、数多くの物件の中から選べるというのも中古マンションの利点といえます。