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「小さな住まい方」、マイクロハウジングの可能性
国土の広いアメリカでも、都市への産業・人口集中が進行しており、「都市型の新しい小さな住まい=マイクロハウジング」を模索する試みが広がっている。シェアハウスから新タイプのワンルームマンション開発まで、米国3都市の例をレポートする。
Peter Fish
2017年2月23日
サンフランシスコ、共用空間も充実のスモールスペース《パノラミック》
サンフランシスコのSoMa(South of Market=マーケット通り南)地区、ミッション・ストリートと9番ストリートの交差点付近は、この街の急速な変化がうかがえる場所だ。すぐそばにはホームレスのための宿泊所である《エルドラドホテル》や、数軒のバー、うらぶれた雰囲気のマリファナ店などが並ぶが、少し通りを進めば〈ツイッター〉や〈ドルビーラボラトリーズ〉といった大企業が本社を構えている。そして、この交差点の角にそびえ立つのが11階建ての新しいビル。《パノラミック》と書かれたマリンブルーの看板と、クリーム色のキュビズム風の外観は、マイアミビーチのリゾートホテルを思わせる。
外から見る《パノラミック》は、20代の高収入インテリITワーカーたちが住む高級アパートメント、という印象かもしれない。スタイリッシュでひろびろとしたワンルームや2部屋のアパートメントに、〈IKEA〉の《ノルスボリ》シリーズの家具を揃えていそうなイメージだ。しかし中に入ってみると大違い。居室はスタイリッシュではあるが、決して広いとは言えない。平均面積は28平方メートルに満たず、平均的なアメリカの新築アパートメントに比べて3分の1の大きさなのだ。
スモールスペース市場の可能性
21世紀の小さな暮らし、マイクロハウジングの世界へようこそ。米国サンフランシスコやシアトル、メキシコ、そのほか世界各地で、建築家や建設業界が今後を注目しているのが、最新デザインで快適な暮らしを提供するスモールスペース住宅市場だ。マイクロハウジングは、手が届かないほど家賃が高騰してしまった都市でも(比較的)安価な住宅を提供できることが評価されている。また駐輪場を備えていたり、LEED認証を受けているサステナブルな建物が多く、こういった環境への配慮がされていることや、長いあいだ放置されてきた都心コミュニティの再生につながることも評価される点だ。
サンフランシスコのSoMa(South of Market=マーケット通り南)地区、ミッション・ストリートと9番ストリートの交差点付近は、この街の急速な変化がうかがえる場所だ。すぐそばにはホームレスのための宿泊所である《エルドラドホテル》や、数軒のバー、うらぶれた雰囲気のマリファナ店などが並ぶが、少し通りを進めば〈ツイッター〉や〈ドルビーラボラトリーズ〉といった大企業が本社を構えている。そして、この交差点の角にそびえ立つのが11階建ての新しいビル。《パノラミック》と書かれたマリンブルーの看板と、クリーム色のキュビズム風の外観は、マイアミビーチのリゾートホテルを思わせる。
外から見る《パノラミック》は、20代の高収入インテリITワーカーたちが住む高級アパートメント、という印象かもしれない。スタイリッシュでひろびろとしたワンルームや2部屋のアパートメントに、〈IKEA〉の《ノルスボリ》シリーズの家具を揃えていそうなイメージだ。しかし中に入ってみると大違い。居室はスタイリッシュではあるが、決して広いとは言えない。平均面積は28平方メートルに満たず、平均的なアメリカの新築アパートメントに比べて3分の1の大きさなのだ。
スモールスペース市場の可能性
21世紀の小さな暮らし、マイクロハウジングの世界へようこそ。米国サンフランシスコやシアトル、メキシコ、そのほか世界各地で、建築家や建設業界が今後を注目しているのが、最新デザインで快適な暮らしを提供するスモールスペース住宅市場だ。マイクロハウジングは、手が届かないほど家賃が高騰してしまった都市でも(比較的)安価な住宅を提供できることが評価されている。また駐輪場を備えていたり、LEED認証を受けているサステナブルな建物が多く、こういった環境への配慮がされていることや、長いあいだ放置されてきた都心コミュニティの再生につながることも評価される点だ。
《パノラミック》に暮らす住民のひとり、キャサリン・ウィルさんは彼女の部屋からのサンフランシスコの街並みと設備を気に入っているが、「ルームメイトと生活サイクルが合わないときは、部屋のなかにキッチンがあると不便なこともあります」と話す。
しかし場合によっては、こういった開発によって地域が高級化し、もともと住んでいた低所得層の人たちが住めなくなってしまう、という批判もある。また、過密開発によって、それまでの地域のありかたでは支えきれない状態になってしまうこともある。マイクロハウジングは話題のトレンドではあるが、シアトルやサンフランシスコといった都市が直面している問題に対して現実的な解決策にはならない、というのが批判的な人たちの意見である。結局のところ、社会人になってもずっと大学の寮生活のような暮らしでは満足できないだろう、というわけだ。
それでもマイクロハウジング賛成派は、小さい住まいにこそ未来がある、と信じている。《パノラミック》のデベロッパーであるパトリック・ケネディさんは、サンフランシスコのベイエリアでも随一のマイクロハウジング推進者だ。「本当に必要なものだけにそぎ落とすのが好きなんです」とケネディさんは語る。「私は旅行に行くときも、荷物を最小限にするタイプ。同じように、最小限のワンルームアパートメントを作りたかったんです。」また、優れたデザインのスモールスペース住宅はすでに世界各地で受け入れられていて、「日本やロンドン、スカンジナビア諸国にも見られます」と言う。今後は、このコンセプトがアメリカでも浸透することを願っているそうだ。
しかし場合によっては、こういった開発によって地域が高級化し、もともと住んでいた低所得層の人たちが住めなくなってしまう、という批判もある。また、過密開発によって、それまでの地域のありかたでは支えきれない状態になってしまうこともある。マイクロハウジングは話題のトレンドではあるが、シアトルやサンフランシスコといった都市が直面している問題に対して現実的な解決策にはならない、というのが批判的な人たちの意見である。結局のところ、社会人になってもずっと大学の寮生活のような暮らしでは満足できないだろう、というわけだ。
それでもマイクロハウジング賛成派は、小さい住まいにこそ未来がある、と信じている。《パノラミック》のデベロッパーであるパトリック・ケネディさんは、サンフランシスコのベイエリアでも随一のマイクロハウジング推進者だ。「本当に必要なものだけにそぎ落とすのが好きなんです」とケネディさんは語る。「私は旅行に行くときも、荷物を最小限にするタイプ。同じように、最小限のワンルームアパートメントを作りたかったんです。」また、優れたデザインのスモールスペース住宅はすでに世界各地で受け入れられていて、「日本やロンドン、スカンジナビア諸国にも見られます」と言う。今後は、このコンセプトがアメリカでも浸透することを願っているそうだ。
《パノラミック》の1階にはゆったりと広いロビーがあり、暖炉もついている。
「小さい」とは?
では「マイクロ」な住宅の定義は何かというと、わずか10年ほど前に登場したトレンドのため、まだはっきりとした線引きがされていない。アーバンランド研究所(ULI)による2013年の報告書『マイクロ住宅へのマクロな視点(The Macro View on Micro Units)』では、一般的に350平方フィート(32.52平方メートル)未満のワンルーム物件をマイクロアパートメントと定義している。(ただし地域差があり、米国南部や南西部のマイクロアパートメントは、西海岸や東海岸地域に比べて広いことが多い。)
それぞれのアパートメントには、通常の機能を備えたキッチンとバスルームが付いている。(ULIの定義では、キッチン共用の物件はマイクロハウジングとみなしていないが、キッチン共用でもマイクロハウジングに含むという見方もある。)
当然ながらマイクロアパートメントがもっとも普及しているのは、サンフランシスコのベイエリア、シアトル、オレゴン州ポートランドなど、家賃が高騰している地域だ。一般的にマイクロアパートメントでは、通常よりも25~30パーセント低い家賃が想定されている。
「小さい」とは?
では「マイクロ」な住宅の定義は何かというと、わずか10年ほど前に登場したトレンドのため、まだはっきりとした線引きがされていない。アーバンランド研究所(ULI)による2013年の報告書『マイクロ住宅へのマクロな視点(The Macro View on Micro Units)』では、一般的に350平方フィート(32.52平方メートル)未満のワンルーム物件をマイクロアパートメントと定義している。(ただし地域差があり、米国南部や南西部のマイクロアパートメントは、西海岸や東海岸地域に比べて広いことが多い。)
それぞれのアパートメントには、通常の機能を備えたキッチンとバスルームが付いている。(ULIの定義では、キッチン共用の物件はマイクロハウジングとみなしていないが、キッチン共用でもマイクロハウジングに含むという見方もある。)
当然ながらマイクロアパートメントがもっとも普及しているのは、サンフランシスコのベイエリア、シアトル、オレゴン州ポートランドなど、家賃が高騰している地域だ。一般的にマイクロアパートメントでは、通常よりも25~30パーセント低い家賃が想定されている。
《パノラミック》は、マイクロハウジングの可能性と課題との両方が見える良い例だろう。収容戸数はワンルームと2部屋のアパートメントを合わせて160戸。成功するマイクロハウジングにはいくつか特定のメリットが備わっていると専門家は言うが、《パノラミック》もそれに当てはまる。まず1つめのメリットは、小さくても自分だけの住まいが手に入ること。つまり、サンフランシスコでは大きなアパートメントを4~5人とシェアせざるを得ないことが多いが、それ以外の選択肢が可能になるわけだ。
第2のメリットは立地。公共交通機関へのアクセスがよく(自転車を使う人には、写真のように専用の駐輪場も用意されている)、IT企業の集まる地域も近いため通勤にも便利だ。さらに、個々のアパートメントのほかに共有空間として屋上庭園や読書室が用意され、1階には魅力的なロビーと本格派コーヒーショップもある。
それぞれのアパートメントは小さい。ワンルームは平均で28平方メートル足らずで、2人用以上の部屋で58平方メートルほどだ。しかし、空間自体は明るく魅力的だ。「基本的なところに細心の注意を払っています。天井を高くし、光をたくさん取り入れることもそのひとつです」とケネディさんは言う。テーブルに姿を変えるベッドなど、狭い部屋を機能的に使うために選ばれた家具が部屋に備え付けられているため、〈IKEA〉へ行って家具を揃える必要もない。「椅子や棚から、シンク、トイレットペーパーのホルダーまで、部屋の試作段階であらゆるパーツをテストしています」とケネディさん。
室内には、さまざまなデザイン技法を巧みに取り入れている。「窓の両サイドに鏡を使っています」とケネディさんは説明する。「実際はないのですが、まるで出窓があるように感じられるんです。家具や調度類はすべて床から少し浮かせていて、ベッドやクローゼットも、床とのあいだに10センチほど隙間があります。こうすることで、部屋を実際より大きく見せてくれます。」
近くにあるバブソン大学でビジネスを専攻する学生のキャサリン・ウィルさん(写真)は、21.5平方メートルのワンルームアパートメントを、同じ大学に通う仲間と2人でシェアしている。《パノラミック》の暮らしは、なかなか気に入っているようだ。「ここは11階なので、毎朝、日の出が見えてきれいなんです」とウィルさん。「この廊下の角を曲がると洗濯室があるし、なんでもすぐ近くにあって便利です。」
ベッドの下は深い引き出しに。ほかにも収納スペースはたっぷりある。「2人の持ち物をぜんぶしまっても、まだ余裕があります」とウィルさん。
室内には、さまざまなデザイン技法を巧みに取り入れている。「窓の両サイドに鏡を使っています」とケネディさんは説明する。「実際はないのですが、まるで出窓があるように感じられるんです。家具や調度類はすべて床から少し浮かせていて、ベッドやクローゼットも、床とのあいだに10センチほど隙間があります。こうすることで、部屋を実際より大きく見せてくれます。」
近くにあるバブソン大学でビジネスを専攻する学生のキャサリン・ウィルさん(写真)は、21.5平方メートルのワンルームアパートメントを、同じ大学に通う仲間と2人でシェアしている。《パノラミック》の暮らしは、なかなか気に入っているようだ。「ここは11階なので、毎朝、日の出が見えてきれいなんです」とウィルさん。「この廊下の角を曲がると洗濯室があるし、なんでもすぐ近くにあって便利です。」
ベッドの下は深い引き出しに。ほかにも収納スペースはたっぷりある。「2人の持ち物をぜんぶしまっても、まだ余裕があります」とウィルさん。
ウィルさんのお気に入りのキッチン。料理に必要な器具もすべて用意されていた。こちらは引き出し式のまな板台で、使わないときにはしまっておくことができる。
しかし、マイナス面もある。「ルームメイトと生活サイクルが合わないときは、部屋のなかにキッチンがあると不便なこともあります」とウィルさんは言う。食器洗浄機はありがたいが、音が大きいので、2人とも起きている時間にしか使えない。「問題というほどではないですが、ここに住むまでは意識していなかったことですね。」
《アーケード・プロビデンス》の建物の上方にある2階分をマイクロ・ロフト・アパートメントに改造した。
古くて新しい(そして小さい)、ロードアイランドのアパートメント
アメリカのマイクロハウジングには新築が多いが、古い建物や、ときには歴史的な建物を改装した斬新なプロジェクトもある。1828年に建てられた《アーケード》は、何世代ものあいだ、ロードアイランド州プロビデンスの繁華街の中心的存在だった。店が並ぶ屋根付きの通路は、アメリカ初のショッピングモールとして知られている。しかし、2000年代末の大不況で街の小売業は大打撃を受け、2012年、《アーケード》のオーナーであるエヴァン・グラノフさんは最上階とその下の階を48戸のマイクロロフトアパートメントに改造した。1戸あたりの広さは20.9~34.8平方メートルで、マイクロアパートメントの規模を超える74平方メートルほどの部屋もいくつかある。現在は《アーケード・プロビデンス》と名前を変えたこの建物に住む魅力は、1階にあるお店やレストラン、季節の食品が並ぶファーマーズマーケット、そして、ギリシア復興様式の建築の美しさだろう。米国国家歴史登録財にも指定されている。
古くて新しい(そして小さい)、ロードアイランドのアパートメント
アメリカのマイクロハウジングには新築が多いが、古い建物や、ときには歴史的な建物を改装した斬新なプロジェクトもある。1828年に建てられた《アーケード》は、何世代ものあいだ、ロードアイランド州プロビデンスの繁華街の中心的存在だった。店が並ぶ屋根付きの通路は、アメリカ初のショッピングモールとして知られている。しかし、2000年代末の大不況で街の小売業は大打撃を受け、2012年、《アーケード》のオーナーであるエヴァン・グラノフさんは最上階とその下の階を48戸のマイクロロフトアパートメントに改造した。1戸あたりの広さは20.9~34.8平方メートルで、マイクロアパートメントの規模を超える74平方メートルほどの部屋もいくつかある。現在は《アーケード・プロビデンス》と名前を変えたこの建物に住む魅力は、1階にあるお店やレストラン、季節の食品が並ぶファーマーズマーケット、そして、ギリシア復興様式の建築の美しさだろう。米国国家歴史登録財にも指定されている。
シアトルの《ヨビ・アパートメント》はキッチンを交流スペースにしたシェアハウス。
「小さい」の限界を追及するシアトルのシェアハウス
シアトルのキャピトル・ヒルにある《ヨビ・アパートメント》は、「マイクロ・マイクロハウジング」と呼べるかもしれない。21世紀風クラフツマン様式といった印象の堂々とした建物のなかに、広さわずか16.3平方メートルほどのアパートメントが45戸入っている。小さいスペースに収まっている理由は、どの部屋にもキッチンがないこと。住人たちは、階ごとにある共用キッチンに集まって料理をする。都市計画ではこのようなタイプのマイクロハウジングを「コングリゲートハウジング」(訳注:コングリゲートは「集まる」という意味。「集住」)と呼んでおり、〈ヨビ〉を設計した建築家デヴィッド・ニーマンさんは、この住宅スタイルにはたくさんのメリットがあると考えている。家賃は通常のマイクロハウジングに比べても安い。さらに、大都会の中でも人とのつながりを大切にしたいと考える人たちに支持されているとニーマンさんは言う。「より安価というだけでなく、コミュニティをつくるような住宅にしたかったんです。多くの人にとって、キッチンなどを共同で使うのはマイナス点ではなく、暮らしを豊かにしてくれるプラスの要素なんです。」
「小さい」の限界を追及するシアトルのシェアハウス
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写真の《ヨビ・アパートメント》のようなプロジェクトが増えて、シアトルが米国マイクロハウジングの中心地となったのはわりと最近のことだ。2013年には1,800戸のマイクロアパートメントが作られたが、これはシアトルでその年に完成した新築住宅戸数の4分の1近くを占めていた。しかしその後、その反動がやって来る。マイクロハウジング物件が増えるにつれ、シアトル住民の一部から、過密化により地域のようすが変わってきているという苦情が出たのだ。その結果、シアトル市議会が新たに開発規制を設け、コングリゲートハウジングを完全に禁止するほどの内容ではなかったものの、新規建設がかなり難しくなったとニーマンさんは説明する。
とはいえ、ひとまわり大きい通常のマイクロハウジングは、ニーマンさんの会社が設計したものも含め、現在もシアトルの街に増え続けている。さらにニーマンさんは、コングリゲートハウジングも復活しつつあるようだと見ている。「これを使えば家がない人たちにも安価な住まいを提供することができると、NPOで活動する人たちが気付き始めています。コングリゲートハウジングは、社会の役に立つことのできる建物なんです。」
とはいえ、ひとまわり大きい通常のマイクロハウジングは、ニーマンさんの会社が設計したものも含め、現在もシアトルの街に増え続けている。さらにニーマンさんは、コングリゲートハウジングも復活しつつあるようだと見ている。「これを使えば家がない人たちにも安価な住まいを提供することができると、NPOで活動する人たちが気付き始めています。コングリゲートハウジングは、社会の役に立つことのできる建物なんです。」
マイクロ住宅の供給でみんなに家を
実際、とくにユニークなマイクロプロジェクトのなかには、住宅不足の解消を目的としているものも少なくない。2016年にプリツカー賞を受賞したチリ人建築家、アレハンドロ・アラヴェナがメキシコのモンテレイ近郊で手掛けた低収入層向け住宅プロジェクト《ラス・アナクアス》は、まずマイクロハウジングとして建てた家を、徐々に大きく住みやすしていくという住宅だ。良質な住宅が半分まで完成した状態(40平方メートルほど)で住まい手に提供され、残り半分は、住まい手の努力で完成させる。
実際、とくにユニークなマイクロプロジェクトのなかには、住宅不足の解消を目的としているものも少なくない。2016年にプリツカー賞を受賞したチリ人建築家、アレハンドロ・アラヴェナがメキシコのモンテレイ近郊で手掛けた低収入層向け住宅プロジェクト《ラス・アナクアス》は、まずマイクロハウジングとして建てた家を、徐々に大きく住みやすしていくという住宅だ。良質な住宅が半分まで完成した状態(40平方メートルほど)で住まい手に提供され、残り半分は、住まい手の努力で完成させる。
《マイクロパッド》は個別の住宅ユニットを複数連結させる仕組みになっているので、戸数を柔軟に調整できる。
ふたたびサンフランシスコのSoMa地区に目を向けると、〈パノラミック〉のデベロッパーのケネディさんも、大量のホームレス人口を助けるためのプロジェクトを開始している。15平方メートル弱の「マイクロパッド」は、〈パノラミック〉のアパートメントよりも小さいが、すっきりとしたデザインと機能性には共通点が多い。「同じDNAを受け継いでいるんです」と、〈パノラミック〉の開発ディレクターを務めるザック・ショアさんは言う。
ふたたびサンフランシスコのSoMa地区に目を向けると、〈パノラミック〉のデベロッパーのケネディさんも、大量のホームレス人口を助けるためのプロジェクトを開始している。15平方メートル弱の「マイクロパッド」は、〈パノラミック〉のアパートメントよりも小さいが、すっきりとしたデザインと機能性には共通点が多い。「同じDNAを受け継いでいるんです」と、〈パノラミック〉の開発ディレクターを務めるザック・ショアさんは言う。
《マイクロパッド》は鉄骨フレームのプレハブ住宅だ。個別の住宅ユニットを複数連結させる仕組みになっており、積み重ねると、2階~12階建てのアパートメントができあがる。この技術を使えば、建設時間とコストが最大40%削減でき、一般的なホームレス用宿泊施設よりも、ずっと高品質で費用効率の高い住まいが実現するとショアさんは語る。
《マイクロパッド》のアイデアは、「まずは住まいを」というホームレス支援の考え方から生まれたとショアさんは言う。「住むところを確保してあげれば、それ以外のことも改善していきます。そして、本当にいい住まいだと感じられる場所なら、住人はそれだけ頑張ろうと思うようになるんです。」
いまのところ、《マイクロパッド》は試作品(プロトタイプ)が1つあるのみ。次のステップは、第一弾を建てるための土地を手に入れることだ。現在もサンフランシスコなどいくつかの自治体と話し合って土地を探している。「私の目標は、ベイエリアにいる5,000人のホームレスの人たちに住まいを提供することなんです」とケネディさんは言う。
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小さな家、小さな住まいについて、ご意見をおきかせください。
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