在宅介護のためのリフォーム。押さえておきたいポイントと注意点
在宅介護を考えた時に必要な住宅の改修ポイントや、難易度をご説明します。
ある日、大切なご家族に介護が必要になる。そんな時、皆さんはどうしますか? 家で介護をしようと考えても、「果たしてこの家で介護ができるのだろうか?」「介護される側が快適な生活が送れるだろうか」と、きっと悩まれることでしょう。住まいで介護するということは、想像している以上に大変なことです。
家の状態をチェックしよう
もちろん、リフォーム工事の際には専門家の意見を聞きながら改善していくことになりますが、なんといっても介護するのはご家族ですから、まずは今の家の状態を理解することから始めましょう。
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もちろん、リフォーム工事の際には専門家の意見を聞きながら改善していくことになりますが、なんといっても介護するのはご家族ですから、まずは今の家の状態を理解することから始めましょう。
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① 段差の有無
段差の有無を把握しておきたい場所は、玄関・寝室・台所・トイレ・洗面所・脱衣室・浴室です。2階に上がることは想定していないので、階段は考慮しません。また廊下が含まれていないのは、玄関と廊下、あるいは廊下と寝室との段差の有無を尋ねているためです。
つまり、要介護者の部屋(寝室)と、生活に必要な諸室との段差を確認することが大切なのです。車椅子を利用することが前提となるため、15mm以上の段差がある場合にはスロープ等を設置して、段差を解消する必要があります。杖の利用や、介護者が手を貸すことで歩行が可能な場合でも、5mm以上の段差があるとつまづく可能性もあるので、注意が必要です。
段差の有無を把握しておきたい場所は、玄関・寝室・台所・トイレ・洗面所・脱衣室・浴室です。2階に上がることは想定していないので、階段は考慮しません。また廊下が含まれていないのは、玄関と廊下、あるいは廊下と寝室との段差の有無を尋ねているためです。
つまり、要介護者の部屋(寝室)と、生活に必要な諸室との段差を確認することが大切なのです。車椅子を利用することが前提となるため、15mm以上の段差がある場合にはスロープ等を設置して、段差を解消する必要があります。杖の利用や、介護者が手を貸すことで歩行が可能な場合でも、5mm以上の段差があるとつまづく可能性もあるので、注意が必要です。
- 検討ポイント
② 室内各所の幅
車椅子の大きさは“日本工業規格(JIS)”で定められていますが、室内で利用される一般的な車椅子の横幅は60cmから70cm。室内各所の幅が、どの程度あるかを把握しましょう。例えば、玄関扉の幅・廊下の幅などを確認することはもちろんですが、トイレや浴室を利用することが前提ならば、室内扉の幅やトイレ、脱衣室の扉の幅も把握しておきましょう。
また、訪問介護支援による入浴サービスを利用する際、浴槽を室内に持ち込んで入浴する場合には、浴槽の幅が約80cm程度はあるので、その点も理解した上で各所の幅を確認しておくと良いでしょう。
車椅子の大きさは“日本工業規格(JIS)”で定められていますが、室内で利用される一般的な車椅子の横幅は60cmから70cm。室内各所の幅が、どの程度あるかを把握しましょう。例えば、玄関扉の幅・廊下の幅などを確認することはもちろんですが、トイレや浴室を利用することが前提ならば、室内扉の幅やトイレ、脱衣室の扉の幅も把握しておきましょう。
また、訪問介護支援による入浴サービスを利用する際、浴槽を室内に持ち込んで入浴する場合には、浴槽の幅が約80cm程度はあるので、その点も理解した上で各所の幅を確認しておくと良いでしょう。
- 検討ポイント
最近では水道設備の無い部屋に、簡単に設置できる水洗トイレ・ユニットなどもあり、在宅介護に適した製品の開発が進んでいます。
③ 床材の滑りやすさ
要介護者が靴下を履いている場合を考えます。その場合、床材によっては滑りやすく、転倒の危険性があります。健康な人には問題なくても、要介護者にとっては危険な床材もあることを理解しましょう。
要介護者が靴下を履いている場合を考えます。その場合、床材によっては滑りやすく、転倒の危険性があります。健康な人には問題なくても、要介護者にとっては危険な床材もあることを理解しましょう。
- 検討ポイント
④ 掃除のしやすさ
飲み物や食べ物をこぼすこと以外に、排泄物で床を汚すこともあります。例えば、介護用オムツを利用している場合、その交換時に床を汚すこともあります。
家で快適に暮らすためには、清潔で過ごしやすい環境こそが大切です。掃除しやすい床材であることは、介護者と要介護者のどちらにとっても大切なこと。その際、滑りにくい床材と掃除しやすい床材が必ずしも同じとは限らないので、注意しましょう。
飲み物や食べ物をこぼすこと以外に、排泄物で床を汚すこともあります。例えば、介護用オムツを利用している場合、その交換時に床を汚すこともあります。
家で快適に暮らすためには、清潔で過ごしやすい環境こそが大切です。掃除しやすい床材であることは、介護者と要介護者のどちらにとっても大切なこと。その際、滑りにくい床材と掃除しやすい床材が必ずしも同じとは限らないので、注意しましょう。
- 検討ポイント
⑤ 明るさやスイッチの位置
昼間の自然光による明るさと、夜の照明による明るさの両方を把握する必要があります。
これは生活する際に必要な明るさを把握することと同時に、寝る時の明るさを考える必要があるからです。
昼間の自然光による明るさと、夜の照明による明るさの両方を把握する必要があります。
これは生活する際に必要な明るさを把握することと同時に、寝る時の明るさを考える必要があるからです。
写真左側:出っ張りがあるアメリカンタイプ・スイッチ。暗くても手で触れることでスイッチの位置がわかります。
写真右側:取り外しが出来るリモコンタイプ・スイッチ。寝るときには枕元に置いておくことができます。
例えば深夜、要介護者がトイレに行きたくなった際に、室内が真っ暗ではベッドから起き上がることができません。その都度、介護者を起こす方法もありますが、要介護者が自力でトイレに行きたい場合には、照明のスイッチ位置を検討する必要があります。
また、それを避けるために、常夜灯を点けておくことも考えられますが、人によっては、明るいと眠れないこともあります。要介護者が自力で点灯させてトイレに行き、戻ってきて自分で消灯することが可能なのかを把握しておきましょう。夜間に限りベッドのそばに簡易トイレを置き、自力で排泄する場合ならば、なおさら自分で点灯・消灯させられることが必要となります。
写真右側:取り外しが出来るリモコンタイプ・スイッチ。寝るときには枕元に置いておくことができます。
例えば深夜、要介護者がトイレに行きたくなった際に、室内が真っ暗ではベッドから起き上がることができません。その都度、介護者を起こす方法もありますが、要介護者が自力でトイレに行きたい場合には、照明のスイッチ位置を検討する必要があります。
また、それを避けるために、常夜灯を点けておくことも考えられますが、人によっては、明るいと眠れないこともあります。要介護者が自力で点灯させてトイレに行き、戻ってきて自分で消灯することが可能なのかを把握しておきましょう。夜間に限りベッドのそばに簡易トイレを置き、自力で排泄する場合ならば、なおさら自分で点灯・消灯させられることが必要となります。
- 検討ポイント
室内の窓が古い場合には、断熱性や遮音性が低いこともあり、外部の音や室内温度の変化に悩まされることもあります。それは結果的に介護者へのストレスにも繋がります。窓や壁・床などの断熱性能を向上させることも、在宅介護リフォームには大切なポイントの一つなので、慎重にチェックしましょう。
また、介護ベッドの周辺には、たくさんのコンセントが必要となります。延長コードなどで対応するのは、車椅子で踏んでしまったり、足を引っ掛けて転倒したりする危険性もあるので、なるべく避けましょう。ベッドを置く場所を想定した上で、実際の生活を想像しながら家の様子を把握することが大切です。
また、要介護者と介護者が別の部屋で寝る場合には、音や光で連絡する呼び出しボタンなどを、枕元に置いておくことも忘れずに。
また、要介護者と介護者が別の部屋で寝る場合には、音や光で連絡する呼び出しボタンなどを、枕元に置いておくことも忘れずに。
住まいがそれぞれ違うように、要介護者の状態や、介護者の家族構成も各家庭によって異なります。リフォーム費用も考慮した上で、ケアマネージャーや設計者と相談を重ねて、リフォームすべきポイントを絞り、要介護者・介護者のどちらにもストレスのない日常を過ごせる工事を目指して下さい。家を病院にすることではなく、快適な生活を営めるように、今までとは少しだけ違った視点で、改善を目指すことが大切です。
また、在宅介護のためのリフォーム工事には、各種優遇税制や各種の補助金制度もありますので、ケアマネージャーと、よくご相談ください。今回ご紹介した"検討ポイント"を参考になさって、無理をしない、無理をさせない在宅介護生活ができる家づくりを進めてみてください。
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厚生労働省によると、要介護状態にある65歳以上の人、あるいは要介護状態にある40〜64歳の人で、特定疾病によって身体上か精神上の障害を持つと認められた人のことを「要介護者」と呼びます。
ここではリフォーム工事の内容やその対象者を明確にするために、介護する人を「介護者」、介護を受ける人を、厚生労働省が認定する「要介護者」と考えます。