現実的な予算について顧客に理解してもらうコツ
顧客に現実的な予算感を持ってもらうには、どうすればいい?アメリカの専門家たちにコツを聞きました。
Erin Carlyle
2022年11月18日
住まいの専門家である皆さんは、依頼主がプロジェクトに夢を持ちすぎていて、予算オーバーしているケースに遭遇したことがあるかもしれません。
このような非現実的な想定を取り除くのは、住まいづくりにおいては必要不可欠なプロセスです。それでは、こういった極めて重要な話し合いは、どのようにしていけばよいのでしょうか?アメリカで活躍する専門家たちにそのコツを聞いてみました。
このような非現実的な想定を取り除くのは、住まいづくりにおいては必要不可欠なプロセスです。それでは、こういった極めて重要な話し合いは、どのようにしていけばよいのでしょうか?アメリカで活躍する専門家たちにそのコツを聞いてみました。
最初から費用を明確にする
顧客にプロジェクトにかかる費用感について教えるのは、営業プロセスの一環です。まずはプロジェクトの予算を決めるところから始めましょう。
「顧客の多くは、プロジェクトに実際かけられる予算を教えたがらない場合が多いのです。全予算を使われてしまうのではないか、と懸念しているのでしょうね」とアメリカを拠点とするデザイナーである、Designs by Giaのジア・ミラッツォ・スミスはいいます。「こうした会話を早い段階でできると、とてもよいですよね」
顧客にプロジェクトにかかる費用感について教えるのは、営業プロセスの一環です。まずはプロジェクトの予算を決めるところから始めましょう。
「顧客の多くは、プロジェクトに実際かけられる予算を教えたがらない場合が多いのです。全予算を使われてしまうのではないか、と懸念しているのでしょうね」とアメリカを拠点とするデザイナーである、Designs by Giaのジア・ミラッツォ・スミスはいいます。「こうした会話を早い段階でできると、とてもよいですよね」
予算を把握することは、適切な方向に顧客を導く助けとなります。予算が足りないと分かれば、すぐにその悪い知らせを伝えることができます。
「もしも施主の予算が、やりたいことにかかる最低限の費用にさえ届かない場合は、最初に私はそのことを正直に伝えます」とCrisp Architectsの建築家であるジェームズ・クリスプは話します。
「私は『非常に申し訳ないのですが、仰っていることを実現しようとすると、正確なコストはもちろん分からないですが、〇〇から〇〇ドルほどはかかります』といいますね」
クリスプが率直に予算感を伝えると、実は最初に伝えた金額よりももう少しだけ予算に余裕がある、と顧客が話しだすことがあるそうです。
その場合、例えば、キッチンを交換して新しく2階を設ける、という最初の目標を達成するには費用がかかりすぎるとしても、キッチンリノベーションだけなら予算内で可能、ということがあり得るでしょう。
「もしも施主の予算が、やりたいことにかかる最低限の費用にさえ届かない場合は、最初に私はそのことを正直に伝えます」とCrisp Architectsの建築家であるジェームズ・クリスプは話します。
「私は『非常に申し訳ないのですが、仰っていることを実現しようとすると、正確なコストはもちろん分からないですが、〇〇から〇〇ドルほどはかかります』といいますね」
クリスプが率直に予算感を伝えると、実は最初に伝えた金額よりももう少しだけ予算に余裕がある、と顧客が話しだすことがあるそうです。
その場合、例えば、キッチンを交換して新しく2階を設ける、という最初の目標を達成するには費用がかかりすぎるとしても、キッチンリノベーションだけなら予算内で可能、ということがあり得るでしょう。
早い段階で予算について話すことは、プロジェクトにかかる現実的なコストと手間について顧客に知ってもらう機会でもあります。
それはつまり、取付ける製品や素材だけではなく、設置やデザインの両方に関わる人件費も必要ということです。
例えば、キッチンカーテンの特定の生地をメーター当たり10ドル節約するといった細かいことよりも、案件自体を見ながら進めることの重要性を理解している顧客は多くないため、こうした会話は非常に有益だと、とミラッツォ・スミスは話します。
それはつまり、取付ける製品や素材だけではなく、設置やデザインの両方に関わる人件費も必要ということです。
例えば、キッチンカーテンの特定の生地をメーター当たり10ドル節約するといった細かいことよりも、案件自体を見ながら進めることの重要性を理解している顧客は多くないため、こうした会話は非常に有益だと、とミラッツォ・スミスは話します。
費用の話を定期的にし続ける
もちろんデザイン計画が完了し、全ての素材が選択されるまで、正確なプロジェクト費用を知ることは不可能です。だからこそ、計画の進展にあわせて、要所要所で費用の話をすることが重要になるのです。
Gardner Architectsの建築家であるエイミー・ガードナーは、常に早い段階から図面を建設業者に見せ、概算見積もりを取ることを顧客に勧めています。
「私たちは最初の打合せでこのことを勧め、案件の初期段階で定期的にこの話を持ち出します」とガードナーは語ります。
もちろんデザイン計画が完了し、全ての素材が選択されるまで、正確なプロジェクト費用を知ることは不可能です。だからこそ、計画の進展にあわせて、要所要所で費用の話をすることが重要になるのです。
Gardner Architectsの建築家であるエイミー・ガードナーは、常に早い段階から図面を建設業者に見せ、概算見積もりを取ることを顧客に勧めています。
「私たちは最初の打合せでこのことを勧め、案件の初期段階で定期的にこの話を持ち出します」とガードナーは語ります。
初期デザインが完成し、建設業者からの初期見積もりが上がってきたタイミングで、クリスプは顧客にこのように伝えます。
「金額をみてショックを受けるかもしれませんが、大丈夫です。デザインを変更したり、計画をフェーズに分割したりすることもできます。または、もっと正確な見積もりが取れるよう、図面にとりかかるべきかの指示をください」
重要な決断を行うのは顧客自身であることを思い出させることは非常に重要だと、とクリスプはいいます。
「金額をみてショックを受けるかもしれませんが、大丈夫です。デザインを変更したり、計画をフェーズに分割したりすることもできます。または、もっと正確な見積もりが取れるよう、図面にとりかかるべきかの指示をください」
重要な決断を行うのは顧客自身であることを思い出させることは非常に重要だと、とクリスプはいいます。
また、顧客が製品や素材の変更を要請する度に、その変更が費用にどのような影響を与えるかをその場で伝えることが重要です。
こまめにコミュニケーションをとることで、顧客が案件の終盤で驚き、いつの間にか金額が高くなり過ぎたような印象を受けることがなくなります。
プロジェクトの一括管理ソフト「Houzz Pro」を利用すれば、仕様変更の追跡・請求、顧客への承諾の依頼を行えます。
Houzz Proを利用している専門家を選ぶメリットとは?
こまめにコミュニケーションをとることで、顧客が案件の終盤で驚き、いつの間にか金額が高くなり過ぎたような印象を受けることがなくなります。
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Houzz Proを利用している専門家を選ぶメリットとは?
どの段階で袂を分かつか見極める
費用の話を、最初の段階から明確にし、節目ごとに確認し続けていれば、案件が進行するにつれ費用の問題で気まずくなったり、言い争いになったりすることはなくなってくるはずです。ですから、顧客と予算に対する感覚が合っているかどうかは、早い段階で判断すべきです。
予算が十分ではない場合は、代替案を提示することができるかもしれません。
優秀な建築設計者を選ぶことで、顧客はより多くのことを実現できる、とクリスプはいいます。
一方で、ミラッツォ・スミスはすべてを一括で請け負う業者のかわりに、単独のデザインコンサルティングやデザイン計画を利用することを提案します。
いずれにせよ、予算が単純に厳しすぎる場合には、躊躇せずにお断りすることも大切です。そのような顧客の案件を請け負うことは全ての関係者にとってストレスになり、よい結果につながりません。
「初めの数回の打合せで、施主の目標に対して予算が十分でないと分かった場合、通常わたしは案件を引き受けません」とガードナーはいいます。
Houzz Proでは簡単に見積書を作成し、顧客に提示できます。
工事完了前に価格変更があった場合も、Houzz Proでは簡単に見積書を修正できます。
費用の話を、最初の段階から明確にし、節目ごとに確認し続けていれば、案件が進行するにつれ費用の問題で気まずくなったり、言い争いになったりすることはなくなってくるはずです。ですから、顧客と予算に対する感覚が合っているかどうかは、早い段階で判断すべきです。
予算が十分ではない場合は、代替案を提示することができるかもしれません。
優秀な建築設計者を選ぶことで、顧客はより多くのことを実現できる、とクリスプはいいます。
一方で、ミラッツォ・スミスはすべてを一括で請け負う業者のかわりに、単独のデザインコンサルティングやデザイン計画を利用することを提案します。
いずれにせよ、予算が単純に厳しすぎる場合には、躊躇せずにお断りすることも大切です。そのような顧客の案件を請け負うことは全ての関係者にとってストレスになり、よい結果につながりません。
「初めの数回の打合せで、施主の目標に対して予算が十分でないと分かった場合、通常わたしは案件を引き受けません」とガードナーはいいます。
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工事完了前に価格変更があった場合も、Houzz Proでは簡単に見積書を修正できます。
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Nice article and suggestion indeed. I also talk about the cost at the first stage to my clients, since clients tend to not knowing the reality as this article mentioned, since usual goods around people are finished products and people do not notice the costs for assembly et al. much. Also, because the costs related to housing are expensive than such usual and daily life products, people who are not having such information have difficulty to esteem the cost properly...
[良い記事と提案だと思います。私も最初の段階でコストの話をしていますが、それはこの記事にあるように、身の回りにある普通の商品は完成品であり、組み立てなどのコストにはあまり気がつかないため、クライアントは現実を知らない傾向にあるからです。また、住宅関連のコストは、このような一般的な用品や生活用品よりも高額なため、そのような情報を持っていない方は、コストを正しく評価するのが難しいのです...。]