パリの20平米以下のアパルトマン。リノベーション実施例14選
限られた空間をリノベーションでお洒落で使いやすくした、フランスの住まいの専門家のテクニックをご紹介します。
Houzz Japan
2022年4月29日
Houzz Japan 公式アカウント
パリの狭小アパルトマンは、19世紀半ばにおこなわれた大改造(都市整備事業)により急増しました。同市の調査機関APURによると、今でもパリ市内に10万戸以上は存在しているとのこと。その多くに配管設備などが整備され、より住みやすく快適な居住空間にするために、大胆に改修するケースも増えているそうです。
この記事では、Houzz Franceで取りあげた、デザイン性と機能性を両兼ね備えた狭小アパルトマンを、それぞれのリノベーションに携わった専門家のコメントを交えてご紹介します。
この記事では、Houzz Franceで取りあげた、デザイン性と機能性を両兼ね備えた狭小アパルトマンを、それぞれのリノベーションに携わった専門家のコメントを交えてご紹介します。
1. 広さ12平方メートル
ワンルームの中に、洗面所をキャビンのような形でレイアウトしています。
「丸みを帯びた形状のスタイルを多用し、バスルームにつながるドアはアーチ型にしました」というMarn Décoのニコラス・パイェさん。
キッチンのバックスプラッシュやバスルームのシンクも、他の内装や照明器具同様、柔らかく丸みが際立った形のものに揃えたそうです。
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「キッチンの顔」バックスプラッシュの選び方
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「丸みを帯びた形状のスタイルを多用し、バスルームにつながるドアはアーチ型にしました」というMarn Décoのニコラス・パイェさん。
キッチンのバックスプラッシュやバスルームのシンクも、他の内装や照明器具同様、柔らかく丸みが際立った形のものに揃えたそうです。
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2. 広さ12平方メートル
オーナーが望んだのは、格子状のパーティションで仕切られたコクーンのような空間に包まれることでした。そのため、Charlotte Astruc Architectureのシャーロット・アストリュックさんは、それぞれのスペースを分けるように工夫しました。
オーナーが望んだのは、格子状のパーティションで仕切られたコクーンのような空間に包まれることでした。そのため、Charlotte Astruc Architectureのシャーロット・アストリュックさんは、それぞれのスペースを分けるように工夫しました。
船室と列車のコンパートメントからイメージして創出したダイニングエリア兼オフィス用のコーナー。「空間を無駄にしないように、丁寧にデザインしました。椅子は掛布団と枕を収めるスペースを兼ねています」(アストリュックさん)
3. 広さ13平方メートル
シームレスな大きなミラーによって、まるで別の部屋があるかのような印象を受けるアパルトマン。
「スタッフのひとりが、以前このような鏡張りの壁をデザインしたことがあり、そのアイデアをさらに一歩進めようと考えました。これほど大きなアクセントウォールを階段で運び込むのは大変でしたが、効果は絶大でした」と語るMiogui Architectureのレオ・ベラサテギさん。
シームレスな大きなミラーによって、まるで別の部屋があるかのような印象を受けるアパルトマン。
「スタッフのひとりが、以前このような鏡張りの壁をデザインしたことがあり、そのアイデアをさらに一歩進めようと考えました。これほど大きなアクセントウォールを階段で運び込むのは大変でしたが、効果は絶大でした」と語るMiogui Architectureのレオ・ベラサテギさん。
120x190センチの市販のベッドフレームは、バティピン(パイン材積層合板)製で、掛布団を外さなくても簡単に壁のアルコーブに折りたたみ収納することができます。
「ユニット内の小ぶりの棚にはコンセントとネオンライトを設置し、ナイトテーブルとして使用することができます。その下にはフラップ扉付きの複数の収納ユニットが備わっています。上部の戸棚3か所には棚とクローゼットが、また右端の戸棚の裏には配電盤と、鍵置きのためにエントランス側から手が届く隙間が設けられています」(ベラサテギさん)
「ユニット内の小ぶりの棚にはコンセントとネオンライトを設置し、ナイトテーブルとして使用することができます。その下にはフラップ扉付きの複数の収納ユニットが備わっています。上部の戸棚3か所には棚とクローゼットが、また右端の戸棚の裏には配電盤と、鍵置きのためにエントランス側から手が届く隙間が設けられています」(ベラサテギさん)
4. 広さ13平方メートル
Décodage Créationのオード・グロシュニさんは、アパートのユーティリティ全てを詰め込んだボックスを目立つ色にして、小さなスペースにちょっとした躍動感を加えるよう、アパルトマンのオーナーに勧めました。
Décodage Créationのオード・グロシュニさんは、アパートのユーティリティ全てを詰め込んだボックスを目立つ色にして、小さなスペースにちょっとした躍動感を加えるよう、アパルトマンのオーナーに勧めました。
「オーナーは青や緑の色調が好みでしたので、この色合いで遊んでみました」(グロシュニさん)
5. 広さ13平方メートル
「140x190センチのベッドを奥行き40センチのウォールユニットにスライドして組み入れるというアイデアを思いつきました。日中はベッドをウォールユニットに組み入れると 、奥行き100センチのベンチシートとなり、夜間ベッドを引き出せば、バスルームのパーティションのラインに揃います」(Marn Décoのパイェさん)
「140x190センチのベッドを奥行き40センチのウォールユニットにスライドして組み入れるというアイデアを思いつきました。日中はベッドをウォールユニットに組み入れると 、奥行き100センチのベンチシートとなり、夜間ベッドを引き出せば、バスルームのパーティションのラインに揃います」(Marn Décoのパイェさん)
「特注した収納ベンチはオーク材突き板仕上げ。クッションの下のシートはヒンジで開閉できます」(パイェさん)
6. 広さ13平方メートル
「バスルームとリビングルームの間のパーティションは、アパートのユーティリティを集約し、それ以外の空間を自由に使えるようにするための中心的存在と考えました。さらに、全ての特注した造作建具によって、ワンルームをユニークかつパーソナルな空間に変えることができました」(Décodage Créationのオード・グロシュニさん)
「バスルームとリビングルームの間のパーティションは、アパートのユーティリティを集約し、それ以外の空間を自由に使えるようにするための中心的存在と考えました。さらに、全ての特注した造作建具によって、ワンルームをユニークかつパーソナルな空間に変えることができました」(Décodage Créationのオード・グロシュニさん)
7. 広さ14平方メートル
改装前のキッチンはこのアパルトマンのエントランス部分だけに押し込められていました。「入り口が狭いため、キッチンの全機能を組み込んだうえに、さらに冷蔵庫と洗濯機両方を収めることは不可能でした。そのため、キッチンをリビングルームまで拡張し、耐力壁で2つのセクションに分けることにしました。こうして大きなワークトップと収納スペースが可能になったのです」(インテリアデザイナーのマリー=ソフィー・ドネデューさん)
改装前のキッチンはこのアパルトマンのエントランス部分だけに押し込められていました。「入り口が狭いため、キッチンの全機能を組み込んだうえに、さらに冷蔵庫と洗濯機両方を収めることは不可能でした。そのため、キッチンをリビングルームまで拡張し、耐力壁で2つのセクションに分けることにしました。こうして大きなワークトップと収納スペースが可能になったのです」(インテリアデザイナーのマリー=ソフィー・ドネデューさん)
8. 広さ14平方メートル
2014年、デザイナーのサラ・カンペさんと彼女の夫でエンジニアのオリヴィエ・タリアーニさんは、小さなバスルームの機能を2倍にする巧妙な格納式システムを考案しました。そしてこの仕掛けを14平方メートルのパリのアパルトマンに見事に応用。トリックはピボットで開閉する壁で、前面にシンク、後ろにシャワーを組み込んでいます。
2014年、デザイナーのサラ・カンペさんと彼女の夫でエンジニアのオリヴィエ・タリアーニさんは、小さなバスルームの機能を2倍にする巧妙な格納式システムを考案しました。そしてこの仕掛けを14平方メートルのパリのアパルトマンに見事に応用。トリックはピボットで開閉する壁で、前面にシンク、後ろにシャワーを組み込んでいます。
9. 広さ15平方メートル
このアパルトマンは、限られた予算のなかで、機能性の改善を念頭に隅々まで改装されました。以前はリビングルームの隅にあったキッチンが広げられました。
このアパルトマンは、限られた予算のなかで、機能性の改善を念頭に隅々まで改装されました。以前はリビングルームの隅にあったキッチンが広げられました。
寝室兼リビングルームにあった年代物の建具は、断熱材を入れるために取り除かれました。
イザベル・ル・レストさんは、賃貸向けに耐久性を重視し、ソファーベッドではなく幅135センチのベッドを選びましたが、明るい色調の色とりどりのクッションを置いて、ベンチシートのような感じに仕上がっています。
イザベル・ル・レストさんは、賃貸向けに耐久性を重視し、ソファーベッドではなく幅135センチのベッドを選びましたが、明るい色調の色とりどりのクッションを置いて、ベンチシートのような感じに仕上がっています。
10. 広さ18平方メートル
ライジングベッドを巧みに使ったことが、このデザインの成功の鍵となりました。
ライジングベッドを巧みに使ったことが、このデザインの成功の鍵となりました。
「これは、とても簡単に片手で操作できるカウンターウェイトシステム搭載で、頑丈で信頼性も高く、(フランス南西部の)ランド地方の松で作られた国産の機械式ベッドです」(l’Akolytのクレマン・モネさん)
11. 広さ18平方メートル
「予算に合わせたプランを提示しながら、デザイン性を追求した大胆なオプションをあえて提案し、建具によってキッチンと固定式のベッドエリアを分け広い収納スペースを確保するといったオーナーのニーズにすべて応えようとしました。トイレをバスルームにしましたが、リビングスペースとしてまだ10平方メートルも残っていました」(ローラ・ルストーさん)
「予算に合わせたプランを提示しながら、デザイン性を追求した大胆なオプションをあえて提案し、建具によってキッチンと固定式のベッドエリアを分け広い収納スペースを確保するといったオーナーのニーズにすべて応えようとしました。トイレをバスルームにしましたが、リビングスペースとしてまだ10平方メートルも残っていました」(ローラ・ルストーさん)
12. 広さ19平方メートル
木製ロフトは最小限の床厚10センチとし、玄関の上部まで延びるように作られています。
「厚さ15センチのマットレスを使用しても、ベッドの上部は1メートルの高さがあるので、快適に座ることができます」(Neva Architecture Intérieureのマルゴー・カルネヴァーリさん)
木製ロフトは最小限の床厚10センチとし、玄関の上部まで延びるように作られています。
「厚さ15センチのマットレスを使用しても、ベッドの上部は1メートルの高さがあるので、快適に座ることができます」(Neva Architecture Intérieureのマルゴー・カルネヴァーリさん)
ロフトの下には、天井の高さが2.1メートルで1.4x1.4メートルのバスルームがあります。カルネヴァーリさんのデザインで、上部に収納を備えた壁掛便器、本物のシンク、シャワー、洗濯機をうまく収めることができました。
このリノベーション事例の詳しい記事を読む
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13. 広さ19平方メートル
「部屋の中央にバスルームを囲み込むボックスを設け、キッチンをその周りにレイアウトすることを提案しました。その後ろの陰になった方に、間仕切壁でできた廊下を配置。このレイアウトを最大限利用して、エントランス、バスルーム、ベッドルームの3方向からアクセスできる広い収納スペースをも設けています」(Lara Grandのララ・グランさん)
「部屋の中央にバスルームを囲み込むボックスを設け、キッチンをその周りにレイアウトすることを提案しました。その後ろの陰になった方に、間仕切壁でできた廊下を配置。このレイアウトを最大限利用して、エントランス、バスルーム、ベッドルームの3方向からアクセスできる広い収納スペースをも設けています」(Lara Grandのララ・グランさん)
14. 広さ19平方メートル
「開放的な台所と、寝室としてのロフトをデザインしました。ロフトの下にダイニングエリアをつくれるように、できるだけ高い位置(床上2.3メートル)にしました。窓の位置の関係で、ロフトを部屋の片側から反対側まで完全に延ばせなかったので、140x200センチのベッドに合ったサイズとしました。こうすることで、ロフト下のスペースを失うことなく、また窓との干渉を避けるため、キッチン側の天井を付け替えることで、ロフトのベッドからアクセスできるニッチを作ることができたのです」(Neva Architecture Intérieureのカルネヴァーリさん)
「開放的な台所と、寝室としてのロフトをデザインしました。ロフトの下にダイニングエリアをつくれるように、できるだけ高い位置(床上2.3メートル)にしました。窓の位置の関係で、ロフトを部屋の片側から反対側まで完全に延ばせなかったので、140x200センチのベッドに合ったサイズとしました。こうすることで、ロフト下のスペースを失うことなく、また窓との干渉を避けるため、キッチン側の天井を付け替えることで、ロフトのベッドからアクセスできるニッチを作ることができたのです」(Neva Architecture Intérieureのカルネヴァーリさん)
パリジャン・パリジェンヌたちが、住まいの専門家に依頼して手にいれた素敵なアパルトマン14選、いかがでしたか?狭い空間でも、高い機能性とデザイン性を両立させた空間づくり。日本の住まいにもいかせそうです。
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