二世帯住宅で失敗しないために考えておきたいこと
みんなが一緒に暮らせる二世帯住宅。幸せな家づくりを実現するためには、それぞれの世帯がお互いの暮らしの形について思いやることが重要です。
二世帯住宅。家族みんなが一緒で幸せに暮らせる、とても素敵な暮らし方です。少子高齢化社会の今、それが実現できるなら、とても幸せなことだと言えるでしょう。
ただし、「二世帯住宅を作れば幸せになれる」と考えるのは大間違い。「こんなはずじゃなかった」と悩む人、「結局別居した」人がいるのも事実です。そんなことになるくらいなら、別の家で暮らすほうがはるかに幸せです。では、どうすると失敗してしまうのか考えてみましょう。幸せな二世帯住宅を作るために。
ただし、「二世帯住宅を作れば幸せになれる」と考えるのは大間違い。「こんなはずじゃなかった」と悩む人、「結局別居した」人がいるのも事実です。そんなことになるくらいなら、別の家で暮らすほうがはるかに幸せです。では、どうすると失敗してしまうのか考えてみましょう。幸せな二世帯住宅を作るために。
二世帯住宅を選ぶ理由
二世帯住宅を選ぶ理由を考えてみると、以下のようなものが上がってきます。
二世帯住宅を選ぶ理由を考えてみると、以下のようなものが上がってきます。
- 子育ての力になってあげたい(親)
- 大家族で暮らすほうがなにかと安心 子供にとってよい(子)
- 広い家に住める(子)
- 経済的である(親)(子)
- いざという時安心(親)(子)
- 家が大きいからリフォームすれば二世帯で住める(親)(子)
- 家が古いので建て変えるなら二世帯もありかも(親)(子)
二世帯住宅を選ぶ本音は?
「選ぶ理由」はどれもよいものばかりです。親は子を、子は親を、思い、考えています。多くの人はそう思っています。でも、親にも子にも、それぞれ「本音」があります。
【子の本音】
【親の本音】
上記は、あくまで想定です。二世帯住宅を考える人がみんな、こんなことを考えているというわけではありません。
「選ぶ理由」はどれもよいものばかりです。親は子を、子は親を、思い、考えています。多くの人はそう思っています。でも、親にも子にも、それぞれ「本音」があります。
【子の本音】
- 親の家に住む(家を建て替える)なら、土地代がかからなくて済む
- 保育園に送り迎えしてもらえる
- 子供が病気など緊急の場合にはみてもらえる
- 大きな家だから見た目もいい
- なにかと援助してもらえそう
【親の本音】
- 孫がそばにいてうれしい
- 自分では無理だけど子供が家を新しくしてくれる
- 若い人がそばにいるから安心
- 体が悪くなった時にはみてもらえる
上記は、あくまで想定です。二世帯住宅を考える人がみんな、こんなことを考えているというわけではありません。
うまくいかなくなる理由
では、二世帯住宅で出てきやすい不満点を検討してみましょう。
もっともっとあると思います。「本音」と合わせて共通しているのは何かわかりますか?それは……
「自分視点」もしくは「自分都合」で考えている、ということです。
家ができるまでは、親も子も、自分にとっての楽しみな生活を思い描いています。でも、「二世帯住宅」の暮らしが始まってみると、自分以外の人の暮らしが「そこにある」現実に気付きます。そして「こんなはずじゃなかった」と思い始めます。
では、二世帯住宅で出てきやすい不満点を検討してみましょう。
- 生活音がうるさい。生活の時間帯が違うので音が気になる。(親)
- 親が子供を甘やかす(子)
- お金の負担が不満(親)(子)
- 余計な干渉をされる(子)
- 価値観が違うのに無理やり勧める(親)(子)
- 「うちのやり方はこうだから」と押し付ける(子)
- 自分達の都合で子供のことを押し付ける(親)
- 顔も出さない(親)
もっともっとあると思います。「本音」と合わせて共通しているのは何かわかりますか?それは……
「自分視点」もしくは「自分都合」で考えている、ということです。
家ができるまでは、親も子も、自分にとっての楽しみな生活を思い描いています。でも、「二世帯住宅」の暮らしが始まってみると、自分以外の人の暮らしが「そこにある」現実に気付きます。そして「こんなはずじゃなかった」と思い始めます。
いったい何がいけないのか
「二世帯住宅」は「二つの世帯」が一緒に住みます。「二つの世帯」とは「別々の世帯」。はっきり言えば、「別々の家族」なのです。親と子ではあるけれど「別」なのです。
子供(夫婦)の家族は「自分達の暮らし」を作ってきました。彼らには、彼らの暮らし方があります。
一方、親は、子供達が家を出た後、「夫婦の暮らし方」を試行錯誤しながら作ってきました。子供がいた時とはもう「違う暮らし」なのです。
二世帯住宅での同居を考える時、親も子供も、別々に暮らすようになってからの期間のことはすっとばし、以前の「家族の形」を繋げてしまうことがあります。
親は、子供を、独立する以前通りの子供としてみています。「親の自分が正しい」、「自分の言う通りにすればうまくいく」、
「自分達はこうしてきた」。ついつい、このように思い込んでしまうことがあります。
そして子供は子供で、親に甘える気持ちがあります。「親なんだからしてくれて当然」と思ってしまったりするのです。
二世帯住宅がうまくいかなくなる根本原因は、親と子が「別々の世帯」だということを理解していない点にあるのです。
「二世帯住宅」は「二つの世帯」が一緒に住みます。「二つの世帯」とは「別々の世帯」。はっきり言えば、「別々の家族」なのです。親と子ではあるけれど「別」なのです。
子供(夫婦)の家族は「自分達の暮らし」を作ってきました。彼らには、彼らの暮らし方があります。
一方、親は、子供達が家を出た後、「夫婦の暮らし方」を試行錯誤しながら作ってきました。子供がいた時とはもう「違う暮らし」なのです。
二世帯住宅での同居を考える時、親も子供も、別々に暮らすようになってからの期間のことはすっとばし、以前の「家族の形」を繋げてしまうことがあります。
親は、子供を、独立する以前通りの子供としてみています。「親の自分が正しい」、「自分の言う通りにすればうまくいく」、
「自分達はこうしてきた」。ついつい、このように思い込んでしまうことがあります。
そして子供は子供で、親に甘える気持ちがあります。「親なんだからしてくれて当然」と思ってしまったりするのです。
二世帯住宅がうまくいかなくなる根本原因は、親と子が「別々の世帯」だということを理解していない点にあるのです。
二世帯住宅の考え方
二世帯住宅とは、別々の暮らし方をしてきた二つの家族が、同じ家で生活するのだと考えたほうがよいのです。
極端な言い方をすれば「知らない家族」と一緒に住むつもりで考えなければいけません。
親も子も、それぞれが独立した別の世帯であることを、理解し、尊重し、認め合うことが必要です。
また、何ごとも相手に依存せず、当然と思ってはいけません。相手には都合があることを踏まえるべきです。そして、協力はするけれど、自分を犠牲にしないようにしましょう。
「自分の家(土地)に住まわせてやる」「一緒に住んでやっている」、「お金を出してるのは自分だ」などと考えていたのでは、理解も尊重もなく「反感」が生まれます。
「具合が悪くなったらみてほしい」(親)、「仕事でどうしてもダメな時は子供をみてほしい」(子)。これはお互い様です。「してくれて当然」という態度では腹が立ちます。相手にも都合があるのに「してくれる」のです。「ありがたい」と思わなければ関係が続きません。
基本は、それぞれの家族が自立して暮らしていくことです。でも、思いやることをせず、手助けもしてあげない状態だとしたら、「二世帯住宅」である意味がありません。
二世帯住宅とは、別々の暮らし方をしてきた二つの家族が、同じ家で生活するのだと考えたほうがよいのです。
極端な言い方をすれば「知らない家族」と一緒に住むつもりで考えなければいけません。
親も子も、それぞれが独立した別の世帯であることを、理解し、尊重し、認め合うことが必要です。
また、何ごとも相手に依存せず、当然と思ってはいけません。相手には都合があることを踏まえるべきです。そして、協力はするけれど、自分を犠牲にしないようにしましょう。
「自分の家(土地)に住まわせてやる」「一緒に住んでやっている」、「お金を出してるのは自分だ」などと考えていたのでは、理解も尊重もなく「反感」が生まれます。
「具合が悪くなったらみてほしい」(親)、「仕事でどうしてもダメな時は子供をみてほしい」(子)。これはお互い様です。「してくれて当然」という態度では腹が立ちます。相手にも都合があるのに「してくれる」のです。「ありがたい」と思わなければ関係が続きません。
基本は、それぞれの家族が自立して暮らしていくことです。でも、思いやることをせず、手助けもしてあげない状態だとしたら、「二世帯住宅」である意味がありません。
やってはいけないこと
二世帯住宅で暮らす話が持ち上がった場合、やってはいけないことをあげてみます。
やるべきこと
やらなければいけないこと
二世帯住宅の家づくりの際には、仲介者を入れることをおすすめします。それは、設計をまとめる立場の人です。建築会社の営業、工務店の社長など。できれば設計事務所に入ってもらうことをお勧めします。親、子供、建築会社、誰にも利害関係はありません。中立の立場の人が、親にも子供にも等しく話を聞くことがとっても重要です。
親子だからこそ容赦なく感情をぶつけ合うことがあります。相手を思うからこそ強い言葉も出てしまいます。冷静な会話ができないと「本当の気持ち」を理解し合うことが困難になることがあります。そこで、仲介者が必要なのです。
二世帯住宅で暮らす話が持ち上がった場合、やってはいけないことをあげてみます。
- 覚悟がないのに二世帯で住むことを決める
- 子世帯夫婦が、夫婦間で納得できてないのに、強引に話を進める
やるべきこと
- 話し合う(親と子、それぞれの夫婦)
- 「こうしたいな」という気持ちを遠慮しない(相手のことを決め付けない)
- 暮らし方のルールを決める
- お金について分担をはっきりさせる
やらなければいけないこと
二世帯住宅の家づくりの際には、仲介者を入れることをおすすめします。それは、設計をまとめる立場の人です。建築会社の営業、工務店の社長など。できれば設計事務所に入ってもらうことをお勧めします。親、子供、建築会社、誰にも利害関係はありません。中立の立場の人が、親にも子供にも等しく話を聞くことがとっても重要です。
親子だからこそ容赦なく感情をぶつけ合うことがあります。相手を思うからこそ強い言葉も出てしまいます。冷静な会話ができないと「本当の気持ち」を理解し合うことが困難になることがあります。そこで、仲介者が必要なのです。
ここまで色々と書いてきました。ここで書いたことが、すべて家族にも当てはまるわけではありません。親子の関係がぎくしゃくしていても、なんとなく納まっている家もあります。話し合うことは絶対に必要ですが、話し合うのも簡単ではありません。完璧なマニュアルはありません。完璧を求めず、ひとつひとつ作り上げていくしかありません。
ただ、絶対にやってほしいことがあります。それは、お互いが「自立した家族」であることを認めること。
親は、子供のために生きているのではなく、自分の人生を生きています。子供は、いつまでも小さい頃のままではなく、社会の中で自分の家族とともに生きています。
それをお互い「認める」ことなくして、理解は生まれないと思います。
二世帯住宅を作れるという状況は、とても恵まれています。「一緒に住める」のは幸せなことです。
ぜひ、笑顔で暮らせるよい家を作ってください。
ただ、絶対にやってほしいことがあります。それは、お互いが「自立した家族」であることを認めること。
親は、子供のために生きているのではなく、自分の人生を生きています。子供は、いつまでも小さい頃のままではなく、社会の中で自分の家族とともに生きています。
それをお互い「認める」ことなくして、理解は生まれないと思います。
二世帯住宅を作れるという状況は、とても恵まれています。「一緒に住める」のは幸せなことです。
ぜひ、笑顔で暮らせるよい家を作ってください。
昭和の中ごろまで、二世帯以上で暮らすのは、特別なことではありませんでした。「同居」という形です。子供のうちの誰かが結婚後に親と暮らすのは「当然のこと」と考えられていました。
「家」という言葉は建物ではなく、「家系」を意味していました。「家長」が一番で、その後に家族が続いていたのです。子供が結婚して一緒に住んでも、基本的には「一世帯」でした。
では「二世帯住宅」という言葉はいつから出てきたのでしょう?調べてみると、「二世帯住宅」というのは、旭化成へーベルハウスの商品のシリーズ名でした(1975年 昭和50年)。
この時期は、日本が高度成長期から安定成長期に代わる頃です。その頃には核家族化が進み、親世帯と子世帯は別々の家で暮らすようになっていました。「家族の形」が変わったのです。
その後、土地価格が高騰し、共働きが増え、高齢化社会となり、諸々の条件が合わさって「二世帯住宅」が増えていきました。