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人が自然と集う、開かれた道場のある家
柔道を愛する施主が建てた、道場があるユニークな二世帯住宅。家のまわりにあるベンチには、いつも地域の人たちが集っています。
Mamiko Nakano
2018年12月28日
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スポーツが生活の一部になっている人なら、きっとホームジムのある家に住んでみたいと思ったことがあるのではないだろうか。では、そのホームジムが街に開放される形で設けられていたなら?都内の住宅街で、地域の憩いの場として根付きつつある「道場ハウス」を訪れた。
どんなHouzz?
住まい手:柔道家
所在地:東京都世田谷区
敷地面積:93.36㎡
建築面積:60.48㎡
延床面積:185.34㎡
主要用途:道場+二世帯住宅
竣工:2018年
構造:鉄骨造
設計:若松均建築設計事務所
今年春、世田谷区の閑静な住宅街のT字路に突如出現した地下1階、地上2階建ての建物。地上部分は施主である柔道家が住む住宅、地下部分は半地下の柔道場になっている。
住まい手:柔道家
所在地:東京都世田谷区
敷地面積:93.36㎡
建築面積:60.48㎡
延床面積:185.34㎡
主要用途:道場+二世帯住宅
竣工:2018年
構造:鉄骨造
設計:若松均建築設計事務所
今年春、世田谷区の閑静な住宅街のT字路に突如出現した地下1階、地上2階建ての建物。地上部分は施主である柔道家が住む住宅、地下部分は半地下の柔道場になっている。
この「道場ハウス」を作る計画が始まったのは2016年。世田谷柔道クラブを運営する施主たちは、元々活動していた世田谷区内で新たな道場を探していた。賃貸も検討したものの、最終的には一戸建てを建てることに決定。施主は条件や予算、作りたい建物のイメージ写真を集めたプロジェクトブリーフを自身で作成した上で、地元の専門家を中心に、建築家探しを始めた。
数多くの事例写真を見ていく中で、若松さんの「シンプルで長く住んでいても飽きなさそうなデザイン」に惹かれたという施主。さっそく、設計を依頼することにした。
施主の希望は、「道場ハウス」の建物を敷地いっぱいに建てること。そして、その条件下で、道場のスペースをできる限り広く取った二世帯住宅を実現することだった。それを聞いた若松さんは「柔道場は、ボリューム的には地下に埋めないと入りきらないと思い、半地下にしようと。そうすると、上の部分も周りの住宅街の街並みに馴染む普通の2階建ての住宅がいいだろう」と思ったそう。
ライトグレーの外壁の色が優しい「道場ハウス」。遠目に見ると、確かに普通の住宅に見える。しかし、住宅部分は高床式になっており、宙に浮かんでいるような様子だ。よく見始めるとユニークな建物であることがじわじわ分かってくる。
数多くの事例写真を見ていく中で、若松さんの「シンプルで長く住んでいても飽きなさそうなデザイン」に惹かれたという施主。さっそく、設計を依頼することにした。
施主の希望は、「道場ハウス」の建物を敷地いっぱいに建てること。そして、その条件下で、道場のスペースをできる限り広く取った二世帯住宅を実現することだった。それを聞いた若松さんは「柔道場は、ボリューム的には地下に埋めないと入りきらないと思い、半地下にしようと。そうすると、上の部分も周りの住宅街の街並みに馴染む普通の2階建ての住宅がいいだろう」と思ったそう。
ライトグレーの外壁の色が優しい「道場ハウス」。遠目に見ると、確かに普通の住宅に見える。しかし、住宅部分は高床式になっており、宙に浮かんでいるような様子だ。よく見始めるとユニークな建物であることがじわじわ分かってくる。
半地下に設けられた柔道場は畳敷きで、32畳。柱は全くない。スペースを目いっぱい使うとしたら、柱は作れないからだ。
柱のない空間を実現するために採用されたのは張弦梁という、体育館やアトリウムなどで使われる構造。柔道場は井桁状の梁によって屋根から、つられている状態なのだという。
柱のない空間を実現するために採用されたのは張弦梁という、体育館やアトリウムなどで使われる構造。柔道場は井桁状の梁によって屋根から、つられている状態なのだという。
こちらは住宅部分の下の階。半地下の柔道場の上の階になるので、高さからすると1.5階ほど。通常の2階よりは地面に近い感じがする。内装は、床のフローリングはロシアンバーチ。壁部分の色は床の色に合わせシナベニヤ、鉄骨が出ている部分はグレーになっている。
バルコニーに面した大きな窓からは光がたっぷり入る。全体的に、とても明るい印象だ。
バルコニーに面した大きな窓からは光がたっぷり入る。全体的に、とても明るい印象だ。
横長の高窓からは、向かいにある中学校の緑が借景となって見える。正面のベランダから見えるマンションの緑も感じられる。施主のいう通り「東京にいるけれど、周りを緑に囲まれたのんびりした場所」となっている。
こちらは住宅部分の上の階。ダイニング部分にある横に長い出窓が、下の階同様に中学校の緑を借景にしている。人が集まるスペースなので、大きなダイニングテーブルが置けるようにした。
最上階のペントハウスに続くはねだしの階段。上にある窓からは光がたっぷりと入る。
向かって左にある収納棚の向こうにはキッチンがある。棚の周りは回遊できるようになっている。
向かって左にある収納棚の向こうにはキッチンがある。棚の周りは回遊できるようになっている。
ペントハウスを囲むように設けられたルーフバルコニー。ここではバーベキューを楽しむことが多いそう。
地域の人たちに柔道を身近に感じてもらいたい、と考えていた施主は道場を閉ざされた場所にせず「開口部を大きくし、外から見えるようにすることで、町との連動性を設計の中で実現したい」という希望を若松さんに伝えていた。
それを受け、若松さんは「道場ハウス」の周りにベンチを作ることを初期の段階で提案したという。「ここは角地で、一番いい敷地。お子さんが多いと聞いていたので、親御さんが待っている間、ここに座っておしゃべりするんじゃないかと」
それを受け、若松さんは「道場ハウス」の周りにベンチを作ることを初期の段階で提案したという。「ここは角地で、一番いい敷地。お子さんが多いと聞いていたので、親御さんが待っている間、ここに座っておしゃべりするんじゃないかと」
柔道場は、外からでもガラス越しに見えるようになっている。それもあって最近は、練習風景を通りすがりに見かけて、入会する人が増えているそう。この建物自体がクラブの「看板」のような役割を果たしている。
取材に訪れた日には、地元の子供たちが柔道の練習をしていた。他にも、向かいの中学校の部活も道場ハウスの柔道場を使って練習することもあるそう。「地域の人たちのお散歩コースになっているので、いろんな繋がりができていると感じます」と施主。
今ではピラティスのクラスができるなど、柔道以外の活動も始まっているという。
東京23区の閑静な場所に現れた「半分開かれた家」。住宅街にさりげなく溶け込みながら、街に新たな流れを作り出しているようだった。
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