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既存住宅の省エネ。すぐに実践できる8つのアイデア
家庭で取り組める、エネルギーを効率良く消費して、無駄を減らす方法を伝授します。

安井俊夫
2023年3月8日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
限りあるエネルギー資源を節約しながら大切に使う「省エネ」。環境への負担を軽減できるだけでなく、家計の節約にも役立ちます。この記事では、普段の暮らしの中でも実践できる省エネについて考えてみましょう。
まずは、電力を節約する省エネについてご紹介します。
まずは、電力を節約する省エネについてご紹介します。
家電製品を見直す
電力を節約する方法の一つに、家電製品の見直しがあります。家庭内での電気消費量は、冷蔵庫・照明・テレビ・エアコンの順に多く、この4つが家全体の電気使用量の40%以上を占めます。
エアコンの設定温度を調節し、電気使用量を節約する方法は以前から推奨されていますが、そもそも使用しているエアコンが古い場合には、最新型に交換することも省エネの一つです。エアコンメーカーでは10年を交換時期の目安と推奨しているので、古いエアコンを使用されている場合には検討してみる必要もあるでしょう。
電力を節約する方法の一つに、家電製品の見直しがあります。家庭内での電気消費量は、冷蔵庫・照明・テレビ・エアコンの順に多く、この4つが家全体の電気使用量の40%以上を占めます。
エアコンの設定温度を調節し、電気使用量を節約する方法は以前から推奨されていますが、そもそも使用しているエアコンが古い場合には、最新型に交換することも省エネの一つです。エアコンメーカーでは10年を交換時期の目安と推奨しているので、古いエアコンを使用されている場合には検討してみる必要もあるでしょう。
また、一日中稼働し続ける冷蔵庫の電気使用量は家全体の電気使用量の15%近くにもなるため、買い替えることで節約できる電気量はエアコンよりも多くなるでしょう。ただし、冷蔵庫やエアコンが問題なく使える場合には、「無理に買い替えることは果たしてエコなのか?」とも考えられますので、買い替えのご判断は冷静に。
LED照明器具へ交換する
夏の室温が上がればエアコンなどを使用して、温度を下げたくなるのは当然のこと。ならば室温を上げないように工夫することが大切です。
たとえば照明器具をLED器具に交換し、発熱量を抑える方法があります。LED照明に交換することで電気使用量も減り、省エネ効果は高くなります。
夏の室温が上がればエアコンなどを使用して、温度を下げたくなるのは当然のこと。ならば室温を上げないように工夫することが大切です。
たとえば照明器具をLED器具に交換し、発熱量を抑える方法があります。LED照明に交換することで電気使用量も減り、省エネ効果は高くなります。
ただし、LED照明器具も発熱することは理解しておきましょう。
LED照明は電球や蛍光灯のように熱を光に変換するのではなく、電気を光に変換する仕組みのため、照明器具からの発熱量は少ないです。しかし、器具の電源部はかなりの高温になっており、その熱を空中に放熱する仕組みとなっているので、照明器具からの熱を感じづらくなっているだけなのです。そして空中に放熱した熱を逃がすためには、やはり換気が大切となります。
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照明のコーディネートをプロに依頼するメリットとは?
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24時間換気を見直してみる
2003年以降に建てられた住宅には“24時間換気システム”の設置が義務付けられています。この24時間換気に“第三種換気方式(自然吸気+強制排気)”が採用されている家の場合、“第一種換気システム方式(強制吸気+強制排気)”に交換する方法もあります。
第一種換気の中でも、ダクトを用いて建物全体を一箇所で集中管理する方法もありますが、ここでいうのはダクトを用いない方式の第一種換気システムのこと。室内外に温度差がある場合でも、熱が逃げることを抑えた熱交換型換気システム製品もあるので、交換するのも一つの方法です。LED照明への交換と同時に行えば、より高い効果が得られることでしょう。
2003年以降に建てられた住宅には“24時間換気システム”の設置が義務付けられています。この24時間換気に“第三種換気方式(自然吸気+強制排気)”が採用されている家の場合、“第一種換気システム方式(強制吸気+強制排気)”に交換する方法もあります。
第一種換気の中でも、ダクトを用いて建物全体を一箇所で集中管理する方法もありますが、ここでいうのはダクトを用いない方式の第一種換気システムのこと。室内外に温度差がある場合でも、熱が逃げることを抑えた熱交換型換気システム製品もあるので、交換するのも一つの方法です。LED照明への交換と同時に行えば、より高い効果が得られることでしょう。
太陽熱を利用する
太陽熱を電気に変える太陽光パネルを設置し、家で使う電気使用量を軽減させる方法もあります。
太陽光パネルと聞くと、屋根全体に載せて家中の電気を担い、効率よく発電させて売電し、あわよくば元を取る、というようなイメージがあるかもしれませんが、それは間違いです。そもそも売電することでパネルの購入費用を取り戻すことはできませんし、屋根全体にパネルを載せるとなれば、大掛かりな工事やリスクも伴います。
太陽熱を電気に変える太陽光パネルを設置し、家で使う電気使用量を軽減させる方法もあります。
太陽光パネルと聞くと、屋根全体に載せて家中の電気を担い、効率よく発電させて売電し、あわよくば元を取る、というようなイメージがあるかもしれませんが、それは間違いです。そもそも売電することでパネルの購入費用を取り戻すことはできませんし、屋根全体にパネルを載せるとなれば、大掛かりな工事やリスクも伴います。
もっと気軽なもので、例えばカーポートの屋根や、窓の外の日当たりの良い場所に数枚だけ設置し、小さな蓄電池システムを利用して、特定の部屋の照明などに利用する方法もあります。期待する成果が出た暁には、規模を大きくするのも良いでしょう。
インナーサッシを設置する
窓は家の中で一番、外気温の影響を受ける場所、つまり熱の出入り口といえます。極端にいえば、壁の断熱性能をどんなに高めても、窓の断熱性能が低ければ、家全体の断熱性能は低くなるのです。大きな窓が沢山ある場合には、夏は暑く、冬は寒い家になってしまうでしょう。
それを解消する方法の一つが、インナーサッシの設置です。今ある窓の内側に、もう一つ窓を設けることで、断熱性能を格段に高めることができます。窓の断熱性能を上げることで、季節を問わずエアコン等の使用頻度を低くすることができるでしょう。
窓は家の中で一番、外気温の影響を受ける場所、つまり熱の出入り口といえます。極端にいえば、壁の断熱性能をどんなに高めても、窓の断熱性能が低ければ、家全体の断熱性能は低くなるのです。大きな窓が沢山ある場合には、夏は暑く、冬は寒い家になってしまうでしょう。
それを解消する方法の一つが、インナーサッシの設置です。今ある窓の内側に、もう一つ窓を設けることで、断熱性能を格段に高めることができます。窓の断熱性能を上げることで、季節を問わずエアコン等の使用頻度を低くすることができるでしょう。
もしも効果的な場所だけにインナーサッシを設置したいのならば、家族が長い時間を過ごす居間の窓がおすすめです。次に、寝室などで北側に窓がある場合。その窓にインナーサッシを取り付けるだけでも、冬場の冷えが格段に軽減されるでしょう。
インナーサッシが予算的に難しい場合には、カーテンを厚手の生地のものに交換するか、レースのカーテンを付け足すことで、窓の断熱性能を高める方法もあります。
インナーサッシが予算的に難しい場合には、カーテンを厚手の生地のものに交換するか、レースのカーテンを付け足すことで、窓の断熱性能を高める方法もあります。
庇やオーニングを設置する
インナーサッシやカーテンの設置は室内側で施す省エネですが、窓の外側に庇(霧避け)やオーニングを設置して日差しを遮る方法もあります。外部で直射日光を遮ることができれば、室内の気温の上昇を抑えることができるため、エアコンの使用頻度や設定温度を低くすることができます。
また窓を開け、風を呼び込むことで快適な室温に近付けることも可能になるでしょう。とくにオーニングは南側の大きな窓に設けると効果が高く、夏だけでなく、冬には、たたむことで日差しをたくさん取り込むことも出来るため効果的といえます。
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インナーサッシやオーニングを活用した省エネ住宅
インナーサッシやカーテンの設置は室内側で施す省エネですが、窓の外側に庇(霧避け)やオーニングを設置して日差しを遮る方法もあります。外部で直射日光を遮ることができれば、室内の気温の上昇を抑えることができるため、エアコンの使用頻度や設定温度を低くすることができます。
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断熱塗料・遮熱塗料を塗る
断熱・遮熱性能に優れた塗料がありますが、建物外部に塗れば、建物内に侵入する熱を防ぐ効果が期待できます。また室内側に塗れば、熱を逃がさない効果を得ることも。お手軽に省エネ効果を期待したいのなら、室内側の居間に遮熱塗料を塗るだけで、エアコン効率を高めることができます。DIYで塗装することも可能です。
断熱・遮熱性能に優れた塗料がありますが、建物外部に塗れば、建物内に侵入する熱を防ぐ効果が期待できます。また室内側に塗れば、熱を逃がさない効果を得ることも。お手軽に省エネ効果を期待したいのなら、室内側の居間に遮熱塗料を塗るだけで、エアコン効率を高めることができます。DIYで塗装することも可能です。
蛇口やシャワーヘッドを交換する
台所の水栓金物や浴室のシャワーヘッドを、節水型のものに交換するのも、省エネにつながります。
台所の蛇口を交換するには設備工事業者に依頼する必要がありますが、浴室のシャワーヘッド交換なら、自分で簡単に行うことができます。比較的安価で始められるので、「既存住宅の省エネ化」の第一歩には最適です。
ほかにも、トイレの便器を節水タイプに交換することで、使用水量を減らす方法などもあるので、電気だけでなく、ぜひ水道使用量に対しての省エネにも目を向けてみてください。
台所の水栓金物や浴室のシャワーヘッドを、節水型のものに交換するのも、省エネにつながります。
台所の蛇口を交換するには設備工事業者に依頼する必要がありますが、浴室のシャワーヘッド交換なら、自分で簡単に行うことができます。比較的安価で始められるので、「既存住宅の省エネ化」の第一歩には最適です。
ほかにも、トイレの便器を節水タイプに交換することで、使用水量を減らす方法などもあるので、電気だけでなく、ぜひ水道使用量に対しての省エネにも目を向けてみてください。
雨水を利用してみる
続いては、雨水利用についてご紹介します。雨水利用といっても、大げさに考える必要はありません。今は簡単に雨水利用が出来るキット製品も売られていますので、それを利用しても良いのです。屋根に降った雨水を流すたて樋の途中に、ポリタンクに雨水を流し込むための分岐用ソケットを挟み込めばできあがり。
100リットル程度のポリタンクに雨水を貯め、庭の水撒きや、家の前に打ち水をするのも良いでしょう。ついでに庭木を手入れすることで、日差しの照り返しを防ぎ、木陰を作り出すこともできますので、併せて作業してみてはいかがでしょうか。
続いては、雨水利用についてご紹介します。雨水利用といっても、大げさに考える必要はありません。今は簡単に雨水利用が出来るキット製品も売られていますので、それを利用しても良いのです。屋根に降った雨水を流すたて樋の途中に、ポリタンクに雨水を流し込むための分岐用ソケットを挟み込めばできあがり。
100リットル程度のポリタンクに雨水を貯め、庭の水撒きや、家の前に打ち水をするのも良いでしょう。ついでに庭木を手入れすることで、日差しの照り返しを防ぎ、木陰を作り出すこともできますので、併せて作業してみてはいかがでしょうか。
内装のカラーリングを変えてみる
例えば夏を迎える前ならば、壁の色を涼しげな寒色系に変えてみてはいかがでしょう。家全体ではなく、家族が集う居間のTV背面の壁だけを水色やブルー色に変えてみるのです。壁紙を利用すれば貼り替えも簡単ですし、今は消臭や調湿機能をもつ壁紙もあるので、それらの効果も合わせて期待できます。
視覚的に涼しさを得る方法はお手軽で、想像以上に効果が得られます。壁紙を貼り替えなくても、カーテンの色を変えたり、大きなタペストリーを飾ったりしても良いでしょう。
例えば夏を迎える前ならば、壁の色を涼しげな寒色系に変えてみてはいかがでしょう。家全体ではなく、家族が集う居間のTV背面の壁だけを水色やブルー色に変えてみるのです。壁紙を利用すれば貼り替えも簡単ですし、今は消臭や調湿機能をもつ壁紙もあるので、それらの効果も合わせて期待できます。
視覚的に涼しさを得る方法はお手軽で、想像以上に効果が得られます。壁紙を貼り替えなくても、カーテンの色を変えたり、大きなタペストリーを飾ったりしても良いでしょう。
窓の外にゴーヤを植えて、室内を涼しくしようという“グリーン・カーテン”が一時期流行しましたが、省エネを心掛けるということは、小さな工夫を積み重ねることだと思います。そして、各ご家庭でできる工夫について、それぞれが考えてみることも大切だと思います。一人一人ができる省エネについて家族で話し合うことこそが、本当の省エネ化への第一歩なのかもしれませんね。
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