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中古メゾネットのリノベーションで、素材と質感を楽しむ
古いメゾネットタイプのアパートメントが、気鋭のデザイナーの手でインダストリアルな住まいに生まれ変わりました。
Verlaine Marquez
2017年4月12日
シンガポールでは、メゾネットは空間が広くペントハウスのような雰囲気が得られることから、カップルや少人数の家族に人気が高い。ただ、公団住宅のメゾネットの大半は、築年数が経過しており、購入したオーナーは大規模なリノベーションが必要となる場合が多い。
この記事で紹介するメゾネットは築30年近く経っていて、薄暗く、かなり老朽化が進んでいた。〈0932デザイン・コンサルタント〉のデザインディレクター、ロイスタン・ゴーさんは「歴史的な特別な価値があるわけではありませんが、この地域の都市の光景の一部です。その点がインダストリアルなアプローチにつながりました。打ち放しのコンクリートとメタル素材を使って、周囲に融合させることを目指しました」と語る。
オーナーたちはデザインの方向性を全面的にゴーさんのチームに任せたが、譲れない要望をいくつか伝えた。オーナーの1人がプロの写真家であり、ゲストを招いて楽しめる心地よい空間をつくることと、写真スタジオとしてのスペースも設けたいという要望があった。
この記事で紹介するメゾネットは築30年近く経っていて、薄暗く、かなり老朽化が進んでいた。〈0932デザイン・コンサルタント〉のデザインディレクター、ロイスタン・ゴーさんは「歴史的な特別な価値があるわけではありませんが、この地域の都市の光景の一部です。その点がインダストリアルなアプローチにつながりました。打ち放しのコンクリートとメタル素材を使って、周囲に融合させることを目指しました」と語る。
オーナーたちはデザインの方向性を全面的にゴーさんのチームに任せたが、譲れない要望をいくつか伝えた。オーナーの1人がプロの写真家であり、ゲストを招いて楽しめる心地よい空間をつくることと、写真スタジオとしてのスペースも設けたいという要望があった。
どんなHouzz?
住まい手:若い3人家族
所在地:シンガポール、ウビ
規模:146平方メートル
施工期間:10週間
設計チームはまず、家を明るくすることをめざした。「自然光をたくさん採り込むことが設計の鍵になると強く感じました。冷たい印象の白い空間に活気とぬくもりを出すことが設計上の戦略となりました」とゴーさんは話す。
住まい手:若い3人家族
所在地:シンガポール、ウビ
規模:146平方メートル
施工期間:10週間
設計チームはまず、家を明るくすることをめざした。「自然光をたくさん採り込むことが設計の鍵になると強く感じました。冷たい印象の白い空間に活気とぬくもりを出すことが設計上の戦略となりました」とゴーさんは話す。
明るく軽やかな印象を作り出すため、バルコニーの引戸はピボットヒンジドア(中折ドア)に変えた。これによって、空間の自然な風通しも、排気口による換気も最大限に活かされ、すっきりした輪郭も確保できた。「空間はできるだけシンプルに徹して、内装の構造上の特徴と美しい家具が引き立つようにしました」。
メゾソファ:BoConcept
メゾソファ:BoConcept
照明の暖色の光がバルコニーから入る自然光に加わり、ダイニングエリアまで続く。シンプルなラインのメタル使いとぬくもりある木が真っ白な背景に映え、ひと続きになった空間の広がりを強調している。すっきりとしたラインはインダストリアルなスタイルと相性が良い。
クリーンでシンプルなラインが美しいキッチン。扉はバルコニーと同じメタルフレームのガラス扉を入れた。光の反射を補い、すっきり整った印象にするため、調理スペースには光沢のある白で、硬質な素材のカウンタートップと、ステンレス製バックスプラッシュを選んだ。木目調仕上げとよばれるラミネート加工されたキャビネットと、セメント仕上げの壁が、素材感をそのまま活かした質感のある美しさを生み出している。
階段の構造は建築当初からあるものをそのまま残した。「メタルの手すり子と丈夫な木材の手すりを新しく取り付け、安全性と構造上の安定性に配慮しました。一枚板の木の踏み板も新たに追加しました」とゴーさん。
2階の部屋から分散するように降りそそぐ光が、階段エリアに光と影の効果を生み出す。以前は薄暗かったスペースに華やぎを添えるため、階段下に手作りのフェルトボールをつなげたカラフルなピノキオラグを敷いた。
2階の部屋の位置は変えていないが、閉じられた空間のレイアウトのままでは、より光を採り込んで明るさを出そうという意図にそぐわない。そこで、階段の吹き抜けと部屋(マスターベッドルーム、書斎)を隔てていた壁を取り払い、代わりに胸までの高さのパラペット(手すり壁)とガラス窓を入れた。「これで吹き抜けにも自然光が入り、窓を開ければ風通しの効果も最大限高めることができます」。
一枚板のフローリングが、家具を最小限に抑えたマスターベッドルームにぬくもりを加えている。
一枚板のフローリングが、家具を最小限に抑えたマスターベッドルームにぬくもりを加えている。
マスターバスルームにバスタブを入れたいというのがオーナーの希望だったが、床面積が狭く、既存の水回り設備は動かせないことから、工夫が必要になった。そこで広すぎた廊下を縮小してバスルームの床面積を広げることで実現させた。
拡張してできたトイレ奥のスペースには収納棚を設けた。セメントスクリード仕上げの壁、グレーのタイル、ペイントしたむき出しの配管で、全体のインダストリアルな雰囲気に統一感を出している。
工夫と努力が評価され、この家は〈インテリア・デザイン・コンフェデレーション・シンガポール (IDCS)〉が主催し毎年開催される「インテリア・デザイン・エクセレンス・アワード」で、2016年の住宅デザイン部門1000平方フィート以上2000平方フィート未満ベストアパートメントの部で金賞を受賞している。
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キッチン/バス・トイレ/ベッドルーム/リビング/ダイニング/庭・アウトドア/ベビー・キッズルーム/書斎・ホームオフィス/収納・クローゼット/エクステリア(外観)/地下室/玄関/ガレージ・物置小屋/ホームジム/ホームバー/ホームシアター/ファミリールーム/サンルーム/廊下/ランドリールーム/階段/ワインセラー/プール/庭/
拡張してできたトイレ奥のスペースには収納棚を設けた。セメントスクリード仕上げの壁、グレーのタイル、ペイントしたむき出しの配管で、全体のインダストリアルな雰囲気に統一感を出している。
工夫と努力が評価され、この家は〈インテリア・デザイン・コンフェデレーション・シンガポール (IDCS)〉が主催し毎年開催される「インテリア・デザイン・エクセレンス・アワード」で、2016年の住宅デザイン部門1000平方フィート以上2000平方フィート未満ベストアパートメントの部で金賞を受賞している。
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