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三角形の土地に建つ、自然と暮らしと仕事を楽しむ家
自身の事務所を立ち上げて10年の節目に出会ったという緑に囲まれた土地に建てた、開放感あふれる建築家の自邸です。
永井理恵子
2021年4月12日
駿東郡長泉町の高台に位置する東野スルガ平。富士山の南裾にある愛鷹山の中腹に位置するこのエリアには、3つの美術館からなる複合文化施設「クレマチスの丘」や広大な自然公園があり、豊かな自然の中に閑静な住宅地が広がります。
建築家の近藤剛さんは、以前からこのエリアに自宅兼モデルハウスを建てて暮らしたいと考えていました。眼鏡にかなう売土地が出ていないかと、週末、ドライブを兼ねて度々このエリアを訪れていたといいます。
3年ほどたった頃、ようやく出会ったのがこの土地でした。緑に囲まれた角地は、自宅兼モデルハウスを建てるのにうってつけのロケーションに思え、ひと目見て気に入りました。建築家として独立し「一級建築士事務所GO_AN(ゴアン)」を立ち上げて10年の節目にこの土地に出会えたのは何かの縁だと、土地の購入を決め、家を建てることにしたのです。
建築家の近藤剛さんは、以前からこのエリアに自宅兼モデルハウスを建てて暮らしたいと考えていました。眼鏡にかなう売土地が出ていないかと、週末、ドライブを兼ねて度々このエリアを訪れていたといいます。
3年ほどたった頃、ようやく出会ったのがこの土地でした。緑に囲まれた角地は、自宅兼モデルハウスを建てるのにうってつけのロケーションに思え、ひと目見て気に入りました。建築家として独立し「一級建築士事務所GO_AN(ゴアン)」を立ち上げて10年の節目にこの土地に出会えたのは何かの縁だと、土地の購入を決め、家を建てることにしたのです。
どんなHouzz?
所在地:静岡県駿東郡長泉町
住まい手:近藤剛さん、奥さまの瑞穂さん、長女(10歳)
敷地面積:661.25㎡
延床面積:148.76㎡
規模:LDK、主寝室、子供室、バス、トイレ、洗面所、パントリー、フリースペース
構造:木造軸組工法
竣工年:2019年
設計・施工:一級建築士事務所GO_AN
南側を頂点に東、西、北側に辺がある三角形の土地に、近藤さんは、数年かけたプロジェクトとして、北側に母屋、東側に事務所棟、西側に打合せルームとして屋根のあるオープンスペースを建てるという計画を立てました。
北側の辺に沿うように建てた母屋の外壁材にはケイミューのSOLIDO typeMと無垢のレッドウッドを選びました。SOLIDOはセメントの質感を活かした建築素材。レッドシダーと絶妙なコントラストを描きつつ、周囲の緑と見事に調和しています。
所在地:静岡県駿東郡長泉町
住まい手:近藤剛さん、奥さまの瑞穂さん、長女(10歳)
敷地面積:661.25㎡
延床面積:148.76㎡
規模:LDK、主寝室、子供室、バス、トイレ、洗面所、パントリー、フリースペース
構造:木造軸組工法
竣工年:2019年
設計・施工:一級建築士事務所GO_AN
南側を頂点に東、西、北側に辺がある三角形の土地に、近藤さんは、数年かけたプロジェクトとして、北側に母屋、東側に事務所棟、西側に打合せルームとして屋根のあるオープンスペースを建てるという計画を立てました。
北側の辺に沿うように建てた母屋の外壁材にはケイミューのSOLIDO typeMと無垢のレッドウッドを選びました。SOLIDOはセメントの質感を活かした建築素材。レッドシダーと絶妙なコントラストを描きつつ、周囲の緑と見事に調和しています。
玄関ホールからダイニングへと誘う階段と引き戸は、スプーンカットで仕上げたヨーロピアンオーク。
外壁と同じSOLIDOを施工したスキップフロアの壁と、外に面した白いクロスの壁をつなぐように、黒く塗ったベイマツを配置しました。ベイマツの上にはグレーチングを設置。
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外壁と同じSOLIDOを施工したスキップフロアの壁と、外に面した白いクロスの壁をつなぐように、黒く塗ったベイマツを配置しました。ベイマツの上にはグレーチングを設置。
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玄関ホールの先には、母屋の中心となるキッチンとダイニングスペースが広がります。開放感あふれるダイナミックな吹き抜けの開放感は、近藤さんが最も得意とするスタイルです。
この空間を支えるのが、SRC基礎という基礎です。床下を砂利層とコンクリートで満たした完全密封構造の基礎は高い強度を得られ、基礎の最下層が地面と一体化しているため蓄熱体として天然の冷暖房の役割を果たします。また、玄関や脱衣室、トイレなどを含めた1階のほとんどの部屋に温水式床暖房システムを導入でき、冬はエアコンやストーブといった暖房器具を使わずに暖かく過ごせます。近藤さんの愛犬であるフラットコーテッド・レトリバーのエンゾくんも心地よく過ごせます。
床はタイル。エンゾくんが万が一粗相をしてしまっても、サッと片付けられる素材を選びました。汚れたらすぐに拭けるから、壁はクロスを選びました。
この空間を支えるのが、SRC基礎という基礎です。床下を砂利層とコンクリートで満たした完全密封構造の基礎は高い強度を得られ、基礎の最下層が地面と一体化しているため蓄熱体として天然の冷暖房の役割を果たします。また、玄関や脱衣室、トイレなどを含めた1階のほとんどの部屋に温水式床暖房システムを導入でき、冬はエアコンやストーブといった暖房器具を使わずに暖かく過ごせます。近藤さんの愛犬であるフラットコーテッド・レトリバーのエンゾくんも心地よく過ごせます。
床はタイル。エンゾくんが万が一粗相をしてしまっても、サッと片付けられる素材を選びました。汚れたらすぐに拭けるから、壁はクロスを選びました。
ダイニングルームは施主さんとの打合せルームを兼ねており、建築の専門書や美術書が並びます。インテリアやグリーンをコーディネートするのは奥さまの瑞穂さん。ギャラリーのオーナーでもある瑞穂さんは日頃、近藤さんの建築のインテリアコーディネートを担当しています。
ダイニングテーブルとチェアはBo Concept。キッチンはトーヨーキッチンのiNO。キッチンの背面はパントリーになっており、食材の収納のほか、家電製品を置くスペースとしても利用しています。引き戸を閉めれば、来客に日常を感じさせません。
ダイニングテーブルとチェアはBo Concept。キッチンはトーヨーキッチンのiNO。キッチンの背面はパントリーになっており、食材の収納のほか、家電製品を置くスペースとしても利用しています。引き戸を閉めれば、来客に日常を感じさせません。
玄関ホールから出入りするワークスペースと倉庫の真上に位置するスキップフロアは、家族が集うプライベートなリビングです。テレビボードの背面は外壁と同じSOLIDO。棚の最下部には間接照明を設置してあり、夜のひととき、床の凹凸を美しく照らします。
1階から吹き抜けの天井まで貫く柱は、大黒柱をイメージしたもの。玄関ホールの階段やリビングと同じ、スプーンカットで仕上げたヨーロピアンオークの巨大な一枚板は、この家のシンボルとして存在感を放ちます。
写真の右端に見えるスツールを踏み台にして低い壁を乗り越えると、玄関ホールの上に出られます。テレビボードの背面に小さなカウンターテーブルを造作。ベイマツの上にグレーチングを置いて、小さなワークスペースとして活用しています。
1階から吹き抜けの天井まで貫く柱は、大黒柱をイメージしたもの。玄関ホールの階段やリビングと同じ、スプーンカットで仕上げたヨーロピアンオークの巨大な一枚板は、この家のシンボルとして存在感を放ちます。
写真の右端に見えるスツールを踏み台にして低い壁を乗り越えると、玄関ホールの上に出られます。テレビボードの背面に小さなカウンターテーブルを造作。ベイマツの上にグレーチングを置いて、小さなワークスペースとして活用しています。
リビングの対面には、フリースペースを設けました。普段は長女が遊んだり、ハンモックに揺られながら読書をしたり、オープンなスペースとして利用していますが、来客時には扉を閉めるだけでゲストルームに早変わり。夫婦それぞれの両親や友人が気兼ねなく遊びに来られるよう配慮しました。
フリースペースの奥は長女の部屋。周囲に広がる緑をフレーミングするように窓を設えました。瑞穂さんが選んだ海外製のクロスが映えます。
長女の部屋とフリースペースの床は、無垢のオーク。近藤さんが偶然ホームセンターで見つけたフローリング材を使用しました。現場で必要な建材や材料を買いに行くホームセンターでは、時々、どこかの現場で使わなかったものを格安で放出していることがあり、行く度に現場で使えるものがないか、チェックしているのだそう。タイミング良く出会えたオークのフローリング材を、迷わず自邸に取り入れました。
デザインの良さや住み心地はもちろん、常日頃からコストにも配慮していることを実感させるエピソードです。
長女の部屋とフリースペースの床は、無垢のオーク。近藤さんが偶然ホームセンターで見つけたフローリング材を使用しました。現場で必要な建材や材料を買いに行くホームセンターでは、時々、どこかの現場で使わなかったものを格安で放出していることがあり、行く度に現場で使えるものがないか、チェックしているのだそう。タイミング良く出会えたオークのフローリング材を、迷わず自邸に取り入れました。
デザインの良さや住み心地はもちろん、常日頃からコストにも配慮していることを実感させるエピソードです。
洗面室、バスルーム、トイレ、夫妻の寝室は、1階ダイニングの奥にあります。1階は玄関から洗面室、トイレに至るまで床暖房が入っており、冬の寒い日でも足元は常にぽかぽかです。
洗面室の床はタイル。洗面台は木の板にベルギーBEAL社のモールテックスという左官材料を塗って仕上げたものです。モールテックスは、1mmの薄塗りでも強度が高く、水に強いのが特徴です。左官材料なので、職人のワザでさまざまなデザインに仕上げることができます。今回は洗面台として使用するため、水が流れるようなイメージの模様に仕上げました。
浴室は日々のメンテナンスに手がかからないユニットバスに決定。バスタブの縁までとれる大きな窓が決め手となり、PanasonicのLクラスを選びました。洗面ボウルとミラーキャビネットもPanasonic。
入浴中、バスルームの向こうに広がる野趣あふれる景色を人目を気にせず楽しめるように壁を設置。バスルームと壁の間に生まれた空間には割栗石を敷き詰め、自然との調和を大切にしました。
洗面室の床はタイル。洗面台は木の板にベルギーBEAL社のモールテックスという左官材料を塗って仕上げたものです。モールテックスは、1mmの薄塗りでも強度が高く、水に強いのが特徴です。左官材料なので、職人のワザでさまざまなデザインに仕上げることができます。今回は洗面台として使用するため、水が流れるようなイメージの模様に仕上げました。
浴室は日々のメンテナンスに手がかからないユニットバスに決定。バスタブの縁までとれる大きな窓が決め手となり、PanasonicのLクラスを選びました。洗面ボウルとミラーキャビネットもPanasonic。
入浴中、バスルームの向こうに広がる野趣あふれる景色を人目を気にせず楽しめるように壁を設置。バスルームと壁の間に生まれた空間には割栗石を敷き詰め、自然との調和を大切にしました。
ダイニングからウッドデッキへとつながる窓をフルオープンにすると、家の中と外の境界がより曖昧になり、開放感がさらに高まります。そして、ゆくゆくは、このウッドデッキが3つの建物をゆるやかにつなぐ存在へと変わっていくのです。
自然と生活と仕事をつなぐ家は、今、多くの人が求めているであろう豊かさに満ちあふれます。
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